隷嬢二人



第八章



「んっ……んちゅ……ちゅっ……ちゅむ……」
「あっ、んんん……んちゅ……んふ……ふぅん……」
 姫乃と夏希は、互いの体に緩く手を回し、唇を重ねていた。
 二人とも、靴下だけを履いたほとんど全裸に近い格好で、床に敷かれた布団の上に膝立ちになっている。
 すでに、二人を縛っていた拘束は、巳洞の手によって解かれていた。
 拘束を解かれてすぐ、二人は、それぞれ家に電話をかけさせられた。
 電話の内容は、今夜は夕食を食べてくるので遅くなる、というものだ。
 姫乃の母は、家にも帰らずに外食をするという娘を、静かにたしなめた。
 一方、夏希は、留守電にメッセージを残しただけである。まだ、家には誰も帰ってきていなかったのだ。
 巳洞は、すでに、姫乃と夏希の痴態を、しっかりとデジカメで撮影している。姫乃が自分のペニスを咥えている写真を見せられては、夏希も、巳洞の言葉に従わざるをえなかった。
 そして、巳洞は、互いの服を脱がし合うように命じ、二人の少女は目に涙を溜めながらその通りにした。
 全裸に近い格好で、二人は、牛乳とトーストだけという、これまで経験したことのなかったような簡素な食事を取らされた。
 それでも二人は、昼食抜きだったこともあり、出された物を残らず平らげてしまった。
 そして、今、姫乃と夏希は、巳洞の新たな命令によって、唇を重ね、舌を絡め合っているのである。
「んっ……んふっ……ちゅぶ……うん……んんっ……」
「はっ、はふ……あむ……ちゅっ、ちゅぶ……んっ……んんっ……」
 巳洞の命じるまま、ぎこちなくキスを交わしていただけだった少女たちは、いつしか、互いの舌と唇の感触に陶然となっていた。
 柔らかく艶やかなピンク色の唇が、互いの唾液に濡れている。
 姫乃と夏希の瞳は、今は淡く閉じられ、その目許はほんのりと赤く染まっていた。
「んっ……ちゅっ、ちゅむっ……はぁっ……な、なっちゃん……」
「姫ちゃん……ボク……ボク……はああっ……」
 夏希が、切なげな溜息を漏らす。
 夏希のペニスは、もはやごまかしようがないほどに、完全に勃起していた。
 まだ雁首の部分を緩く包皮でくるんだペニスが、半ば露出した亀頭部分を赤く充血させ、急な角度で反り返っている。
 夏希のペニスは、まるで刺激をねだるかのようにひくひくと震え、その先端からは透明な粘液が溢れていた。
 夏希は、腰を引くようにして、自らのペニスが姫乃の肌を汚すのを避けようとしているが、姫乃自身は、全く気にしていない様子だ。
 姫乃のなだらかな下腹部が、時折、夏希のペニスに触れ、その感触に、ペニスはますます腺液を溢れさせてしまっている。
「なっちゃん……こんなことになって、ごめんね……」
「ううん……姫ちゃん……あやまらないで……ボクこそ、ごめん……」
 互いに謝りながら、姫乃と夏希は、キスを続けた。
 夏希の豊かな胸と、最近になって急激に成長している姫乃の胸が、先端で軽く触れ合っている。
 巳洞は、そんな様子を、鋭い視線でじっと見つめていた。
「……姫乃。お友達のチンポを握ってやんな」
 巳洞の声に、二人は、びくっ、と体を震わせた。
「お前の手で気持ち良くするんだ。けど、イかせるんじゃないぞ」
「……はい」
 姫乃は、小さな声で返事をした。
「なっちゃん……ごめんなさい……」
「あ……そんな……」
 夏希の言葉が終わらないうちに、姫乃は、右手で夏希のペニスをそっと握った。
 そして、もどかしいくらいにゆっくりとした動きで、夏希のペニスを扱き上げる。
「あ、あうっ……あ、ああぁん……」
 たまらず、夏希は声をあげた。
 にちゅ、にちゅ……という湿った音が、響く。
「なっちゃん……ごめんね……痛かったら言ってね……」
「あ、あうっ……姫ちゃん……んっ、あううっ……」
 姫乃の手が、夏希のペニスの包皮を動かし、亀頭に被せ、そして優しく剥く。
 その動きの繰り返しに、夏希は、ひくひくと体を震わせた。
 夏希の豊かな乳房が揺れ、頂点にある可憐な乳首が、姫乃の乳房に擦れる。
「ひゃ、あうんっ……はっ、はあうっ……!」
「あ、ごめん。苦しい?」
「そ、そんなことない、けど……あうっ、あっ……あひいっ……!」
 夏希は、半ば無意識に尖った乳首を姫乃の乳房に擦り付けながら、高い声をあげた。
 姫乃の手によって紡がれる快感が、夏希のペニスをさらに屹立させる。
 もし、姫乃の口の中に一度放っていなかったら、夏希は、あっけなく射精してしまっていただろう。
「ああ、なっちゃん……すごい……すごいよ……」
 自分の手によって激しく乱れている夏希の姿に、姫乃は、声を上ずらせた。
 乳房同士が擦れ合い、姫乃の乳首も、すでにはしたなく勃起してしまっている。
 快感と興奮に目を潤ませ、唇を半開きにしながらも、姫乃は、巳洞の言い付けを忠実に守り、夏希を不用意に追い込んだりしないよう、力を調節していた。
「あ、あうっ……はああっ……ひ、姫ちゃん……ボク、ボク、どうなっちゃうの……あああっ……!」
 夏希は、どうすることもできずに、姫乃の華奢な両肩に両手を置いた姿勢で、喘いでいる。
「なっちゃん……可愛い……」
 姫乃は、思わずそんなことを言ってしまっていた。
 が、夏希は、それどころではない。
「ひっ、姫ちゃん……助けて……ボク、こんなの……あ、あうっ……あああっ……!」
 自ら慰めるのとは全く次元の異なる快感に、夏希は、下半身の力をかくんと抜いてしまった。
「きゃん!」
 夏希に体重をかけられて、姫乃が後ろに倒れる。
 夏希は、そんな姫乃に、四つん這いで覆いかぶさるような格好になってしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 手淫を中断され、犬のように喘ぎながら、夏希が姫乃を見下ろす。
 姫乃は、手による愛撫を再開することも忘れ、夏希の褐色の瞳を見つめ返していた。
「したいか?」
 いつのまにか、夏希の隣に膝を付いていた巳洞が、囁くように言った。
「姫乃とセックスしたいか?」
「ああ……ボ、ボク……」
 夏希は、姫乃から目を離せないままでいる。
「したいんだろう? こいつと、繋がりたいんだろう?」
「……」
 夏希は、小さく、こくん、と肯いた。
「姫乃はどうなんだ?」
「……はい……したい、です……姫乃、なっちゃんとセックスしたい……」
 巳洞の問いに、姫乃が、熱に浮かされたような声で答える。
「いいぜ。好きなだけハメな」
 巳洞が、笑みを浮かべながら、言った。
 今にも、その口元から鋭い牙がはみ出てきそうな、そんな悪魔的な笑みだ。
「姫ちゃん……」
「なっちゃん……これ、姫乃の中に、入れて……」
 その可愛らしい顔に似合わない淫蕩な光を瞳に浮かべ、姫乃が、夏希のペニスに細い指を絡める。
 夏希は、姫乃に導かれるまま、姫乃の腰に腰を近付けた。
 いきり立ったペニスの先端が、姫乃のクレヴァスに触れる。
 そこは、すでに愛液に濡れ、期待するようにひくひくと震えていた。
 夏希が、ぎこちなく腰を進ませる。
「あ、あううっ……」
「あんっ……なっちゃんっ……!」
 ずずずずずずずっ……。
 夏希のペニスが、姫乃のクレヴァスに、ゆっくりと飲み込まれていく。
 ぬめる体液にまみれた敏感な粘膜が擦れ合う快感に、二人の少女は、ぞくぞくと体を震わせた。
 姫乃と夏希の腰が、ぴったりと重なる。
「あううんっ……」
 夏希は、熱い息を吐いて、姫乃の体の上にその体を伏せた。
 二人の乳房が、むにゅん、と形を変えて、丸く潰れる。
「入っちゃった……入っちゃったよォ……」
「うん……姫乃の中に、なっちゃんが入ってる……」
 姫乃は、うっとりとそう言いながら、怯えたような声をあげる夏希に、下から腕を回した。
 きゅっ、と二人が、互いを抱き締め合う。
 そして、夏希は、ぎこちなく腰を使い始めた。
「あっ、あうっ、あく……はうんっ……はああっ……」
「あん、あぁん、あんっ……はっ……んふぅん……はぁん……」
 夏希の荒い息に、姫乃の喘ぎが絡み合う。
 そして、二人は、思い出したように唇を重ね、舌を絡めた。
「んっ、ちゅっ……ちゅっ……ああっ……姫ちゃん……」
「なっちゃん……あうっ、ああん……すごい……きもちいいの……」
 ぬちゅっ、ぬちゅっ、と音をたてながら、夏希のペニスが、姫乃のクレヴァスを出入りする。
 浅ましく静脈を浮かしたシャフトはたちまち愛液に濡れ、てらてらと蛍光灯の光を反射させた。
 次第に、抽送が滑らかになる。
 夏希は、キスの合間にはぁはぁと喘ぎながら、腰の動きを速めていった。
「あんっ、あん、ああん……な、なっちゃん、きつい……」
「ごめん、姫ちゃん……でも、止まらない……体が勝手に動いちゃうよォ……はううっ……」
「ううん、いいの……なっちゃんの好きなようにして……それに、こっちの方が……きもちいい……あううっ……!」
 いつしか姫乃は、夏希のピストンをより深く迎え入れようとするかのように、腰を浮かしていた。
 夏希の動きが、ますます激しくなる。
 姫乃のクレヴァスは、夏希のペニスを深く咥え込みながら、熱い愛液を溢れさせた。
 そして、ペニスの奥側にある夏希の秘裂も、緩く綻び、とろとろと透明な愛液を滴らせている。
「あ、あんっ……なっちゃん……私、もう……」
「姫ちゃん……ああっ、姫ちゃんっ……!」
 二人の少女の快感曲線が、同調しながら、上昇していく。
 と、それまで少女たちの営みをじっと見ていた巳洞が、夏希の腰を押さえ付けた。
「あんっ……な、なに……?」
 夏希が、肩越しに巳洞を見やった。
「あ……!」
 夏希が、声をあげる。
 巳洞が、いつのまにか、そのペニスを剥き出しにして、夏希の処女肉に狙いを定めていたのだ。
 ずるんっ――!
「っ――ああああああああっ!」
 まず、衝撃が来た。
「あ、あう……は、はぐっ……んああああっ……」
 じわあっ、と熱い痛みが、下半身に広がる。
 そして、夏希は、自分が巳洞によって一気に貫かれたのだということを理解した。
「な、なに……? なっちゃんに何をしたんですか?」
「こいつがヤってることと同じことだよ」
 そんなことを言って、巳洞は、さらに深く夏希の中に侵入した。
「ひ、ああああ……っ!」
 夏希が、姫乃の上に突っ伏す。
「なっちゃん……」
「さすがにキツいな……。いい具合だぜ」
 巳洞が、ゆっくりと腰を使い出す。
 夏希が処女であった証しである血に濡れた肉棒が、引き伸ばされた膣口を出入りする。
「ひっ、ひああっ……くるしい……や……やめて……抜いてぇ……」
 夏希が、涙に濡れた声で、切れ切れに言う。
「今さら遅いんだよ。これで、お前も俺の女だ」
「あ、あああっ……そんな……」
 巳洞の言葉に、夏希が、絶望に満ちた声をあげる。
 が、夏希の胸を満たすその感情は、なぜか危険なほどに甘やかだった。
「ひっ、ひああっ……あうっ、あっ、あああっ……」
 夏希のペニスは、処女肉を蹂躙される痛みにもかかわらず、未だ勃起を保ち、姫乃の中に収まっている。
 それどころか、ペニスを熱く包む快感と、クレヴァスを熱く苛む激痛は、混じり合い、より巨大な熱と化していた。
 まるで下半身の内側が灼熱の坩堝となってしまったかのような感覚――。
 夏希は、巳洞の動きに操られるように、自らも抽送を再開させていた。
「はっ、はひっ、ひいっ……んあっ……あああっ……」
「あ、ああんっ……な、なっちゃん、だいじょうぶ? ああぁんっ……!」
「はあっ、あっ、あああ……あつい……あついよ……ボク、もう……ああっ、もう、だめェ……!」
「なっちゃん……ああっ、が、がんばって……あうっ、あああっ……はっ、あくううう……っ!」
 二人分の体重のかかった力強いピストンに、姫乃の夏希を気遣う気持ちも、呆気なく押し流されていく。
 夏希と同時に姫乃をも犯すかのように、巳洞は、残酷に腰を使い続けた。
「ひっ、ひいいっ……ひあっ……ああっ、あああっ……」
 激しい熱の中で、次第に、快感が苦痛を圧倒していくのを、夏希は感じていた。
 男と女の双方の快楽にさらされながら、ぽろぽろと涙をこぼしてしまう。
 姫乃は、快感に喘ぎながらも、そんな夏希を慰めるように、キスを繰り返し、涙を舌で舐め取った。
「ああっ……ボク、こわれちゃう……こわれちゃうよォ……んああああっ!」
 これまで感じたこともないような強い圧力を体内に感じ、夏希が悲鳴をあげる。
 それは、限界以上にまで高められた射精への欲求だった。
 夏希の体の中で、どろどろとした白い欲望が煮えたぎり、渦巻いている。
 そのことを察したかのように、巳洞は、抽送の速度を上げた。
「あっ! あああっ! ひあっ! で、出るっ! 出ちゃううっ!」
 夏希が、ぎゅっと姫乃の体にしがみつき、叫ぶ。
「出ちゃう! 出ちゃうよっ! あっ! あああンっ! もう――あああああああああああああァ〜っ!」
 びゅびゅううううううっ!
 夏希が、姫乃の体内に、熱い精液を迸らせた。
「あっ、あああああああああああああ〜ッ!」
 膣内に大量の精液が勢いよく満ちていく感覚に、姫乃も、歓喜の声をあげる。
「あっ、あーっ! 出てるっ! 出てるぅ……! ひ、姫ちゃんの中に、出しちゃってるよォ……! あああああああーっ!」
「あーっ! ふあああああっ! す、すごいっ……! な、なっちゃんの、いっぱい……ま、まだ出てるっ……あうううううンっ!」
 びくびくと体を震わせ、夏希が、姫乃に精液を注ぎ込み続けている。
 ぐいぐいときつく体内のものを締め付ける、夏希の膣肉。
 その動きと、少女二人の絶頂に誘われたように、巳洞も、達した。
「あっ? あああっ? な、なにコレ――きゃううううううううっ!」
 熱く燃えるような膣内に、さらに熱い奔流を感じ、夏希は、驚愕混じりの声をあげる。
「そ、そんなっ……あうううっ! ダメっ! ボク、ボクまた……ああああああああああああああ!」
 びゅーっ! びゅーっ! びゅーっ! びゅーっ!
 巳洞と夏希のペニスが、競うように精を溢れさせ続ける。
 体の一番奥まで、憎むべき男によって汚し尽くされながら、夏希は、さらなる絶頂に激しい射精を繰り返したのだった。



 夏希は、しっとりと湿った布団の上で、仰向けになっていた。
 その腰に、姫乃が跨っている。
 あれだけ射精したというのに、夏希の勃起は一向に力を衰えさせること無く、姫乃の中に収まっていた。
 姫乃の温かな膣肉が、優しく、そしてきつく、夏希のペニスをくるんでいる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あぅん……」
「ひ、姫ちゃんっ……は、はふぅ……んっ……ああぁっ……」
 姫乃は、くねくねとその形のいいヒップを動かしながら、クレヴァスで夏希のペニスを味わっている。
 その動きに合わせ、白い乳房がぷるぷると揺れる様が、夏希の視線を奪った。
 姫乃の愛液と、夏希が先ほど注ぎ込んだ精液が混じり合ったものが、二人の結合部から溢れ出ている。
「どうだ? お友達のチンポは気持ちいいか?」
「は、はい……きもちいいです……なっちゃんのオチンチン、きもちいい……」
 二人の傍らに全裸で立つ巳洞の問いに、姫乃が答えた。
 姫乃が、巳洞の言葉に誘われるまま、卑猥な言葉を口にするたびに、夏希の胸に、甘い疼きが走る。
「お友達の上に馬乗りになってハメ狂うなんて、お前は本当に淫乱だな」
「は、はい……姫乃は、インランです……なっちゃんのオチンチンで、オマンコきもちよくて……ああんっ……いいですぅ……」
 まるで、巳洞を喜ばせようとするかのように――それとも、自分自身を昂ぶらせようとするかのように、姫乃が淫語を言う。
「クク……夏希も、ぼーっとしてないで、姫乃のオッパイを揉んでやれよ」
「うっ……」
 巳洞に呼び捨てにされ、夏希は、唇を噛んだ。
 が、巳洞の言葉に従うように、姫乃の胸に両手を伸ばしてしまう。
「ああんっ……」
 夏希の指が触れただけで、姫乃は、甘い声を漏らした。
 夏希が、姫乃の胸を、優しく揉み始める。
 自慰をする時に、自分でするのと同じくらいの力。
 張りのある姫乃の白い乳房が、夏希の愛撫によって淫らに形を変える。
「あんっ、はっ、あふぅ……な、なっちゃん、きもちいい……オッパイがきもちいいの……」
「姫ちゃん……」
「ね、お願い……先っぽも、して……姫乃の乳首、指でクリクリして……姫乃、それが好きなの……」
 夏希は、少し泣きたいような気持になりながら、姫乃の乳首を指で摘まんだ。
 そして、痛くならないように気をつけながら、ころころとピンク色の突起を転がす。
「あん、あふん……す、すごいよォ……なっちゃん、それ、いいの……ああん、オッパイの先っぽ、立っちゃう……」
 姫乃の言葉どおり、左右の乳首はあっという間に固くなった。
 完全に勃起した姫乃の乳首を、夏希は、鳥が餌をついばむような感じで、指先で軽く引っ張るように愛撫した。
「あっ、あくぅん……! あっ、はああっ……すごい……オッパイしびれちゃうよォ……ああぁン!」
 自らに快楽を与えてくれるお返しのつもりなのか、姫乃は、その腰の動きを速めた。
 ぶじゅっ、ぶじゅっ、ぶじゅっ、ぶじゅっ……とはしたない音が二人の股間から漏れ出る。
「ほら、こっちの口にもチンポくれてやるぞ」
 巳洞が、そう言いながら、すでに上を向いている自らのペニスを、姫乃の鼻先に突き出した。
「あ、ああん……すごい……」
「何が、どうすごいんだ?」
「あ、あの……男の人の、いやらしい匂いがして……はあぁっ……」
 うっとりとした口調で、媚びるような台詞を、姫乃が言う。
「ククッ……お前、その匂いが好きなんだろ?」
「あ、あんっ……それは……はうっ……」
 夏希の目があるからか、恥ずかしそうに口篭もりながらも、姫乃は、その視線を巳洞のペニスに注ぎ続けている。
「ほら、咥えろ」
「ハ、ハイ……あむっ、んっ、ちゅぶっ……」
 姫乃は、巳洞のペニスを、その可愛らしい口に含んだ。
 そして、長大な男の器官を、半ば以上まで、深く咥え込む。
(ああ……姫ちゃんが、アイツのを咥えてる……)
 夏希は、悔しさに歯を食い縛った。
「んっ、んんっ、んふ……んっ、んむっ、んっ……」
 どこか嬉しげな鼻声を漏らしながら、姫乃が、巳洞のペニスを唾液で濡らしている。
 唇や頬がかすかに動いているところを見ると、ただ口に咥えているだけではなさそうだ。巳洞に快感を与えるべく、積極的に口内を動かしているのだろう。
 姫乃の胸を揉む夏希の指に、知らず知らずのうちに、力がこもる。
「んっ、んんんっ! んぐっ……んむ……んうううン……!」
 夏希のやや乱暴な愛撫に、姫乃は、ますます甘い鼻声を漏らしながら、いっそう熱心に巳洞のペニスに奉仕した。
「んっ、じゅじゅっ……ちゅじゅっ、あぶ、んぶ……じゅる……じゅぶぶっ……ちゅぶうっ……」
 口の中に溢れている、自らの唾液と、巳洞の腺液を、下品な音をたてて啜り上げる姫乃。
 その顔を見ているうちに、夏希のペニスは、なぜかますますいきり立ってしまった。
 そんな夏希のシャフトを、きゅうっ、きゅうっ、と姫乃の膣肉が締め付ける。
(姫ちゃん……もしかして……アイツのを咥えながら、感じてるの……?)
 姫乃の嬉しげな肉体の反応に、夏希は、気付きたくない事実を気付かされてしまった。
(そんな……そんな……でも、姫ちゃん、嬉しそう……すごく甘い顔で、アイツのチンポ吸って……仔犬みたいにクンクン鼻を鳴らしてる……)
 口を半開きにして、はぁはぁと喘ぎながら、夏希はそんなことを考えてしまった。
 そんな夏希の様子を、巳洞がニヤつきながら観察してることに、二人の少女は気付いていない。
(姫ちゃんは、こんなヤツのことが好きなの? それとも……逆らうことができないくらいに、エッチな女の子にされちゃったの?)
 一端口からペニスを離し、ぺろぺろと肉竿を舐めあげる姫乃。
 ペニス全体に舌を這わせ、絡み付けるようにしながら、その白い顔は、無残にもベトベトに汚れていく。
 それでも、姫乃の顔は、快楽に蕩けきっているようだった。
(分かんない……分かんないよ……ボク、どうしたらいいの……?)
 そう思いながら、いつしか夏希は下から激しく腰を使っていた。
「あ、ああぁン! んぐっ! んぶ、んううううン!」
 甘い悲鳴をあげながら、姫乃が、再び巳洞のペニスにむしゃぶりつく。
 夏希は、背中をそらすようにしながら腰を突き上げ続けた。
 長時間の摩擦に晒されたペニスはヒリヒリと痛み、そしてその痛みを上回る快感に熱くたぎっている。
 巳洞は、そんな夏希の腰の動きに同調させるように、自らも腰を動かし始めた。
「んっ、んぐっ! んぶう……ふぐっ! んんっ! んんうう!」
 巳洞のイラマチオに、姫乃が、悲鳴のような声を漏らす。
 きゅっと眉を寄せ、目尻に涙を浮かべながらも、姫乃は、巳洞の陵辱を幼い口で受け止め続けた。
 だらだらと姫乃の口の端から涎が垂れる。
「姫ちゃん……ああん……姫ちゃんっ……」
 夏希の声に、姫乃が、うっすらと目を開ける。
 その瞳は、口内と秘部を同時に犯される快感に、うっとりと潤んでいるように見えた。
「あ、あくっ……!」
 夏希が、一際大きな突きを下から姫乃に叩き込み――射精した。
 びゅるるっ、びゅるるっ、びゅるるっ、びゅるるっ……!
「んっ! んぶーっ! んっ! んっ! んっ! んーっ!」
 姫乃は、膣内に精液が迸る快感に、ペニスを口に含んだまま、絶頂に達した。
 その口の動きに、巳洞も、たまらず大量の精を吐き出す。
「んぶっ! んぐ……んぶうっ! んぐ……ん……んぐっ、んぐっ、んぐっ……」
 絶頂の感覚と、口内に溢れる生臭い精液に、一瞬パニックに陥りそうになりながらも、姫乃は、健気に口の中のものを飲み干していった。
 白い喉が、こくん、こくん、と動く。
 その様を見つめながら、夏希は、最後の一滴まで、姫乃の体内に精液を流し込み――そして、くったりと体を弛緩させた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 荒い呼吸を繰り返しながら、夏希が、目を閉じる。
 そんな夏希に、口を解放された姫乃の体が、ゆっくりと覆い被さった。
 激しい絶頂の余韻に浸りながら、二人の少女は、生温かい闇の中に、意識を沈ませてしまっている。
 力を失った夏希のペニスが、どろどろになった姫乃のクレヴァスから、ぬるん、と押し出された。
 それは、姫乃の愛液と、自身の精液で、ぬらぬらと濡れ光っている。
 その様を、鋭い目でじっと見つめてから、巳洞は、小さなメジャーを取り出した。



「ただいま……」
 小さな声で言い、姫乃は、玄関のドアを開いた。
 玄関を上がった場所にある廊下には、まるで待ち構えていたかのように、姫乃の母親である佳織が立っていた。
 艶やかな黒髪を肩のところで切り揃えている、姫乃によく似たその整った顔には、表情らしい表情は浮かんでいない。
 三十代の半ばではあるが、笑えば十歳は若く見られるだろう。しかし、姫乃は、佳織が笑ったところを見たことがなかった。
「遅かったわね、姫乃さん」
 そう言う佳織の声は、いつものことながら、どこか冷たい。
 まだ、午後の八時を回った程度ではあるが、確かに中学生である姫乃にとっては遅い帰りだ。
「ごめんなさい……」
「それも、制服のままで……学校の先生にでも見つかったらどうするの?」
「……」
「また、葉山さんのお嬢さんに連れ回されたの?」
「な、なっちゃん……夏希ちゃんのせいじゃ、ないよ……」
 姫乃が、震える声で、それでも必死に言う。
 佳織は、そんな姫乃を、漆黒の瞳でじっと見つめていた。
 この場から消えて無くなりたいとでも言うように、姫乃が、その体を縮こまらせている。
「そのくらいで許してあげてくださいよ、佳織さん」
 と、リビングから出てきた君貴が、佳織に声をかけた。週末なので、自宅に帰ってきているのだろう。
「姫乃だって反省してるみたいだからさ。――そうだろ?」
「は……はい」
 君貴の言葉に、姫乃が小さな声で返事をする。
「……分かったわ。お上がりなさい」
 小さく溜め息をついて、佳織が言う。
 姫乃は、靴を脱いで、廊下に上がった。その様子を見ることなく、佳織がリビングに引っ込む。
 そんな佳織に、君貴は、苦笑いしながら小さく肩をすくめた。
「……ああ、そうそう。琴乃が帰ってくるらしいよ」
「お姉ちゃんが?」
 君貴の言葉に、姫乃は、伏せていた顔を上げた。
「ああ。まだ向こうは休みじゃないはずなのにね。まあ、琴乃のことだから、卒業を危なくしたりはしないと思うけど」
 君貴が、その顔に、爽やかな笑みを浮かべる。
 が、姫乃は、どう反応していいか分からなかった。
 腹違いの姉である琴乃が帰ってくる。それは、単純に嬉しいニュースのはずだった。
 実の母親である佳織よりも、半分しか血の繋がっていない琴乃の方が、姫乃にとっては親しい存在である。琴乃がヨーロッパに留学してしまった時は、寂しくて一晩中泣いてしまったほどだ。
 その琴乃が帰ってくるという話に――姫乃は、なぜか、奇妙な胸騒ぎを感じてしまっていた。

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