妻を、犯す。



第六章



「宮倉君」
 久しぶりに会社で仕事をしていると、不意に、廊下でそう呼び止められた。
 一瞬の間の後、それが自分の名前であることを思い出し、声の方を向く。
 そこには、仏頂面の浦部部長が立っていた。
「はい、何か?」
「いや、最近、なかなか業績を上げているようだね」
 そう言う部長の顔は、とても人を褒める時のそれではない。
 とは言え、部長の言葉は、厭味や皮肉ではなく、紛れも無い事実だ。羽黒の幅広いコネを使うことで、私は大いに営業成績を伸ばしていたのだ。
「恐縮です」
「ああ……しかしだね、そのう……少し、勤務態度の面で、どうかという声があるんだがね」
 煮え切らない口調で、部長が言う。
「それは、もしかして休暇の取り方の件ですか?」
「あ、ああ、うん、有り体に言えばそうだ」
 私は、内心苦笑いした。実際のところ、私は、ことあるごとに有給を取り、羽黒となって妻を呼び出しては、その魅力的な体を弄んでいる。
「それなりの実績を上げてる以上、とやかく言うことはないと思うんだが、その、何だ、若い連中に対する示しというものもあってね……」
 部長が、特有のねちっこい口調で、愚にもつかないことを言い始める。
 こうなると、下手に遮るのは逆効果だ。私は、おとなしく部長の無内容な説教を聞くことにした。
 こうしている間にも、貴重な時間が刻一刻と失われているというのに――忌ま忌ましいことだ。
「――そう、私は思うんだがね。どうかな、宮倉君」
「ええ、おっしゃる通りです」
 下らない。下らない。下らない。この男は、いったい何を言っているんだ。
 恐らく部長は、着実に社内での評判を上げつつある私を牽制するために、こんな話をしているのだろう。
 いや、単に、今でも私が自分より格下であるということを再確認したいだけなのかもしれない。
 ただそれだけのことで、この私の時間を奪うとは――私は、無表情を装いつつも、次第に怒りを覚え始めていた。
 しかし、浦部部長は、私の上司には違いない。宮倉皓一としての生活を破綻させないためにも、表面上はおとなしくしていざるをえない。
「――とまあ、そういうわけだ。君も、じゅうぶん注意するように」
「はい。ご忠告ありがとうございます」
 およそ三十分は時間を浪費しただろうか。ようやく部長の小言は終わった。
「ああ、それから、先週に君が受注した例の件だがね、役員会に報告する時は私からも説明するから、資料を作っておいてくれないか?」
 まるでついでのように、部長が言葉を続ける。
「部長も、ですか?」
「ああ。私の口添えがあった方が、役員連中たちも納得するだろうからね」
 何が納得だ――もう、役員たちへの根回しはとっくに終わってる。この段階になって尻馬に乗ろうというのか?
 しかし、驚くには当たらない。部長が我々の手柄を乗っ取り、さも自分の成果であるように喧伝するのは、今に始まったことではないのだ。
 そういった社内工作にかけては、部長は抜け目がない。だからこそ、今の地位があるのだろうが――
「じゃあ、よろしく頼むよ」
 気持ち悪いにやけ顔で私の肩を叩き、部長が廊下の角へと姿を消す。
 私は、部長の触れた右肩を手で払い、事務所へと戻った。



「宮倉さん、外回りじゃなかったんですか?」
 事務所でパソコンのキーボードを叩く私に、浦部琴音が声をかけてきた。
「ああ、急いで片付けなくちゃいけない件ができてね」
 まさか、君の父親の我がままが原因だとは、さすがに言えない。
「大変ですね。あ、お茶、淹れ直しますね」
「ああ、悪いね」
 浦部琴音が、私の茶碗を持って給湯室へ向かう。
 その後ろ姿の、いかにも清楚な佇まいを見つめながら――私は、しばし物思いに耽った。
 浦部琴音は、あの浦部部長の娘とは思えないほどに、よくできた娘だ。明るく、誰にでも優しく、そして、容姿も申し分なく美しい。
 だからこそ――あの浦部部長の唯一の泣き所なのだ。
 私が、羽黒の立場を利用して、宮倉皓一としての地位を固める際に、浦部部長は、大きな障害となる。
 いや、そうでなくとも……浦部琴音が美しい女だというだけで、理由は充分なのではないか……?
 私は、自らの考えにいささか興奮しながら、ある一つの決意を固めた。



「ああ、乾さんか? 俺だ。羽黒だよ……ああ、すまなかったな。こっちにも色々あってな。それより、一つ仕事を頼みたいんだよ……相手はカタギなんで、ちょっと手間を食うかもしれないが、その分、金は弾むよ……ああ、そうだ。それは問題ない……俺の見立てだが、素材としてはなかなか申し分ないと思うぜ。近頃じゃ珍しい箱入り娘だよ。そういうのが好きなスケベ爺さんはたくさんいるだろう? ああ……ああ……結城? 腕は確かなのか? ああ……そうだな……あんたが保証してくれるなら問題ない。じゃあ、よろしく頼むぜ……」



 すでに私は、羽黒玄滋としての役割も、申し分なくこなすようになっていた。
 羽黒のしていた、イリーガルな仕事――その大半を私は引き継ぎ、そつなくこなしていた。
 羽黒の人生を奪って以来、これまで、特に大きな問題はなかった。それどころか、前よりも仕事上の評判は上がったくらいだ。羽黒が、いかにいい加減にビジネスに臨んでいたかが分かる。
 意外なことに、羽黒がしていた様々な汚いことに、私は、さしたる嫌悪感も覚えなかった。
 もともと私は、臆病なだけで、根は単なる悪党だったのかもしれない。
 それとも、男は――いや、人間は、その機会さえあれば悪を働くようにできているのかもしれない、とも思う。
 羽黒として悪事を働くことは、楽しかった。
 そして、そのうちでも最大の楽しみは――妻を犯すことだった。



 羽黒は、都内にマンションを持っていた。
 今、私は、そのマンションの中に、香織を連れ込んでいる。もちろん、羽黒玄滋として、だ。
 拘束ための金具や、吊り下げるための滑車、そして、痴態を映し出すための鏡やAVセット――遮光カーテンによって日の光が遮られた薄暗い部屋の中には、女を辱めるための様々な仕掛けがある。
 そして、私は、宮倉皓一の肉体を、部屋のクローゼットの中に押し込んでいた。
 自分自身の体のすぐ近くで、妻を凌辱している、という意識が、私をいやがうえにも興奮させるのだ。
 妻は、私の命令で、扇情的なボンデージスタイルに着替えている。
 それは、一言で言うなら、黒い革製のコルセットじみた衣装だった。
 胸元から腰までを覆いながら、それは、乳房と股間を隠す事なく、それどころか強調さえしていた。
 その細く白い首には、大形犬にするようなごつい首輪が嵌まり、形のいい脚は、ヒールの高いブーツに包まれている。もちろん、両方とも黒の革製だ。
 光沢のある漆黒が、香織の肌の白さを際立たせている。
 そのような格好で、香織は、仁王立ちになった私の後ろに回り込み、ひざまずいて尻の間に舌を差し込んでいた。
 彼女の膣内には卵形のローターが、収まり、その成熟した性感を刺激し続けているはずである。
「ちゅっ、ちゅぶぶ、ちゅぷ……レロレロ……あふっ、んふぅ……ちゅぶぶっ……はぁはぁ……ちゅぷ、ちゅぶぶ、んちゅっ……」
 妻の舌先が、私の肛門をくすぐり、倒錯的な快楽を紡ぐ。
 そして、その両手は、私の腰を抱くようにして、ペニスを扱いていた。
「今、どんな気分だ、香織……」
 私は、ゾクゾクするような快感に脚が萎えそうになるのをこらえながら、訊いた。
 香織が、その黒目がちな瞳を、部屋の壁にかかった大きな姿見にちらりと向ける。
「ううっ……みじめ……みじめです……あぁ……私、どうしてこんなことに……」
 震える声でそう言ってから、香織が、舌による愛撫を再開させる。
 その指は、私が漏らした腺液にまみれながら、肉竿を扱き、絶頂へと導こうとしていた。
「っ……」
 ある程度まで追い込まれたところで、私は、右手に持ったリモコンを操作し、ローターの振動を強めた。
「ちゅぶぶっ……んっ! んうっ! あっあっあっ! ダ、ダメぇ……っ!」
 妻が、声を上げながら、ヒクヒクと体を震わせる。
 その両手はペニスから離され、私の腰を抱くような格好になっている。
「あううっ……イヤ、イヤぁ……あ、ああっ……イキそう……イキそうですっ……ああん、イっちゃうっ!」
 香織が、絶頂が近いことを告げる。イクときは必ずそう言うように、いままでじっくりと躾をしてきたのだ。
 私は、頃合いを見計らい、ローターの振動を止めた。
「あ、あううっ……あふ、あふ……ううっ……あああぁぁぁ……」
 イキそこねた香織が、情けない声をあげる。
「奉仕をしている時は、俺より先にイクんじゃねえ……」
「ううっ……わ……分かり、ました……」
 香織は、屈辱の涙を目尻に浮かべながら、再び私の肛門に口を寄せ、指を肉幹に絡めた。
「ちゅぶ、ちゅぶっ……んふっ、んふ、んふぅん……ちゅぶ、ちゅむむむ、れろ……んちゅっ、ちゅむっ、ちゅぶぶ……ちゅっ、ちゅちゅっ、ちゅぶぶ……」
 舌を肛門の奥に差し込み、グネグネと動かしながら、男根を激しく扱き、陰嚢を優しく揉む。
「んむっ、んむむっ……ちゅぶ、ちゅぶぶっ……レロレロ……ちゅぷ、ちゅむむむ……んふっ、んふぅ……ちゅぶちゅぶ……んふっ、ふんふん……ちゅぶぶ……んふぅ〜ん」
 香織が、まるで媚びるように甘く鼻を鳴らし、私の下半身に奉仕し続ける。
 私は、ローターの振動に緩急をつけて彼女の性感をコントロールしながら、高まる官能を堪能した。
「ちゅぶ、ちゅぶぶぅ……レロレロ……はぁ、はぁ……あむっ、ちゅぷぷっ……あうっ、お願い……早くイって……イってください……ちゅぶ、ちゅぶぶぶっ、ちゅぷ、んちゅうぅ……」
 香織の唇が肛門を吸い、指先が亀頭を磨くように撫で回す。
 射精欲求が、とうとう限界を迎えた。
「くっ……!」
 ビュッ! ビュッ! と激しい勢いで白濁液が迸る。
 いつもなら、ご褒美とばかりに振動をMAXにしてやるのだが、私は、敢えてローターを止めてしまった。
「ぷはっ……あ、ああぁっ……どうして……?」
 振り返ると、香織が、瞳を潤ませながら、私の顔を見つめた。
「どうした、イキたかったのか?」
「ううっ……そ……そんなことありません……」
 私は、ニヤニヤと笑いながら、肉棒の先端を香織の目の前に突き付けた。
「綺麗にしろ」
「う、ううっ……はい……」
 小さな声で返事をして、香織が、ペニスに付着した精液を丁寧に舐め取る。
 妻の舌使いに、肉棒は、萎える間もなく勃起を回復させた。
「んっ……ちゅぶぶっ、れる……ちゅぱ……ハァハァ……んふぅ……」
 妻が、どこか物欲しげな目で、そそり立つペニスを見つめる。
「よし、いいぞ……次は、床に落ちたザーメンを舐めるんだ」
「は……はい……」
 香織は、四つん這いになって、フローリングの床にこぼれた精液を、舌で舐め取り始めた。
 高く掲げられたヒップが、まるで誘うように小さく左右に揺れている。
 私は、香織が全てを舐め取ったことを確認してから、その体を座らせた。
 そして、後ろ手に革手錠を嵌める。
「あううっ……い、いやぁ……」
 言葉では否定するが、香織の抵抗は弱々しい。
 私は、彼女の脚をMの字に開き、ブーツと首輪を鎖でつなぎ、ポーズを固定した。
「ああっ、こ、こんな格好……恥ずかしい……」
 羞恥に頬を染める香織に、三脚の上のビデオカメラを向ける。
 そして、私は、妻の乳首やクリトリスに、絆創膏でべたべたとローターを貼り付けた。
「い、いやっ……! やめて! やめてえっ!」
 香織が、拘束された体を悶えさせる。
 ガチガチと金具の鳴る音を聞きながら、私は、ローターのスイッチを次々と入れた。
「ひうっ! う、ううっ、うく……あ、ああっ……や、やめ……あふ、ひっ、んひっ! くひいっ……!」
 一度は静まっていた性感が、香織の熟れた体の中で再び高まっていく。
 その秘唇からはトロトロと愛液が溢れ、会陰を伝ってセピア色のアヌスまでも濡らしていた。
「あっ、ああぁっ、い、いや、いやぁ〜! あひっ、あひいっ! 許して……あうっ、んくうううっ!」
 私の足元で、香織が、クネクネと体をくねらせた。
 内部にローターを収めた膣口が、挿入を請うように、パクパクと浅ましく開閉している。
「ひっ、んひいっ! あ、ダメ、ダメぇ……イ、イキそうっ……! あ、ああっ、あっ……イ、イクうっ……!」
 香織が絶頂を極める寸前で、私は、ローターを止めた。
「あっ、ああううっ……うく……んひぃ……はひいいぃぃぃ……」
 唇の端からだらしなく涎を垂らしながら、香織が、ヒクヒクと体を震わせる。
 私は、左右の乳首に貼り付けられたローターだけ、振動を再開させた。
「あうっ! ん、んああっ……あふっ、あ、ああ、イヤあぁ〜っ!」
 まるで胸に電流でも流されたように、香織が身悶える。
「ああっ、あっ、あううっ……んひいっ……あうっ、あううっ、うく……んひいいぃン……!」
「ククク……胸だけでイキそうか?」
「あ、ああぁっ……それは……それはぁ……あ、ああぁ……あひ……あぁ〜ん!」
「正直に言え! ビデオを亭主に送りつけられたいか?」
「ああっ、ゆ、許して……あふっ、ひっ、んひいぃ……言います……言いますからぁ……あ、ああぁん!」
「で、どうなんだ?」
 私は、そう言いながら、乳首のローターの振動に強弱をつけ、妻を追い詰めていった。
「んひいっ、ひいいっ! あっあっ! イ、イキそうです……はひ、はひっ! 胸で……胸だけでイキそう……あうっ、あっ、あああああっ!」
 顔をさらに紅潮させながら、香織がそう告白する。
 私は、脳が煮えそうなほどの興奮を味わいながら、ローターを止めた。
「あっ、ああぁん……はふ、はふぅ……うっ、ううううぅぅぅ……そ、そんなぁ……」
「何を残念そうな声だしてるんだよ。やっぱりイキたかったのか?」
「うっ……それは……ああぁ……それはぁ……」
 まるで膜のかかったような瞳を私に向けながら、香織が口ごもる。
「イキたいんならそう言えよ。天国に連れてってやるぜ」
「う、ううっ……あぁ……わ、私……」
 香織が、切なげに眉をたわめ、唇を震わせる。
 だが、妻は、チラリと三脚の上のビデオカメラに視線をやってから、かぶりを振った。
「いや……いやです……イ、イキたくなんか、ないわっ……!」
「へっ、強情な女だな」
 私は、今度はクリトリスのローターを振動させた。
「んくうっ! うっ、うぐぐっ……うく……あ、あふぅ……うっ……んぐぐぐぐっ……!」
 香織が、唇を噛んで、必死に声が出るのをこらえる。
 もし、口を開いてしまえば、何を言ってしまうか分からない、とでも思っているのだろう。
「うっ、うううっ……んふっ、んふうっ……くっ、くううっ……う、ううっ、うぐぐぐぐぐ……」
 ぎゅっと目を閉じる香織の体内で、容赦なく快楽が高まっていく。
「んっ! んああああっ! ダメ、ダメダメダメっ! あっ! あああああ! イ、イク、イク、イクう!」
 拘束された体を弓なりに反らし、絶頂を迎えようとする香織。
 だが、私は、その寸前でローターのスイッチを切った。
「ひううっ……うあっ、うああぁぁ……ひどい……はぁはぁ、ひどいぃ……」
 カクカクと腰を動かしながら、香織が涙混じりの声を上げる。
「何がひどいって? オマエ、イキたくないんだろう?」
「そ、それは……あっ、あうっ、んあああっ!」
 ローターのスイッチを一斉にオンにし、香織の体に無理やり快楽を与える。
「あひぃ、あひいいぃ……いやぁ……こんなのいやよぉ! あううっ……あっ、あううンっ、あひ……もう許してぇ〜!」
「オラ、香織っ! オマエ、イキたいのか、イキたくないのか、どっちなんだよ!」
 その上体を起こし、涙に濡れた顔を覗き込みながら、そう尋ねる。
「あ、あああ……それは……あっ、あううっ、ううぅ……ひっ、んひいっ……あああぁぁ……あぁん、あぁ〜っ!」
 妻が、口を半開きにして、甘い喘ぎ声を上げる。
 私は、その唇に、強く唇を押し付けた。
「んむっ、ちゅ、ちゅぶぶっ……ぷはあっ……ちゅむ、ちゅぶぶっ……はふ……あうっ、んふうっ……ちゅぶぶぶ……」
 絶頂に至るまでの快楽の足しにしようとでもするように、香織の方から、積極的にキスをしてくる。
「ちゅっ、ちゅぶぶっ……んふ、んふ〜ん……ちゅむむむ……ふんふんっ……ちゅっ、ちゅぶぶ……んふぅ……ンフン、ンフゥ〜」
 舌や唇を吸ってやると、香織は、嬉しげに鼻声を上げた。
 何度もキスを繰り返しながら、ローターで、妻の性感をジリジリと炙り続ける。
「ちゅぶぶぶっ……チュッ、チュッ……ぷはっ……ああぁ……ハァハァ……あぁ、ダメえぇ……私、ダメ……ダメになっちゃうぅ……あうっ、あうぅ〜ん」
「へへ……イキたいんだろ? 素直になれよ、香織……」
 私は、香織の肩を抱きながら、努めて優しくその頬や髪を撫でてやった。
「あううっ……私……私ぃ……あ、あん、あぁ〜ん」
 ぴゅっ、ぴゅっ、と妻の膣口から愛液が迸る。
「あああ……イキたい……イキたいの……あん、あぁん……イキたいですぅ……あっ、ああっ、あひぃ……」
「だったら、どうすればいいか分かってるな?」
「ああぁ……」
 甘い絶望に満ちた吐息をつきながら、香織が、ビデオカメラの方を向く。
 だが、その瞳は、どこにも焦点を合わせていない。
「ハァ、ハァ……あぁ、許して……あなた、許してぇ……私、もうダメなの……あっ、ああっ、あううんっ! もう、もうガマンできないぃ〜!」
 妻が、私の方に向き直る。
「お願い! お願いですっ! 入れてっ! チンポはめてえっ! 羽黒さんのチンポで、香織をイかせてくださいっ!」
「そんなにイキたいのか?」
「イキたい! イキたいのぉ……! ああぁん、早く、早くオマンコしてぇ! うううっ……お、おかしくなるぅ……気が狂っちゃうっ!」
「だったら、マンコの中のローターを出すんだ」
「ハ、ハイっ! んっ、んううっ、うぐ……ああああぁっ……!」
 香織が、喘ぎ声を上げながら膣肉に力を込める。手が使えない以上、こうするしかない。
 膣口が卑猥にまくれ上がり、愛液にまみれたローターが、ヌルリと外に出る。
「はぁっ、はぁっ……ああぁ、だ、出しました……お、お願い……入れて、チンポ入れてぇ……」
 妻が、ヒクヒクと靡肉を震わせながら、懇願する。
「よし、いいだろう……」
 私は、ふてぶてしいまでに反り返っているペニスの先端を香織の秘唇に当て、一気に腰を進ませた。
「あううううっ! おっ、おあああああ! イ、イクっ! イっちゃう、イっちゃううっ! イ、イ、イクうう〜っ!」
 肉棒を挿入されただけで、香織が呆気なく絶頂を極める。
「へへっ、もうイったのかよ」
「ああぁぁぁ……ハイ、ハイぃ……イキました……あ、ああっ、あひいいいぃ……」
「まだまだこれからだぜ」
 そう言って、妻の両膝に手をかけ、ピストンを開始する。
「あぐぐっ! うっ、うあああっ! はひ、はひいっ、は、激しいぃ……ああぁん! あひっ! あっひいいっ! イ、イクうううぅ〜!」
 またもや、香織の肉体が昇り詰める。
 蜜壷がビクビクと痙攣しているのを感じながら、私は、なおも抽送を続けた。
「んああああっ! す、すごいっ! すごいいいぃ〜! あああっ、は、はうううっ! オ、オ、オマンコこわれちゃううぅ〜!」
「はぁはぁ……イかせまくってやるぜ……!」
「あううっ、あひ、あひいぃ! ひーっ、ひぃーっ! ンああああああ! イ、イグうっ! イッ、イイッ、イッグううううぅ〜っ!」
 香織が、全身を震わせながら立て続けに絶頂に達する。
「あううっ、す、すごいのぉ……あっ、あっ、あっ! オチンポ、オチンポ奥まで来てるうっ! うああっ、あっ、あああああ! 子宮にガンガン来てるのぉ! あへっ、あへえぇ〜!」
「ここか? ここがいいのかっ!?」
 堅く強張ったペニスの先端で、コリコリとした子宮口を何度も何度も小突く。
「ヒイイイィ〜! イイですう! イイですうっ! あああああ! ま、またイっちゃううっ! おっ、おおおうっ! イグう! イグう! わ、私ぃ……うぐっ! あぐううっ! イっ、イイっ、イグ! イグ! イグううううううう!」
 妻の肉壷が激しく収縮し、射精を催促するように、シャフトをグイグイと締め上げる。
 腰の奥から射精欲求が込み上げ、ペニスをさらに膨張させる。
「うあああっ! オ、オチンポ、また大きくなってぇ……あうっ! うっ、うはぁ……すごいぃ……チンポすごすぎるのぉ〜! あぁん! あん! あんあんあぁんっ! ひぃん、ひっ、ひいっ、あひぃ〜ん!」
「出すぞ……中にブチ撒けてやる!」
「あうっ、あひ、あひいっ! あっ、あっ、な、中は……中はダメぇ……あうっ、あううううっ!」
 私の言葉にかすかに理性を取り戻し、香織がその体をよじる。
「今さら何言ってやがる。これまでさんざん中出ししてやったの忘れたのかよ」
「あううっ、でも……あぁん、でもでもっ……はひ、はひいぃ……! ああぁっ、許して……中は……中はぁ……あぁん、あひ、あひいっ!」
「中に出されて何度もイっただろうが! ほらっ、出してくださいって言え! 言えっ!」
 私は、妻の秘苑の腰を叩きつけるようにしながら、彼女を追い詰めていった。
「うああああ! あひ、あひいいぃ! あううぅ……だ、だ、出してぇ……中に……ああぁ、な、中に出してぇ……あああぁ〜ん!」
「へへっ、中出しでイキたいんだな? この淫売がっ!」
「あひいっ! そ、そうですうっ……! な、中に、精液ビューッって出されてぇ……イキたい! イキたいいぃ! ザーメンでイキたいですうっ! んひっ! はひいいっ! あああああ、奥に、奥にぃ、ざ、ザーメン出してえっ! あああああ! ビュービュー出して! 出して出してえぇ〜!」
 快楽に我を忘れ、妻が陵辱者に膣内射精をねだる。
 私は、子宮口にペニスの先端を食い込ませ、そのまま射精した。
「あああああああああああああああああああああああああ! イグ! イグっ! し、子宮っ! 子宮イグうっ! おおおっ! おおおおおおおおおぉ〜っ! イ、イギますううっ! うあああああ! イ、イ、イ、イグうううううううううううううううううううううううううううううううぅ〜!」
 ブブビュッ! ドビュッ! ドビュッ! ビュブブブブブブ!
 妻の子宮に、直接ザーメンを流し込む。
 妻は、全身をビクビクと痙攣させながら、繰り返し絶頂を極めた。
「ああぁっ……ああああああぁ〜……あひ、あひいいぃ……あああぁ……出てるぅ……あっ、あぁっ……出てる……し、子宮にぃ……はひいいいぃぃぃぃ……」
 舌を突き出した口からは涎が溢れ、その瞳は、完全に焦点を失っている。
 その、惚けたような妻の顔を見ているうちに、私は、すぐに勃起を回復させてしまった。



「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
 香織が、うつぶせの姿勢で、大きく息をついている。
 足の拘束は外しているが、両手の手錠はそのままだ。
 ペニスとバイブによって数え切れないほどの絶頂に舞い上げられ、妻は、精も根も尽き果ててる様子だ。
 実際、これまで何度か失神を繰り返している。
 そして、私の方も、さすがに打ち止めの状態だった。
「最後の仕上げだ……ケツを上げな」
「あうう……あ、あれをするつもりなのね……イヤ……あれはイヤぁ……」
「いいから上げろよ」
 ピシャッ、と妻の魅惑的なヒップを平手打ちする。
「あうっ!」
 度重なるアクメによって敏感になった体は、それだけで軽い絶頂を迎えてしまう。
「ほら、早くしろよ。早く家に戻らねえと亭主が帰ってきちまうぞ」
 そんなことを言いながら、ピシャピシャと妻の尻を叩く。
「あっ、あううっ……ハァ、ハァ……し、します……しますからぁ……も、もう、もう叩かないでぇ……」
 息も絶え絶えになりながら、香織が、頬を床につけたまま、尻を高く掲げる。
 その秘唇からは、私がたっぷりと流し込んだ精液が、ドロドロと逆流していた。
「へへ、物欲しそうにヒクヒクしてるぜ」
 そう言いながら、私は、香織の慎ましやかなアヌスに、漏れ出る精液を塗り込めた。
「や、やめてぇ……あっ、あううぅぅ〜ん」
 香織が、甘い声を上げながら、誘うようにヒップをくねらせる。
 私は、すでに用意していたその道具を、妻に見せ付けるように手に取った。
「あぁ……」
 香織が、マゾっぽい吐息をつきながら、私の持つものを見つめる。
 それは、シリンダー式の浣腸器だった。
「さあ、今日もこいつをブチ込んでやるぞ……」
「あううっ……許して……許してください……」
 妻が、声を震わせる。
 私は、構うことなく、浣腸器の先端を香織のアヌスに挿入した。
「うぐっ……!」
「さあ、入れるぞ……」
 私は、ゆっくりとピストンを押し込み、香織の直腸に薬液を注入した。
「いやっ、いやっ……あ、あああっ……あう……ああああぁぁぁぁ……」
 腸内に生温かな液体が満ちていく感覚に、香織が声を上げる。
 私は、全てを流し込んでから、浣腸器を抜いた。
「あ、あううっ、うぐ……う、ううっ、うあ……ああぁっ……」
 程なくして、妻が、苦しげな声を上げ始める。
「はっ、はっ、はっ……あぁ、つらい……つらいわ……うううっ……はひいぃん……」
 じっとりと汗をかきながら、香織が弱々しく身をよじる。
 だが、その声には、どこか甘い響きが混じっていた。
「へへ……とうとう、浣腸で感じるようになったか?」
「そ、そんな……そんなわけ……あっ、あうっ、うぐぐっ!」
 急激に便意が高まったのか、香織が、ひときわ声を高くする。
「ふっ、ふうっ、ふぅふぅ……んああっ……はぁー、はぁー……ああぁ……だめぇ……私、もう……もうっ……」
 手錠に戒められた両手を開閉させながら、香織が喘ぐ。
「あぁ……お願い……お願いですぅ……はっ、はっ……お、お、おトイレに……うぐぐっ! あ、あっ、あっ、ああっ! おトイレに行かせてぇ……!」
「駄目だ」
 私は、切羽詰った声を上げる香織の尻の下に、洗面器を置いた。
「さあ、ここに出しちまいな。見ててやるからよ」
「ううう……ひどい……ひどいわぁ……あ、ああっ、あぐっ……ぐぐぐっ……イヤ、イヤ……こんなのイヤよぉ……あぐぐぐぐぐっ!」
 ヒクッ、ヒクッ、と香織のアヌスが震える。
「あ、あう、あううっ……もうダメ、もうダメっ! やっ、やあぁっ! み、見ないで……あ、あああっ! あぐ……ひぃ、ひいぃ……で、出るっ……あ!」
 次の瞬間、激しい破裂音とともに、褐色の軟便が妻の肛門から迸った。
「イ、イヤああああああああー! イヤっ! イヤっ! 見ないでえええええぇ〜!」
 部屋に、妻の悲鳴が響き、猛烈な臭気が充満する。
「あ、ああああっ……あうっ……あ、あっ? ど、どうして、どうしてぇ……あうっ! あああん!」
 なおも排泄を続けながら、妻が、戸惑ったような声を上げる。
「う、嘘っ……そんな……そんなぁ……あっあっあっ! ダ、ダメ……ああああああっ! イ、イ、イクっ!」
 ぶばっ! とひときわ激しく大便を放ってから、香織は、ビクビクと体を震わせた。
「あ、あああぁぁ……んっ……あううぅン……おおおおお……ハァ、ハァ……あぁ……私……私ぃ……」
「へへへ……クソしながらイったのかよ。とんでもねえ女だな」
 私は、茫然とした表情の香織に、嘲笑を浴びせた。
「開発したかいがあったぜ……次は、ケツ穴にチンポはめてやるからな。楽しみにしてろよ」
「あ、ああぁ……あぅ……あ、ああぁ……あ……あ……ああぁ……」
 私の声が聞こえているのかいないのか、香織は、ぼんやりと宙の一点を見詰めていた。




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