スキナコト=セックス



 私は、人よりかなり性欲が強いと思う。
 とにかく、ふだん考えているのは、セックスのことばかりである。
 気持ちいいセックスがしたい。そのことばかり考えてる。そのために生きてるって言ってもいいかもしれない。
 正直、クスリを使ったセックスとかにすごく興味があるけど、手は出してないし、たぶん手は出さないで済むと思う。倫理観からじゃなくて、それで人生がダメになっちゃったりしたら、長期的に見て気持ちいいセックスができなくなるから。理由はそれだけ。
 それに今は、すごく気持ちいいセックスができる相手がいる。その人との関係を壊したくない。
「翼ちゃん……」
 大きなテレビ画面の中で、特に面白くもつまらなくもなかった映画が終わったのを見計らうように、ベッドに並んで腰かけていた彼が私に体を寄せてくる。顔にも、そして膨らんだズボンにも、期待が滲み出てるみたい。彼が私に欲情してるってことを感じ取って、私の股間はじんわりと熱くなる。
「え、えっと……今日はそういうことはしないって……」
 私は怯えたような声で言う。彼を煽るために作った声だけど、その声は私自身にも暗示をかける。私は彼の行動をコントロールしようとしている最低な性悪女なんかじゃなくて、半ば強引に抱かれてしまう気の弱い女の子なんだっていう暗示。だって、その方がずっと興奮するから。
「僕、我慢できなくなっちゃったんだよ……ねえ、いいでしょ……!」
「あっ……!」
 右側にいる彼が私の体を左腕で抱きすくめ、そして右手を太腿の間に差し込もうとする。私は太腿を閉じるけど、男の子の力には敵わない。だから私は本気で脚に力を込める。
「だ、駄目、まだ昼間だよ……! こんなに明るいのに……」
「今日は家に誰もいないんだ。だから大丈夫だよ……!」
 彼はそう言って私を抱き寄せながら、脚と脚の間に手をグイグイと食い込ませる。自分の体がこんなにも男の子に求められているという事実が、私の体温を上昇させる。たぶん、私の目は、興奮と情欲で濡れ光っているだろう。人の好い彼は、それを怯えゆえの涙だと思うかもしれない。
「翼ちゃんっ……!」
「ンむっ!」
 彼が唇を重ねてくる。情熱的――と言うよりもただひたすら強引なキス。それでも、粘膜と粘膜の接触に、私の体から演技ではなく力が抜ける。
「ンっ、ンんんっ……ンむ……ンっ、ンむ、ンちゅ、ンうぅぅぅ……」
 ふうふうと鼻を鳴らしながら、彼が私の唇を貪る。彼の内側から噴き出る興奮が、私の興奮をさらに煽る。私は、キスに応えて積極的に性感を高めたくなるのを堪えながら、彼の腕に徐々に体重を委ねる。自分の本性をさらけ出すのはもう少し先の方がいいと本能が察知し、半ば無意識のうちに私は彼にとって理想の女の子の姿を演技する。
 彼はキスを続けながら、緩んだ太腿と太腿の間で手を蠢かせ、ショーツの上から股間に触れる。濡れているのは自分でも分かってる。そして、今もヌルヌルと溢れ出ている愛液の存在を彼の指が感じとったであろうことも、分かる。
「ンむむむむ……ぷはっ! すごい濡れてるよ、翼ちゃん……!」
「そ、そ、そんな……」
 期待で声が震えているのを、彼は羞恥によるものだと思ってくれるだろう。実際、確かに恥ずかしさもある。キスだけでこんなふうになるなんてどうかしてると自分でも思う。でも、私の体は、もうすでに快楽が欲しくて欲しくてたまらなくなってる。体の中のそういうスイッチが入ってる。
「翼ちゃん……!」
「あっ、ダメッ! ダメええええッ!」
 彼が私の左右の太腿の間に頭を捻じ込み、ショーツの薄い布地の上からクンニを始める。嬉しい。でももどかしい。本当は早く直接ベロベロ舐めてほしい。そんなことを考えながらも、私は口では嫌がって見せる。
「やっ、ダメ、ダメっ……! そこ、汚いから……やめて……!」
 彼は、セックス以外のことでなら、私がほんのちょっとでも嫌悪の色を示すとすぐにやめてくれる。でも、セックスは別。とにかく私を感じさせ、そして自分も気持ちよくなりたいという気持ちを凄くストレートにぶつけてくる。私は彼のそういうところがたまらなく好き。
「ひゃううううン♡」
 とうとう彼がショーツをむしりとるようにして脱がし、私の割れ目に直接舌を這わせ始める。気持ちいい。気持ちよくて本気の声が出てしまう。
「やッ、やああッ、あううッ……♡ はッ、はうッ、ふううン♡ ダメだよっ……! は、は、恥ずかしい……! ンううッ、うくうぅぅ……!」
 自分の本性が知られるのが怖くて、私は何とか声を抑えようとする。そうしなければ、浅ましい動物じみた声が出てしまうのは分かってる。それを聞けばさすがに彼も幻滅するだろう。彼を失いたくない。彼に嫌われたくない。彼はとても気持ちのいいセックスをしてくれるのだから。
「チュバッ、チュバ、チュバ、チュバッ……声出してもいいんだよ、翼ちゃん……チュバチュバチュバ、ヂュバババババッ……!」
「ンうううッ、ダ、ダ、ダメ……そんなのダメぇぇぇ……! ンうううッ♡ ンあッ♡ あうッ♡ あうううッ♡ はううううううッ♡」
 抑えきれない。喘ぎ声が溢れる。でもまだ大丈夫なはず。そんなにすごい声は出てない。だから、まだ、大丈夫なはず。
 ああ、でも、本当に気持ちいい。彼の舌が膣内に入ってきてグネグネ動いてる。そうかと思うと、卑猥な音を響かせて秘唇のあちこちを吸引する。さらには、舌の裏の柔らかい部分が、優しく、だけど執拗にクリトリスを刺激する。
 体がベッドの上に倒れ、下半身が勝手にヒクヒクと動き、愛液がドプドプと溢る。彼は私の愛液を啜りながら、なおも私を責め続ける。
 これは絶対に口に出しては言わないけど、彼のクンニはどこか餌を漁る動物じみている。時折、フゴフゴという声が混じることまである。そんな激しいクンニは、私のことを絶対にイかせてやるという意思に満ち満ちていて、私の思惑と合致する。
 オナニーでは味わうことのできない容赦の無さと、いちばん刺激してほしいところを刺激されるとは限らないある種のもどかしさ。思い通りに与えられない快感は、しかし私を着実に絶頂へと追い詰めていく。
「やああああッ♡ ダメっ! ダメだよっ! そんな、そんな、ダメぇぇぇっ! あッ♡ あううううッ♡ ひああああああああン♡」
 けして中断されることはないと信頼しているから、私は、気持ちの高ぶりのままに制止の声を上げることができる。強制的に感じさせられているという私の演技が彼を興奮させ、クンニをより激しいものにする。そして私も自らの演技に興奮し、恥ずかしいほどに愛液を溢れさせる。
「お、お、お願い、もう、もうやめてぇぇぇぇ! これ以上されたら、私っ、私ぃぃぃぃっ! ンああああああッ♡」
「どうなっちゃうの? イクの? イっちゃうの?」
 クンニを中断し、上ずった声でそう尋ねる彼に、私はコクコクと頷いて見せる。
 彼が、太い鼻息を吹き出し、私の秘部に口を押し付けて、唇と舌による激しい愛撫を再開させる。
「ふわわわわッ♡ はひッ、はひ、はひ、ひッ、ひいいいいいいン♡ ダメえぇ、ダメええぇ♡ ホントに、ホントにイっちゃうからああああッ! あッ♡ ああッ♡ あッ♡ あああッ♡ ああああああッ♡」
 分厚い舌が私の秘裂を力強く抉り、唾液と愛液に濡れた唇がクリトリスをきつく吸引する。
 私はみっともないほどに喘ぎ声を上げ、体をくねらせ――そして、シーツを掻きむしっていた手を彼の頭部に当てて自らの股間に押し付ける。
「あぁーッ♡ あーッ♡ あーッ♡ あーッ♡ あーッ♡ ああああぁぁぁーッ♡」
 体が自然に反り返り、太腿がピクピクとわななく。
 彼が、浅ましく勃起した私のクリトリスに当てた舌を振動させるようにして刺激してくる。
「い、い、イっちゃう♡ イっちゃううううううッ♡ あああああああ♡ イク♡ イクううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅーッ!」
 待ち焦がれていた絶頂感が股間から脳天までを貫き、私は全身を痙攣させる。プシプシと自分でもどうかと思うほどの潮が漏れ、彼の顔を濡らす。
「あぁーッ……♡ あぁーッ……♡ あぁッ……♡ あぁぁぁーッ……♡」
 そして私は、ぐったりとベッドの上に体を弛緩させる。
「ぷはっ……ふぅ、ふぅ……イっちゃったね、翼ちゃん……」
「あああぁぁぁ……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……♡ ダメって……ダメって言ったのにぃぃぃ……あううぅぅ……は、恥ずかしい……っ」
 ダメだなんて微塵も思ってなかったけど、恥ずかしいのは本当。だから、私は拗ねたように顔を背ける。
 すると彼は、カチャカチャと音をさせて自らのベルトを緩め、あっという間に下半身を剥き出しにした。
 そして、密かな期待に心臓の鼓動を速くさせている私の鼻先に、雄々しく勃起したペニスを突き出す。
「あ……♡」
 彼のペニスを、私は濡れた瞳でうっとりと見つめる。その大きさ、エラの張り具合、硬さを感じさせる反り返り、浮き出た血管、その全てが私をときめかせる。
 すごい。何度見てもすごい。男の人にしかない、女を感じさせ、そして妊娠させるための器官。それに、私は崇拝に近い感情を抱いてしまう。
「つ、翼ちゃん、舐めて……! おしゃぶりしてよ……!」
「う……うん……」
 余裕のない口振りによる要求に、私は頷き、上半身を起こす。彼が、ベッドの上に立ち、私の鼻先に透明な腺液を滴らせた亀頭を改めて突き付ける。
「ふ、ふゎ……♡」
 すごい匂い。男の子のペニスの生臭くて淫らな臭気に、私はますます陶然とし、半開きにした唇や、そこから先端だけ突き出た舌を、おののかせてしまう。
 舐めたい。おしゃぶりしたい。これから私のことを死ぬほど気持ちよくしてくれるこれを、私がどれほど好ましく思っているのか伝えたい。
 でも、このまま匂いも嗅いでいたい。脳味噌にまで浸み込むようなペニスの性臭をまだまだ味わいたい。
 そんな二つの気持ちの間で、私の体はフリーズしてしまう。
「早く舐めてよ、翼ちゃん……!」
「ふがっ……♡」
 彼が、俗に先汁と呼ばれる液でヌルヌルになった先端を私の鼻に押し付ける。その屈辱的な行為と、そしてさらに鼻孔を刺激するようになったペニスの匂いに、私は大量の愛液を漏らす。
「ハァ、ハァ、ハァ、つ、翼ちゃんの可愛い顔が豚みたいになってるよ……! う、うううっ……」
「そ、そんな……豚だなんて、ひどいぃ……♡」
 ひどくない。私は豚。快感という餌欲しさに何でもする卑しい牝豚。
 もしかすると彼は、心の奥底でそんな私の本性に気付いてるのかもしれない。そして私は、自らのその本性のままに、彼の肉棒を咥え込む。
「うああああっ……!」
「はぶ、はぶぶっ、うむ……ちゅぶぶぶぶ……♡ ちゅむむ、ちゅむむ、ちゅむむ、ちゅむむっ……♡」
 できるだけ深く口内に迎え入れてから、唇で竿のところを扱くように刺激すると、彼のペニスがますます膨らみ、そして硬くなる。
 浮き出た血管のボコボコとした感触を唇で味わいながら、私は首を前後に動かして彼の快感に奉仕する。
「ちゅぶぶ、ちゅぶぶっ、ちゅぶ……じゅぶ、じゅぶぶっ……♡ ふぅ、ふぅ、ふぅ♡ ちゅむむむ、ちゅぶ、ちゅぼぼ……じゅぶぶ、じゅむむむむっ……♡」
「あううっ、きっ、気持ちいいよ、翼ちゃんっ……!」
 声を上げる彼のペニスに、たっぷりと唾液を乗せた舌を絡み付かせる。
 そして、口の中に真空を作るようにして、いわゆるディープスロートを始める。
「じゅぶぶぶぶ、じゅぼぼぼ、じゅぼぼぼぼッ……♡ ンふ、ンふぅ、ふぅふぅ、ぢゅぶぶぶぶぶ、ぢゅぞぞぞぞぞぞぞぞぞッ……♡ ンふッ、ンふぅン♡」」
 鼻から甘えるような息が自然に漏れる。いや、ようなではなく、私は実際に彼の肉棒に甘え、おもねり、媚びている。たくさん気持ちよくするから、あとで最高の気持ちよさを味わわせてください、と言葉によらずに訴える。
 そして、彼のペニスは、頼もしいまでの大きさと硬さで、私の願いをかなえることを約束する。
「ンむむむむ、じゅぶぶぶ、じゅぶぶぶぶぶッ♡ じゅぽッ♡ じゅぽッ♡ じゅぽッ♡ じゅぽッ♡ ぐぽぐぽぐぽぐぽぐぽぐぽ……♡」
「ふうッ、ふうッ、ふうッ、うああっ、翼ちゃん、翼ちゃんっ……!」
 彼が私の頭をがしりと掴み、腰を使い始める。強張ったペニスが舌の上や口蓋を擦り、喉奥を小突く。
「うぶぶッ、えぐッ、えぶぶ……! ンごごッ、おぐッ、おごご……ンお♡ ンおッ♡ ンおおおおおお♡」
 私の口を完全に性器の代わりとして扱っている彼の腰使いに、私の体がセックスの快感を思い出し、震える。口から漏れるくぐもった呻き声が、浅ましく濡れた響きを帯びる。
「ハッ、ハッ、ハッ、で、出る、出るよ、翼ちゃんッ! 翼ちゃんの口マンコに出るッ!」
「うぶぶぶぶ! ンおおおおおおおおおお♡ おぶっ! ごぷぷッ!」
 ドピュッ、ドピュッ、と私の口の中に生臭い精液が大量に迸る。
「ンうううう、うぶ、うぶぶぅ……♡ ふぐ、ふぐっ、ンごご……ンぷ、ンぷぷっ、うぶ、うぷぅ……♡」
 彼のペニスが、執拗なほどに律動を繰り返し、そのたびにザーメンを溢れ出させる。
 口の中いっぱいに広がって鼻へと抜ける青臭い芳香に軽くイってしまいながら、私は、彼の尿道に残った精液を搾り取るべく、唇を締め付ける。
「うあああぁぁぁ……それ、それ、すごいよ、翼ちゃん……!」
 彼が、腰をおののかせながら、残り汁の最後の一滴まで私の口の中に出し尽くす。
 私は、少し誇らしい気持ちになりながら口を開き、中に溜まった精液を彼に見せる。
 私の口は、こんなにいっぱいあなたのザーメンを搾り取れるんだよ……というメッセージを込めつつ、精液の池の中で、舌を小さく蠢かす。
「ううぅ……つ、翼ちゃん……!」
 彼のペニスが、ほとんど萎える間もなく力を取り戻す。
 私は、生唾を飲み込む代わりに、口の中の大量の精液を、ゴクリ、ゴクリと喉を鳴らして嚥下した。
「はふ……まだ、するの……?」
 ただ一言、私は彼に尋ねる。すでに怯えたりたじろいだりする演技なんてできなくなってる。ただひたすらグチョグチョになったオマンコにチンポを入れてほしい、としか考えられない。さすがにそれを言うことはできないので、言葉少なに、次にどうするつもりなのかを彼に問う。
 でも、私がすっかり欲情してしまっていることは、彼には完全にお見通しなのだろう。彼は、普段ならけしてしないであろう乱暴さで私を押し倒し、がばっと脚を広げてくる。
「あ……い、イヤぁ……♡」
 ダメ。やっぱりぜんぜん演技できていない。今の言葉は、入れてという意味にしか取れない。
「翼ちゃん、嘘ばっかりついて……本当はこれが欲しくて欲しくてたまらないんでしょ……?」
 彼が、私の両膝に手を置き、反り返るほどに勃起した肉棒を、濡れ光る私の割れ目にズリズリと擦り付ける。
「あ、ああっ、あう……はァ、はァ、はァ……」
 そう、入れてほしい。たぶん彼が思っている何倍も入れてほしいと思っている。手を伸ばして無理やりに挿入しないでいるのは、そんなことをして彼に引かれたらセックスしてもらえないと分かってるからに他ならない。だけど、私の腰は待ち切れずに上下に動き、何とか彼のペニスを飲み込もうとする。
「チンポ入れてって言ってよ、翼ちゃん……。そしたら、セックスしてあげるよ?」
「あ……あ……あ……♡」
 嬉しい。入れてもらえる。セックスしてもらえる。マンコをチンポでズボズボしてもらえる。マンコの奥の奥まで気持ちよくしてもらえる。
 ドプドプと愛液が溢れ、彼の肉棒をコーティングする。あのヌルヌルしたチンポでピストンしてもらえたら、きっともの凄く気持ちいいに違いない。
 早く入れてと叫びそうになり――私は一瞬だけ躊躇する。
 私は、彼を何回か裏切ってしまっている。彼に処女を捧げた後、他の人のペニスと比較したいという欲求に抗いきれず、普段はしないお化粧をして、夜の街で誘われるままに男の人とホテルに行ってしまったことが何回かある。
 そして知ったのは、彼とのセックスが私にとって最高のセックスだったという事実。他の人のは駄目。小さかったり、逆にむやみと大きかったり、柔らかかったり、一度出すと終わりだったり――たとえペニスは彼並みでも、ただひたすら自分本位でこっちを感じさせようとしない身勝手なセックスだったり。
 彼の肉棒をお預けにされながら、自分に彼を求める資格なんてあるのかと自問する。こうやって焦らされるのは、自分に似合いの罰なんじゃないかとさえ思ってしまう。
 だから私は、大きく叫ぶ代わりに、いつも泣きそうな声で言ってしまう。
「お、お……お願い……入れて……! あ、あ、あなたの……おち、おち、オチンポ……私の……私の……い、いやらしいオマンコに入れてぇ……!」
「翼ちゃんッ!」
「ひゃぐううッ!」
 ずんっ、と一気に奥までペニスを捻じ込まれ、視界が真っ白になる。
「あッ……あああッ……かはッ……い、い、イク……イク……イクぅ……」
 膣が彼のペニスに吸い付いたまま、絶頂感に収縮と弛緩を繰り返す。
「あ……あああっ……うぅ……マンコ……翼ちゃんのマンコ……気持ちいいよっ……」
 彼のそんな心からの声に、まるで私は許しを得たような気持ちになる。
 そして私は、まだ告白していない――きっと一生告白できない罪をあがなおうと、意識して膣肉を蠢かせ、彼の肉棒に奉仕する。
「うあッ、あッ、あああッ……すごい……! も、もう出ちゃいそうだよ……!」
 そう言いながら、彼が肉棒をピストンし始める。
「ひあッ♡ あッ♡ あああッ♡ あひ♡ あひいいいン♡ あッ、あうッ、すごいッ♡ すごい♡ すごいぃぃぃぃ♡」
 彼のペニスが他の男の人と比べてもどれだけ素晴らしいのか、私は知っている。知っているけど告げることはできない。その代わりに、私はひたすら快楽の嬌声を上げる。
「はァ、はァ、はァ、そっ、そんなに僕のチンポ気持ちいいのっ?」
「いいいッ♡ いいのッ♡ いいのぉぉぉッ♡ きっ、気持ちいいッ♡ 気持ちいいのぉぉぉぉ♡」
「チンポって、チンポって言って! チンポ気持ちいいって言って!」
「チンポっ♡ チンポっ♡ チンポっ♡ チンポきもちいいぃぃぃ! あなたのチンポ気持ちいいぃぃぃぃ!」
 叫ぶたびに彼の肉棒が膨らむのが嬉しくて、私は狂ったようにその言葉を繰り返す。
「うあああああッ! 翼ちゃん! 翼ちゃん! 翼ちゃんっ! 翼ちゃんっ!」
 まるで私を快楽で屈服させようというかのようなピストン。それが私を追い詰めていく。
「ああああああ♡ あひッ♡ あひ♡ あひン♡ ひいいいいいン♡ おッ、おッ、奥ぅ♡ 奥に来てるよぉぉぉぉ♡ 奥が、オマンコの奥が気持ちいいよぉぉぉぉぉ♡」
 子宮の入口を張り詰めた亀頭でドスドスと叩かれ、下腹部から全身に甘い快感が繰り返す波のように広がる。
「あああッ、や、ヤバイ、出ちゃうっ! マジで出ちゃうよっ! うううううッ!」
「い、いいよっ♡ 出してっ♡ 出して出してッ♡ 私のオマンコで最後まで気持ちよくなってッ♡」
 私は、心からそう思いながら彼の肉竿を膣肉で締め付け、下から腰をグイグイと動かす。
「うああああああああッ! で、出る! 出る! 出るッ! うぐううううううッ!」
 あまりにも激しいピストンだったため、彼の肉棒がズルンと抜け、その拍子に大量のザーメンが迸る。
「熱いッ! 熱いぃぃぃぃぃーッ! い、いいいいいいい、イクうううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーッ!」
 敏感になり過ぎた肌に精液をかけられ、まるで煮えたぎった熱湯を浴びたような気持ちになりながら、私は絶頂を極める。
「うあああッ……あッ、あうッ、うあ……つ、翼ちゃんっ……! うッ、ううッ……! うううッ……!」
 彼の肉棒が何度もしゃくり上げ、そのたびに精液の弾丸が私の体を打つ。
「はあああッ……♡ あ、あああ、あッ……♡ はひ……♡ す、すごいぃ……♡ せーえき……気持ちイイぃぃ……♡」
 私は、ビクビク、ビクビク、と体を痙攣させながら、アクメを貪り続ける。
「ああああぁぁぁぁぁ……♡」
 恍惚の吐息を吐きだした私に、私の膝から手を離した彼が覆い被さる。
「翼ちゃん……」
 彼の唇が私の唇を塞ぎ、そして私は今度こそ彼のキスに思いきり応える。
「ン、ンむ、ンちゅ……ちゅむむ、むちゅ、むちゅッ……♡ ンふ、ンふぅ、ンちゅちゅ……ちゅむむ、ンちゅ、ンちゅ、ンちゅ……♡ へは、へあぁ、はむ、あむむ、むちゅ、むちゅッ、ちゅば……ぶちゅ、ぶちゅッ、ぶちゅ、ぶちゅうぅぅぅ……♡」
 滑稽なほどの音を立て、私と彼は互いの舌と唇を貪り合う。
 そうしているうちに、精液まみれの私の下腹部に押し付けられていたペニスが、再び逞しく勃起する。
「ぷはっ……はぁ、はぁ……ま、また、大きくなっちゃってるよ……?」
 私の指摘に、彼が、恥ずかしがっているような、甘えようとしているような、そんな不思議な表情を見せる。
「いいよ……次は私が動くから、仰向けになって……♡」
 そんな私の言葉にますますペニスを硬くしながら、彼が素直に頷く。
 私は、まだ身に付けていたものを全て脱ぎ捨て、仰向けになった彼の腰に跨る。
「翼ちゃん……き、綺麗だよ……」
 彼が、私の体を見上げながら言う。
 綺麗なんかじゃない。私は心も体も汚れきっている。ただひたすら動物のように快楽を求める存在。それが私。
 そんな私の恥知らずな膣穴が、屹立した彼のペニスを飲み込もうとする。それがもし本物の口だったら、咥え込む前に下品に舌舐めずりしただろう。
 亀頭が、濡れっぱなしの膣の入口をヌルリと潜る。
 私は耐え切れずにそのまま腰を落としていく。
「あうううううう♡ 入ってくる♡ 入ってくるぅぅぅ♡」
 体の中に彼のペニスを迎え入れながら、私は歓喜の声を上げる。自分の性器が彼の性器と同じ形になっているであろうことを意識した瞬間、全身に快楽の電流が走る。
「はううううン……い、いちばん奥にぃ……しっ、子宮に、届いちゃってるよぉぉぉ……♡」
「翼ちゃんの……翼ちゃんの子宮……? う、ううっ……!」
 彼がさらにそのペニスを膨張させ、私はとてつもない充足感に熱く甘い吐息をつく。
「ふゥ、ふゥ、ふゥ……うっ、動くね……♡ ンうっ、うううっ……♡」
 下半身がとろけそうな快感を感じながら、私は腰を使い始める。
「あううっ♡ ンふ、ンふっ、ふううン……♡ はっ、はうっ、はうぅ、ふああっ、ふあン、ああぁン……♡」
「はァ、はァ、はァ、はァ……ああああっ、す、すごいよ、翼ちゃん……! うッ、うあッ、うあああッ……!」
 私と彼の喘ぎ声が重なり合って部屋の中に響く。
 私は、さらに体を動かし、誘うつもりで意識して胸を上下に揺らす。
「翼ちゃん……翼ちゃんのオッパイ、エロ過ぎるよっ……!」
「きゃううううッ♡」
 期待していた通りに胸を両手で鷲掴みにされ、痛み混じりの快感に私は仰け反る。
 彼が、私の乳房を揉みしだきながら、我慢の限界に来たように、下から腰を突き上げ始める。
「あうううッ♡ あぐッ♡ ンあッ♡ はぐうううう♡ あひ♡ あひ♡ あひ♡ あひ♡ あひいいいい♡」
 セックスの主導権を握ろうとした私の思い上がりを打ちのめそうとするかのように、彼が激しくペニスをピストンさせる。
「ンおッ♡ おッ♡ おおおッ♡ おほ♡ おほッ♡ おほおおおおおおお♡」
 私の口から獣じみた声が漏れる。彼の肉棒の一撃一撃が子宮に響き、重苦しいほどの快楽が私の最後の理性を打ち砕こうとする。
「すッ、すごッ♡ すごおおおおおお♡ チンポっ♡ チンポすごいのおおお♡ おあああッ♡ あは♡ あはあああああ♡ い、い、い、いくッ♡ もういっちゃううううううう♡」
 膣肉が勝手にうごめき、うねり、精液を求めて肉棒を絞り上げる。
「はあッ、はあッ、はあッ、はあッ、なッ、中にッ、中に出すよッ!」
「おああああああ♡ 出してッ♡ 出してえええええええッ♡ オマンコにぃぃ♡ オマンコの中に出してええええええええええッ♡ 欲しい♡ 欲しい♡ 欲しい♡ 欲しいぃぃぃ♡ オマンコにザーメン欲しいのおおおおおおおお♡」
 今日が大丈夫な日だったかどうか思い出せない。もしかすると妊娠するかもしれない。そんな思いが私をさらに狂わせる。
「できちゃってもっ、赤ちゃんできちゃってもいいからぁ♡ 出して! 出して! 出して! 出して! 子宮マンコにザーメン出してええええええええええええぇぇぇぇぇーッ!」
「翼ちゃんッ! う、ううッ!」
 私の叫びに言葉で応える代わりのように、彼がすごい勢いでザーメンを迸らせる。
「ンほぉおおおおおおおおおお♡ いくッ♡ いくッ♡ いくッ♡ いくうううッ♡ オマンコっ♡ オマンコいくッ♡ オマンコいっちゃうううううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅーッ♡」
 自分がどれほど感じているのか、どれほど気持ちよくて幸せなのか、卑猥に、下品に、私は叫ぶ。
「おッ♡ おあッ♡ おああッ♡ ンはあああああ♡ きッ、来てるうううううう♡ 子宮にぃ♡ 子宮マンコに熱いザーメン来てるのおおおおおお♡ おほ♡ おほ♡ おほッ♡ おほおおおおおぉぉぉー♡ い、い、い、いっぐぅうううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅーッ♡」
 あまりの気持ちよさに意識が飛び、あまりの気持ちよさに意識が戻ってくる。
 繰り返されるアクメに意識を寸断されながら、私は、全身を激しく痙攣させる。
「おッ……♡ おほ……♡ おあああ……♡ あは……♡ しゅごい……しゅごいぃぃぃぃ……♡」
 私は、とうとう上体を支えられなくなり、彼の胸板の上に倒れ伏す。
「翼ちゃん……!」
「ひゃぐッ♡ い、イッグ……♡ イッグぅぅぅぅぅ……ッ♡」
 彼に力強く抱きしめられ、私はなおも意地汚くイってしまう。
 私の体が、瀕死の動物のように間欠的にわななく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……翼ちゃん……好きだよ……」
 彼が、荒い息の合間に、私の耳元で囁く。
「大好きな翼ちゃんとセックスできて……僕……すごく幸せだよ……」
「うん……♡」
 彼の言葉を聞いた私の膣壺が、まるで別の生き物のように彼の肉竿にまとわりつき、しつこく精液を搾り取ろうとする。
「あううぅぅ……翼ちゃん……翼ちゃんのオマンコがあんまりいやらしいから、僕のチンポ、ぜんぜん小さくならないよ……」
 彼の言葉に、私はゾクゾクと全身を震わせる。
「す……すてきぃ……♡ すてき過ぎるよぉぉ……♡」
 もうピクリとも動かないはずの体の中で、彼のペニスを咥え込んだ腰だけが、くねりくねりと淫らに蠢く。
 そして――
 そして私は、この後も、セックスの快楽を貪り続けるのである。

あとがき

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