幼な妻ゆきな絶頂触手地獄



「章次さん……」
 ゆきなは、つい先月一緒になったばかりの夫の写真を見つめながら、切なそうに溜息をついた。
 高校を卒業してすぐ結婚したその相手は、一回り上の30歳。今は遠い街に単身赴任の身だ。
「さみしいよぉ……」
 マンションの中で一人きりの味気ない夕食を終え、洗い物を済ませた後、ゆきなはベッドに倒れ伏して、そう呟いた。
 写真立ての中に収められた夫は、優しそうな表情で、こちらに笑いかけている。
 ゆきなは、その写真立てを、形のいい胸に押しつけるように、ぎゅっと抱き締めた。
 悦びを覚え始めた18歳の体の芯が、きゅぅんと疼く。
 窓の外では満月が中天を目指して暗い空を昇りつつあった。



 温かなお湯の中に身をひたしていても、身の内の疼きは治まらなかった。
 湯気のためにぼやけて見えるバスルームの天井を仰ぎながら、ゆきなは、ふーっ、と息をつく。
 手が、自然と、自らの乳房に伸びてしまう。
「だめよ、ゆきな!」
 はっとして、ゆきなは思わず声に出して言ってしまった。そんな自分自身の言葉に、上気した頬をますます赤くしてしまう。そうすると、まだ子供っぽさを残すその可愛らしい顔が、ひどく幼く見えた。
(でも……せっかくよくなってきたのに……)
 そんな、はしたない自分自身の考えに、ますます顔が火照る。
 ゆきなは、お湯から上がり、バスタブに腰掛けた。その瑞々しい肌はお湯を弾き、珠のような水滴が白い裸体を滑り落ちる。
 ふと、ゆきなは、視線を感じたような気がした。
「誰……?」
 思わず声に出して言いながら、頭を巡らせる。しかし、ここは窓の無いユニットバスの中だ。覗かれることなど、まずありえない。
「自意識過剰かしら」
 夫が単身赴任になってからめっきり増えた独り言が、またゆきなの口をつく。
 と、ゆきなの耳が、かすかな音をとらえた。かたかたかた……という、硬いもの同士が触れ合うような音だ。
 音の方を見ると、床にある排水口の、穴のあいた丸い蓋が、わずかに震えている。
「やだ、ネズミ?」
 ゆきなは、慌てて湯船に入れていたすらりとした脚を引き抜き、風呂場の床に降り立った。リスやハムスターなら可愛いと思うが、同じげっ歯類でもネズミはどうにも好きになれない。
 が、それはネズミなどではなかった。
 突然、かぁん! と音をたてて、排水口の蓋が弾け飛んだ。
「きゃっ!」
 ゆきなが、悲鳴をあげて身をすくめる。
「な……なにコレ……」
 ぽっかりと開いた風呂場の床の排水口から、信じられないようなものが、姿を現していた。
 それは、吸盤を備えた赤黒い触手だった。人の指よりもやや太いくらいの無数の触手が、透明な粘液にまみれながら、排水口から溢れ出てきたのである。
「きゃ……!」
 本能的な恐怖と嫌悪から、身を翻して逃げようとしたゆきなの白い体に、驚くほど素早い動きで触手が伸びた。
「イ、イヤあーッ!」
 叫び声をあげながら、ゆきなは足を滑らせていた。
 が、ゆきなは床に倒れはしなかった。ゆきなの肢体に絡みつく何本もの触手が、しっかりとその体を支えたのである。ちょうど、両膝を付いてうつぶせに倒れ掛かかりながら、両腕を後に回された状態だ。
「ちょ、ちょっと……ヤダっ! イヤ! イヤよぉッ!」
 ゆきなは、ふんばりのきかない中途半端な態勢で空しく身をよじるばかりだ。
 そんなゆきなの体を、ますます数を増やした触手たちが、次々と締め付けてくる。
「あうっ……い、いたいっ……」
 根元の部分を締め上げられ、半球型の白い乳房が、卑猥に形を変える。
 触手たちは、ぬらぬらとイヤらしい粘液をその体表から分泌させながら、ゆきなの肌の上でその身をのたうたせた。
「ひあッ! いや、いやああーッ!」
 激しくかぶりをふるゆきなの頭から、髪の毛をまとめていたピンク色のタオルがはらりと落ちる。長い黒髪が妖しげなぬめりに濡れ光る白い裸体にまとわりつく様は、ひどくエロティックな光景だった。
 が、当のゆきなにとっては、それどころではない。
「だ、だれかァ! だれか、たすけてエーっ!」
 正体不明の触手たちに体中をまさぐられるおぞましさに耐えながら、悲痛な声をあげる。
 しかし、触手たちは、そんなゆきなを嘲笑うかのように、その体をしっかりと拘束した後、最も触れてほしくない部分を嬲り始めた。
「あ! ヤあああッ! そんな、そんなアッ!」
 何本もの触手たちが、ゆきなの靡肉をまさぐりだす。
 それは、思いもかけず繊細な動きで、柔らかな肉の襞をなぞり、膣口をくりくりと刺激した。
「ああっ、ヤダあぁ……やめて、やめてエ……!」
 ゆきなの悲鳴から、次第に力が抜けていく。
 触手たちは、ますます大胆にゆきなのその部分を責めだした。
 クレヴァスに浅く身を潜らせ、ぶるぶると震えたり、その吸盤で充血しつつある靡粘膜を吸い上げる。
 ゆきなのそこは、いつしか、触手たちが分泌する粘液とは別のもので、熱く潤み始めていた。
「ウソよ……こ、こんなのウソよォ……」
 はぁはぁと荒い息をつきながら、ゆきなは涙をにじませ、繰り返した。
 ゆきなの位置からでは、触手が這い出ている排水口を見ることはできない。しかし、ごぽごぽという音が絶え間なく響いていることを考えると、触手はますますその数を増やしているらしい。
「……たすけて……章次さん、たすけてェ……」
 子供のような泣き声で、ゆきなは遠く離れた夫に助けを求める。無論、その声が届くはずも無い。
「あうッ!」
 びくン、とゆきなの体が痙攣した。触手のうちの一本が、とうとうゆきなの一番敏感な部分をとらえたのだ。
「あ、あ、あ、あァーッ!」
 ぐりぐりと肉の真珠を無遠慮に弄ばれ、ゆきなは絶望に染まった喘ぎを漏らす。
「やめて……おねがい……やめて、やめてェ……」
 否定しようの無い快感にぴくぴくと体を震わせながら、ゆきなは哀願を繰り返す。
 と、その目の前に、ぬっと一際太い触手が現れた。
「ひ……!」
 ゆきなは、思わず息を飲んでいた。
 それは、今までゆきなを責め苛んでいた触手とは、明らかに違うものだった。太さは他の触手の三倍以上もあり、先の方はさらに膨れ上がっている。
 ごつごつと節くれだち、先端の裂け目から透明な粘液を滴らせているそれは、あからさまに言えば、ヒトの男根に酷似していた。
「い、いやァ……」
 力無くそう言うゆきなの可憐な唇に、ペニスの形をした触手が自らの先端を押しつける。
「んぶーッ!」
 強引に口腔を犯され、ゆきなはくぐもった悲鳴をあげた。
 口内に、凄まじい牡の匂いが溢れる。ゆきなは、必死になって嘔吐感をこらえた。
 ずりずりと口蓋をこすりながら、触手がゆきなの口の中で動き出した。
 その先端からは、饐えたような匂いの汚穢な粘液が、ぴゅるぴゅると絶え間なく漏れ出ている。
「う……んぐゥ……んぶっ……んン……ンえっ……」
 ゆきなは、ぽろぽろと涙をこぼしながら、まだ夫にもほとんど許していない口腔を犯され続けた。
 唇の端からはだらだらと涎がこぼれ落ちる。
 しかも、その合間も、他の触手たちはゆきなを責め続けていた。
 何本もの触手が、膣口を広げるようにゆきなの陰唇を引き伸ばし、膣内の浅く敏感な部分をこすりあげている。そして、痛々しいほどに勃起したクリトリスは、吸盤によってきつく吸引されていた。
 さらに他の触手たちは、ゆきなの乳首をしごきあげるように刺激し、背中や脇、うなじを這い回り、あまつさえその秘めやかなアヌスにまで、ぬるぬるとした粘液を塗りつけるようにして愛撫している。
 ふーっ、ふーっ、と鼻だけで苦しい呼吸を繰り返しながら、ゆきなは、次第に頭がぼんやりとなっていくのを感じていた。
(ああ……ダメよ、ゆきな……正気を保たなきゃ……)
 そんな内なる理性の声も、触手たちがもたらすこの世のものとも思えない愛撫の前に、どろどろにとろけてしまう。
 牝の悦びに目覚めつつあったゆきなの体は、この非現実的な快楽の前に、屈服しつつあった。
 ともすれば、逞しく口腔を犯すその怪物じみたペニスにさえ、愛しさに似た感情を覚えてしまう。
(章次さん……ゆるして……ゆきなは……ゆきなはもう……)
 精神を絶望と悦楽に支配されながら、ゆきなは、自分が大事なものを裏切ったことに気付いた。
 そして、口内のペニスに舌を絡め、情熱的に吸い上げる。
 口の中に溜まった粘液を唾液とともにすすり上げると、まるで強い酒を一息にあおったように、かあっと全身が熱くなった。
 触手たちも、そんなゆきなの変化に気付いたのか、さらに激しくその白い肌を攻めたてる。
「んんン……ンッ……んくっ……んむ……んン〜ン……」
 ゆきなは、明らかに媚びを含んだ鼻声を漏らしながら、そのピンク色の唇をぴったりと締め上げ、頭をねじるようにして、自らの口を犯す男根に積極的に奉仕した。
 さらには、口内で激しく舌を使って竿の部分を舐めしゃぶり、こくこくと喉を鳴らして牡臭い粘液を飲み干す。
 ゆきなの口を犯す触手の動きが、ますます激しくなった。
「んんン〜ッ♪」
 口内を無残に蹂躙されながら、ゆきなは被虐の悦びにまみれた声をあげる。
 どぷっ! とゆきなの口の中に、大量の熱い粘液が溢れた。
 触手は、さらにその先端から白濁した粘液を放ちながら、自らをゆきなの口内から引き抜いた。
「はあァ……」
 うっとりと声を漏らすゆきなの顔を、びゅるびゅるとまだ迸り続けている大量の白濁液が汚していく。
 そのたびに、ゆきなは、その体をぴくん、ぴくんと痙攣させた。その瞳は空ろで、どこにも焦点は合っていない。
 おぞましい人外の存在に陵辱されながら、ゆきなは間違い無く絶頂を味わっていた。

 気が付くと、ゆきなは、浴室の床に四つん這いになっていた。
 触手たちは、ゆきなの体に絡みついたまま、ゆるゆると愛撫を続けている。
「ンあ……」
 先ほど、熱い精を放った触手と同じような触手が、ゆきなの目の前で蛇のように鎌首をもたげている。
「あむ……」
 ゆきなは、自分からその触手を口に含んだ。口内でびくびくと脈打つ感覚が、ひどく生々しい。
 と、同じように先端を膨らませた触手が、二本、三本と、ゆきなの肌にまとわりついてきた。
 その熱い感覚にうっとりと目を細めながら、ゆきなは、手近にあるそのペニスそっくりの触手を両手に握った。
 そして、ぬるぬるとした粘液で指先を滑らせながら、ごつごつした竿の部分をしごきあげる。
 口と手で触手たちに奉仕しながら、ゆきなは、自身の下半身が熱く痺れるようになっていることに気付いていた。
(ああン……ゆきなのアソコ、きっと、ぐちゃぐちゃになってる……)
 ふんふんと子犬のように可愛らしく鼻を鳴らしながら、ゆきなは、その小ぶりなヒップを淫らにくねらせた。
 細い、吸盤を備えた触手たちは、そんなゆきなのお尻にからみつき、淫靡な粘膜をなぶり、アヌスをくりくりとくすぐっている。
 しかし、熱い剛直に貫かれることを欲している蜜壷の奥深くまでは、けしてその身を沈めようとはしないのだ。
(お、おねがい……奥に、ほしいの……ほしい……ほしい……ほしいよォ……ッ!)
 ゆきなは、知能の有無さえも分からない触手たちに、心の中で必死になってはしたないおねだりをした。
 こぽこぽと愛液が止めどもなく膣口から溢れているのが、自分でも分かる。
 それでも、触手たちに執拗に焦らされて、ゆきなは脳が焼き切れそうなもどかしさを覚えていた。
「お、おねがいれす……ゆきなのおまんこに、おっきぃの……いれてェ……ッ!」
 ゆきなは、逞しい触手を半ば咥えたまま、人語を理解するのかどうかも分からない怪物に、必死で訴えた。
 そんなゆきなの小さな口に、再び触手が侵入する。
「んぷう……っ!」
 呼吸を阻害されながらも、口の中でますます硬度と容積を増していく男根に悦んでもらおうと、けなげに舌をからめ、じゅるじゅると音をたてて吸引する。
 そして、両手に握った触手にも、その細い指を絡め、一生懸命にしごき上げる。
 と、そんなゆきなの思いが通じたのか、さらに別の触手が、彼女の熱く濡れた秘所にその身をあてがった。
(ああァ……ッ♪)
 ゆきなのそこが、淫らな期待にひくひくと息づく。
 そんなゆきなの靡粘膜をかき分けるように、その触手は、ずりずりと膣内へと侵入した。
「んんン〜……ッ!」
 体を内側から押し広げられるような、息苦しい快感に、ゆきなはくぐもった歓喜の声をあげる。
 触手の先端が、ゆきなの最深部に届いた。
「んむン……」
 びくびくびくっ、とゆきなの白い体が痙攣した。また絶頂に達したのだ。
 が、ゆきなの膣内に侵入した触手は、そんなゆきなの反応におかまいなしに、抽送を始めた。
「んッ! んぶッ! んぶ! んむゥ!」
 絶頂の余韻で敏感になった膣壁をえぐるような勢いで、触手はゆきなを犯していく。
 ゆきなは、痛みを感じるほどの快感に、触手を咥えた口の端から涎をこぼしながら身悶えた。
 しかし、触手たちは容赦をしない。それどころか、さらに別の触手たちが、獲物を襲う小さな肉食獣の群れのような勢いで、ゆきなの裸体に殺到する。
「ひぎゃッ!」
 何の前触れも無くアヌスを貫かれ、ゆきなはたまらず触手から口を離して絶叫した。
「あ、あ、あ、あ、あああアァ……」
 呆けたような声を、ゆきなはあげていた。
 驚いたことに、痛みはほとんど無かった。これまで入念にマッサージされていたためか、触手自身が分泌する粘液の効果によるものか、ゆきなの菊門は、あっけないほどスムーズに、勃起したペニスそのままの形と太さの触手を受け入れたのである。
 それは、排泄感に似た、おぞましいような快感であった。
「あ、あひ……ひい……ひゃううううッ!」
 初めて感じる肛姦の悦びに、ゆきなははしたなく声をあげてしまう。
「す、すごい……おしり……すごいィ……ッ!」
 膣内と直腸を犯す触手が、薄い肉の壁を挟んでぐりぐりと動く感覚に、ゆきなは文字通り半狂乱になっていた。
「す、すごい……! おしりと、おまんこのが……こすれてるゥ……ッ! あいいいいッ! ひあッ! あう! ンあうううううううッ!」
 と、今まで口による奉仕を受けていた触手が、またもゆきなの口内に侵入した。
 さらに、何本ものペニスの形をした触手が、ゆきなの胸の谷間や腋の下、太腿の間などに潜り込み、ずりずりとその身を滑らかな肌にこすりつける。
 ゆきなは、十人近くの男に同時に犯されているような錯覚を覚えながら、唇と舌、そして両手で、必死になって触手たちに奉仕した。
 もはやゆきなの体は、二種類の触手たちに半ば覆われ、奇怪な怪物に捕食されつつある妖精のように見える。
 そのような状態で、ゆきなは、触手と自らが分泌する液にまみれながら、立て続けに絶頂に追い込まれていた。
「ンッ! んぶぶッ! んぐッ! ンンンンンンンンンンンンン〜ッ!」
 そして、びゅるるッ! と触手たちが律動し、大量の白濁液を吐き出した。
 ゆきなの口に、手の平に、胸の谷間に、腋の下に、脚の間に、呆れるほどの量の粘液が溢れ、飛び散る。
 無論、それはゆきなの体内でも例外ではなかった。
 びゅうっ! びゅううっ! と痛いほどの勢いで人ならぬものの精液が弾け、ゆきなの体を内側からも汚し尽くしていく。
 それでも、触手たちは一向に力を失わず、ゆきなを犯すのをやめようとはしないのだ。
(ス、スゴい、スゴすぎるうッ! もう、ゆきな、おかしくなっちゃうよォ〜ッ!)
 声にならない歓喜の絶叫を、ゆきなはあげ続ける。
 そしてゆきなは、視界を真紅に染めながら、いつまでもいつまでもこの世ならぬ絶頂を味わうのだった。



 はっと目を覚ますと、ゆきなは、汗びっしょりになってベッドに横たわっていた。
「エ……? ゆ、ゆめ……?」
 あまりに激しくはしたない夢を見てしまった自分自身に、ゆきなはこれ以上は無いというくらいに赤面した。
「あ、あたしったら……恥ずかしい……」
 ショーツが、自分でも呆れるほどに濡れている。
 ゆきなは、ちら、と夫の写真に視線を移した。
 新婚旅行で、南洋の島に行ったときの写真だ。クルーザーで海釣りに挑戦した夫の章次が、戦果を釣り糸にぶら下げながら、困ったような顔で笑っている。
 それは、ぬめぬめと体表を光らせた、赤黒い一匹の大きなタコだった。
「……コレのせい、かしら?」
 ゆきなはちょっと苦笑いして――そして、バスルームへと向かうのだった。
あとがき

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