万能無敵
ミルク・エンジェル



第5話
『狼藉! 母子家庭』





「査察官?」
 僕は、ココナが言った言葉をオウム返しに言った。
「はい。マスターの侵略事業に対して、査察官を派遣することが決定されたんです」
 アンドロイドらしい律義さで、ココナが繰り返す。
「あのー、やっぱり、前回の戦闘記録、あれがマズかったんじゃないですか?」
「うぅ……結構、いいデキだと思ったのに」
「そういうことじゃなくて、ですね」
 ココナは、呆れたような口調で言う。
「査察官が来ちゃう事はもう決まっちゃったんですから、いろいろ対応策を考えないといけませんよ」
「いやまあ、そうなんだけどさ」
 はぐらかすような僕の物言いに、ココナは、眉を寄せた。
「そもそも、あのミルク・エンジンが“万能無敵”の存在であるってことが判明した時点で、増援を要求すべきだったんじゃないですか?」
「……」
 その、もっともな意見に、僕は沈黙で応えた。
 ココナのちょっと吊り気味の目が、僕の表情の変化を見逃すまいとするかのように、鋭く光る。
「マスター……あたしに、隠し事してます?」
 と、ココナが、真正面からそう切り込んで来た。
「――いずれ、きちんと話すよ」
 そう言った僕の声は、我ながら、ちょっと堅かった。



《オープニング・テーマ》
『飛びこえてミルキー・ウェイ』



「ところで、査察官の名前は?」
「第4象現方面軍第F査察団所属の、オーグルト特務少佐だそうです」
「オーグルト? あの“片目”のオーグルトかあ」
 僕は、懐かしさに声をあげてしまった。
「えーっと、お知り合いなんですか?」
 手元のファイルと僕の顔を見比べながら、ココナが訊いてくる。
「ああ。孤児院時代からの知り合いだよ」
「孤児院?」
 僕がうっかり漏らしてしまった一言に、ココナは目を見開いた。
「あ、いや、子供のときからのね」
 僕は、ごまかすように、話を続けた。
「でも、懐かしいなあ。あいつ、僕が給食を時間内に食べられそうになかったときとか、一緒に食ってくれたなあ」
「へえー」
 子供時代の僕の顔でも想像したのか、ココナはくすりと笑った。
「あと、ラブレターの代筆をしてやったりとか、したっけ」
「うわぁ、青春ですねえ」
「学生になってからは、講義の代返してやったり、宇宙麻雀の借金を肩代わりしてやったり、あいつが悪事重ねてあわや退学ってときに身代わりに犯人になってやったりしたもんだよ」
「……え、えーっと、マスター?」
 ココナは、さっきまで浮かべていた微笑を引っ込めて、僕の顔をのぞきこんだ。
「ん?」
「もしかして、マスターってば、利用されていただけだったんじゃないですか?」
 あまりに核心をついたその一言に、僕は、言葉を失ってしまった。
 と、ココナが、なぜか小さくため息をつく。
「まあ、そのオーグルト特務少佐とマスターの間に、どういう関係があったか知りませんけど……今は、侵略官と査察官なんですからね」
「う、うん」
 曖昧に肯く僕に、ココナが、心配そうな視線を投げかけた。



 舞川瑠実のいかにも女性らしい体は、まるで、僕の心の中のわだかまりを、優しく溶かしてくれるようだ。
 きゅっとくびれたウェストから、豊かに張ったお尻までのラインを撫でながら、僕は、そう思った。
「あぁ……ご主人様……」
 耳元で、舞川瑠実が、とろけるような媚声をあげる。
 昼下がりの陽光が差し込むキッチン。舞川美玖が下校してくる前にやってきた僕は、その母親との逢瀬を楽しんでいた。
 いや、楽しむばかりじゃなくて、マインドコントロールの効果を維持させる目的もあるんだけど……。
 でも、その目的がどうでもよくなるくらいに、舞川瑠実の体は心地いい。
 そのまま、溺れてしまいそうな感じだ。
 だから、溺れまいとするかのように、彼女に意地悪をしてしまう。
 そのこと自体、溺れていることの証拠なのかもしれないけど……。
 服の上からの愛撫で熱く火照った彼女の体を、僕はひざまずかせた。
 そして、スラックスの前を開け、すでに七割がた血液を充填させたペニスを露わにする。
「はぁ……」
 ねっとりとした吐息をつきながらそれを見つめる彼女の頬を、まるで催促するように、ペニスでぴたんと叩く。
「はむ……♪」
 舞川瑠実は、僕のペニスを口で追いかけるようにして、先端を口に咥えた。
「んっ」
 生温かい快感に、僕は思わずうめく。
 と、舞川瑠実は、僕のそれの根元までを、ずるん、といった感じで口腔に収めた。
 先端が、喉の奥にまで届いているはずだ。彼女の形のいい眉が、八の字にたわめられている。
 それでも、舞川瑠実は、ふぅん、ふぅん、と嬉しげな鼻声をあげながら、口の中全部を使って、僕のモノを刺激した。
 舌と、唇と、口蓋にこすられ、ペニスがぐんぐん膨張する。
 僕は、ゆっくりと腰を使い、彼女の口腔粘膜の感触をたっぷりと楽しんでから、ペニスを抜いた。
 そして、唾液にまみれたそれを、舞川瑠実の整った顔になすりつけるようにする。
「あぁン……はぁ……」
 舞川瑠実は、僕のその狼藉に、恍惚とした表情を浮かべた。
「おねだりして、瑠実さん」
 彼女の癖のない髪をすくようにして撫でながら、僕はそう促す。
「ご主人様……私……ご主人様のが、欲しいです……」
 淫らな期待に頬を染めながらも、舞川瑠実は、控え目な口調で言った。
 しかし、彼女の体内では、官能の火が燃えあがっているのだろう。床についた膝をもじもじと動かしながら、太腿を擦り合わせている。
「立って、テーブルに手をついて」
 そう言うと、顔を伏せながらも、素直に言われたとおりにする。
 つん、と突き出されたお尻の丸みを撫でてから、僕は、スカートをめくりあげた。
 貞淑そうな顔の奥に隠された淫らさを示すような、真紅のショーツ。それを、脚の付け根あたりまでずり下げる。
 お尻の割れ目に沿うような感じで指を差し入れると、舞川瑠実の秘部は、すでにじっとりと蜜をにじませていた。
 指先にぬるぬると蜜が淫靡に絡みつくのを感じながら、クレヴァスを指でなぞる。
「んっ……あぁン……ご主人様の、ゆび……きもちイイです……」
 悩ましい流し目を寄越しながら、舞川瑠実は甘えるような声をあげる。
「瑠実さんのここ、すごく欲しがってるよ」
 僕が口に笑みを溜めながら言うと、舞川瑠実は、羞恥と欲情にますます顔を染めた。
 そして、その表情よりもさらに素直な秘裂が、さらに愛液を溢れさせながら、くちゅりと僕の指を咥えこむような動きを見せる。
 僕は、それに応えるように、舞川瑠実の膣内に指を侵入させた。
「んんんっ」
 快楽の声を噛み殺しながら、舞川瑠実がその体を身悶えさせる。
 僕が指を鉤状に曲げ、中の天井あたりをこするように刺激すると、彼女は、びくびくと体を震わせた。
 ぷちゅっ、ぷちゅっ、とあまり上品とは言えない音が響き、愛液が僕の手の平まで濡らす。
「あ、はぁっ……んんンっ! ご主人様、ご主人様ぁ……!」
 ぎゅっ、とテーブルクロスを握り締めるようにしながら、舞川瑠実は、その背中をしなやかに反らせた。
 絶頂が近い、と見て、僕は意地悪く指を引き抜く。
「ふわぁン……!」
 イキそこねた舞川瑠実が、奇妙な声をあげた。
 そして、彼女が何か言う前に、すでにいきり立っていた肉棒を、熱く爛れた膣内に差し入れる。
「ひああああアアアッ!」
 舞川瑠実が、絶叫とともにテーブルに突っ伏した。
 そんな彼女の背中に覆い被さり、服のすそから、両手を差し入れる。
 薄手のトレーナーを半ば捲り上げ、たっぷりとした量感の双乳を包むブラをずらすと、ふるん、とした感触が手の平に触れた。
 その、まろやかな手触りのおっぱいを、やわやわと両手で揉みしだく。
「はあン! あッ! ご、ごしゅじんさま! もう……っ!」
 舞川瑠実は、僕の腕の中で、切羽詰った声をあげながらその体をうねらせた。
 逃げようとする体を捕まえるように、ぎゅっ、と乳房に指を立て、乱暴に腰を打ち込む。
「んっ、ひああアっ! あッ!」
 そんな僕の動きも、苦痛すれすれの快楽として感じているのだろう。舞川瑠実の膣内粘膜が、絶頂を間近に控え、ひくひくと蠢いている。
 僕は、彼女のお尻に腰を押し付けるようにしながら、容赦のない動きを送りこんだ。
「イ、イク! イきますッ!」
 短い屈服の声をあげ、舞川瑠実は、その体を硬直させた。
 膣壁が、きゅっ、きゅっ、と収縮し、危うくこちらまで絶頂に持っていかれそうになる。
 押し寄せる快楽の波をどうにかやりすごし、僕は、一つ息をついた。
「あ、あぁ……ごしゅじんさま……まだ……」
 僕を最後まで導くことができなかったことを恥じるように、舞川瑠実は深くうなだれた。
 彼女の体の中で、まだ堅く屹立したものを動かす。
「ンぅっ……」
 絶頂を迎えたばかりで、敏感になっているのだろう。舞川瑠実は、切なそうな声でうめいた。
「ほら、きちんと締めて。僕はまだなんだから」
 実際は、そのままでも充分過ぎるくらいに気持ちがいいんだけど、彼女を嬲るためだけに、わざとそういうふうに言う。
「す、すいま、せん……。う、んんンッ……」
 舞川瑠実は、せわしなく息をしながら、体に力を込めた。
 いままで優しく僕のを包み込んでいた柔肉が、きゅうっ、と締めつけてくる。
 さらに彼女のそこは、僕のを、奥に引き込むような動きまで見せた。
「く……」
 僕は、快楽の声を噛み殺し、反撃とばかりに腰の動きを再開させた。
「あ、んんッ! ひあッ!」
 膣壁を雁首がこすりあげる感覚に、舞川瑠実が高い声をあげる。
 その脚はがくがくと震え、きちんと体を支え切れない様子だ。
「ほら、もっと締めて」
 実際は、すぐにでも射精してしまいそうな快感を感じているのだが、必死に堪えて、彼女の耳にささやきかける。
「もうすぐ、美玖ちゃんが帰ってくるよ……そしたら、おしまいなんだから……」
「ああ、イヤです。そんなのイヤぁ……っ」
 娘の名前を出されたのが辛かったのか、それとも僕を導けぬまま中断されるのが悔しいのか、激しくかぶりを振りながら、舞川瑠実は健気に僕のを締め上げる。
 そこからは驚くほど大量の蜜が溢れ、肉の狭間に出入りする僕のペニスを、てらてらと光らせた。
 この愛液で動きが滑らかになっている分、締め付けに逆らって、激しく抽送できる。
 僕は、乳房から手を離し、彼女の細い腰を抱え、むちゃくちゃに腰を動かした。
「あ、あああッ! そ、そんなに、されたら……!」
 舞川瑠実が、切なそうに身をよじる。
「も、もうダメぇ……! ごしゅじんさま……はやく、はやくイってくださいィ……!」
「だったら、もっと、力を入れて……」
 高まる射精感でおかしくなりそうになりながら、どうにか僕は平静を装う。
「美玖ちゃんのアソコは、もっともっと、僕のを締め付けたよ」
「あ、あああああ! イヤあああーッ!」
 一筋、涙をこぼしながら、舞川瑠実が泣くような声をあげる。
 そして、彼女のそこが、僕のペニスを、まるで食いちぎらんばかりに締めつけた。
「んんンっ……!」
 強くなった摩擦感に、限界ギリギリだった僕の忍耐が、あっけなく決壊した。
 一瞬、視界が赤く染まり、そして真っ白になる。
「ああああああアーっ!」
 びゅるびゅるという僕の激しい射精を体内に感じ、舞川瑠実は、歓喜の声をあげていた。
 どくっ、どくっ、と僕のペニスが律動し、スペルマを迸らせるのに合わせるように、びくん、びくん、と体を痙攣させる。
 何度も何度も絶頂にさらされているのだろう。テーブルに突っ伏し、横向きになった舞川瑠実の顔には、痴呆じみた恍惚の表情が浮かんでいた。
 が、そんな表情でさえ、美しい。
 僕は、熱い精液を最後の一滴まで彼女の中に注ぎ込んでから、彼女の背中に覆い被さった。
「あぁ……」
 僕の体重を背中に感じ、舞川瑠実が、幸せそうな声を漏らす。
 そんな彼女の体に、やはりどうしようもなく溺れているのだということを、僕は、ぼんやりと自覚していた。



「ただいまーっ」
 舞川美玖が、元気な挨拶とともに帰ってきた。かなり際どいタイミングだ。
「お、おかえりなさい、美玖」
 ぐちょぐちょになったショーツと、僕がずらしてしまったブラを、今さっき脱衣籠に入れたばかりの舞川瑠実が、ややぎこちない笑顔で娘を出迎える。
 下着を着るヒマがなかったので、今、彼女は、ノーブラノーパンである。
「ママ、どうしたの?」
 と、舞川美玖は、母親の顔を見つめた。
「え?」
「お化粧してるの? いつもと、なんだか違うんだけど……」
「そ、そんなコト、ないけど」
 嘘が苦手な性格なのか、舞川瑠実は、ひどくうろたえている。
「やあ、美玖ちゃん、お邪魔してるよ」
 僕は、キッチンから玄関に出て、彼女に助け舟を出した。
「あ、先生、こんにちは♪」
 舞川美玖が、弾んだ声をあげる。
「あのね、先生、美玖、学校のテストで100点とったよ!」
「えーと、それは、100点満点で?」
 僕は、思わずそう訊いてしまった。まだ、この文化圏の習慣を憶えきれてないのだ。
「当たり前だよー。学校のテストは、みんなそうだよォ」
 そう言って、舞川美玖はころころと笑った。
 そして、不意打ちのように、ぎゅっ、と僕の腕に抱きつく。
「先生のおかげだよ♪」
 その豊かな胸を僕の腕に押しつけながら言い、そして、ちら、と母親の方に視線をやる。
 舞川瑠実は、何とも複雑な表情で、その視線を受けとめたのだった。



《アイキャッチ》


《CM》



《アイキャッチ》



「ね、先生」
 ひとしきり、自分が満点を取ったテストについて話してから、舞川美玖は何気なさそうに話しかけてきた。
「ん、何?」
 手に持ったテスト用紙から顔を上げ、僕は訊く。
「ママのこと、どう思う?」
「どうって?」
「だからあ、その――何て言ったらいいのかなあ」
 意味もなくシャープペンシルをいじくりながら、舞川美玖は、言葉を探す。
「えーっとね、女として、ミリョク的だと思う?」
 そして、どこで憶えたのか、物凄くストレートな言い方をした。
「んー……綺麗な人だと、思うよ」
 僕が、わざと曖昧な口調で言うと、舞川美玖は不満そうに眉を寄せる。
 と、何かを決心したかのように、すっくと立ちあがり、イスに座った僕に歩み寄った。
「先生、キスして」
 まるで怒ったような顔で、舞川美玖が言う。
 僕は、イスに座ったまま、彼女の肩を抱き寄せ、ちゅ、と唇を触れ合わせた。
「もっと……もっと、して……」
 そうおねだりするピンク色の唇に、ちゅっ、ちゅっ、とついばむようなキスをする。
 唇の表面がくすぐったいだけの、焦らすような口付けだ。
 突然、舞川美玖は、意を決したように僕の首に腕を回し、ちゅーっ、と唇を吸い上げた。
 ちゅぽん、と滑稽なくらい大きな音がして、僕と彼女の唇が離れる。
「美玖ちゃん?」
 そう呼びかける僕の胸に、舞川美玖の小さな体が飛びこんできた。
「抱いて、先生……セックスして……」
 きゅっ、と僕のシャツを握り締めながら、舞川美玖が言う。
「でも、下にお母さんがいるよ?」
 たしなめるように、僕は言う。初体験の日は別として、これまで、舞川瑠実が家にいる日は、なるべく本格的な行為は避けていたのだ。
 もちろん、舞川瑠実は全てを知っている。舞川美玖に余計な不審を抱かせないための方便である。
「ママに見られたって、いいもん」
 舞川美玖は、僕の胸元に顔をうずめたまま、拗ねたような口調で言った。
「美玖ちゃん……」
「だって……だってママ、先生のことが好きなんだよ? わかんない?」
「……」
 それは、違う。舞川瑠実は、僕に洗脳された挙句、快楽の虜になっているに過ぎない。
 だから、それは違う――はずだ。
「顔見ればわかるもん。ママ、すごく色っぽい顔してた」
 そう言いながら、舞川美玖は、すりすりと僕に体を摺り寄せる。
「あたし……あたし、まだ子供だから……でも……」
 隠しようのない不安を声ににじませながら、舞川美玖は、僕の顔を、上目遣いで見つめた。
 その半開きの唇に、唇を重ねる。
「ン……」
 舌で唇をくすぐり、歯をなぞると、舞川美玖は、おずおずと舌を差し出してきた。
「ん、ンン……んぅ……ン……んっ……」
 舌先と舌先を触れ合わせ、くるくると互いに回すようにして、刺激する。
 そうしてから、僕は、上を向かせた舞川美玖の唇に、とろとろと唾液を注ぎこんでいった。
「んッ……!」
 舞川美玖が、驚いたように、目を見開く。
 が、すぐに僕の意図を察したのか、こくん、こくん、と小さく喉を鳴らし始めた。
 唇を離すと、一筋の唾液が、僕と彼女の口元をつないだ。
「せんせえ……」
 舞川美玖の褐色の大きな瞳が、涙で潤んでいる。
「せんせえ……美玖に、もっともっと、すごいことして……」
 その言葉に、僕は、口元にかすかな笑みを浮かべ、肯いた。

 舞川美玖を全裸にして、ベッドに横たえた。
 何度見ても、その大きな胸に、目が行ってしまう。
 その視線を感じたのか、舞川美玖は、両手で胸元を隠そうとした。
 もちろん、その小さな手では、彼女の巨乳は隠しようがない。
 それでも、その可憐な乳首を僕の目に触れさせまいとする両手を、そっと外す。
 そして、両手首を合わせて、たまたましていたネクタイをくるりと巻きつけた。
「し、しばるの?」
 舞川美玖は、不安そうな声をあげた。
「うん。最初は、手だけね」
「え――えすえむ、って言うんでしょ、こういうの」
 精一杯に背伸びした感じで、舞川美玖が言う。
「よく知ってるね」
 そう言いながら、僕は、舞川美玖の両手を戒めたネクタイを、ゆるく結んだ。
「あ……」
 両手を上に上げた姿勢になって、体をうまく隠すことのできなくなった舞川美玖が、シーツの上で、くねくねと体をよじらせる。
「なんか、こわい……こわいよ……」
 ささやかな拘束を完成させ、まだ身にまとっていたシャツとスラックスを脱ぐ僕に、舞川美玖が言った。
「がまんできない?」
 僕は、舞川美玖の大きな瞳を覗きこむようにして、訊いた。
「がまんできなくなったら、ストップって言うんだよ。そうしたら、やめてあげる」
「……」
「でも、イヤとか、ダメとか言うだけじゃ、途中で止めたりしないからね」
「う、うん」
 こくん、と舞川美玖は肯いた。
「いいコだね」
 ちゅ、とその額にキスをしながら、僕は言う。
「大丈夫。ひどくしたりなんかしないよ」
 そう言いながら、僕は、舞川美玖の体に覆い被さり、右の手の平を、左の乳房に重ねた。
 ゆるゆると揉んでいくと、その頂点で、ピンク色の乳首が次第に尖っていく。
「んっ……」
 はしたない声が出そうになるのを、舞川美玖が噛み殺す。
 僕は、いつもよりじっくりと時間をかけながら、彼女の双乳を愛撫した。
「あ、んんン……は、あぁン……」
 舞川美玖の小さな体が快楽に悶え、シーツの上で踊る。
 その首筋に唇を這わせ、鎖骨を舌でなぞってから、乳房に口付けた。
 はむ、はむ、と柔らかなおっぱいに、唇だけで噛みつくようにする。
「あは、あ、ああぁ〜ン」
 くすぐったいのか、もどかしいのか、舞川美玖は、さらなる刺激を求めるように、体を反らした。
 彼女の背中に腕を回し、かぷ、と乳首を咥える。
「ひゃうン!」
 軽く歯を立てると、舞川美玖は、びっくりするくらい大きな声をあげた。
 堅くしこった乳首を、歯と舌先で、こりこりと刺激する。
「あ、あああン! せんせえ、それ、ダメえ〜っ!」
 くねくねと体をくねらせながら、舞川美玖が言う。が、最初の宣言通り、僕は愛撫を緩めたりしない。
 それどころか、彼女が痛みを感じるくらい強く吸引し、血がにじむくらいに強く歯を立てる。
「あッ! イヤあ! あン! いた! ン、あああああっ!」
 腕の中で、舞川美玖の体が、まるで釣り上げられた魚のように跳ねる。
 その、ぴちぴちとした動きが、何とも気持ちいい。
 僕は、ひとしきり両方の乳首を嬲ってから、今度はねっとりと舌で舐めしゃぶった。
「あ、はあぁ、あぁ……ン」
 敏感になった個所への優しい愛撫に、舞川美玖は、他愛無く声をとろけさせる。
 しどけなく開かれた口元にキスをすると、彼女は、積極的に僕の舌に舌をからめ、ちゅうちゅうと吸い上げた。
 僕の唾液に濡れ、いつもより大きく突き出た感じの乳首を、指先ではじくようにすると、その度に、ぴくん、ぴくんと体を震わせる。
「ふぁン……今日のせんせえ、やりかたがイジワルだよぉ……」
 唇を離すと、目にうっすらと涙を浮かべながら、舞川美玖がいった。
「だって、これってSMだもん」
 僕は、そう言いながら、彼女の股間に右手を差し入れた。
「美玖ちゃんだって感じてるんでしょ? 太ももまでびしょびしょだよ」
「し、知らないっ!」
 ぷい、と舞川美玖が、視線を逸らした。
 が、僕は別に大げさに言ったつもりはない。彼女のそこは、自らが分泌した愛液にまみれ、シーツにしみを作ってしまうほどになっていた。
「ふーん」
 僕は、彼女の細い脚の間に身を置いた。
「きゃああ!」
 がばっ、と膝を押さえて開脚すると、さすがに舞川美玖は悲鳴をあげた。
「ヤ、ヤダあ! イヤあン!」
 反射的に手で股間を隠そうとするが、そうはさせない。
「ほら、濡れてるでしょ」
 僕は、まるで乳児のおしめを替えてやるような感じで、舞川美玖のお尻を持ち上げた。
「や、やあ、イヤあっ!」
 自分自身のはしたなさを見せ付けられ、舞川美玖がかぶりをふる。
 僕は、たっぷりと蜜をたたえたその部分に、ちゅうっ、と口付けした。
 そして、たまった蜜を外にかき出すように、舌を蠢かせる。
 僕の唾液と交じり合った愛液が、とろとろと、舞川美玖のお腹の方にこぼれおちる。
「あぁ……やぁ……やあぁン……」
 顔を背けていても、雫が肌を伝うのは感じるのだろう。舞川美玖は、恥ずかしそうな声をあげ続ける。
 が、その声は、どこか淫らな喜びに震えているようにも感じられた。
「もう……もうダメ……せんせえ、許して……」
 そう、訴えかけながらも、わざとなのか無意識なのか、最初に教えたセーフワードを口にはしない。
 僕は、たっぷりと少女のその部分の味を愉しんでから、彼女のお尻の位置を元に戻した。
 そして、濡れそぼるクレヴァスに、ペニスの先端を当てる。
「あぁ……」
 僕のペニスの熱さを靡粘膜で感じたのか、舞川美玖は、ひどく悩ましいため息をついた。
 僕は、わざと狙いを外して、腰を前に動かした。
「あうン!」
 ずるん、とペニスの裏側が、クレヴァスをこする。
 僕は、そのまま腰を使い、ずりずりとシャフトで彼女の秘裂を刺激した。
「あ、ああ、あぅ、ううぅン……」
 舞川美玖が、もどかしげに、腰を揺する。
 だが、もちろん、僕は焦らすのを止めない。
「や、やあぁ……せんせえェ……っ!」
 舞川美玖が、悲鳴のような声をあげた。
「おねがぁい、せんせえ……美玖、せつない……アソコがせつないよォ……」
 縛られた手を胸元でぎゅっと握りながら、舞川美玖が訴えかける。
「どうしてほしいの?」
「せ、せんせえのアレ、ほしい……美玖のアソコに、入れてほしいの……」
「……美玖ちゃん」
 僕は、真正面から、舞川美玖の顔を見つめ、言った。
「だったら美玖ちゃん、僕の奴隷になるかい?」
「ド、ドレイ……?」
 舞川美玖が、その大きな目を見開く。
「そうだよ。縛られて、アソコをびちょびちょにして、その上そんな恥ずかしいおねだりをするなんて、そういうのは奴隷って言うんだよ」
「美玖……どれいになるの……?」
「うん。僕の奴隷になるって誓うなら、これから、もっともっとエッチなことを、してあげるよ」
「先生の……ドレイ……」
 はぁ、はぁ、と短い喘ぎを繰り返しながら、舞川美玖は、僕の顔と、そして愛液と腺液にまみれたペニスを、交互に見つめた。
「なりたい……なりたいよ……美玖、先生のドレイになりたい……」
 舞川美玖は、意外なほどはっきりとした口調で、そう言った。
 ぞくりと、電流のような快感が、僕の背中を駆け上る。
「いいコだね、美玖ちゃん」
 そう言って、僕は、彼女の体を半ば持ち上げ、くるりと横向きに引っくり返した。
「キャッ!」
 そして、うつぶせにした舞川美玖のお尻を持ち上げてから、一気に、ペニスを膣内に挿入する。
「っあああああああン!」
 ほとんど何も分からないうちにバックで犯される形になった舞川美玖が、高い声をあげた。
 僕は、容赦することなく、ぐいぐいとペニスを動かす。
「あアっ! あアっ! あアっ! あアっ!」
 僕がペニスで一突きするごとに、舞川美玖は悲鳴をあげた。
 その、どうかすると逃げるような動きを見せる腰を押さえつけ、ぐいぐいと強い動きを送り込む。
「あ、あああッ! イヤあ! こんなの、ヤああっ!」
 手首のところで戒められた腕と腕の間に額を押し付けるような姿勢で、舞川美玖が叫ぶ。
 だが、僕は腰の動きを止めようとしない。
 小さな膣口を出入りする僕のシャフトが、愛液にまみれ、ぬるぬるになる。
 まるで、ぎゅっと手で握られているようなきつい締め付けを感じながら、僕は抽送を続けた。
「イヤ……イヤぁ……こわい……せんせえの顔、見えないよお……っ!」
 明らかに快楽でその身を震わせながら、舞川美玖が言う。
「本当に止めてほしい時は、どう言うんだっけ?」
 僕は、嬲るような口調でそう言いながら、彼女の膣内を撹拌するかのように、腰をグラインドさせた。
「ひああああああッ!」
 舞川美玖の高い声に、脳が痺れる。
「ダメ……ああン、あッ! ダ、ダメ……イヤあ……ダメなのォ……!」
「本当は、やめてほしくなんかないんでしょ?」
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメぇ……!」
 いくらそう言っても、僕が止めようとはしないことを知ってか、舞川美玖は壊れた機械のようにそう繰り返す。
 明らかな拒否の言葉を聞きながら、僕は、彼女の小さな体を獣の姿勢で犯し続けた。
 今まで感じていたのとは比べ物にならないような暗い悦楽が、僕の思考を支配していく。
 それは、舞川美玖も同じようだった。
「せんせえ……せんせえ……せんせえぇ……ッ!」
 いつしか、舞川美玖は、僕を拒む言葉を口にしなくなっていた。
「すごい……すごいよお……せんせえの、あたしのに、ぐんぐん入ってる……ずぼずぼ、してるのぉ……」
 それどころか、まるで熱に浮かされたように、卑猥な言葉を口走っている。
 どうやら、頭をシーツに押しつけるような格好で、自分の股間を見つめているらしい。
「見える……見えるの……あたし、せんせえにセックスされて……お汁、だらだらこぼしてる……もう、もう止まんないよォ……っ!」
 僕は、高まる興奮に奥歯を噛み締めながら、腰の動きを激しくした。
「ひああああああッ!」
 舞川美玖の体をベッドに押さえつけ、反り返ったペニスで膣の上側をこするようにする。
「ああああアッ! イク! イっちゃうの! イク、イクーっ!」
 僕の動きに合わせて彼女の巨乳が前後に揺れ、シーツと乳首がこすれ合う。
「イクうううううううううーッ!」
 きゅううっ、と背中を弓なりに反らせて、舞川美玖は絶頂を迎えた。
 一瞬遅れて、その幼い胎内に、大量の白濁液を、すごい勢いで注ぎ込む。
「あッ、あーッ……出てる……せんせえのオチンチン……ミルク、出してるぅ……」
 ひくん、ひくん、と背中を震わせながら、舞川美玖が、そんなことを言った。
 そして、体重を支えきれなくなったかのように、ずるりとベッドの上に倒れ伏す。
 それを追いかけるように、僕もベッドに横になり、そして、横臥した彼女の体を、背中からきゅっと抱きしめたのだった。



「おー、レニウス、きばっとっかあ?」
 基地で、僕を出迎えたオーグルの第一声が、これだった。
 その横で、ココナが、僕に助けを求めるような視線を送ってる。
 通称、“片目”のオーグルト。僕より一足先に士官学校を出た彼は、最初の赴任先で銀河帝国最大の危機と言われたヘドリアン戦役に巻き込まれ、凄まじい活躍をした後に、ひどい重傷を負った。
 しかし、今のオーグルトは、左の目に眼帯をしている以外は、外見上ちっとも不自然なところはない。身長2メートルに届かんとする巨体ではあるが、こいつはもともとこうだった。
「なんやその顔は。さっきっからこっちの別嬪さんもけったいな顔しちょるし、オイのどっか不自然け?」
 その、短く刈った――とは言え、もう伸びることはないのだが――金髪を太い指でごりごりと掻き回しながら、オーグルトが言う。
「その、言葉」
 僕は、軽い頭痛を覚えながら、とりあえずネクタイを緩めた。
「あのなあ、どこの会社の翻訳チップ使ってるんだよ? それとも調整不足か? はっきり言って、ムチャクチャだぞ」
「何や、そげんこち。男がこまきゃあコトがたがた言うたんなや」
 オーグルトが、逞しい、それでいながらどこか甘さを残した、昔のままの顔をしかめる。
「全然細かいことじゃない! そんなんで諜報活動始めたら一発で不審に思われるぞ!」
「しぇからしかこと言うにゃあ、きさんはあ」
 もはやどこの方言が混じってるのか、それとも全くの独自のものなのか、分析すらできないような言葉で、オーグルトは面倒くさそうに言った。
「オイの仕事はきさんのすっことを見守るだけじゃけん、そないに気ぃ使う事はないっしょや。まあ、せいぜい上役に報告しやすか侵略活動をしてほしいもんだべ」
「――」
 僕は、もはや言葉もない。
「それに――どうしても難しい話をしたければ、“国”の言葉を使えばいいだろう」
 と、いきなり、オーグルトは銀河標準語で話し出した。
 これは、明らかに侵略推進法施行規則違反だ。僕とココナは、ぎょっと顔を強張らせる。
「そないな顔すんなや。冗談じゃけえ」
 がはは、と豪快に笑って、オーグルトは、自分にあてがわれた部屋に引っ込んだ。
「……もともとああいう人なんですか?」
 しばらくしてから、ココナが、僕に尋ねた。
「いや、物事にこだわらない性格ではあったけど……」
 言いながら、僕は、銀河標準語を使ったときに見せたオーグルトの目の光を思い出した。
 “片目”のオーグルト。
 あの戦役で超新星爆弾の爆発に巻き込まれたオーグルトは、何とか一命を取りとめたものの、その肉体のほとんどをサイバーウェアに換装されてしまった。元々の部分が残ってるのは、脳と右目のみだという話だ。
 それが、人の精神にどれほどの影を落とすのか……。
 とにかく、頭痛の種が増えたことだけは確かなようである。僕は、天を仰いで嘆息した。



《エンディング・テーマ》
『白い天使のうた』



《次回予告》
ここんとこ、巨乳小学生と巨乳未亡人の陵辱調教シーンが延々と続いてますね。
一応、コレって変身ヒロインものだし、まずくないですか? マスター。
てなわけで久々に竜機兵出撃ですけど、やっぱやられちゃうんですよねー……
って、あれ? けっこういい勝負?
 次回、『調教! 性奴隷娘』。“せいどれいむすめ”って読んでくださいね。



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