隷嬢二人



第十一章



 ――留学?
 ――ええ……。
 ――急な、話だな。
 ――それでね……貴方と会うのは、これでおしまいにしたいの。
 ――どうしてだ?
 ――どうしてって……。
 ――何年だか知らないが、俺が待てないとでも思ってるのか? そもそも、留学だってあのクソ野郎の言い付けなんだろう?
 ――父を悪く言うのはやめて。貴方のお母さんの事は、父だけの責任ではないはずよ。
 ――なら、お前も、俺の母親のことを持ち出すのはやめてくれ。
 ――……留学は、私の意志よ。もう、これ以上お付き合いしない方がいいと、私が思ったの。
 ――……そうか。
 ――ええ。
 ――琴乃のことだ。理由が、あるんだろう? さぞご立派な理由が。
 ――そういう言い方は、卑怯だわ。
 ――……悪い。
 ――気になって、調べてみたのよ。貴方のお母さんと、それから、父のことを。
 ――お前がか? いや……むしろ、お前らしいな。
 ――……。
 ――で、何が分かったんだ?
 ――もちろん話すわ。巳洞さんには、知る権利があるもの。
 ――……権利?
 ――ええ……実はね……。



「はぁ……」
 夏希は、一人屋上にたたずみ、どこか熱っぽいような溜息をついた。
 空はどんよりと灰色に曇っている。
 残酷な拘束具に性器と排泄器官を封じられて、一週間近く――
 ペニスと、ヴァギナと、アナル……三つの箇所が、常にとろ火で炙られているかのように、淡い自己主張を続けている。
 そこに意識を向けると、快感未満の、重苦しいような感覚が、屈辱とともに胸の中に迫り上がった。
 ここ数日の間、自分が、他の人とは全く異なる性器の持ち主であることを、常に、強制的に思い知らされている。
 夏希の母は、宗教団体系列の運動家であり、夏希が手術を受けることを、不可解な戒律に基づき拒否し続けていた。
 いや、現在の夏希の母は、夏希がそういう体の持ち主であることから目を逸らし続け、ついには自らの記憶と思考の一部を封印してしまっている。
 かつて、精神の平衡を失った母親が、夏希のそれを悪魔の体だと罵ったこともあった。だが、現在、夏希の母はそのことすら忘れ去ってしまっているように見える。
 夏希の母親は、もはや、現実をきちんと把握できる状態ではないのだ。
 そして、若手代議士である夏希の父は、そんな妻と、そして娘である夏希を、顧みなくなって久しい。
 それは、下手に動いてスキャンダルが発生するのを恐れていると言うより――やはり、現実を把握することを忌避してるように、夏希には見えた。
 自分の、たった三人の家族は、互いから目を逸らし合っている。
 この――自分の、忌まわしい器官ゆえに。
 そして、その男女双方の形質を備えた性器が、自分に、全てを忘れさせるほどの快楽をもたらすのだ。
「姫ちゃん……」
 奥住姫乃――
 誰もが名前を聞いたことのある有名企業の、社長令嬢。
 後妻の娘でありながら、姫乃の家族に対する思いは、いささかも屈折していないように見えた。
 父親である滋臣は、世間的にはあくのつよい人物として知られており、悪い噂も絶えないが、それでも姫乃を溺愛しているということだけは確かなようだ。
 母親の佳織だけは姫乃に冷たいようだが――兄の君貴も、姉の琴乃も、姫乃には優しく接していたことを、夏希は知っている。
 そんな姫乃が、夏希には、とても眩しく感じられた。
 姫乃への好意も、実は、彼女の“家族に対する態度”への憧れから来ていたのかもしれない。
 姫乃の、無垢な明るさに満ちた笑顔。
 やや複雑な家庭環境にありながらも、屈託なく笑う姫乃が、羨ましかった。
 その思いが、どうしてああまで狂おしいものになってしまったのか。
 いや、自分はもしかすると――
「なっちゃん?」
 と、姫乃の声が、後ろから響いた。
「どうしたの? こんなとこで……」
 振り返ると、心配そうな表情を浮かべた姫乃が、じっとこちらを見ている。
 まだ幼さを多分に残した、小さな体――その中で、アンバランスなほど大きな乳房が、夏服を内側から膨らませている。
 その顔も、細い手足も、長く伸ばした髪も、全てが清楚で可憐であるがゆえに、異様な淫らさを感じさせずにはおかない肢体だ。
 その上――姫乃は、今の自分と同じように、貞操帯によって性器を封印されている。
「んっ……」
 ずきん、と夏希のペニスが疼いた。
 一日に何度も射精をすることに慣らされたペニスが、些細なきっかけで勃起しようとしている。
 が、筒状の器具によって下向きに拘束されているペニスには、それが許されていない。
「ねえ、なっちゃんてば……」
 姫乃が、夏希の目の前まで近付いてくる。
 甘い声の響きと、潤んだような瞳の色――かすかに漂う、清潔なリンスの香り。
 それが、夏希を追い詰めつつあることに、姫乃は気付いていない。
「な――なんでもないよっ!」
 大声をあげて身をかわす夏希に、姫乃が目を見開いた。
「ご、ごめん……なっちゃん……」
 姫乃は、震える声で夏希に言った。
 最近、二人はまともな会話を交わしていない。夏希の方が、それを拒むかのように姫乃を避けていたのだ。
 姫乃が近くにいれば、股間のモノが、鋭い痛みに苛まれる――が、それだけではない。
(だって……ボクがこんなに苦しい思いをするのは……)
 姫乃のせいだ、と、口に出しては言わないが、恐らくは表情と視線で語ってしまっているだろう。
 姫乃の容姿が――巳洞の言いなりになる態度が――その存在そのものが、貞操帯とともに、夏希を追い詰める。
 今日は、土曜日。姫乃とともに、巳洞の部屋に行かなくてはならない日だ。
「姫ちゃん……お願いだから、ちょっと一人でいさせて……」
 夏希は、まるで睨むような視線で姫乃を見つめながら、言った。
「あ……うん、ごめんね……」
 姫乃が、素直すぎるほど素直に肯いて、夏希に背を向ける。
 小さな影が、校舎の中に消えた。
 夏希が、屋上で一人、じっと佇んでいる。
「……」
 どれほどの時間が経ったのか、夏希自身にも分からない。
 ますます暗くなった梅雨空から、ぽつ、ぽつ、と雨粒が落ちてきた。
 次第に強くなる雨の中で、それでも夏希は、身動きしようとしなかった。



 決められたチャイムの音に巳洞がドアを開けると、そこに立っていたのは姫乃だけだった。
「……夏希はどうした?」
 いまだ雑然と散らかったままのリビングに姫乃を上げてから、巳洞が訊いた。
「あ、あの……雨に濡れちゃったから、着替えてくるそうです……」
 ひどく緊張した面持ちで、姫乃が答える。
「ふん……」
 巳洞は、少し考えてから、再び口を開いた。
「自分だけ逃げ出したんでないといいけどな」
「なっちゃんはそんな子じゃありません!」
 姫乃が、巳洞が驚くほどに強い口調で言う。
「……そうかもな」
 巳洞は、そう言ってから姫乃を抱き寄せた。
「あ……」
「何にせよ、しばらく二人きりってわけだ」
「あ、あの……」
 何か言いかける姫乃の小さな口を、巳洞が、唇で塞ぐ。
「んっ……」
 姫乃は、ほとんど抵抗することなく、巳洞の口付けを受け入れてしまった。
 次第に余計な力が抜けていく姫乃の体を、巳洞が、しっかりと抱き締める。
「んっ、んぅん……んん……んふ……ふぅん……」
 姫乃の鼻から、まるで、媚びるような響きを帯びた息が漏れる。
 巳洞が唇を離した時、姫乃の顔は、ぽおっと桜色に染まっていた。
「こっちだ」
「はい……」
 巳洞に導かれるまま、姫乃は、脱衣場に向かった。
 そして、服を脱ぎ、貞操帯だけを身につけた姿になる。
 バスルームで、巳洞は、一週間近く姫乃のその部分を戒めていた拘束具を外した。
 だが、アナルプラグはそのままだ。
「手を壁について、尻をこっちに向けろ」
「はい……」
 姫乃が、巳洞の命令に従い、黒い淫具を咥え込んだアナルを、巳洞に向ける。
 アナルプラグの中央は、一方通行の弁になっている。そこに、巳洞は黒いゴム製のチューブを接続した。
 チューブのもう片方は、巨大な注射器を思わせる浣腸器につながっている。
「ああ……」
 姫乃が、絶望の吐息を漏らす。
 その中に、わずかな期待の色を感じ取りながら、巳洞は、姫乃の体内に薬液を注入した。
「あ、あくっ、う……ううぅ……」
 温められた薬液が腸内に染み込んでいく感覚に、姫乃が声を漏らす。
 巳洞は、プラグからチューブを外し、後ろから姫乃を抱き締めた。
 そして、そのたわわな双乳をすくい上げるように手の中に収める。
「あうン……」
「限界になったら、言えよ」
 そう言いながら、巳洞は、姫乃の乳房をやわやわと揉み始めた。
「あ、あくぅ……んっ……あはぁっ……」
 姫乃が、顔を真っ赤にしながら、甘い声をあげた。
 驚くほどに育ってしまった乳房の頂点で、乳首が尖り、乳輪までもがぷっくりと膨れている。
「あ、あう……んっ……ああっ……あああ……」
 体内で育っていく、甘い快感と、切迫した排泄欲求に、姫乃が汗を滲ませる。
 体の内にこもる熱で、快楽と苦痛が溶け合い、より大きな感覚になっていくのを、姫乃は感じていた。
 時折、巳洞が、まるでいたわるような優しい手つきで、姫乃の腹部を撫でる。
「ああっ……んあああっ……ご、ご主人様ァ……」
 その言葉を口にすると、なぜか、体の奥が疼く。
 自分が、まだ触れられてもいないうちから愛液を滴らせているのを、姫乃は茫然と自覚していた。
「あっ、あああっ、ああっ……はーっ、はーっ、はーっ……ご主人様……私、もう……」
「どうした?」
「あ、あの……もう……私、ガマンできません……」
 その形のいい細い脚をぷるぷると震わせながら、姫乃が訴える。
「もっと下品な言い方で言ってみろよ」
「あう……っ」
 いつもの巳洞の要求に、ちらっ、と姫乃が、恨みっぽい視線を、肩越しに寄越す。
 涙に濡れたその黒い瞳は、幼い顔に似合わない、どこか妖しい光をたたえていた。
「あ、あの……姫乃……もう、おトイレをガマンできません……」
「小便か? だったら遠慮せずにやっちまいな」
 そうからかうような口調で言いながら、巳洞は、姫乃の秘裂に指を這わせた。
「きゃうっ……!」
「ククッ……もう漏らしちまったのか? びしょびしょだぜ?」
「ちっ、ちがい、ます……そっちじゃ、ありません……あふぅん……」
 はぁっ、はぁっ、と舌を突き出すようにして喘ぎながら、切れ切れに姫乃が言う。
「ウ……ウンチです……姫乃に……ウンチ、させてください……」
 姫乃が、羞恥の涙を目尻に浮かべる。
「ふふふっ……可愛いな、お前」
 巳洞は、そう言って、アナルプラグの空気弁を緩めた。
 シュッ、という音とともに、これまでずっと括約筋を広げていた圧力が、嘘のように弱まる。
「あ、あの……ここでですか?」
 姫乃は、声を震わせた。
「安心しろよ。多少汚れたって、すぐにキレイにしてやるさ」
「ああ……で、でも……でもっ! せめて、おトイレで……!」
「奴隷であるお前に、そんなのは贅沢だよ」
「そ、そんな、ひどい――!」
 姫乃の抗議にも構わず、巳洞は、アナルプラグを引き抜きにかかる。
「だ、だめです! 今、それを抜かれたら――あうんっ!」
 ずるん、とプラグを抜かれる、偽りようもない肛虐の快美感――
「あ、ああ、あ……ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメーっ!」
 姫乃は必死にこらえようとするが、今まで開きっぱなしにさせられていたアナルは、暴力的に高まった圧力に抗すべくもない。
「あっ、ああっ、あ――で、出ちゃう……! あああああああ〜ッ!」
 ぶばばばばばばばばばばばっ!
 姫乃は、声を上げながら、大量の便を排泄した。
 五日分の固まりが直腸をこする感触によって、視界にチカチカと星が舞う。
「あ、ああああっ……だめ、だめぇっ! は、恥ずかしい……っ!」
 そう言いながらも、姫乃は、変態的な快楽にぞくぞくと背中を震わせてしまっていた。
 強烈な臭気が、バスルームに満ちる。
「あうう……っ」
 汚辱感に新たな涙を滲ませながら、姫乃は、被虐の快感にさらなる蜜を溢れさせてしまう。
 奔流が、収まった。
 巳洞が、コックをひねり、シャワーを姫乃の下半身に当てる。
「あんっ……あはああぁぁぁ……」
 姫乃は、どこか安堵したような声を上げながら、アブノーマルな快感の余韻に、ひくっ、ひくっ、と体を震わせていた。



「四つん這いだ」
 体を洗った後、バスルームから上がった姫乃に、巳洞が言った。
「はい……こうですか?」
 姫乃が、巳洞の言うとおりに、敷きっぱなしの布団の上に、両手と両膝をつく。
 巳洞が、小さく肯き、姫乃の後ろに膝立ちになった。
 そして、前触れもなく、姫乃の秘所に触れる。
「あうっ……」
「すごい濡れ方だな」
「んんっ……は、恥ずかしいです……」
 巳洞が自分の秘唇を弄ぶクチュクチュという音を聞きながら、姫乃が声を上げる。
「欲しいのか?」
「は……はい……ご主人様の……オ、オチンチン……ほしい、です……」
 姫乃が、自ら卑猥な言葉を口にする。
「ふふン……良家のお嬢さんともあろうもんが、イヤらしくなったもんだな」
「そ、そんな言い方……ひどいです……」
 そう言いながらも、姫乃は、巳洞の愛撫に抗うことができない。
「いいんだぜ……欲しいなら欲しい、好きなら好きって言えよ。――好きなんだろ? セックスするのが」
「……ハイ……好き、です……」
 牝犬の姿勢のまま、まるで恋の告白をする時のようにはにかんだ声で、姫乃が言う。
「よし……じゃあ、姫乃に、別なセックスのやり方を教えてやるか」
 そう言いながら、巳洞は、愛液にたっぷりと濡れた指で、姫乃のヒップの割れ目に触れた。
「きゃうっ!」
 姫乃が驚きの声をあげるのにも構わず、指先で、ココア色の可憐なすぼまりを撫でさする。
「ダ、ダメです……そこ、汚いです……」
「気にすんな、そんなこと」
「でも、でもォ……ああうっ、あんっ、あああんっ!」
 排泄のための器官に触れられることへの忌避感と、偽りようもない快感に、姫乃が声をあげる。
 とろとろと新たに溢れ出た少女の蜜を、巳洞は、さらに彼女のアナルに塗りこめていった。
 姫乃のその部分が、愛液によって卑猥に濡れ光る。
「あ、あうっ、きゃ、きゃぅ……ご、ご主人様ァ……あひっ……!」
 巳洞の指が、姫乃のアナルに押し付けられ――そしてゆっくりと挿入されていく。
「ひあんっ……!」
 本来の排泄とは逆向きの感覚に、姫乃が悲鳴のような声をあげた。
「ククッ……入れる前に、よくほぐしておかないとな」
 徐々に指を挿入していきながら、巳洞が言う。
「い、入れるって……まさか……」
「もちろん、チンポを入れるのさ。アナルセックスってやつだ」
「そ、そんなこと……無理です……あうっ、あ、あああああああっ……!」
 肛門の内側を指で擦られる感触に、姫乃が言葉を途切れさせる。
「無理なものか。そのために、ここを開発してきたんだからな」
「そ、そん、な……あうっ、ああ、ダメです……そんなこと……ああんっ!」
 ぬぷ、ぬぷ、ぬぷ、ぬぷ……と、愛液にたっぷりと濡れた指をアナルに抽送され、姫乃が高い喘ぎ声をあげる。
「ああんっ、あうぅ……あ、あひん……あぁ……あふ……あぅん……はんっ……あはぁっ!」
 ごまかしようのない快楽の声を上げながら、姫乃が、きゅっ、とシーツを小さなこぶしで掴む。
 巳洞は、その指の動きを、ますます大胆にしていった。
 すでにアナルプラグによる調教を受けていた姫乃のそこは、巳洞の卑猥な指の動きを受け止め、変態的な快楽を感じ続けてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ご、ご主人様っ……ヘンです……なんだかヘンですっ……んあうっ……」
「感じてるんだな?」
「そ、それは……や、あぁんっ……あふ……ああん、あん……やあぁん……」
 甘えるような、媚びるような響きを、姫乃の喘ぎが帯びる。
 巳洞は、一度指を抜き、今度は人差し指と中指の二本をそろえて挿入した。
「んんんんんんっ……!」
 さすがに苦しげな声を上げながらも、姫乃は、それを受け止めてしまう。
「あっ、あうっ……はふ……んあ……ああぁ……」
 姫乃が、顔を赤くしながら、わずかに舌を突き出し、喘ぐ。
 その秘裂はあとからあとから淫蜜を溢れさせ、肛門愛撫への潤滑液を供給した。
 巳洞が、腰を突き出し、しとどに濡れた姫乃のクレヴァスに、ペニスを触れさせる。
「ああぁっ……!」
 ペニスの熱さを粘膜で感じ、姫乃は濡れた悲鳴を上げた。
 巳洞が、姫乃のアナルに指を挿入したまま、肉棒を淫裂にこすりつける。
「あんっ、ああんっ……あふ……あは、あああ……ああぁんっ……!」
 馴染みのあるクレヴァスの快楽と、まだ慣れていないアナルの快楽が、姫乃の小さな体の中で混じり合う。
 巳洞は、ペニスにたっぷりと愛液を塗りたくってから、腰を引いた。
 そして、アナルから指を引き抜き、ペニスの先端を当てる。
「ああぁ……」
 アナルに亀頭が押し付けられるのを感じ、姫乃が怯えた声を上げる。
「ほ、ほんとに、するんですか……?」
 そう言いながら、姫乃は、肩越しに巳洞の顔を見上げた。
「ああ。……トイレでするようにいきんでみろ」
「そ、そんな……」
 姫乃が、羞恥に顔を伏せる。
「何今さら恥ずかしがってんだよ。さんざ俺にウンコするとこ見られてるだろ?」
「あうぅ……」
「ほら、きちんとしないと痛いだけだぞ」
 そう言って、姫乃の腰を固定し、ペニスを前進させる。
「ああ……うっ……んんんっ……こ、こうですか……?」
 姫乃が、排泄する時の要領でいきみ、アナルでペニスを迎え入れようとする。
「ああ、そうだ……入れるぜ」
 粗野な言い方とは裏腹に、巳洞は、慎重に腰を進ませた。
「ああ……こ、怖い……んっ、ああうっ、んんっ……!」
 愛液に濡れた丸い亀頭が、可憐なすぼまりを、ゆっくりと押し広げていく。
 姫乃のアナルは、巳洞の侵入を、少しずつ、少しずつ、受け入れていった。
 そして――
「あうんっ!」
 ずるん、と、亀頭部分が、姫乃のアナルを通過した。
 巳洞は、さらに腰を突き出した。
「あ、ああう……んあ……あ、あはぁ……」
 ずずずずず……と、愛液に濡れた肉竿が、姫乃のアナルをこする。
 が、一番太いところを過ぎた後の挿入は、意外なほどスムーズだった。
 姫乃のアナルが、とうとう、巳洞のペニスを根元まで咥え込む。
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……」
「根元まで入ったぜ、姫乃」
 巳洞が、呼吸を整えている姫乃に言う。
「痛いか?」
「い、いえ……でも、ちょっと苦しい、です……」
「ふふ……今に、気持ちよくなってそんなこと忘れちまうさ」
「ああ、そんな……」
「動かすぞ」
 そう宣言して、巳洞は、姫乃の返事を待つことなく、腰を使い始めた。
「あううっ――んああ――あう――あああんっ!」
 巳洞のペニスが、姫乃の肛門を出入りする。
 その度に、姫乃のその部分は無残に外側に引き出され、そして、体内に押し戻された。
 ずるる、ずるる、ずるる、ずるる……
 巳洞のごつごつとした肉幹が肛門の内側を擦り、敏感な粘膜を刺激する。
 それは、まるで終わりのない排泄を無理矢理に続けさせられているような感覚だった。
「は、はひい、ひあ、あああ……あうっ、あああっ、あっ、あうううっ!」
 姫乃の声が、次第に大きくなっていく。
「気持ちいいか?」
「わっ、わかりません……ああうっ、あっ……はぐう……あんっ、あああんっ……!」
「ククク……自分が感じてるのかどうかも分からないのか?」
「だ、だって……こんなの、初めてで……あああん! あくうっ! ひはあっ!」
「その割には、こっちはグチョグチョになってるぞ」
 そう言って、巳洞は、姫乃の細いウェストを抱えていた右手を、前に回した。
「あああアンっ!」
 ぬちゅっ、と秘裂に指が潜りこんでくる感覚に、姫乃が甘い悲鳴をあげる。
 少女のそこは、かつてないほど大量の蜜を溢れさせ、太腿の内側まで濡らしてしまっていた。
 巳洞が、抽送を続けながら、熱く濡れたクレヴァスで指をうごめかす。
「あうううっ、あんっ、ああんっ、あん……あはぁン!」
 姫乃の腰の中で、二つの感覚が絡み合い、融け合って、一つの大きな感覚となる。
 それは、かつて感じたことがないほどの快感だった。
「あひっ、あは、ひ、はひぃっ……! そ、そんな……あうっ、あああっ、あんっ、あくうっ!」
 排泄器官を犯される事で快楽を覚えている自分自身に戸惑いながらも、姫乃の理性は、熱く甘い大波に押し流されてしまう。
 下半身全体が焼け付くように熱く、その中でもアナルはまるで燃えているようだ。
「ふふ……やっぱり感じてるんだな?」
「あ、あああっ……は、はいィ……かんじ、ます……んあああっ、あうっ、あはうっ! き、気持ちイイですゥ……!」
 自らの肛門を犯している男に、少女が、変態的な快楽を感じていることを告白する。
 巳洞は、秘部から手を離し、再び姫乃の腰を固定してピストンに集中した。
 それでも、姫乃の甘い喘ぎは止まることがない。
「ひっ、ひいいんっ! す、すごい……すごいですっ……あ、あああっ! お、お尻、すごい……あくううっ!」
 皺が無くなるほどに引き伸ばされたアナルが、懸命に巳洞の剛直を咥え込み、快楽を貪っている。
 そのきつい締め付けに、痛みにも似た快感を感じながら、巳洞は、腰を動かし続けた。
「ああ、ああ、ああ、ああ、ああ、あああああああ――!」
 抽送に合わせて、姫乃が、追い詰められたような声をあげる。
 と、その時――決められた間隔で、チャイムが鳴った。
 巳洞が、腰の動きを止める。
「夏希が来たようだな」
「え――?」
 巳洞の言葉に、絶頂寸前にまで性感を高めていた姫乃が、どこか物足りなげな声をあげる。
「さて、じゃあ、このまま出迎えるぞ」
「こ、このまま……? きゃんっ!」
 ぐん、と腸内のペニスを動かされ、姫乃は高い声をあげた。
「ほら、このまま立つんだよ。ケツで俺と繋がってるところを夏希に見せ付けてやるんだ」
「そ、そんな……あううっ、ひんっ、あひいんっ!」
 悲鳴をあげながらも、姫乃は、巳洞のペニスに持ち上げられるように、よろよろと布団の上で立ち上がった。
 アナルには、巳洞のペニスが挿入されたままだ。そのため、大きく前屈みになってヒップを後ろに突き出した、ひどく不自然な格好になる。俗に立ちバックなどと言われるような姿勢に近い。
「あ、あああ……こ、こんなの……」
「ほら、歩くぞ」
「あうっ! だ、だめですゥ……あんっ、ひいんっ!」
 腸内に挿入されたペニスに体内を小突かれるようにして、姫乃は、よろよろと足を進めた。
 巳洞が、姫乃を廊下へと誘導しながら、テーブルの上の何かを掴む。
 姫乃は、時折手を床につきながら、覚束ない足取りで廊下を歩いた。
「あ、あひ……はふ……ああぁ……んああぁっ……!」
 足を前に出すたびに、アナルがよじれ、ペニスと擦れているように感じられる。
 収まりかけていた快感の炎が再び燃え上がり、姫乃の心を蕩かせていく。
 再びチャイムが鳴らされたとき、ようやく、姫乃は玄関に到達していた。
「は、はあ、はあ、はあ、はっ、はあっ、はひ……」
 両足を踏ん張り、両手の指先を床についた格好で、姫乃が荒い息を漏らす。
「ドアの鍵を開けてやれ」
「は、はい……」
 すでに姫乃の頭の中には、外の誰かにこの痴態を見られるかもしれない、などという懸念はなくなっている。
 姫乃は、言われるままに、どうにか上体を持ち上げ、ドアのロックを解除した。
 そして、震える手でドアを開く。
「――キャッ!」
 ドアの向こうの人影が、高い悲鳴をあげた。
「早く上がれよ」
 巳洞は、ラフなTシャツとホットパンツで発育のいい体を包んだ夏希に、そう声をかけた。
「……」
 夏希が、全裸のままつながっている姫乃と巳洞から目を離すことができないまま、玄関に上がり、後手にドアを閉める。
「悪いな。先に始めさせてもらってるぜ」
 そう言いながら、巳洞は、ゆるゆると腰の動きを再開させた。
「あ、あうっ……くふぅ……あん、あああんっ……!」
 立ったまま四つん這いに近い格好になっている姫乃が、唇から甘い喘ぎを漏らす。
「今、アナル貫通式の真っ最中さ。最初から見られなかったのは残念だな」
「ア、アナル……?」
「姫乃のケツの穴に、チンポ入れてやってるんだよ。こっちの方も随分気に入ったみたいだぜ」
 そう言いながら、巳洞は、えぐるような動きを姫乃の腸内に送り込んだ。
「あうっ、あくうっ! あひっ! あひィン!」
 姫乃が、声を高くして悶える。
 だが、それが、苦痛ではなく快楽に対する反応なのだということは、夏希にも分かった。
「姫ちゃん……」
 そんな姫乃の姿に圧倒されながら、夏希は、辛そうに眉を寄せ、唇を噛んだ。
「どうした? チンポがきつくなってきたか?」
「う、うるさいっ……ぐっ、あうう……」
 夏希は、ますます顔をしかめ、前屈みになる。
「ククク……同じものを持ってる者として同情するぜ」
 そんな言葉で夏希を嘲弄しながら、巳洞は、姫乃の右腕を緩く後ろに捻った。
「んあ……?」
「これで、夏希の貞操帯を外してやれ」
 そう言って、姫乃の右手に、先程テーブルの上から拾い上げた銀色の鍵を持たせる。
「ハイ……」
 姫乃は、虚ろな声でそう返事をして、夏希のホットパンツに手をかけた。
 巳洞が、腰の動きを緩めながら、そんな姫乃を見ている。
「なっちゃん……これ、脱がせちゃうね……」
「ああ、姫ちゃん、そんなこと……」
 そう言いながらも、勃起しかけたペニスを貞操帯によって押さえつけられている夏希は、その激痛ゆえか抵抗することができない。
「はぁ、はぁ、はぁ……んしょ……あふぅ……」
 姫乃は、夏希の体にすがりつくような格好で、どうにかホットパンツを下ろした。
 そして、何度か失敗してから、夏希の貞操帯に、鍵を挿し込む。
 秘部を縦に覆っていた金属帯が緩み、ペニスを収めていたケースごとずり落ちた。
「んっ……!」
 びいん、と音がしそうなほど勢いよく、夏希のペニスが立ち上がった。
 その先端からは透明な腺液が溢れ、剥けかかった仮性包茎の包皮は白い恥垢にまみれている。
「あうぅ……」
 自らのペニスが放つきつい性臭に、夏希は、頬を真っ赤にそめながら顔を背けた。
 一方、姫乃は、その強烈な臭気に、とろんと瞳を潤ませている。
「おやおや、ずいぶんと汚れちまってるみたいだな」
「う、うるさいバカっ! お前のせいだろっ!」
「ククク……そりゃそうだな」
 巳洞は、その平凡な顔にどこか悪魔的な笑みを浮かべながら、言葉を続けた。
「姫乃、舐めて綺麗にしてやれ」
「ハイ――」
 姫乃が、ためらいなく返事をして、夏希のペニスに顔を寄せる。
「ひっ、姫ちゃんっ――あうっ!」
 勃起したペニスを包み込む生温かない快感に、夏希は、悲鳴をあげる。
「ちょ、ちょっとっ! ダメだよォ……ボクのそこ、汚い……あうううっ!」
 口内で肉茎に舌を絡み付けられる感触に、夏希は、言葉を途切れさせてしまう。
「んっ、んむっ、ちゅぶ、んむむ、んふっ、んふうん……」
 姫乃は、口の中に広がる刺すような臭気を嫌がる様子もなく、夏希のペニスを舐めしゃぶった。
「どうだ? 夏希の洗ってないペニスは美味いか?」
「ちゅっ、ちゅむっ、ちゅるる……ハイ、なっちゃんのオチンチン、おいしいです……んちゅっ」
 巳洞の問いに答えてから、姫乃は、舌を突き出し、ぺちょぺちょと音を立ててペニスの裏筋を舐め上げた。
「ダメぇ……ダメだよォ……ひ、姫ちゃんの口、汚れちゃう……」
 泣きそうな声をあげながらも、夏希は、姫乃によるフェラチオの快感から逃れることができない。
「ちゅっ、ちゅぶっ、ちゅっ……だいじょうぶだよ、なっちゃん……姫乃、ぜんぜんイヤじゃないよ……」
 夏希の腰に手を回し、ペニスに舌を絡め、唇で吸いたてながら、姫乃は言った。
「ウ、ウソ……そんなのウソだよォ……」
「ウソじゃないよ……ちゅぶっ、ちゅむむ、んぢゅ……なっちゃんのなら、ぜんぜん平気だもん……ちゅむっ、ちゅぶ、ちゅるるっ……」
 自分の言葉を証明するように、姫乃が、さらに情熱的に口唇愛撫を続ける。
「ああんっ、ひ、姫ちゃん……!」
「ククク……姫乃は友達思いだな」
 そう言って、巳洞は、緩めていた腰の動きを再び激しくした。
「んぶううっ!」
 姫乃が、夏希のペニスを咥えたまま、悲鳴をあげる。
「んぐっ、んぐぐっ、んむ……んふうっ! んぐっ、んぐ、んむむゥ……!」
 ふーっ、ふーっ、と苦しげに鼻で息をしながら、姫乃は、夏希のペニスを口から離そうとしない。
 オーラルとアナルで肉棒を受け止めながら、姫乃が、大量の蜜をヴァギナから溢れさせる。
「んふうっ! んむっ! んぐぐっ! んぢゅっ! んぐぶっ! んぢゅぢゅぢゅぢゅっ!」
 ずんずんとアナルに激しい突きを打ち込まれながらも、懸命に夏希のペニスを吸引する姫乃――
 その口淫に、一週間近く射精を制限されていた夏希は、ひとたまりも無かった。
「ああんっ! ひ、姫ちゃんっ! そ、そんなにしたら……ああああああっ!」
「ぢゅぱっ、ぢゅぷ……んぐぐっ……あふうっ、な、なっちゃん、出ちゃう? セイエキ出ちゃう? んじゅっ、んじゅっ、んじゅじゅっ……!」
「うんっ……あ、あああああっ、あうううんっ! で、出ちゃう……出ちゃうよォ! ああん、ダメぇ……! もう……あああああっ!」
 二人の快楽の声に煽られるかのように、巳洞は、さらに激しくペニスを抽送した。
 きつい摩擦が、巳洞のペニスを強烈な快感によって追い込んでいく。
 巳洞は、姫乃の白いヒップに指を食い込ませながら、最後のスパートをかけた。
「んぶっ! あくううんっ! もう、もうダメっ……オシリっ……オシリいいですっ……あふうんっ! あむっ、んぐっ! んぐぐっ! んんんんんんんんんんんんン〜っ!」
「あっ、あああっ、ひ、姫ちゃん……ボク、ボク、ホントに出る……出ちゃうっ! 出ちゃうっ! 出ちゃうっ! 出ちゃうっ! 出ちゃう〜っ!」
 どびゅっ! どびゅっ! どびゅっ! どびゅっ!
 姫乃の口とアナルで、二本のペニスが、ほぼ同時に弾けた。
「ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン〜っ!」
 口内と直腸で熱い迸りを受け止めながら、姫乃が、かつて感じたことのないような絶頂を極める。
 熱い快楽の槍が、前後から体を貫いたような感覚――
 びくン――びくン――びくン――びくン――!
 姫乃の体の痙攣が、口腔と肛門を蠢動させ、ペニスからさらに精液を搾り取った。
 びゅっ! びゅるっ! びゅるるっ! ぶびゅううっ! ぶぶぶぶびゅ!
 夏希と巳洞のペニスは、何度も律動しながら、大量の精液を姫乃の体内に注ぎ込み続ける。
 そして――
 力を失ったペニスが、ようやく、姫乃の小さな体を解放した。
「んはっ、はああっ、んあぁ……あはあっ……」
 ぺたん、と姫乃が、玄関の上に横たわる。
 巳洞も、夏希も、濡れたペニスを剥き出しにしたまま、呼吸を整えていた。
 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……という、三人の荒い呼吸が、しばらくその場に響く。
「ククッ……初めてのアナルセックスでイクなんて、姫乃は本当にスケベだな」
 巳洞が、そんな言葉で、沈黙を破った。
「まあ――そもそも、ノーパンで電車に乗るようなヤツだからな」
 その言葉は、しかし、未だ絶頂の余韻の中にいる姫乃には、届いていない。
 が、反応は、巳洞の予想外のところから返ってきた。
「い――今、何て言った?」
 夏希が、その吊り気味の目を見開きながら、激しい口調で巳洞に訊く。
「は?」
「今、何て言ったんだよっ! 姫ちゃんが何をしたって――」
「お前、どうしてそんなに興奮してるんだ? 言っておくけど、全部本当のことだぜ」
「だ、だから、何が――」
「……姫乃は、下着を履かずに電車に乗ってたのさ」
 巳洞の言葉に、夏希の顔が蒼白になる。
 その体は細かく震え、歯は、カチカチと小さく音を立てていた。
 そんな夏希の様子を、巳洞が、異様に鋭いその目で観察している。
「お、お前……どうして、それを……」
 夏希が、唇から声を絞り出すようにして、言った。
「もちろん、俺がその場に居合わせたからだよ。姫乃の尻に触ったら、なんと何も履いて無かったってわけだ」
「ま……まさか……それで……そのことで、姫ちゃんを……?」
 もはや、夏希は、自分が何を訊いてきるのか、きちんと理解していなかった。
 ただ、奇怪な悪夢の中にいるかのように、現実感が希薄となり、ただ恐怖の予感だけが膨れ上がっている。
「ああ。それが、俺と姫乃がこういう関係になるきっかけさ」
 半ば事情を察したのか、巳洞が、その口元に笑みを浮かべながら言った。
「そ……それって、いつ……?」
 夏希は、震える声で、どうにか訊いた。
「確か……ゴールデンウィークの最終日だったな」
 そう答える巳洞の口元には、歪んだ笑みが浮かんでいる。
「ぁ――」
 ぷつん、と――
 夏希の中で、何かが、小さな音を立てて、切れた。
「ぁ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
 夏希は、絶叫し、顔を覆ってその場にしゃがみこんだ。


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