妻を、犯す。



第二章



 その夜は、いつまでも寝付けなかった。
 あまりに色々なことが起こり、興奮しているというのもあるだろう。
 だが、そもそも、この私の体は――宮倉皓一の肉体は、昼の間、ずっと昏睡していたのだ。
 もはや、自分の体は、睡眠を求めていないのかもしれない。
 隣から、香織の寝息が聞こえる。
 香織は、あんなことがあったのに、平気で眠っているのか……?
 いや、もしかすると、彼女も、私と同じように、寝たふりをしているだけなのかもしれない。
 寝室の闇の中、ベッドの上で、私たち二人は、互いに秘密を抱えたまま、並んで横たわっている。
 香織は、結局、一言も羽黒のことを話さなかった。
 ことさらに普段どおりに――いや、普段よりも明るく、振る舞っていた。
 それは、話をすることで、静かな日常が壊れてしまうのを恐れてのことなのかもしれないが――
 ――アイツ、処女じゃなかっただろ? 香織のバージンはな、俺が、夏の合宿の時に美味しくいただいたんだよ。
 おぞましい羽黒の言葉が、耳の奥で蘇る。
 ――信じられねえか? だったら、証拠を見せてやってもいいんだぜ。秘蔵のビデオをきちんと取っといてるからな。
 羽黒は、いったいどんなビデオを持っているというんだ……?
 胸の奥で暗い炎が燃え、心臓をチリチリと焦げ付かせている。
 私は、妙に頭を冴えさせたまま、明日、何をすべきかということをじっと考え続けた……。



 その日は、出勤途中で会社に電話をかけ、有給を取った。
 今まで真面目に勤めていたため、有給はたっぷりと残っている。上司も、急に体調を崩したという私の言葉をあっさりと信じた。
 私は、そのまま羽黒興産の事務所に向かった。
 昨日、羽黒のズボンから失敬していた鍵で、事務所のドアを開ける。
 事務所の中は、案の定、まだ無人だった。
 私は、事務室を突っ切り、応接室を通って、寝室に向かった。
 もし、羽黒が目を覚ましていたら――
 寝室のドアに手をかけ、一瞬、ためらってしまう。
 だが、私は、そのままドアを開けた。
「…………」
 ベッドに、羽黒の長身が横たわっている。その服装は、昨日のままだ。
 私は、ベッドの側に歩み寄り、まずは羽黒の肩を揺すった。
 羽黒は、一向に起きる様子がない。
 なおも体を揺すぶり、しまいには、その顔に平手打ちをした。
 二度、三度、四度――いくら叩いても、羽黒は起きない。
 そのまま拳で殴りつけそうになり、途中で思い止どまった。
 間違いない……この体は、羽黒玄滋という男の抜け殻でしかないのだ。
 では、その魂はどこに行ったのか――そんなこと、知ったことではない。
 大事なのは、私が、またこの体を使うことができるかどうかということだ。
 私は、深呼吸をして心を落ち着かせ、羽黒の額に、自らの額を近づけた。
 こつん――



 突然、上下の感覚が反転する。
 気が付くと、私は、ベッドの上に横たわっていた。
「おお……」
 あまりにあっさりと事が成ったことに、声を上げてしまう。
 そして、私は、念のため、自分自身の体に戻ってみた。



 何度か、宮倉皓一と羽黒玄滋の体を往復した。
 移動には、何の障害もない。それどころか、繰り返すたびに、こつのようなものが分かり、簡単にできるようになった。
 額をぶつけるどころか、体のどこかを触れさせて念じるだけで、精神をもう片方の肉体に移すことができる。
 そして、私は、羽黒の肉体が、完全に自分の道具になり下がったことを確信した。
 多少、気味が悪くもあるが、考えてみれば、この男の人生を丸ごと奪ってしまったということでもある。こんなに愉快なことはない。
 羽黒の体に入り込んだまま、思わず高笑いしそうになった時――事務室の方で、人の気配がした。どうやら、羽黒の部下たちが出社してきたらしい。
 私は、しばし考えた後、そのまま事務室へと歩いて行った。
「あっ、お、お早うっス!」
「お早うっス!」
 事務室に入ると、昨日会った田辺と、他の数人が、座っていた椅子から立ち上がり、私に頭を下げた。
 さて、ここが芝居の打ち所だ――
「お前ら、順番に今日の予定を言え」
 私は、せいぜい強面を作りながら、田辺たちに言った。
「あ、はい……! その、今日のところは、普通に外回りっス」
「オ、オレもです!」
「オレは、そ、その、えっと……」
「馬鹿野郎っ! 自分の予定ぐらいきちんと把握しとけ!」
 私は、手近な椅子を蹴飛ばして、声を張り上げた。
「すいません! すいません!」
 よほど羽黒を恐れているのか、男たちが、滑稽なほどに狼狽しながら、頭を下げる。
 私は、そのまま居丈高に男たちに質問を繰り返し、この会社の情報を収集した。
 分かったことは、一つ――ここ数日、田辺たちが特にこの事務所の中でする仕事は無いということだった。
「よし……それじゃあ、今日のところは、もうここに戻ってこなくていいぞ」
「分かりました!」
「分かりました!」
 男たちが、直立不動で返事をする。
 羽黒の性格からして、部下に優しく接してるなどということは絶対に無いとは思っていたが――どうやら、犬猫なみの扱いをしていたらしい。
「ああ、それからな、田辺」
「は、はい!」
 そそくさと事務所から出て行こうとしていた田辺が、私の方に向き直る。
「昨日、宮倉に会ったそうだな」
「はい」
「俺は眠っちまってたようだが……失礼は無かったろうな?」
「も、もちろんっス!」
 田辺は、哀れなほどに体を堅くしている。
「あの……み、宮倉さんから、何か?」
「いや、そういうわけじゃねえ……ただ、ヤツは俺の大事な後輩なんでな。そのこと、くれぐれもよく覚えとけよ」
「分かりましたっ!」
「お前らもだぞ」
「はい!」
 田辺以外の全員が、声を揃える。
 そして、連中は、今度こそ事務所を出て行った。
 この後、今日の社長は機嫌が悪いとか、そういうことを言い合ってるかもしれないが、私としては知ったことではない。
 もし、何か重大な破綻が起きても、この羽黒の体を捨ててしまえばいいだけのことだ。
「さて、と……」
 私は、無人の事務室で一つ息をついてから、羽黒のものらしき大きな机の引き出しの鍵を解除し、開けた。
 もちろん、羽黒の仕事――いや、その生活全般について知るためである。



 昼食を挟み、夕方になるまで、羽黒がここで何をしていたのかを把握することに努めた。
 なかなか骨の折れる作業だったが、羽黒と再会してから日は浅いものの、多少は、奴と仕事上の付き合いをしていたことが、役に立った。
 それにしても――羽黒は、私の想像以上に、裏社会と深く関わっていたようだ。
 もちろん、短い時間で分かったことは、大まかな概略に過ぎないのだが、それでも、その内容は私を驚かせるのに充分だった。
 裏社会を構成する組織や団体と、世間一般とつなぐパイプ役――それが、この羽黒興産の役割らしい。
 私の時がそうだったように、怪しげな連中が普通の会社と契約をする時の窓口――というだけではない。
 表の社会を構成する人間たちのうちの、ごく一部――それも、セレブだの上流階級などという連中が、非合法な品を入手する際の口利きなども、していたらしい。
 資金洗浄、麻薬取引、はては人身売買まで――羽黒の手掛けている業種は様々であった。
 私は、それらに関するデータのコピーを取り、可能なものは全て手持ちのモバイルに移した。
 さて……あとは、羽黒個人のスケジュールだ。
 羽黒は、日記をつけるようなタイプの男ではない。それでも、手帳にあれこれと予定が書きこまれてある。
 引っ掛かったのは、これから先の約一カ月、羽黒が何もスケジュールを入れていないことだった。
 先の予定が立たなかったというわけではなさそうだ。事実、一カ月後からは、また様々なスケジュールが書き込まれている。
 不可解な、一カ月の空白――
 その初日――昨日の日付の場所に、“宮倉”とだけ、赤いボールペンで書きなぐられている。
 赤は、どうやら個人的な予定を示しているらしい。
 昨日、私に、香織を渡すように強要し、それから一カ月、羽黒はどういう日々を過ごすつもりだったのか――
 私は、かすかな目眩を覚え、羽黒の寝室へと引っ込んだ。
 かなり根を詰めていたせいか、目が疲れ、頭がぼんやりと疼いている。動悸もあった。
 私は、ふと思い立って、本来の自分の体の中に移動した。



 午前中ずっと眠らせていたせいか、私の体に戻ると、疲れは完全に消え去った。
 それでも、どういうわけか、動悸だけは治まっていない。
 いや、分かっている。この動悸の原因は、肉体的な疲労ではないのだ。
 羽黒が、香織に何をするつもりだったのか――
 それは、かつて、羽黒が香織に何をしたのか、という疑問に直結する問題だ。
 私は、何回か呼吸を整えてから、ビデオテープを探し始めた。
 見つからなければ、すぐに探すのをやめるつもりだった。
 なのに、私は、その作業を中断することができなかった。
 羽黒の言う、秘蔵のビデオなるものが、いったいどういう代物なのか――
 全く中身の想像ができないというわけではない。いや、それどころか、それを見れば必ず打ちのめされ、後悔するであろうことは、予想がついていた。
 それでも、私は、薄暗くなった事務所の中を漁るのを、やめることができなかった。
 そもそも、私があのような芝居まで打ってこの場に止まったのは、羽黒の悪事を明るみにすることが目的などではない。
 今まで目を逸らしていたが、間違いなく、私の最大の目的は、羽黒の言っていたビデオを見つけること――すなわち、妻の過去を探ることだったのだ。
 どうにか見つけたいという思いと、見つからなければいいという思いが、胸の中で交錯する。
 それでも、諦め悪く、机を、戸棚を、金庫の中を漁り続ける。
 そして、私は、とうとう、それを見つけた――見つけてしまった。
 ――香織、××年×月×日。
 そう、ラベルにペンで無造作に書かれた、8ミリサイズのテープの束。
 それは、まるで私のこれまでの苦労をあざ笑うように、寝室に備えられたテレビ台の下に、並べられていた。
 もちろん、テレビ台の上にはテレビがあり、テレビ台の中には、ビデオデッキ代わりに使っているらしい、ハンディーサイズのビデオカメラがある。
 私は、震える指で、ビデオカメラの電源を入れ、一番古い日付のテープを手に取った。
 再生ボタンを押し、しばらく、何も映らない画面を凝視してから、テレビの電源を入れる。
 唐突に画面が明るくなり、見慣れた、しかし懐かしい姿が、そこに現れた。
「香織……」
 それは、高校時代の香織だった。
 まだその顔にあどけなさを残す彼女が、制服を見にまとった姿で、ベッドの上に体育座りをしている。
「あ、もう撮ってるんですか?」
 香織が、何かに気付いたようにカメラの方に視線を向け、言った。
「……ああ」
 撮影者の声を、カメラが拾う。
「ほら、香織。さっき言われたとおりにしろよ」
 その声は、紛れも無く、羽黒のものだった。
「んん……でも、やっぱり恥ずかしい……」
 はにかんだ笑みを浮かべながら、香織が、頬を桜色に染める。
「いいからやれって……後できちんとご褒美やるから」
「ん……」
 香織が――高校時代の妻が、どこか潤んだ瞳を、カメラに向ける。
「あ、あの……これから、羽黒先輩のオナニー用に、え、えっちなビデオの撮影を始めます」
 あらかじめ決めていたのか、香織が、たどたどしい口調で、そんなセリフを言う。
 だが、まさか……妻が……しかも、まだ十代だったころの香織が、オナニーなどという単語を口にするとは……!
「せ、先輩……羽黒先輩……これからは、ア、アダルトビデオじゃなくて……あたしの、いやらしいところを見て、オナニーしてくださいね」
 まるで、強い酒に酔っているような真っ赤な顔で、香織が言葉を続ける。
 そして、香織は、制服のフレアスカートのホックを外し、ためらいがちに、それを脱ぎ捨てた。
 眩しいほどに白い香織の太ももが、露わになる。
「脚、開けよ」
「は、はい……」
 香織が、のろのろと脚を広げる。
 上品で可愛らしいデザインの白いショーツに、私の目は釘付けになった。
「始めろ」
「……はい」
 香織が、華奢な右手を股間に当て、もぞもぞと動かし始める。
 まさか……まさか、カメラの前でこんなことまで……
 そんな私の思いをよそに、画面の中の香織の手の動きは、次第に大胆になっていった。
「あっ、あううっ……んく……んっ、んんっ、はふ……あ、う、うぅン……んんっ……んあぁっ……」
 その桜色の唇から、密やかな喘ぎが漏れる。
 カメラは、悩ましげな表情を浮かべる香織の顔と、しなやかに指が動く股間を、舐めるように撮影し続けていた。
「あ、あぁん、あぅ……はっ、はふぅん……あうぅ……ううっ……んっ、んふっ、んふぅ……はふ……ふぅ〜ん」
 香織が、自涜の快感に甘く鼻を鳴らしている。
「へへ、濡れてきたな」
「あん、いやぁ」
 香織が、はっと気付いたように、両手で股間を押さえる。
「隠すんじゃねえよ……手、どけろ」
「あぁ……」
 香織が、恥ずかしげに顔を背けながら、言われるままに自らの下着をカメラの前に露わにする。
 彼女の下着の中心部に、船底型のシミが、くっきりと浮かび上がっている。
「んんっ……は、恥ずかしい……」
「よし……そのまま、パンツを引っ張って割れ目にこすり付けろ」
「あうぅ……そんなことまで……」
 そう言いながらも、香織は、ショーツの布地を引っ張り上げた。
 股間に当たっていた部分が細い紐状になり、香織のクレヴァスに無残に食い込む。
「へへへ……もっとグイグイこすれよ」
「は、はい……あうっ、うんっ、あうぅ……いやぁ……恥ずかしすぎるぅ……ああぁっ……」
 羞恥に眉をたわめながらも、香織は、羽黒の言うとおりに、自らの下着で秘唇を刺激し続けた。
 じっとりと蜜が溢れ、ショーツに染み込んでいくのが、画面からも分かる。
「あっ、あうう、うく……あはぁっ……あっ、あぁん、あぅ……ああぁン……」
 香織の唇からは、今や、はっきりと快楽の喘ぎが漏れ出ていた。
「よし、そろそろパンツを脱げ……香織のグチョグチョになったオマンコを、ビデオでバッチリ撮ってやるぜ」
「はぁ、はぁ、はぁ……あぁ……はい……」
 香織は、従順に肯き、たっぷりと愛液を吸った可憐なショーツを脱ぎ捨てた。
「へへ、いいぞ……今度は、しゃがんでから脚を開くんだ。前に教えてやったポーズだぜ」
「そんな……あんな格好、するんですか……?」
「ああ、そうだ。ほら、さっさとしろ!」
 興奮に声を上ずらせながら、羽黒が香織に命令する。
 香織は、細かく体を震わせながら、ベッドの上に一度しゃがみこみ、そのまま膝を開いた。
 ソックスを履いたままの丸い踵を揃え、その上にヒップを乗せるような姿勢である。下品で扇情的な、およそ少女のころの香織には相応しくないポーズだ。
 だが、そのアンバランスさが、異様なほどの淫らさを演出している。
 私は、ほとんど息をするのを忘れ、画面に見入っていた。
 淡い陰毛に飾られた恥丘の下で、ねっとりとした蜜にまみれた秘唇が、ヒクヒクと息づいている。
「手で、オマンコをパクパクさせてみな」
「は……はい……」
 香織が、不自然な姿勢のまま、バランスを取りながら、秘裂の両側に指を添える。
 そして、香織は、指を動かし、羽黒に言われた通り、その鮮紅色のクレヴァスを開閉させた。
 愛液が、あとからあとから溢れ、糸を引いてシーツに滴っている。
「あうぅ……恥ずかしい……恥ずかしいの……あっ、あふぅ……あうぅ……ああぁん、は、恥ずかしいぃ……」
 羞恥に声を震わせながらも、香織が、どこかうっとりとした表情を浮かべている。
 これまで――高校時代に知り合ってから今日まで――妻のこんな表情は見たことがない――!
 香織は、夫婦のセックスに関しては淡泊な方だった。いや、これまでの夜の生活から、私は素朴にそう信じていた。
 なのに、画面の中の香織は、羽黒の命令に従い、なおいっそう淫らに振る舞うことで、自らも興奮しているのだ。
「はっ、はうぅん、あうぅ……あっ、あぁん、ダメぇ……ハァハァ……い、いやぁ……感じちゃう……」
 ただ秘唇を繰り返し開け閉めするだけで、香織は、声を上げるほどの快感を感じていた。
 ニチュニチュという卑猥に湿った音まで、カメラのマイクは拾っている。
「あん、あぁん、ダメ、ダメ……はふぅっ……ああぁ……いいの……あん、あぁん、イイ……イイぃ……」
 クネクネと悩ましく腰をくねらせながら、香織が瞳を情欲に潤ませる。
「よーし、いいぞ、そのまま、思い切りマンズリしろ!」
「は、はいっ……!」
 まるで、餌を与えられた子犬のように嬉しげに返事をしてから、香織は、その右手の指を濡れそぼる秘裂にズブリと挿入した。
「ああぁ〜ン!」
 香織は、大きく姿勢を崩し、両膝をシーツについた。
 そのまま、香織が激しい勢いで自らの秘唇を刺激する。
「あうっ、あふうっ、あん、あぁん……イヤぁ……あっ、あううん……感じちゃう……感じちゃうの……ダメえぇ〜」
 膣口に指を抽送させ、手の平全体で秘苑をこすりながら、香織は、自らの胸に左手を当てた。
 そして、ブラウスがしわになるのも構わず、その頃から豊かだった乳房を乱暴に揉みしだく。
「あっ、ああっ、あん、あはぁん……ダ、ダメ……イっちゃいそう……イっちゃいそうっ……ああぁん、あうっ、あひぃ〜」
「イク時は、教えた通りに言うんだぞ。イけたらご褒美をくれてやる」
「ああぁ……ごほうび……ごほうびぃ……あん、あぁん、あふ……あっ、あああぁ〜ん」
 羽黒の言葉を聞いて、香織が、その手の動きをさらに速める。
「はうっ、あぅ、あうぅ〜ん……イキそう、イキそうっ……ア、ア……アソコ……イキそうなのぉ〜」
「アソコじゃねえだろ! マンコって言え!」
「ああぁん、でも、でもぉ……あううっ……恥ずかしいんです……あっ、あくっ、あっ、あぁ〜っ」
「言うんだ。言わないなら、イクのは禁止だ。ご褒美もなしだぞ」
「ああぁっ……そんな……そんなぁ……あううっ、あひぃ〜ん」
 香織の抵抗は、しかし、長くは続かなかった。
「あふっ、んあああぁぁ……オ、オ……オマ……あぁん、オマ……コ……ハァハァ……オマンコ、オマンコぉ〜」
 香織が、その可愛らしい唇で、卑猥な言葉を繰り返す。
「あぁーっ、オ、オマンコ! オマンコいきそうっ! あっ、あっ、あっ! イ、イクぅ……ね、ねえっ、羽黒先輩……イ、イっていいですか?」
「ああ、いいぜ、派手にイっちまえ」
「あっ、あぁ〜っ! イク、イク、イク、イクっ! イっちゃうっ! イっちゃうぅ〜ッ!」
 香織が、ビクビクと体を痙攣させながら、歓喜の声を上げる。
 その秘唇からは大量の愛液が溢れ、シーツに大きな染みをつくっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 ピクン、ピクンと体をおののかせながら、香織が、絶頂の余韻に浸る。
「よし、ご褒美をやるぜ……」
「あぁん……う、嬉しい……」
 羽黒の言葉に、香織がうっとりとした吐息を漏らす。
 私は、これまでの香織の様子から、羽黒の言う“ご褒美”とは、習慣性のある麻薬の類いだと思っていた。
 それなら、羽黒に対する香織の媚態も、全て納得がいく。
 だが、現実はさらに残酷であり――“ご褒美”とは、麻薬などではなかった。
「ほらよ、ご褒美だ」
 そう言って、羽黒は、ズボンのファスナーを下ろし、無造作に自らのペニスを剥き出しにしたのである。
「あぁん……す、すごい……」
 香織が、甘ったるい声で言いながら、ベッドから床に下り、羽黒の足元にひざまずく。
 その黒い瞳は、淫蕩な光を湛えながら、いきり立った羽黒の肉棒を見つめ続けていた。
「しゃぶっていいぞ。ただし、まだ手は使うなよ」
「は、はい……」
 羽黒の、命令ではなく許可に対して、香織が肯く。
 そして、香織は、羽黒の膝の辺りに手を添えながら、その口をペニスへと寄せていった。
 桜色の唇を割って、もう待ち切れないという感じで、唾液に濡れた舌が伸びる。
「はふ……ちゅ……ぴちゃ……ん、んんっ、れる……ちゅむ、ちゅぷぷ、ぴちゅっ……」
 香織が、羽黒の赤黒い亀頭に舌先を這わせ、舐め上げる。
 羽黒のペニスは、その刺激に、さらに力強く膨張した。
「はっ、はふぅん……ああぁん……すごいです、先輩……あぁん、すごいの……ちゅっ、ちゅぷっ、んちゅっ」
 香織が、羽黒のペニスのあちこちに、キスを繰り返す。
「んふぅん……ああ……すっごく堅い……はふぅ……ちゅぷ、ちゅむっ、ぴちゅ、ちゅぶぶ……あぁん、大きいぃ……ちゅっ、ちゅむ、ちゅぷっ……んふぅ、ううぅん……」
 唇を押し当て、舌を絡み付かせながら、香織が、甘く鼻を鳴らす。
 香織の唾液に濡れた羽黒のペニスは、ビクビクと震えながら、その先端から透明な腺液を溢れさせた。
「はっ、はぷっ、んむむ……ちゅぶっ、ちゅっ、ちゅむむ……はぁ、はぁ……ああぁん……ちゅむ、ちゅぷぷっ……ちゅぷ、ちゅむむ、ちゅぶぶっ……」
 香織が、顔を上記させながら、不潔な粘液を舌で舐め取り、啜り上げる。
 妻が、私のモノを口で愛撫したことはない。私も、敢えて妻には求めなかった。
 だが、画面の中の香織は、女子高生離れしたテクニックで、羽黒のペニスに奉仕している。
「ちゅっ、ちゅぷぷ、ちゅぶ、んちゅっ、んふぅ……はぁはぁ、はふ……あむっ」
 香織が、唇で亀頭を捕らえ、そのまま肉棒全体を咥え込んだ。
 浅ましく静脈を浮かした長大なペニスが、香織の可憐な口の中に収まっていく。
「んふぅ、んふうぅ……うっ、ううぅん……んむっ、んむむっ、ちゅぶ……ちゅぷぅ、ちゅぶぶ……」
 まるで、じっくり味わうように、香織がモゴモゴと唇を動かしている。
 その口内で、香織の舌がどれほど淫らに動いているのか――カメラを構える羽黒の満足げなうめき声が、テレビから流れている。
 そして、香織は、ゆっくりとシャフトに唇を滑らせ始めた。
「ちゅぶぶっ、ちゅぐっ、ちゅぶぶぶ、んぶっ……ちゅぐ、ちゅっ、ちゅむむ、ずずずっ……じゅぶぶ、じゅるるる、じゅぷぷ、じゅじゅじゅじゅ……」
 口の中に溢れる唾液ごと、肉棒を吸引しているのだろう。信じられないほど下品に湿った音が響いている。
「ちゅぶっ、ちゅぶぶっ、じゅぶ、じゅぶぶっ……んふっ、んふうぅ……ちゅぶ、ちゅぶぶ、ちゅむっ……んづっ、ぢゅっ、ぢゅぢゅっ、ぢゅぶぶ……んぶぶっ、ぢゅる、んぢゅうぅ〜っ」
「ハァハァ……い、いいぞっ……そろそろ出してやる……!」
 そう言いながら、羽黒が、前後に腰を使い出した。
「おぐっ、んぐぐっ、ふぐぅっ……んぶぶっ、んぐぐぐ……んんっ、んふん、んふぅ〜っ!」
 くぐもった声を上げながら、香織は、ぴったりと唇を締め、羽黒のペニスを口で扱いている。
「出すぞ、飲めよ、飲めよっ……うっ、ううっ、うおおおっ!」
 羽黒が、右手でカメラを構えたまま、左手で香織の後頭部を押さえ付けた。
「んぐぐぐぐ! んっ、んぶぶっ! おぶ……んおっ、んんんっ、んぐ……ンンンンン〜っ!」
 ぎゅっと目を閉じ、眉をたわめながら、香織が全身をおののかせる。
 羽黒は、何回か腰をヒクつかせた後、ゆっくりと腰を引いた。
 ヌラつく粘液に濡れた肉竿が、香織の口から姿を現していく。
 そして、ちゅぽん、という音ともに、羽黒のペニスは香織の口から離れ、力を失う事なく上を向いた。
「あはあぁぁ……」
 蕩けそうな表情でそれを見つめる香織の口元から、つーっと、白濁した粘液が垂れる。
 香織の瞳は虚ろで、唇は半開きのままだ。もしかすると、肉幹で口腔を犯され、喉奥に射精されながら、軽い絶頂に達したのかもしれない。
「へへ、巧くなったな。最初のころとは偉い違いだぜ」
 そう言いながら、羽黒は、唾液と精液でベタつく肉棒を、香織の顔に押し付けた。
「ああぁん、すごぉい……まだカチカチぃ……はぁ、はぁ……先輩の、すごく逞しいです……はうぅん……」
 媚びるようなことを言いながら、香織が、羽黒のペニスに頬擦りする。
「よし、今度は手と口で俺をイかせるんだ」
「は、はい……分かりました……ちゅっ、ちゅぶっ、むちゅっ……」
 香織が、肉幹の根元に白い指を添えながら、赤黒い亀頭を唇で咥え、舌先で舐め転がす。
「はぷっ、ちゅぶぶっ、んちゅっ……はぁ、はぁ……ああん、す、すごい匂いぃ……んちゅっ、ちゅぶぶ、ちゅぶ、じゅぶぶっ……ハァ、ハァ、ハァ……」
 ピンク色の舌全体を使って自らの唾液を塗りたくってから、香織は、羽黒のペニスを顔に擦り付けた。
 うっとりとした表情を浮かべた香織の顔が、ヌラつく粘液によって汚れていく。
 香織は、舌や唇のみならず、顔そのものを使って羽黒の勃起に奉仕し続けた。
 さらには、その指先が巧みな動きでシャフトを扱き、陰嚢を優しく揉み転がす。
 ペニスの先端から、ぴゅっ、ぴゅっ、と先走りの汁が溢れ、香織の顔をさらに汚した。
「あふっ、んふぅん……ああぁ……ビクビクって動いてるぅ……ちゅぶ、ちゅぶっ……それに……クンクン……匂いもキツくてぇ……あはぁん……」
 愛しげにペニスに口付け、愛撫し続けながら、香織が甘い声を上げる。
「先輩……出そうなんですね……はっ、はむっ、ちゅぷ……出ひて……出ひてくらさい……ちゅむ、ちゅぶぶっ……好きなところに出ひて……」
「はぁ、はぁ……よし、顔に出してやるぞ」
「あぁん、嬉ひぃ……はむっ、んぶぶっ、ちゅばちゅばちゅば……はふっ……ああぁん、出して、出して、出してっ……!」
 香織が、唾液と線液でヌルヌルになった肉棒を激しく扱きながら、その先端に顔を差し出す。
「くうっ……も、もっとスケベにおねだりしてみろ……!」
「ああぁん、く、ください……先輩のザーメン、あたしの顔に出して……ビチャビチャってかけまくってください……あん、あぁん、ザーメンミルク好き、好き、大好き……はぁはぁ、オ、オ、オチンチンミルクかけてぇ〜っ!」
「そんなに欲しいのかよ、この変態!」
「ああぁん、そ、そうです、変態です! 精液が大好きな変態です! あっ、あぁん、ス、スケベで変態な香織の顔に、ザーメン恵んでください! はぁはぁ……チ、チンポミルクで、香織の顔、ドロドロにしてください! 先輩のくっさいザーメン欲しい! あぁん、あん、ああぁ……ザーメンかけて! かけてかけてぇ〜!」
「うっ、うおおおおっ!」
 ドビュッ! ドビュッ! と激しい勢いで、羽黒のペニスから精液が迸る。
「あううっ、うぶっ! あっ、あはぁ〜ん、熱い、熱いのぉ〜! あああっ、先輩のザーメンすごいぃ〜! あうっ、んぶぶぶっ!」
 信じられないほど大量のザーメンが香織の顔に浴びせられる。
 羽黒の精液を顔で感じながら、香織は、ピクピクと体を震わせていた。
「あああぁぁ……す、素敵ぃ……あうっ、はふうっ、あうぅ……臭い、臭いぃ……はぁ〜ん、ザ、ザーメン臭くって素敵……ああぁ……匂い、染み込んじゃうぅ……」
 そんなことを言いながら、香織が、顔にへばり付いた精液を、指先で塗り伸ばす。
 その惚けた顔を見るに、香織は、顔に精液をかけられて絶頂を迎えたようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あぁん……先輩……」
「へへ、なかなかよかったぜ……さあ、綺麗にしろ」
「はい……あむっ、んむむ、ちゅぶっ」
 香織が、ためらう事なく、射精したばかりのペニスを口に含む。
 これで……これで終わりだろうか……それともこの悪夢はまだまだ続くのか……?
 終わりのわけはない……そもそも、テープはあと何本もあるのだ……。
 股間に、濡れた感触がある。
 私は、トランクスの中で、自らのペニスが、触れられてもいないのに射精していたことに、ようやく気付いた。



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