夏 の 歌



第三章
−夏の嵐−



 雨が、アルミサッシの雨戸を叩く音で、目が覚めた。
 半分寝ぼけながら頭を巡らすと、同じベッドの中に、美保さんがいた。
 その無邪気な寝顔を、僕は、至近距離でまじまじと見つめてしまう。
 ぽってりとした赤い唇がゆるく開いている様は、まるで、口づけを誘ってるみたいに見えた。
 横向きになった体は――僕もそうなんだけど――裸で、ゆっくりとしたリズムで上下している。
 規則正しい寝息が、強い雨と風の音に紛れながら、耳に届いた。
「美保、さん……」
 そう、声をかけると、長いまつげに縁取られた美保さんの目が、うっすらと開いた。
「……おはよう」
 そう言いながら、美保さんが、タオルケットを体に寄せ、自らの体をくるむ。
「美保さん……」
 僕は、美保さんの唇に、唇を寄せた。
 ちゅ……と軽いキスを交わしてから、互いの顔を見つめる。
「シャワー、浴びよっか」
「……うん」
 美保さんの言葉に、僕は小さく肯いた。



 僕と美保さんは、当たり前みたいに、一緒にシャワーを浴びた。
 もちろん、僕が、全く平静だったという訳じゃない。
 それどころか、股間のものは、朝目覚めた時から、ずうっと立ちっぱなしだった。
 二人で入っても多少は余裕のある広いおふろ場で、わざと体を寄せて、いっしょにシャワーを浴びる。
「あん……研ちゃんの、固くなってる……」
 股間の強ばりを白い太腿に押し付けると、美保さんは、甘い声で言った。
「ね、どうしてこんなに固くしてるの……?」
「え、えっと、それは……」
 朝だから、と言おうとして、僕はちょっと口をつぐんだ。
 それは、美保さんが求めている答えじゃないだろうし――それに、本当のことでもない。
「美保さんが、そばにいるから……」
「うふっ……うれしい……」
 そう言って、美保さんが、ぬるま湯を出していたシャワーを止めて、僕の足元にひざまずく。
「あっ……み、美保さん……?」
 美保さんの形のいい鼻先に、びんびんになってしまったペニスを突き付けるような格好になって、僕は、思わずうろたえた声をあげた。
「ねえ、研ちゃん……してほしい?」
 甘い声でそう尋ねてくる美保さんの息を、ペニスの先端で感じる。
「う……うんっ……」
「ふふふ……何を、してほしいの?」
 自分から訊いてきたのに、美保さんは、そんなことを言いながら、いたずらっぽい目で僕を見上げた。
 唇が、寸前まで僕の勃起に近付き、そこで止まっている。
「だ、だから……フェラチオ……」
「んふっ……そんな言葉知ってるのね……。いやらしい研ちゃん……」
 美保さんは、どこか嬉しげな声で、そう言った。
「ね、ねえ、美保さん……」
 僕は、そのまま乱暴に腰を突き出してしまいそうになるのを必死に我慢しながら、美保さんに声をかけた。
「してほしいの? フェラチオ……」
 美保さんが、小首を傾げて、そう訊いてくる。
「う、うん……して、ほしい……」
「じゃあね、もっと、エッチにおねだりしてみて……」
「エ、エッチに……?」
 普段の美保さんからは考えられないようなセリフに混乱しながらも、僕は、一生懸命に考えた。
「だ、だから……えっと……僕の、チ、チンチン……美保さんの口で、舐めて……く、くわえてほしい……それから……その……吸ったりとか……」
「わかったわ……してあげるね」
 そう言って、美保さんは、ぱくっ、と僕のペニスをその口で咥えた。
「あ、あぁ……っ」
 生温かい柔らかさに勃起した肉棒を包まれ、僕は、うろたえた声をあげた。
 想像していたよりもはるかに気持ちよくて――そして、想像していたのと全然違う感触。
 それが、僕のペニスを、じょじょに根元までくるんでいく。
「あ、あうっ……あ、んっ……」
 僕は、足をカクカクと震わせてしまった。
「んちゅ……んっ……んふふ、立ってられない?」
 一度ペニスから口を離して、美保さんがそう尋ねる。
「うん……」
「じゃあ、そこに座って」
 言われて、僕はバスタブに腰掛けた。
 おふろ場のタイルの上にお尻をついて座り込んだ美保さんが、僕の足の間に顔を潜らせ、勃ちっぱなしの肉棒に唇を寄せる。
「あ、ああぁんっ……」
 ずるんっ、って感じで一気に咥えられて、僕は声をあげてしまった。
 座っているので、さっきよりもずっと、快感に意識を集中できる。
「んっ、ちゅぶ、ちゅぶぶ、んちゅっ、んむ、んふぅん……」
 美保さんの口元から、湿った音と、可愛らしい息の音が漏れる。
 僕は、それを聞いて、自分でも分かるくらい、先端から先走りの液を溢れさせてしまった。
「んっ、んちゅっ、ちゅむ……あぁん、研ちゃんの先っぽから、苦いおつゆが出てきてる……」
「ご、ごめんなさい……」
「いいのよ……あたしのお口で気持ちよくなってくれてる証拠だもの……もっと出してもいいのよ……」
 そんなことを言いながら、美保さんが、まるで見せつけるみたいに、舌を突き出して先端をねろねろと舐める。
「あうっ、あん、ああぁんっ……きゃっ、ひゃうっ……!」
 口から、自然と高い声が漏れた。
 美保さんは、先っぽを舐め続け、竿のところを指先で扱き、そして垂れ下がった袋を柔らかく揉んでくれた。
 ぴゅるっ、ぴゅるっ、と透明な汁が溢れ、美保さんの舌を汚す。
「ああっ、み、美保さんっ……」
「うふふ……研ちゃん、可愛い声……女の子みたい……ちゅっ、ちゅむむ、んちゅぅん……」
「ああんっ……そ、そんなこと……はっ、はぁっ、あっ……あああっ……!」
 亀頭の部分を重点的に攻めていた口が、再び、根元までペニスを咥え込む。
 そのまま、美保さんは、大きく頭を前後に動かした。
「んっ、んぐっ、んぶ……んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ……」
「あはぁっ……そ、それ、すごい……あああっ……で、出ちゃいそう……!」
 竿を、ピッタリと締められた唇で扱かれた上に、裏側を舌でくすぐられ、僕は、もう耐えられなくなった。
 痛いくらいの気持ちよさが、鋭くペニスを貫く。
 肉棒の根元に熱い欲望がたまり、その圧力は限界まで高まって、苦しいくらいになっていた。
「もう、もうだめェ……出ちゃうよ……み、美保さんっ……!」
「ちゅっ、ちゅぶぶ、んちゅうっ……いいのよ……遠慮なんてしないで……」
「でも、でも……でもっ……!」
 大好きな美保さんの口の中を精液で汚してしまうことへの抵抗に、僕は、必死になって射精をこらえた。
「もう……研ちゃんてば強情ね……。でも、こうしたらどう?」
「あ、あああ、あああッ!」
 じゅぼぼ、じゅぼぼ、じゅぼぼ、じゅぼぼ……!
 美保さんが、僕のペニスを吸引しながら、ピストンを激しくした。
 鮮烈な痛みが、さらに鮮烈な快感と混じり合い、僕のガマンを呆気なく破裂させる。
「あっ、ンああああああああっ! ダメっ! 出ちゃうっ! 出ちゃうーっ!」
 そう叫びながら、僕は、美保さんを押しのける代わりに、前屈みになって、その頭を思い切り腰に押し付けてしまっていた。
「んっ……んんんんんんんんんンっ♪」
 かなり苦しいはずなのに、美保さんの声は、なんだか嬉しげだった。
「あ――出るっ!」
 びゅぶっ! びゅるるるる! びゅーっ!
 背徳的で冒涜的な――凄まじいまでの解放感。
 それを感じながら、僕は、美保さんの口の中にたっぷりと射精してしまっていた。
「んっ、んんっ、んぐっ……んく、んく、んく、んくっ……」
 信じられないことに、美保さんは、僕が出したものを、喉を鳴らして飲み干していた。
「ぷふぅ……はぁん、研ちゃんてば、すごぉい……はふぅ……」
 目を細め、どこか満足げな顔で、美保さんが言う。
「美保さん……」
「研ちゃん、そんな顔しないで……。あたし、研ちゃんの精液飲めて、とっても嬉しかったんだから」
「え……?」
「本当よ」
 頬を染め、笑みを浮かべた美保さんが、立ちあがる。
「女はね、これって決めた男の人に悦んでもらうのが、とっても嬉しいの。……それに、そういう人のオチンチンに色々されちゃうのって、とってもカイカンなのよ」
「そ、そうなの……?」
「少なくとも、あたしは、ね♪」
 そう言って、美保さんは、僕に右手を差し出した。
「立てる?」
「う、うん」
 美保さんの手を取って立ちあがると、きゅっ、と優しく抱き締められた。
 窓の外で、風が鳴り、雨が激しく地面を叩いている。どうやら、台風がこの近くに上陸しようとしてるらしい。
「すごい雨と風ね……」
「うん……」
 美保さんが、僕を抱き締めたまま、言った。
「今日は……一日ハダカで過ごしちゃおっか?」
「えええっ?」
「だって、この天気だったら、どうせお客さんなんて来ないし……それに、あたしのお仕事もお休みだもの。ね?」
 美保さんは、悪戯っぽい目で、僕の顔を覗きこんだ。



 脱衣場で、体を拭いた後、ちょっと考えた。
 ハダカということは、つまり、腕時計もなしって事だ。……当たり前だけど。
 何となく、左手首の傷を、隠すように右手で撫でてしまう。
「研ちゃん」
 と、後ろから、声をかけられた。
「……」
 振り向くと、美保さんが、穏やかな顔で笑いながら、僕の左腕を取った。
 そして、僕の左手を持ち上げるようにして――ちゅっ、と手首の傷痕にキスをする。
「いいのよ。今日は隠さなくても」
 そう言われて、僕は、少し涙で目を潤ませながら、こくり、と肯いた。



 何も着ない状態で食べる朝ご飯は、何だかヘンな感じだった。
 変な気分のまま、横に並ぶでも無く、向かい合わせになるでもなく、90度の角度でちゃぶ台について、テレビを視ながらご飯を食べる。
 天気予報によると、台風は、ここらへんをかすめるようにして本州を南から北に縦断するらしい。直撃コースではないので、家が倒れたりするようなことはないと思うけど、激しい雨と風は一日中続きそうだった。
「この家、古いけど、雨漏りとかは全然無いのよ」
 どこか自慢げに、美保さんが言う。
 その美保さんは、体に何も身につけて無くて、そのくせ、腕で胸のところをさりげなく隠してたりしていた。
 頬が赤くなってるところを見ると、恥ずかしいとは思っているみたいだ。
 いや、それとも、もっと別の理由で顔を上気させているのか……。
 そもそも、美保さんは、いったいどういうつもりなんだろう?
 どうして裸のままなのかってことも、今一つ分からないし……。
 それ以上に、どうして、いきなり僕とああいう関係を結んだのかが、分からない。
 ただ、僕自身も、それについて深く考えることに、正体不明の不安を感じていた。
(大好きな美保さんとエッチできるんだから、どうしてそれ以上考えることがあるんだよ……)
 僕の中の、最も能天気な部分が、そう主張してる。
「……」
 僕は、朝ごはんを終え、洗い物をしている美保さんの後ろ姿に、視線を向けた。
 美保さんが、素肌に直接ピンク色のエプロンをつけて、食器を洗っている。
 可愛いちょうちょ結びの下に、丸いお尻が、あった。
「んくっ……」
 僕は、思わず生唾を飲み込んで、美保さんの背後に近付いていった。
 美保さんは、僕の知らない歌をハミングで口ずさみながら、白い泡にまみれたお皿やお茶碗をすすいでいる。
 それが一段落したのを見計らって、僕は、後ろから美保さんに抱き着いてしまった。
「きゃんっ……け、研ちゃんてば……」
 声をあげる美保さんのお尻の割れ目に、すでに熱くいきり立っているペニスを押し付ける。
「美保さん……」
 僕は、我ながら甘えた声でそう言いながら、手を前に回し、美保さんのたっぷりとした胸に手を重ねた。
 そして、エプロンの、胸元を覆う布地を、乳房の間に挟むような感じで中央に寄せる。
「あぅん、ふん……あふぅん……」
 たぷたぷとした白い乳房を手で揉むと、美保さんは、鼻にかかったような喘ぎ声を漏らした。
 巨大なマシュマロを思わせる柔らかなオッパイの頂点で、ダークローズの乳首がボッキしてる。
 僕は、堅くなった乳首を、指先でコリコリと刺激した。
「あっ、きゃううぅんっ……はっ、はあぁ……やぁん、感じちゃうっ……」
 美保さんが、僕の手から逃れようとするかのように、身をよじる。
 うねうねと動く美保さんの体を、僕は、上から下へと手の平で撫でた。
 滑らかで、それでいてしっとりとした肌の感触は、まるで手に吸い付くようだ。
 僕は、いつの間にか、後ろから腰を押し付けた格好のまま、美保さんのお尻を抱えるようにして撫で回していた。
「あっ……やん、やんっ……お尻は、ダメ……」
 美保さんが、困ったようにそう言いながら、こっちを見る。
「どうして……?」
「だ、だって……あん……お、おっきいでしょ……あたしのお尻……」
「……うん」
「いやぁん、やっぱり、そう思ってるう」
 美保さんが、子供みたいな声をあげて、顔を真っ赤にした。
 その表情は、何だか、本気で自分のお尻のことを気にしてるみたいだった。
 確かに、美保さんのたっぷりしたお尻は、僕の腰よりもはるかに幅がある。
「で、でも、僕……美保さんのお尻、好きだよ」
「うそうそっ! うそ言わないでっ!」
「うそじゃないよ……!」
「でも、だって……やっぱり、みっともないよォ。歌でも、“お尻のちっちゃな女の子”って言うじゃない」
 僕は、その歌は知らなかったけど、そのことはとりあえず言わないことにした。
「とにかく、僕、美保さんのお尻、大好きだよ……」
 そう言って、台所の床に膝をつく。
「け、研ちゃん、なにをするの……あぁんっ!」
 僕は、美保さんのお尻の割れ目に口を寄せ、ちゅっ、とキスをした。
「あぁん、だ、だめぇ……お尻、やぁんっ……」
 そう、今までにないくらいうろたえた声を上げる美保さんがなんだか可愛くて、何度も何度も、お尻にキスをする。
 美保さんの足の間では、アソコが、じっとりと濡れていた。
 でも、この格好だと、そこには口が届かない。
「ねえ、美保さん……お尻、もっと後ろに突き出して」
「やぁっ……恥ずかしいよお……」
 そう言いながらも、美保さんは、ゆるゆるとお尻を突き出し、そして、足を軽く開いた。
 言葉では何と言おうと、美保さんも期待しているんだ……と思うと、よけいに興奮する。
 そして、そうするのが当然であるかのように、僕は、美保さんのアソコに口を押し当てた。
「あうンっ……!」
 明らかな喜びの声を、美保さんが漏らす。
 僕は、床に正座するような格好になり、わずかに上を向きながら、美保さんのアソコをぴちゃぴちゃと舐め回した。
 舌に、柔らかな肉の感触と、体液の味を、感じる。
「あんっ、あふぅん、あっ……け、研ちゃん、すごい……あん……すごいの……」
 美保さんが気持ち良さそうな声を出してくれるのが嬉しくて、ボリュームのあるお尻を両手で抱えるようにしながら、ますます熱心に舌を使う。
 あふれ出た愛液が、僕の口元をたちまちのうちに濡らした。
「あん、あんあん、あぁんっ……はぁっ……すごい、上手ゥ……あぁんっ……あ、あーっ……!」
 美保さんが、流しの縁をぎゅっと握りながら、はぁはぁと息をする。
「ね、ねえっ、お願い……ク、クリも……クリトリスも舐めて……お願いよ、研ちゃん……」
 悩ましい声でそう言われて、僕は、アソコの前の方を、舌でまさぐった。
「はぁ、はぁ、はぁん……ひゃうっ!」
 美保さんの反応で、舌先が、そこに到達したのを知る。
 僕は、舌を尖らせるようにして、美保さんの一番敏感な部分をぺろぺろと舐めしゃぶった。
「はっ、はひっ、や、やぁんっ……す、すごくイイ……ああん、イイの……はあぁっ……!」
 美保さんの声が、ますますとろけていく。
「ああ、ああん、ああぁんっ……すごいっ、んひぃっ……! ああ、もうダメ……ダメぇ……っ! 感じるっ! 感じるうっ!」
「美保さん……きもちいい?」」
「いいっ! いいの……あぁ〜んっ、き、きもちイイ……ガ、ガマンできなくなっちゃう……! くふぅっ……!」
 ぴゅるっ、と美保さんの割れ目から、透明な液がしぶく。
「け、研ちゃん、お願い……もう、入れて……! 研ちゃんのおっきなオチンチン、あたしのアソコに入れてっ……!」
「う、うんっ!」
 僕は、あたふたと立ち上がり、さっきから上を向きっぱなしのペニスに、手を添えた。
「い、入れるよ、美保さん」
「ああ、早くう……おねがい……」
 さらにお尻を突き出しておねだりをする美保さんのクレヴァスに、ペニスの先端を潜り込ませる。
 そのまま、僕は、美保さんのお尻を抱えて、腰を進ませた。
「あ、あうっ……はああああっ……!」
 美保さんは、猫が背伸びをするような格好で、背中を反らせた。
「はぁ、はぁ、はぁ……すごいわ……ああん、どんどん入ってくる……ああぁんっ!」
「み、美保さんっ……すごく熱いよ……!」
「研ちゃんのも……研ちゃんのオチンチンも熱いの……! 熱くて、固いのが、お、奥に……あぁんっ、き、きたぁ……っ♪」
 先端が、美保さんの一番奥にまで届いた。
「ああっ……わ、分かる? 研ちゃん……そこが、あたしの子宮の入り口よ……」
「うんっ……なんか、コリコリしてる……」
「ああっ、そ、そこ、すごく感じるの……ねえっ、もっとグイグイ押し付けて……!」
「こ、こう?」
「ああっ! そ、そう……っ! ンはぁんっ、し、子宮しびれちゃう……!」
 赤ちゃんが宿る場所、というイメージしかなかった“子宮”という単語が、今は、ひどくいやらしく聞こえる。
「はっ、はっ、はっ……み、美保さん、動かしていい?」
「あぁん、も、もちろんよっ……動かして……! オチンチン、ズボズボして……っ!」
「み、美保さんっ!」
 信じられないくらいエッチな美保さんの言葉に、僕は、猛然と腰を動かした。
 熱く柔らかな膣肉が、僕のペニスをこすりあげる。
「ああんっ! あっ! あっ! あっ! あっ! は、激しいっ……! あぁんっ!」
「あはあっ……き、気持ちいいよっ……すごくいいっ……!」
 実際、朝に一度出していなければ、すぐに射精しちゃったと思う。それくらいの気持ちよさだった。
「きもちいい……美保さんのおっきなお尻、とってもきもちいいよ……」
「あん、あん、イ、イジワルぅ……お、お尻のことは、もう言わないで……ああぁんんっ……!」
「だ、だって、すごくいいんだもん……ああっ、美保さんっ……」
 ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、と音をたてて、僕の腰が美保さんのお尻を叩く。
 その音を心地よく聞きながら、僕は、美保さんのお尻に指を食い込ませ、むにむにと揉んだ。
「あんっ、あんあん……やあぁ〜ん……あひいいいいいっ……!」
 きゅうっ、きゅうっ、と美保さんのアソコが僕のペニスを締め上げる。
「ああ、美保さん……僕、もう……!」
「来て……来てっ……! あたしも、もうイクの……ああぁんっ、イっちゃうっ! イっちゃうっ!」
 ぐいん、ぐいん、と美保さんがお尻を動かす。
 その動きで、僕は、ガマンできないところまで追い詰められてしまった。
「あああ……っ! で、出ちゃう……!」
「出して……! 出して……! 出してえっ……! イッパイっ……オチンチンから、セイエキ出してェ……!」
「っ……! あ、ああぁ、あーっ……!」
 びゅるるるるるる!
 自分でも驚くほどの勢いでペニスの中を精液が走り抜け、先端からほとばしる。
「あんっ! ああぁんっ! イッ、イクっ! イクーっ!」
 僕の精液を膣奥で受け止めながら、美保さんが、ビクビクと体を震わせる。
 僕は、二度、三度、痙攣するように腰を動かしてから、がっくりと上体を倒した。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
 美保さんのなだらかな背中に体を重ね、激しい射精の余韻にひたりながら、荒い息をつく。
「んっ……ああぁ……あつい……あついわ……研ちゃんの、セイエキ……あはぁん……」
 美保さんは、ひくっ、ひくっ、と体を震わせながら、そんなことを言った。



 そして、僕は、その後も何度となく、美保さんと交わった。
 洗面所で、居間で、トイレで、廊下で……。
 雨と風がサッシを揺らし、鳴らす中で、僕は、美保さんを何度も何度も抱いた。
 美保さんが恥ずかしそうに悶えるところを見たくて、わざと、バックでした。
「あん、あんん、あぁん……ど、どうして、後ろからばかりなの……?」
 廊下で、四つん這いの姿勢で僕のペニスの動きを受け止めながら、美保さんが訊いた。
「だって……こうやって、美保さんのお尻を抱えながらすると、すっごく気持ちいいんだもん……。それに、美保さんも、何だか可愛い声出すし……」
「やんっ、やんっ……可愛いだなんて……け、研ちゃんてば……あくぅんっ……!」
「そう、その声……す、すごくいいよ……。美保さんだって、恥ずかしそうにしてるけど、ほんとは余計に感じてるんでしょ?」
 僕は、興奮のあまり熱に浮かされたようになって、そんなことを言った。
「そ、そんなこと、ないわ……あん、ああぁんっ……!」
「ウソ……ほら、中が、きゅうきゅう動いてる……僕のを、締め付けてるよ……」
「あ、ああぁん、だってえ……あん、あんあんあんっ! け、研ちゃんのイジワルっ……イジワル、イジワルうっ……あはぁ、はん、はぁあんっ……!」
 そう言いながらも、美保さんの声は甘くとろけ、体はいやらしくうねっていた。
 板敷きの廊下に、二人の汗と、つながった場所から盛れる液体が、ぽたぽたと滴る。
 美保さんの愛液にまみれたペニスが、熱い肉のぬかるみに出入りする様を見ているうちに、僕は、その日何度目かの射精欲求を感じていた。
「ねえ、美保さん……もう、出していい……?」
「うんっ、いいっ、いいよっ……! 研ちゃんの、中に出してもらえば、あたしも、たぶん、イク、から……ああああああああんっ!」
 そう言いながら、美保さんは、大胆にお尻を前後に揺らし、左右に振った。
 さらには、アソコの中の肉がグニグニと動き、僕のペニスを根元から先端へと締め付けてくる。
「あっ、うああっ! アソコに搾られてるみたい……あああっ!」
「うふっ……そうよ……あたし、研ちゃんのオチンチンから、オマンコでミルク搾っちゃうんだからっ……んっ、んくううううううンっ!」
「あっ、あっ、あっ、あーっ……! で、出るッ……!」
 びゅーっ! びゅーっ! びゅーっ! びゅーっ!
 激しい勢いで、何度も何度も、精液を放つ。
「あっ、イ、イク、イクぅ……っ! イっちゃううううぅぅぅぅ〜ッ!」 
 美保さんが、まるで犬か猫みたいな姿勢のまま、背中を反らすようにして、絶頂を極めた。
 そんな美保さんのお尻を引き寄せ、腰を密着させて、最後の一滴まで、ザーメンを注ぐ。
 僕は、美保さんの全てを征服してしまったような気持ちになった。
「はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……」
 僕は、まだ萎えてないペニスをゆっくりと抜き、ぺたんとその場に座り込んだ。
 しばらく後、まだお尻を高く上げたままの美保さんのアソコから、とろーっ……と僕の精液が溢れる。
 僕は、それをぼんやりと眺めながら、新たな欲望が胸の内に湧き起こるのを感じた。
 そして――
 そして、僕は、その後も何度となく、美保さんと交わったのだった。



 セックスして、裸のままちょっと家事をして、またセックスして、一緒に夕飯を作って、そしてまたセックスして、テレビを視て、それからまたセックスをした。
 少しずつ、外の台風は、力を弱めているようだった。
 そして、いつの間にか、僕と美保さんは、美保さんの部屋に敷かれた布団の上で、並んで横になっていた。
 仰向けになって、ぼんやりと天井を見ている僕の右側に、美保さんがいる。
 美保さんは、僕に寄り添うような感じで、左側を下にして横になっていた。
 美保さんの右手が、さっき精液を放ったばかりの僕の肉棒を、指先でイタズラするように扱いている。
 その刺激で、僕のペニスには、またも血液が集まりだしていた。
「う……っ」
 思わず、僕は小さくうめいてしまう。
「どうしたの?」
「ちょっと……ヒリヒリする……」
「痛いの?」
「ん……少しだけ……」
 僕がそう言うと、美保さんは、ペニスをいじるのをやめた。
 何となくそれが寂しくて、美保さんの方を向く。
「もしかして……まだしたいの?」
「……うん」
「痛いんじゃないの?」
「痛いけど……やっぱり、したいよ……」
「もう……しょうがないわね……」
 そう言いながらも、美保さんは、ぺろりと舌で唇を舐めた。
「でも、研ちゃん、疲れてるんでしょう?」
「それは……」
「いいわ。あたしが、上になってあげる」
 そう言って、美保さんは、僕の体に覆いかぶさった。
 釣り鐘型になった大きな胸が、僕の胸に触れる。
 騎乗位――言葉は知ってるけど、初めての体位だ。
「いくわよ……」
 そう言って、美保さんは、僕のペニスを右手で優しく握り、もぞもぞと腰を動かした。
 くちゅ……と濡れた肉ひだに、僕の肉棒の先っぽが触れる。
「んっ、んんっ、んふ……んんっ……」
 美保さんが、僕の腰に腰を密着させるようにする。
 ずぶぶぶぶ……と、温かな肉の狭間に、僕のモノが飲み込まれていく。
「あ、ふぅっ……まだ入ってくる……研ちゃんの、とっても立派よ……あぅんっ……!」
 そして、とうとう、アソコに根元まで僕のペニスが収まった。
「はぁ、はぁ、はぁ……み、美保さん……」
「研ちゃん……」
 僕と美保さんの唇が、重なる。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ……」
 鼻から悩ましい息を漏らしながら、美保さんが、ゆっくりと腰を動かし始める。
 ねっとりと絡み付くような湿った感触が、ずずず、ずずず……と僕のペニスをこすり上げる。
「ふ、ふぁあっ……す、すごい……研ちゃんの、とっても固いわ……あうううっ……」
「はあっ、み、美保さんの中、とっても柔らかいよ……それに、とっても熱い……」
「うん、うぅん、うん、うふ、ふぅん……ああっ、研ちゃん……つらくない?」
「そんなことないよ……ああ、ああ、ああ……ず、ずっと、このままつながってたい……ずうっとセックスしていたいよォ……!」
 ズキズキと疼くような痛みと、それを上回る快感に、僕は、そんなことを口走っていた。
「あはぁっ……う、嬉しいっ……!」
 そう言って、美保さんが体を起こした。
 そのまま、まるで体に火がついたみたいに、激しく腰を使う。
「あっ、あっ、あっ……み、美保さんッ……!」
 僕は、たぷたぷと揺れる美保さんのオッパイに両手を伸ばした。
 そして、指が食い込むくらいに、手の中の柔らかな乳房をこね回し、揉みしだく。
「あん、ああぁん、あん、あん! も、もっと……もっとオッパイ揉んでっ……!」
「こう? こう? これでいいのっ?」
「そう、そうよ、そう……あ、ああああああっ! いいっ、いいいいいいい! も、もっと……ああああんっ、あんっ!」
 美保さんは、僕がもたらす快感に、体をくねらせ、首を振った。
 髪留めが弾け飛んだのか、ばさり、と美保さんの黒髪が広がり、乱れる。
「ああっ、あっ、あっ、あーっ……! す、すごいっ……ああんっ、ああああっ……! か、研ちゃん……っ! 乳首も、乳首もシテっ!」
「うんっ……!」
 僕は、すでに充血し、固くしこっている美保さんの乳首を指でつまみ、くりくりといじくった。
「ああっ! イイッ、イイッ、イイッ、イイ〜ッ! もっと、もっとシテっ……! あうっ! あああああああああああああああああ!」
 美保さんの求めに応じ、乳首を引っ張り、指で扱く。
 そうしながらも、僕は、美保さんのアソコによってもたらされる快感に、いっぱいいっぱいになっていた。
 脳が、甘い熱で、飽和する。
「み、みほさん……っ! みほさぁんっ……!」
「研ちゃん、研ちゃん、研ちゃん、研ちゃん、研ちゃん……あああああ、あひいいいいいいいい!」
 狂ったように叫び声をあげながら、狂ったように体を動かし、狂ったように快楽をむさぼる。
 そう、その時、僕たちはおかしくなっていたんだと思う。
「研、ちゃんっ……!」
 美保さんが、前に倒れ込み、僕の頭を掻き抱いて、自らの乳房に押し当てた。
「吸ってっ! 吸ってっ! 吸ってっ! 吸ってっ! オッパイ吸ってっ! ミ、ミルク出ちゃうくらいに、いっぱい吸って! 吸ってェ〜っ!」
「んっ、んぐっ、むぐ……じゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅッ!」
 僕は、返事をする余裕もなく、美保さんの勃起した乳首にむしゃぶりつき、吸い上げた。
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ〜! いいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜っ!」
 おそらく、血がにじむほどに僕の歯が当たっているはずなのに、美保さんが歓喜の悲鳴をあげる。
 限界、だった。
 視界が漆黒になり――深紅になり――純白になって爆発する。
 そして、ぼくは、まるで熱い血を出してしまったんじゃないかと思うくらいに、激しい射精をした。
 ビュッ! ビュビュッ! ブビュビュビュビュビュビュ! ビュウウウウウウウウウゥー!
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 美保さんが、絶叫しながら、僕を、強く強く抱き締めた。
 ビュッ! ビュッ! ビュッ! ビュッ! ビュッ! ビュッ!
 ペニスが、何度も何度もしゃくりあげ、激痛と快楽を刻みながら、射精を繰り返す。
「イク、イク、イク、イク、イク、イク〜っ! イクーっ! イクーっ! イクーっ! イ……クふううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!」
 何も、分からなく、なる。
 イタイのか、キモチイイのか、その境界すら。
 そして――
 五感が、普通に戻った時には、雨が優しく窓を叩く音と、かすかな美保さんの寝息が、僕の耳をくすぐっていた。 
 意識が、闇の中に、石が落ちるような速度で沈んでいく。
 何か、大事なことを忘れているような気がしながら……僕は、気を失うようにして眠りに落ちてしまった。



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