Resurrection

後編



「うぉあよー」
 キッチンに、あくびまじりのヒカルの声が響いた。
「おはよ。朝ご飯、もうすぐできるから」
「ふゎーい……って、また和食かよ〜」
 ヒカルが、ぼさぼさの髪を手でまとめながら、恨めしげに言う。
「ノリにヒジキにウメボシにナットー……うえー、どうして毎朝こうなんだよ〜」
「和食は体にいいんだよ」
「やだやだやだ〜」
 ヒカルが、子供みたいにだだをこねる。
 そう言いながらも、食卓に着くときちんと全部平らげ、ご飯は三杯もお代わりするんだから立派なもんだ。
「オレ、朝はパンケーキがいい〜。パンケーキとバターとメープルシロップ〜!」
「そんなのお菓子じゃないか。朝は、白いご飯とおみそ汁だよ」
「ケイのいじわるめ〜」
 ヒカルが、唇をとがらせながら、ボクの後ろに回り込んだ。
「何か怒ってんの?」
 ボクの両肩に手を置いて、顔をのぞき込むようにしながらヒカルが言う。
「べ、別に、怒ってないよ」
「だったら、いいけどさ。でも、やっぱりまだ小母さんには会わないつもりなのか?」
「……」
 ボクがヒカルの家の地下室で目が覚めてから、一週間とちょっと。
 体の方はきちんと動くようになったし、ヒカルも、完全に治療の方は成功だって言ってたけど、ボクは、母さんに会う勇気が出せないでいる。
 だって、こんな体になった上、ニンシンしてもいないのにお乳まで出るようになってしまったのだ。どうやらこれは、ボクの体の中でホルモンのバランスがちょっとおかしくなってるせいらしい。
 とにかく、ボクは、まだ落ち着いて考える時間が欲しかった。
 そういうわけで、ボクは、ヒカルの家に居候を続けているのである。
「オレは、ケイと一緒に暮らせて嬉しいけどさ……」
 そう言いながら、ヒカルが、ぴったりと体を押し付けてきた。
 背中に、柔らかな胸が、そして、腰に堅いこわばりが、当たってる。
「ちょ、ちょっと、ヒカル……」
「朝立ちしちった」
 へへへっ、とヒカルがあまり上品でなく笑う。
「あーっ、もう!」
 ボクは、自分が顔を真っ赤にしているであろうことを意識しながら、ヒカルの体を振りほどいた。
「ほら、今日も学校あるんでしょ! 早く食べないと遅刻だよ!」
「はいはいはい、分かってるって〜」
 笑いながら、ヒカルは食卓につき、納豆をぐしぐしと箸でかきまぜ始めた。



 リハビリも兼ねて、ヒカルの家を掃除し、洗濯をして、夕飯の準備をする。
 もう、体にほとんど違和感はない。なんでも、地下室で変な液体に浸かってる間も、電気刺激でボクの筋肉は運動させられていたという話だ。そうでなければ、とても起きてすぐに家事ができるような状態ではいられなかっただろう。
 ただ――胸が、ちょっとじゃまになる時がある。
 一応、ヒカルのブラジャーを借りてるんだけど、ちょっとサイズが合わないらしい。ほんの少し、バストはヒカルの方がおっきいみたいだ。
 と、夕飯の下ごしらえの真っ最中に、電話があった。
「悪い、オレ、今日はちょっと遅くなるわ」
 電話をかけてきたのは、ヒカルだった。
「えっ、どうして?」
「学校でやってた動物と植物のキメラ合成実験にちょっと手間取ってさ」
 ――いったいどんな実験なんだろう?
「夕飯、先に食っててよ」
「うん、分かった」
「じゃな」
 やや一方的な感じで切れた電話の受話器をスタンドに戻して、ちょっと溜息をつく。
 仕方がない。ヒカルには、ヒカルの生活があるんだ。ボクは中学の途中でリタイアしちゃったけど、高校ってとこはたぶんすごく楽しいんだろう。
 自分が作ったせいで意外性も何もない夕飯を機械的に食べて、食休みしてから、お風呂に入った。
 体を拭いて、大きすぎるヒカルのパジャマに袖を通してから、二階の一室に入る。
 今は海外に長期滞在中のヒカルの両親の寝室を、ボクは借りていた。
 ヒカルのお母さんのものであるドレッサーの前に座り、湯上がりの自分の顔を見る。
 なんだか入院する前よりもつるんとした肌に、見慣れた顔。髪は背中まで伸びて、ゆるくウェーブしてる。
 髪形のせいか、ボクの顔は、ちょっと母さんに似てるように思えた。
「……母さん、寂しかったんだろうな」
 ぽつん、とそう呟いてみる。
 ボクと母さんは、父さんが死んで以来、二人っきりの家族だった。だというに、ボクが入院して、そして死んだと聞かされたら――
「ヒカルが家にいないだけで、こんなに寂しいもんな……」
 この広い家の中で一人で家事をしていると、どうしても母さんと自分を重ね合わせてしまう。
 ここ数日、胸の中にあった母さんの再婚へのわだかまりが、だんだんと薄れていくのを、ボクは感じていた。
 これなら――
「たっだいま〜! あーっ、ハラ減った〜!」
 ボクの物思いを、ヒカルの声と、やや乱暴にドアが開く音とが、遮った。
 そのまま、ででで、とヒカルの足音がキッチンに向かう。
 そして、食事の気配。
 一階に下りてキッチンを覗くと、用意していた夕食を、ヒカルが立ったまま平らげていた。
「せめてレンジで温めればいいのに」
「そんなの、めんろくさい」
「それから、よく噛んで食べないとお腹壊すよ」
「うっはいなー」
 もごもごと口を動かしながら、ヒカルが悪態をつく。
「んぐっ……ぷはーっ。あー、美味かった」
「だったらもうちょっと味わって食べてほしいもんだけど」
「……ん? ケイ、もう風呂入ったのか?」
 冷蔵庫を開け、中の牛乳をパックに直接口を付けて飲んでから、制服姿のままのヒカルが言った。
「濡れた髪が色っぽいぜ」
「ヘンなこと言うなよ」
 ボクが言うと、ヒカルが、にひひひっ、と笑った。
 が、すぐに、ボクの表情に気付いたかのように、笑みを引っ込める。
 ボクは、こっそり深呼吸してから、口を開いた。
「あのさ……ボク、母さんに会おうと思うんだ」
「……」
 ヒカルは、無言で牛乳パックをしまった。
「……いつ?」
「明日にでも」
「急だな」
「そうでもないよ」
「……」
 ヒカルは、ふーっと息を吐いてから、にっこり笑った。
「ま、そうだな。やっぱその方がいいよな」
「……うん」
「じゃあさ、明日の朝は、パンケーキにしてくれよ」
「なんでそうなるのさ?」
 ボクが言うと、ヒカルは、じーっとこっちを見つめてきた。
 黙ってる分には、ちょっと気は強そうだけど、普通の可愛い女の子だ。
 その黒い瞳に、ボクの顔が映っている。
「――分かったよ。明日の朝は、パンケーキにするよ」
「ありがと、ケイ。愛してるよ♪」
 ぎゅっ、とヒカルがボクに抱き着いた。
「ちょ、ちょっと、ヒカル」
「……ケイ、キスしようぜ」
「そんな、いきなり――」
 何か言おうとするボクのあごに指をかけ、上を向かせて、唇を重ねてくるヒカル。
「ん……ちゅ……んん……」
 ほんのりミルク味のキスに、ボクの体から、自然と力が抜けてくる。
 唇が離れた時、ボクの視界は、早くも涙でうるうるだった。
「ケイ……」
 ヒカルがそうつぶやきながら、柔らかな唇で、ちゅっ、ちゅっ、とボクの頬や首筋をついばむ。
「ま、待ってよ……ダメ……」
「なんでダメなんだよ」
 ちょっとイジワルな口調でそう言いながら、ヒカルが、ボクの体に体を押し付けてくる。
 何枚かの布越しに、ヒカルの熱いこわばりを、感じた。
 もちろんボクのアレも、ショーツの中で固くなり、きっちりと上を向いてしまっている。
「だ、だって、ここじゃ……」
「ベッドの上の方がいいか?」
「……」
 ボクは、かーっと顔が熱くなるのを感じながら、小さく肯いた。
 ヒカルが、そんなボクの頭をぎゅっと抱え寄せ、その豊かな胸に押し付ける。
 柔らかくて、あったかくて……少し、苦しい。
「ちょ、ちょっと、ヒカルぅ」
「何だよ」
「んぐ……え、えっと、息が……」
「でも、気持ちいいだろ?」
 確かに、そうなんだけど――
「でも、確かに、ずっとこのままってのも芸がないか」
「え……? うわっ!」
 ひょい、とヒカルがボクの体を抱え上げた。
 って、こ、この格好は……。
「んふふふふ〜、お姫様抱っこ♪」
 ボクの体を、肩と膝の裏に回した腕で支えながら、ヒカルが楽しそうな声をあげる。
「や、やめてよ! 恥ずかしいよ〜っ!」
「なんでさ? ケイ、ちびっこいからこういうの似合うんだぜ」
「そんなこと……んむっ」
 さらに抗議しかけるボクの口を、ヒカルが、卑怯にもキスでふさぐ。
「んっ、んぐ、んふ……んんんんン……」
「ぷは……じゃあ、オレの部屋に行こっか」
 そう言って、ヒカルは、ボクを抱えたまま歩きだす。
 ちょっと危なっかしい足取りでヒカルが階段を昇った時、ボクは、つい彼女の首に腕を回してしまった。
 そんなボクにニヤニヤした笑みを向けながら、ヒカルが、器用にドアを開ける。
「ほいっ」
 ヘンな掛け声とともに、ぼす、とヒカルのベッドの上に投げ出された。
 そのまま、ヒカルがのしかかるように覆いかぶさってくる。
「んっ、ああっ、あ……」
 ヒカルが、ボクのパジャマのボタンを外しながら、あらわになっていく肌に唇を這わせてきた。
「ちょ、ちょっと待って……ひゃうんっ……!」
「こんなごちそう前にして、待てるわけないだろー」
 そんなことを言いながら、ヒカルは、あっというまにボクの服を脱がせてしまった。
 ヒカルは、制服を着たままだ。そのことが、なぜかすごく恥ずかしい。
「ヒ……ヒカルも、脱いでよ……」
「え? ……ああ、分かってるよ。ケイのエッチ」
 くすりと笑って、ヒカルは、するりと学校指定のタイをほどいた。
 そして、ボクに見せつけるように、ブラウスを脱いでいく。
 ヒカルの思惑どおり――なのかどうか分からないけど――ボクは、その大きな胸にすっかり見入ってしまった。
 ハーフカップのブラに包まれた、まるで高級なメロンみたいな二つの膨らみ。
 ボクは、それに吸い寄せられるように、半ば服を脱いだヒカルに抱き着いてしまっていた。
「ああ、ケイ……」
 ヒカルは、拒むどころか、ボクの頭を抱え、誘導した。
 口元に、ちょうどヒカルの右の乳房がくる。
 ボクは、ちょっと震える指でヒカルのブラをずらし、ぴょこんと顔を出した乳首を口に含んだ。
「あふっ……」
 乳首を舌で転がすと、ヒカルが、普段のがさつな様子からは考えられないような、色っぽい声を漏らす。
 ボクは、舌と唇で乳首を愛撫しながら、右手をヒカルの左の乳房に重ねた。
 柔らかな弾力を手の平いっぱいに感じながら、指を動かす。
「あん、あふっ……はぁっ……ケイ……きもちいいよ……」
 ヒカルは、うっとりとした口調でそう言いながら、身もだえするような動きで、残りの服を脱いでいった。
「ヒカル、きれい……」
「ありがと。……ケイも、可愛いぜ」
 可愛いと言われて、なんだかくすぐったいような気持ちになる。
 そして、ボク達は、申し合わせていたかのように、互いのショーツを脱がし合った。
 すでにすっかり濡れてしまっているアレが、あらわになる。
 ボクは、もう完全に裸で、そしてヒカルは黒いニーソックスのみを身につけた状態だ。
 自然と、ヒカルの股間のモノに、視線が吸い寄せられる。
「あ……」
 ボクに見られているのを感じたのか、ヒカルのオチンチンが、ひくん、と震えた。
 まるで、誘ってるみたいに――
「……んっ、あ……ケイ?」
 ちゅっ……。
 気が付くと、ボクは、ヒカルのアレの先端にキスしていた。
 正座を崩した格好でうずくまり、膝立ちのヒカルの腰に顔を寄せるような姿勢だ。
「ケ、ケイ、お前、そんなこと……あうっ……!」
 ヒカルがうろたえた声をあげるのがなんだか楽しくて、ボクは、彼女のオチンチンにキスを繰り返した。
 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……。
「やっ、やだっ……こんな……あううっ……」
 ぺたん、とヒカルがシーツの上にお尻をつく。
 ボクは、逃げたオチンチンを追いかけるように、ヒカルの股間に顔をうずめた。
 ほとんど勢いで、ヒカルのアレを口の中に含む。
「んわぅンっ!」
 ヒカルが、妙な声を上げた。
 構わず、口の中で舌を動かして、ヒカルのアレの先っぽを舐めてみる。 何だかヘンな味がするけど、ちっとも汚いなんて思えない。
「よ、よせよ、ケイ……気持ちは嬉しいけど、そんな無理すること……ああうんっ、あっ、あひゃぁンっ!」
「んっ、んむ、んぐ……別に、無理なんてしてないよ」
 オチンチンから口を離し、ヒカルの顔を見上げながら、ボクは正直な気持ちで言った。
「ホ、ホントに……?」
「うん。ヒカルがいやなら、やめるけど……」
「や、やじゃないっ! ぜんぜんやなんかじゃない!」
 ちょっと焦ったような声で、ヒカルが言う。
 ボクは、思わずくすっと笑ってしまった。
「じゃあ、するね……」
 そう言って、再び、ヒカルのアレを口の中に入れる。
「あうっ……んっ、あぁっ……ケイが、オレのチンポ、フェラしてくれるなんて……夢みたいだよ……」
 とても女の子とは思えないようなセリフを、まさに女の子そのものの声で、ヒカルが言った。
 えっと、これからどうしたらいいかな……?
 ちょっと迷ってから、ボクは、れろれろと口の中で舌を動かしてみた。
「あっ、あうっ! あんッ!」
 ぴゅるっ、とヒカルの先端が、汁を漏らす。
 ちょっと苦いけど……でも、ヒカルが喜んでくれるなら……。
 そんなふうに思いながら、ぴちゃぴちゃと音がするくらいに、舌を動かす。
「あっ、あうっ、ひゃ、ひゃあぁン……す、すごい……すごいよ……んあぁんっ……」
 ひくん、ひくん、とボクの口の中で、ヒカルのオチンチンが動いている。
 でも、これじゃ、先っぽしか舐められないな……。
 ボクは、またヒカルのオチンチンを口から出した。
「あ……」
 ヒカルが、名残惜しそうな顔をする。
「ヒカル、可愛い」
 ほとんど初めてヒカルに対してイニシアチブを取れたことが嬉しくて、ボクは思わずそう言ってしまった。
「なっ……! だ、だって……あうっ!」
 ヒカルが、悲鳴みたいな声をあげる。
 オチンチンの裏側を、ぺろん、と舐めてみたのだ。けっこう気持ちいいらしい。
 ボクは、アイスでも舐めるみたいにアレの裏側に舌を這わせ、時々、ちゅばちゅばと表面を吸ってみた。
「あっ、あうっ! あん! あぁん! あんっ!」
 ヒカルは体をのけぞらせ、ほとんど倒れそうになっている。
 アレの下側にある、ヒカルの女の子の部分が、前に突き出されるみたいになった。
 濡れてる……。
 そこでは、ピンク色のぴらぴらがかすかにほころび、透明な液でしっとりと濡れていた。
「……はむっ」
「んはあああンっ!」
 女の子の部分にかぶりつくと、ヒカルが、びっくりするような声をあげた。
「ちょ、ちょっと、ケイ、それダメだ……んああああああああっ!」
 割れ目の中に舌を差し入れ、くちゅくちゅとかき混ぜながら、オチンチンをしごく。
 両方がいっぺんに感じるのか、ヒカルは、ひくひくと体を震わせた。
「待って……待てってば……! あ、ああんっ! あうっ! ひゃんっ!」
 どて、と、とうとうヒカルが後ろに倒れてしまう。
 仰向けになったヒカルの足の間に身を置き、腰を抱えるようにしながら、ボクは、夢中になってヒカルのアソコを攻めまくった。
「あうっ、あン! ああぁン! こ、こんな……ひゃぐっ! ひあぁン! ケイ……あとで、ひどいぞ……んあっ! あはあぁぁぁンっ!」
 オチンチンを舐め上げ、扱き上げながら、その下のアソコに指を浅く潜らせてかき回す。
 ぴゅるっ、ぴゅるっ、とヒカルの先っぽと割れ目からイヤらしい匂いの汁があふれ、シーツとボクの顔をどろどろに濡らした。
 でも、もちろん、ちっともイヤだなんて思わない。
 それどころか、ボクは、ヒカルのその匂いにすっかり興奮してしまっていた。
「ヒカル……ここだよね? ここが感じるんだよね?」
「あうっ! やっ! やあぁんっ! ケイ……やめろよぉ……んああああああ!」
 オチンチンの先っぽや、くびれたところ、アソコの入り口、脚の付け根の内側の筋のところ。
 ヒカルの感じるところが、ボクにはよく分かる。
 だって、それは、ボクの感じるところでもあるから……。
 そう、ボクは、自分がされたいと思っていることを、一生懸命にヒカルにしているのだ。
 そのことに気付いた時、ボクの中で、新たな欲望がむくむくと湧き起こった。
「ヒカル……」
 口による愛撫を続けながら、その場所を軸に、徐々に体を半回転させる。
「ねえ、してよ……ボクにも、同じようにして……」
 ボクは、ヒカルに逆さまに覆いかぶさるような姿勢になりながら、言った。
「はぁ、はぁ、はぁ……ケイ……?」
「ヒカル、して……ボクのオチンチン、ヒカルの口でおしゃぶりしてよ……!」
 切羽詰まったような声をあげながら、ヒカルの胸をまたぐ。
「すごい……ケイのチンポ、こんなに……」
 お酒に酔ったような口調でそう言いながら、ヒカルが、ボクのオチンチンに手を添えて、顔を近付けてくる。
「……あむっ」
 温かく湿った、柔らかな感触が、ボクのオチンチンを包み込んだ。
「んっ……きもちいいよ、ヒカル……」
「んっ、んぐ、んふっ……ケイ……オレにももっと……」
「うん……んむっ、ちゅぶ、んぐ……んぢゅっ……」
 ヒカルのオチンチンを口の中に迎え入れ、ぐうっ、と奥まで飲み込むようにする。
「んぶ、はふっ……! そ、それ、イイっ……!」
 そう言ってから、ヒカルも、同じようにしてくれた。
 ぬるぬると唇を滑らせながら、ヒカルの口の感触を、勃起しきったアレで感じる。
 初めてのはずなのに、感じるところが分かっているので、ボク達の口による愛撫はとてもスムーズだ。
 ぬぬぬっ、ぬぬぬっ、ぬぬぬっ、ぬぬぬっ、ぬぬぬっ、ぬぬぬっ……。
 サオのところに舌で唾液を絡ませるみたいにしながら、苦しくなるまで、オチンチンを飲み込む。
 入院する前、そういうやり方があると知った時、ヒカルにしてもらいたいと考えたことを思い出しながら――ボクは、フェラチオを続けた。
 たぶん、ヒカルも同じだったと思う。
 けど、長く攻められてる分だけ、限界を迎えたのはヒカルの方が先だった。
「ぷはっ……あっ、あああっ……ケイ、オレもう……!」
 ひくっ、ひくっ、とオチンチンをケイレンさせながら、ヒカルが声をあげる。
 ボクは、サオを指先で扱きながら、先端をちゅうちゅうと吸い上げた。
「ダメ、出る……精液出るッ……! あっ、んあっ……! もう――あ、あ、あ、あああああーっ!」
 びゅくんッ!
 ボクの口の中で、熱い何かが弾ける。
 びゅくん、びゅくん、びゅくん、びゅくん……!
 事前にどうなるか想像はしてたけど、けっこうすごい量が出てる。
「んー……」
 生臭い、どろっとしたそれを、ボクは飲んでしまった。
 口の中に残り、喉に絡み付く。味は、苦いって言うより、ちょっとしょっぱい感じ。
 けど、ヒカルが出したものだと思うと、何の抵抗もなく飲むことができた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 ヒカルが、せわしない息を繰り返している。
 重いかな、と思って、体をどかす。
「あう……ちきしょー、先にイっちまったよぉ……」
 悔しそうに、そして恥ずかしそうに言って、ヒカルが顔を背ける。
「そういう問題じゃないと思うけど……」
「ケイ、まだぜんぜんだな」
 ちら、と視線だけボクのオチンチンに向けて、ヒカルが言う。
「う、うん……」
「あのさ……オレに、入れたい?」
 思い切ったように、ヒカルはそう言った。
「え――?」
 一瞬、何を言われてるか分からなくて、ちょっと絶句する。
 けど、その後すぐにボクは肯いていた。
「い、入れたいよ……ヒカルのアソコに……オチンチン、入れたい」
「……優しくしてくれるなら、入れてもいいぜ」
 そう言って、ヒカルは、その形のいい脚をそおっと開いた。
「ヒカル……」
「あ、でも――あんまり痛くすんなよ」
「う、うん……分かってるよ……」
 そう言いながらも、ボクの目は、ヒカルのアソコに釘付けだ。
 上向きになったまま、だらんとしてるオチンチンの下にある、ピンク色の割れ目。
 そこは、たっぷりと蜜に濡れて、そしてひくひくと動いていた。
 ぎん、とボクのオチンチンがさらに固くなる。
「ヒカル……」
 ボクは、ヒカルの脚の間に腰を置くようにして、彼女の体に覆いかぶさった。
 半開きの唇が、キスをねだってるように見える。
「ん……」
 ちゅむ、と唇を重ねながら、くにくにと腰を動かして、オチンチンをワレメにこすりつけた。
 ヒカルが、誘うように腰を浮かす。
 くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ……という湿った音。
 上と下で、ボクとヒカルが、エッチにキスをする。
「ちゅむっ、んっ、んちゅ……ぷはっ……あ、あうぅん……」
「ヒカル……ヒカルのここ、ぷにゅぷにゅして気持ちいいよ」
「ケイ……ケイのチンポ、すっげーあつい……」
「入れるね、ヒカル……」
 体を起こして、愛液まみれになったオチンチンの角度を調節して、ゆっくりと腰を進ませる。
 ずずずずず、と熱い肉の狭間を、押し分けるような感触――
「――いてェっ!」
「ヒカル、だいじょぶ?」
「だいじょぶじゃないィ……たっ、いたたたた……!」
「ゴメン……でも、止められないよ……」
「そ、そんな……あ、あああっ、あうぅ……っ!」
 ずるんっ。
 最後には、そんな感じで、根元まで入れ切った。
「ひはあっ……! あ、あう、あ、た、たた、いたいィ……」
 ヒカルが、目に涙をにじませながら、弱々しい声をあげる。
「ガマンして……すぐ、気持ち良くなると思うから」
「そ、そんなこと……」
「だって、ボクの時はそうだったもん」
 そう言って、ボクは、少しずつ腰を動かし始めた。
「あ、あう、あっ、あく、あ、ああっ……!」
 ボクの腰の動きに合わせて、ヒカルが悲鳴をあげた。
 ヒカルの中の熱いぬるぬるが、ぎゅーっとボクを締め付けてくる。
 それは、ボクを拒んでいるようでもあり、離すまいとしているようでもあった。
「あっ、ああっ……あっ、あっ、あっ、あああっ……!」
 次第に、ヒカルの声の質が変わってくる。
「……もう、気持ち良くなってきたの?」
 ボクは、ちょっと驚きながら、訊いた。
「んっ、あうううっ……そ、そんなこと……あうぅン……!」
「ね、正直に言ってよ」
「わかんない……わかんないよォ……! でも、オレ、こんなの初めてで……あ、あはうううっ!」
 何かから逃れようとするかのようにヒカルの体が悶え、ぶるんぶるんとオッパイが揺れる。
 ボクは、ヒカルの胸の先端にかぶりつき、乳首をちゅばちゅばと吸った。
「はうううっ! あっ、あああんっ! あひっ! ひゃひいいっ!」
 ヒカルのしなやかな体が、ますます激しく動く。
「ヘン……なんかヘンだっ……あうっ! あ、あああっ! い、痛いのに……熱くて……ヤケドしちゃいそうだよ……っ!」
「ヒカル……ヒカル……っ!」
「ああん、ケイっ!」
 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……。
 ボクは、煮えたぎるような快感に、夢中になって腰を使った。
 そして、再び体を起こし、両手でむにむにとヒカルのオッパイを揉みしだく。
「あうっ! あっ! いいっ! オッパイいいよォっ!」
 乳首をびんびんに固くしながら、ヒカルが叫んだ。
 ヒカルの中で、気持ちよさのレベルが、痛みのレベルを上回ったみたいだ。
「ああっ、ケイ……ケイのオッパイぃ……!」
「きゃうっ!」
 むぎゅ! と今度はヒカルがボクの胸に指を食い込ませる。
 ボクは、自分の乳房をヒカルの手に預けるような感じで、腰を動かした。
 ヒカルの手が、ボクの胸を乱暴に揉み搾る。
「ああっ、ヒカルぅ……そんなにしたら、出ちゃう……!」
「出してェ……ケイ、オッパイ出してよ……! ケイのオッパイ、オレに飲ませて……!」
 顔を真っ赤に染め、目を潤ませたヒカルが、舌を突き出すように口を開ける。
 ボクは、ヒカルの手に左右の手を重ねるようにして、両側から自分の乳房をぎゅうっと寄せた。
 ぶぴゅうううっ!
「ああっ……♪」
 白いミルクが、ボクの乳首から溢れ、しぶきになってヒカルの顔を叩く。
「おいしい……ケイのオッパイおいしいよォ……」
 そんなヒカルの声と、甘い母乳の匂いが、ボクの最後の理性を蒸発させた。
「ヒカルっ!」
「あぁンっ!」
 まるでしがみつくみたいにヒカルを抱き締め、ムチャクチャに腰を動かす。
 熱い、ヒリヒリするような快感が、ボクの腰を融かしてしまいそうだ。
「あン! あン! あン! あン! あン! あン!」
 ヒカルの口から漏れるのは、完全に感じてる時の声だ。
 ボクとヒカルの体の間で、二人のオッパイがひしゃげ、ヒカルのオチンチンが揉みくちゃにされる。
 ボクのオッパイからはぴゅるぴゅるとミルクが溢れ、ヒカルのオチンチンからはとろとろと先走りの汁が漏れ出ていた。
「ケイぃ……キス……キスしてよ……」
「うん……ちゅっ、ちゅぶっ……じゅる……んちゅ、ん、んふぅ……」
 噛み付くみたいにキスをして、舌を絡め、唾液を交換する。
 オチンチンが、まるでセイエキでパンパンになったみたいな感じだ。
「んっ……はふぅン……ヒ、ヒカル……ボク、もう出ちゃいそう……!」
「出して……出していいよっ! オレの子宮に、いっぱい中出ししてえっ!」
 ヒカルが、半狂乱って感じで叫ぶ。
「で、でも……!」
 ケイが口にした“子宮”という言葉に、ボクは、ほんのわずかに理性を甦らせていた。
「いいのっ! 赤ちゃんできてもいいからっ! オレ、ケイの赤ちゃんだったらいいよ! だから、ケイの精液、早くっ……!」
「ああっ、ダメっ! ホントに、ホントに出るうっ!」
 思わず、腰を引いちゃいそうになる。
 と、ケイの長い脚が、ボクの腰に絡みついてきた。
 ニーソックスの布地の感触を、妙に生々しく感じる。
 そして――
「出ちゃう、出ちゃううっ! ヒカルの中にシャセイしちゃうよっ!」
「いいよ……! オレの中に、いっぱい出してえっ!」
「あっ、ああっ、あーっ!」
 びゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる!
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
 出……た……。
 ヒカルの子宮めがけ、ビックリするくらい激しい勢いでシャセイする。
 たくさんのセイエキとともに、何もかもが溢れ出てしまったみたいに、頭の中が真っ白になった。
「ああっ、ああああぁぁぁ……あつい……ケイのセイエキ、あついよォ……」
 かすかに、ヒカルの声が、聞こえる。
 お腹の下で、ヒカルのオチンチンが、びくん、びくん、って動いてる。
 ――ああ、ヒカルも、ボクと一緒にシャセイしちゃったんだ……。
 そのことを、なぜかすごく嬉しく思いながら、ボクはしばらくのあいだ意識を失ってしまった。



「うぉあよー」
 キッチンに、あくびまじりのヒカルの声が響いた。
「おはよ。朝ご飯、もうすぐできるから」
「ふゎーい……って、やったー! パンケーキじゃんか!」
 ヒカルが、ぐっ、と女の子らしくないガッツポーズを決める。
「今朝は特別にパンケーキだけど、その後はきちんと白いご飯だからね」
 並べたグラスの中に冷たいミルクを注ぎながら、ボクは言った。
「フ――フンだ。ケイが小母さんのところに帰ったら、毎朝ショートケーキを朝食にしてやる」
 ヒカルが、唇を尖らせる。
「そんな朝ご飯あるもんか。それに、だいたいヒカルにショートケーキなんて焼けるわけ?」
「コンビニのやつだよ!」
「そんなの高くついちゃうよ。……それに、ボク、母さんのところには帰らないし」
「――えええっ!」
 席に着き、パンケーキにメープルシロップを垂らしていたヒカルが、すっとんきょーな声をあげる。
「あー、そんなにかけちゃったらシロップの味しかしなくなっちゃうよ」
「だってお前、昨日は小母さんに会うって……!」
「会うよ。会うけど、一緒には暮らさない。しばらくはヒカルのところに居候を続けるから」
「なっ……! お、小母さんがそれで納得するわけないだろ!」
 奥歯が見えるくらいに大きな口を開けて、ヒカルが大声を出す。
「説得するよ」
 ボクは、昨日決心した通りのことを言って、イスに座った。
「だって、ボク、ヒカルと結婚するつもりだもん」
「けっ……!」
「あ、もちろん、ヒカルがイヤじゃなければだけどね」
 ボクは、にっこりと笑いながら言ってやった。
「……」
 ヒカルが、押し黙ったまま、ナイフとフォークを握る。
「……ったく……オレはてっきり、ケイが出ていくと思ったから……そりゃ……イヤなわけないけど……でも、いきなり……」
 口の中でゴニョゴニョ言いながら、ぎこぎこと乱暴な手つきでパンケーキを切るヒカル。
 その仕草が、なぜか、今まで見た中で一番女の子らしく見える。
「ヒカル、何か言った?」
「なんでもねーよっ!」
 ちょっとイジワルな気持ちで訊いたボクに、大きな声でそう言いながら、ヒカルはたっぷりとシロップにまみれたパンケーキにかぶりついた。

あとがき

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