ももえ新規開発!



「ねえ、直太くん」
 美術館でサルバドール・ダリの妙ちきりんな絵を見てきた帰り、電車のホームで、萌々絵が唐突に口を開いた。
「ん、なんだよ」
 ダリのけったいな髭とシド・ミードがデザインした白いモビルスーツの相関性についてぼんやりと考えていた俺が、聞き返す。
「やっぱ、お尻でするのってきもちイイのかなあ?」
「ぶっ!」
 俺たちの前で電車を待っていたサラリーマンらしきお兄さんが、飲んでいた缶コーヒーを線路に吹き出した。
 振り返ったそのお兄さんは、グラサンをかけた俺と目が合った瞬間、慌てて前を向く。いつものこととは言え、傷つく反応だ。
「ねえねえねえ、どーなの?」
「ちょっと小さな声で話せよ。お前、羞恥心ってものがないのか?」
「シュウチシン……? もしかして、直太くん、照れてるの?」
 俺は、首を横に振った。恥ずかしいとは思っているが、照れてるわけではない。この差は重要だ。
「とにかく、外でそんなこと大声で言うもんじゃない!」
「大声なんて出してないよお」
「それから、さっきのことは俺には分からない。試したことないからな」
「んー、なるほど〜」
 納得したのか、うんうんと萌々絵が肯いている。
 何となく妙な予感を覚えたときに、電車が滑り込んできた。



 そして、半月近く経ったある日の、放課後。
「ね、直太くん。このあとヒマ?」
 あの時のホームでのやりとりなどすっかり忘れていた俺に、萌々絵が声をかけてきた。
「ん、まあ、用って程のことは無いけど」
 部屋には、組みかけのプラモデルがあるが、さすがにそっちを優先するほど気合の入ったモデラーではない。
「じゃあさ、うちでご飯、食べてかない?」
「ご飯て、夕飯か?」
「うん。今日、お父さんもお母さんもいないから……一人で、ちょっと寂しくて」
 萌々絵が、すがるような目で俺を見る。
 俺なんかは一人でいるのが一向に苦にならないタチだが、萌々絵は違うらしい。見かけどおりというか何というか、寂しがり屋なのだろう。
「で、食事はお前が作るのか?」
「もちろん。……あ、ダイジョブだよォ。お正月みたいに失敗はしないってば」
「だといいんだけどな……」
 大丈夫だと言われても、やはり、一抹の不安は拭えない。
 かと言って、萌々絵を押しのけて夕飯を作るほどの技量がある訳でもないので、ここは任せるしかないだろう。
「でね、夕飯終わったら、お勉強会したいの」
「勉強会?」
 テストが近い訳でもないのに、妙なことを言う。
 だが、萌々絵は勉強好きなことは確かだ。どうやら、予習だの復習だのをするのが心底楽しいらしい。
 そのくせ、夜遅くまで勉強したせいで授業中に居眠りして、「もう食べられない」とかベタな寝言を言ったりするので、教師にとっての理想の生徒には程遠いわけだが。
「ま、いっか。明日は休みだしな」
「えへへへへへへ、じゃあ、決まりだね♪」
 萌々絵は、頬をほんのり赤く染めながら、そう言った。



 告白すれば、俺も、それなりの予想はしていた。いや、期待していたと言っていい。
 だって、期待するなと言う方が無理な話じゃないか。
 俺だって心身ともに健康な(健全な、とは言わないけど)男子だし、萌々絵だってかなりあっち方面に対しては抵抗が無い(貪欲な、とは言わないけど)女子だ。このところ、正月の時の反省もあって、高校生としての範を越えないようなイベントばかりだったということもある。経済的な制限もあるし、お互い家には家族がいるし、路上や学校やその他公共の場所で致してしまうほど切羽詰まってはいないので、と言いつつそういう場所でしたことは皆無じゃないけど、でも、三日と措かずとか毎週欠かさずなんてわけには当然いかないわけで……。
 よそう、男らしくない。と言うか、自分でも何が言いたいのか分からなくなってきた。
 とにかく、俺は、期待していた。
 しかし、萌々絵の行動は、俺の予想と期待を、呂布や魏延や孟達のように裏切ってくれる。
 この夜も、そうだった。
「じゃあ、勉強会のはじまりはじまり〜」
 二人きりのリビングでデザートの自家製プリンを食い終わり、彼女の部屋に移るや否や、萌々絵はそんなふうに言いだした。
 そして、ごそごそと何やら取り出す。
 それはハンディサイズのビデオカメラだった。
「何だよ、そんな物なんて持ち出して」
「えっへっへっへっへ〜」
 萌々絵は、妙な感じで笑いながら、自室にある可愛らしいサイズのテレビにそれを接続した。
「ぽちっとな」
 えらく年代物の台詞とともに、萌々絵が、テレビのスイッチとビデオの再生ボタンを押す。
 暗い灰色だった画面が青く染まり、そして、唐突に画像が現れた。
 それは、今、俺と萌々絵がいるこの部屋の風景だった。
「……何だコレ?」
「え、えっとね、見てれば分かるよ」
「……」
 どうやらビデオカメラは三脚か何かに固定されてるらしく、画像は少しもぶれてない。
 そして、映ってるのは、今まさに俺が背中を預けている萌々絵のベッドだ。
 ということは、カメラは、ちょうどこのテレビの前に固定されていたって事だろうか。
「ん?」
 画面の中に、萌々絵が現れた。
 淡いピンク色のパジャマ姿である。高校生が着るにはちょっと子供っぽいデザインだが、萌々絵の童顔にはよく似合ってる。
 だが、胸の辺りが、ばいんというか、ぼよんというか、とにかく過剰に膨らんでるところは、そのデザインとかなりミスマッチだ。
「あ、あのさ、これがどうして勉強会なんだ?」
「ん、もう、見てれば分かるってばあ」
 俺が訊くと、萌々絵が拗ねたような口調でそう言う。
 しょうがないので――というのは建前で、明確な意志をもって、俺はテレビ画面を見続けた。
 画面の中の萌々絵は、どこかもじもじとした仕草をした後、えいやっ、とばかりにパジャマの下を脱ぎ出した。
「うわっ!」
 俺が驚きの声をあげている間にも、パジャマのズボンを脱ぎ捨て、白い清楚なデザインのショーツを脱ごうと片足になる。
 そのまま、部屋の中を何度か“けんけん”した後、萌々絵は、ぺたん、とベッドにお尻をついた。
「なっ、なななっ、ななななな……」
「直太くん、静かに見てよ……でないと、なんか恥ずかしいよお」
 俺の隣で、萌々絵がそんなことを言った。
 そして、その萌々絵が、テレビの画面の中で、下半身をすっぽんぽんにしているのである。
 想定された処理能力を超えた情報に、脳が熱暴走しているのを、俺は自覚していた。
 だが、これはまだほんの序の口だった。
「えっと……」
 画面の中の萌々絵が、ベッドのヘッドボードに備えられた引き出しから、何か取り出す。
 まずは、親指くらいの大きさの、樹脂製のボトル。
 そして、やはり樹脂製らしい、ビー玉くらいの大きさのボールが幾つか連結された形の、奇妙な器具。
 問題の器具にはグリップがあり、色は明るいオレンジだ。
「な――」
 俺は、絶句していた。
 だって、それは、そのテのマンガやゲームにはよく登場するが、日常生活では滅多にお目にかかれない代物で……。
「アナルバイブ、かよ……」
「ぴんぽーん♪」
 俺の隣の萌々絵が、正解のチャイムを口まねする。
 一方、画面の中の萌々絵は、排泄器官用のバイブをシーツの上に置き、背中にクッションを当てて、ビデオカメラと正対していた。
 そして――がぱっ、とその白い脚をM字に開く。
「きゃー♪」
 自分でやってることだというのに、傍らで萌々絵が声をあげ、両手で顔を隠すような仕草をする。が、目は、指の間からしっかり画面を見ていた。
 画面の中の萌々絵が、ボトルの蓋を開け、中身を右手の指先に垂らした。
「えっとねえ、あれは、ローションなの」
 横で、萌々絵が解説してくれる。
 しかし、俺が知りたいことはそんなことじゃなくって、どういう意図で萌々絵がこんな映像を俺に見せているのか、ということなのだが。
 ただ、俺は、テレビの中で展開していることに心を奪われ、きちんと疑問を言葉にすることができないでいる。
 萌々絵が、ローションで濡れた右手の指を、自らの股間にあてがった。
 ほとんど恥毛の生えていない秘部の、さらに下と言うか、奥と言うか……要するに、アヌスの方に。
 一方、左手は、脚の外側からお尻の割れ目をむにっと広げている。恐ろしく扇情的な光景だ。
 セピア色のすぼまりに、指が、触れる。
 そして、萌々絵の白い指先が、円を描くように、アヌスの周辺を撫で始めた。
「……はっ……あくっ……ふっ……」
 萌々絵の細い喘ぎ声が、テレビのスピーカーから聞こえる。
 自分の彼女が、過去、この部屋で行っていたアブノーマルな自慰行為の様子を、俺は、食い入るように見つめてしまっていた。
 ゆっくりだった萌々絵の指の動きが、次第に速くなっていく。
「は、はふ、んっ……ああん……あん、あっ、あうぅ……」
 声が、だんだんと大きくなり、そしていやらしく濡れていく。
 と、萌々絵の指が、アヌスの中心に狙いを定めた。
 そのまま、ぬぢゅ、といった感じで、指先がアヌスの中に潜り込んだ。
「んんんんんっ……」
 悩ましげに眉を寄せながら、萌々絵が、きゅぽきゅぽと指を穴に出し入れする。
「はっ、はああっ、はっ、はん、あはぁん、あんっ……き、気持ちイイ……」
 テレビの中の萌々絵が、どこか切迫したような声で、快楽を訴える。
「んっ、あうっ、あ、ああん……ヘンな感じ……でも、気持ちイイ……くすぐったいのが、うんと強くなったみたいで……あううっ……」
 まるで、テレビを見ている人間に対して説明しているかのように、画面の中の萌々絵が言う。
 いや、それは、まさに解説だったようだ。
「はっ、はふっ、あ、ああんっ……熱い……お尻、熱くなってきた……んっ、あはうっ……!」
 萌々絵が、目を潤ませながら、言葉を続ける。
「んっ、あふぅっ……じゃあ、使うね……バイブ、使うから……」
 そう言って、萌々絵は、いったんお尻から両手を離し、傍らに置きっ放しになっていたアナルバイブに、たっぷりとローションを垂らした。
 そして、部屋の明かりをぬるぬると反射させるその透明な粘液を、バイブの震動部に手で馴染ませる。
「はあっ……」
 どこか期待しているような吐息をついて、萌々絵は、アナルバイブの先端を自らの排泄器官に押し当てた。
 そのまま、グリップを持った右手に力を込める。
 ぬぷん、ぬぷん、ぬぷん、ぬぷん、ぬぷん、ぬぷん……。
「あんっ、あっ、あぅん、あん、あん、あぁん……」
 オレンジ色の球体を、アヌスで飲み込むたびに、萌々絵が、可愛らしい悲鳴をあげる。
 とうとう、全部の球体が、萌々絵の直腸の中に収まってしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 萌々絵が、顔を真っ赤にしながら喘いでいる。
 そして、萌々絵は、ゆっくりとアナルバイブを抽送させ始めた。
 ぬぷぷぷん、ぬぷぷぷん、ぬぷぷぷん、ぬぷぷぷん……。
「はっ、はひっ、はふん、あ、あふ、あん、ああん、ああああん……」
 球体が出てくるのに合わせて萌々絵のアヌスがかすかに捲れ上がり、入っていくのに合わせてかすかに内側にすぼまる。
 その部分の直径に合わせて穴の大きさが変化する様が、恐ろしく卑猥だ。
「はあっ、はっ、はあう、はっ、はああっ……」
 画面の中の萌々絵が、大きく喘ぎながら、右手の指先でバイブのスイッチをまさぐる。
 ヴンンンンンン……!
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんっ!」
 萌々絵が、悲鳴のような声を上げる。
 ぎゅっ、と左手の指をヒップに食い込ませながら、萌々絵は右手を動かした。
 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……。
 ぬぷぷ、ぬぷぷ、ぬぷぷ、ぬぷぷ……。
 アナルバイブが、まるで無機質な生命体のように、萌々絵のアヌスを犯す。
 秘裂が赤く染まり、とろとろと愛液を溢れさせているところを見ると、そうとう感じているのだろう。
 しかし――
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……」
 次第に、萌々絵の喘ぎがクールダウンしてきた。右手の動きも、だんだんゆっくりになっていく。
「は、んんっ、ん……んー……」
 ――ぷち、と萌々絵が、バイブのスイッチを切った。
「ダメ、やっぱりイけないみたい……」
 そう言って、下半身すっぽんぽんのまま、はーっ、と溜息をつく萌々絵。
「痛いんじゃないけど、だんだん冷めてきちゃう感じだった。あともうちょっとだったんだけど……。とにかく、今日はおしまい」
 そう言って、画面の中の萌々絵が、ベッドから降り、カメラに向かって手を伸ばす。
 録画停止のボタンを押したのか、そこで映像は終わり、画面は再び青一色になった。
「……ね、分かったでしょ?」
「今ので何を分かれというのだー!」
 俺は、横から声をかけてきた萌々絵に叫んでいた。
「だからね、萌々絵、お尻でしてもきちんとイけないみたいなの。それで、なんでかなあ、と思って……」
「――で、自分でビデオに撮って観察してみた、と?」
「うん。でも、いくら見ても原因が分からないから、直太くんに一緒に考えてもらおうかなー、と思って」
「……」
 おお、神様。
 俺の目の前で可愛く微笑んでいる彼女のことがどうしても理解できません。これが、人と人とを隔てる壁、ATフィールドなのですか?
「――萌々絵のやりかた、どこがおかしいのかな?」
「いや、その……俺にもさっぱり……」
「そうなの? 直太くんなら分かると思ったのにぃ」
 萌々絵の頭の中で、俺はどういう人間としてイメージされてるんだろう?
 確かに、俺はイロイロな分野についてやたらと語ってしまうところがあるが……それにしたって、萌々絵に対してその手の知識をひけらかしたことは無い。断じて無い。
「じゃ、じゃあさ、あのー……」
 俺の思考を、おずおずとした萌々絵の声が遮る。
「イヤかもしれないけど、こんなこと頼めるの、直太くんしかいないから……」
「な、なんだよ」
「あ、あのね……萌々絵のお尻、気持ちよくしてくれる?」
 な――何でだ?
 どうしてなんだ?
 どういうことなんだよ?
 何だって俺は萌々絵にこんなとんでもないことを言われてこんなにもペニスをいきり立たせているんだ?
「ん――わ、分かった――」
 さらに謎なのは、俺が、そんなことを言いながら萌々絵に肯きかけたことだった。



 まず、萌々絵がシャワーを浴びて、で、次に俺がシャワーを借りた。
 俺がシャワーを浴びている間に、萌々絵がお腹の中を綺麗にするという段取りである。
 それが終わり、パジャマ姿の萌々絵と並んで、ベッドに座る。
 俺は、いつになく緊張しながら、萌々絵の方を向き、その体を引き寄せた。
 あ、まだメガネを外してない、と思いながらも、勢いでそのままキスをしてしまう。
 メガネのフレームに萌々絵の顔が当たらないよう、軽いキス。
 そして、唇を離し、メガネを外してから、改めて萌々絵とキスをした。
「んっ、んんっ、んちゅ……んふ、ん、ふぅん……」
 萌々絵が、甘えるような息を漏らし、俺のキスに応える。
 俺は、萌々絵の唇や頬にキスを繰り返しながら、その小さな体をベッドに横たえた。
「えへへ……」
 恥ずかしそうに笑う萌々絵のパジャマの下に、手をかける。
「やーん、直太くんのえっちぃ♪」
「……じゃ、自分で脱ぐか?」
「やんやん。直太くんに脱がされるのがいいのっ」
 いったいどーしろと言うんだ。
 と思いつつも、俺は、萌々絵のパジャマを脱がした。やっぱり自分で脱がす方が興奮する。
 ――つまり、俺は萌々絵が言うように“えっち”な人間なんだろうな。
 そんなことを頭の片隅で考えながら、果物の皮を剥くように、ショーツを下ろす。
 萌々絵が、さっきのテレビの中と同じ格好になった。
「えっと、道具は?」
「ベッドの、同じ場所」
 俺は、ヘッドボードの引き出しを開けた。萌々絵の言葉どおり、ローションの入った小さなボトルと、明るいオレンジ色のアナルバイブがある。
 ボトルを開け、中のローションで指先を濡らした。
「はあっ、ドキドキするよォ……」
 萌々絵が、胸元でぎゅっとこぶしを握りながら、言う。
「脚、開けよ」
「はわぁ……恥ずかしいィ……」
「あんなビデオ見せといて今さら何言ってるんだ」
「でも、恥ずかしいのは恥ずかしいんだもん」
 そう言いながらも、萌々絵が、ゆっくりと脚を開く。
 股間で、ピンク色の肉襞が慎ましやかな花のように綻び、しっとりと蜜を湛えている。
 思わずそこに手を伸ばそうとして、思い止どまった。
「もっと、腰上げて」
「こう?」
「そうじゃなくて……きちんと俺に見えるようにするんだよ」
「えーっと……」
 萌々絵は、ちょっと考えてから、自分の膝を両手で引き寄せるような姿勢になった。
 上半身にパジャマを着たまま、下半身丸出しでこのポーズをとられると、半端でなくいやらしい格好になる。
 萌々絵のセピア色の器官は、まさに丸見え状態だ。
 俺は、興奮で血液の温度が上昇して行くのを感じながら、萌々絵の腰の下にクッションをあてがった。
「いくぞ……」
「う、うん……ひゃんっ!」
 俺がそこに触れると、萌々絵はびっくりしたような悲鳴をあげた。
「ひ、ひゃっこい……」
 どうやら、実際以上に冷たく感じたらしい。
 俺は、その部分に自分の指の感触をなじませるようなつもりで、ゆっくりと愛撫を始めた。
「はっ、はあっ、あっ、あう、ああっ……」
 早速、萌々絵が甘い声をあげる。
「あっ、ああん、あん……直太くんが、萌々絵のお尻いじってる……やらしいよォ……」
 触られて実感が湧いたのか、それとも自分の快楽を煽ってるのか、萌々絵が恥ずかしそうな声で言う。
 不快に感じている様子は、全く無い。ここで快感を感じてることに慣れてる様子だ。
「……お前、いつもこっちでオナニーしてるのか?」
「ああん♪ な、直太くんが、えっちなこと訊いてくるゥ♪」
 萌々絵が、なんだか嬉しげな声を出す。
「どうなんだよ?」
「そ、そんな……いつもってわけじゃないよォ……でも、たまにすると、いつもイキそうなのにイけなくて……あ、ああん、あふ……ああああんっ!」
 萌々絵のクレヴァスから、とろとろと熱い愛液が溢れ出る。
 俺は、それを萌々絵のアヌスに塗り込めた。
 次第に、萌々絵のその部分が柔らかくほぐれているように感じる。
「はっ、はあっ、はふ、あ、あああんっ……! な、直太くん、上手ゥ……。お尻いじるの、慣れてるの?」
「んなわけないだろ……」
「で、でも……はん、はぁんっ……一人でするのと、ぜんぜん違うよォ……ああっ、あっ、きもちイイ……こんなに……あはぁン!」
 ひくっ、ひくっ、と萌々絵のアヌスが収縮するのを、指先で感じる。
 俺は、いつのまにかその部分を愛撫することに夢中になっていた。
「指、入れるぞ……」
 俺はそう言って、ココア色のすぼまりの中心に右手の中指を押し当て、力を込めた。
「ひゃうっ!」
 ぬるん、と意外なほど簡単に、指が入った。
 ぎゅーっ、と萌々絵の括約筋がオレの指を締め付ける。
「あっ、あああっ……は、入ってるの? 直太くんの指、入ってるの?」
「ああ……」
 俺は、まともに返事ができないほどに興奮しながら、指を前後に動かした。
 ぬるりとした感触が、指に纏わり付いてくるように感じる。
「あんっ、ああんんんっ……は、はうん、はふ……んあああああっ……!」
 にゅぷ、にゅぷ、にゅぷ、にゅぷ……と指を出し入れすると、萌々絵の声が、だんだんと高くなる。
 明らかに、さっきのテレビでの映像よりも感じてる様子だ。
「んっ、あうんっ……! す、すごいよォ……あはぁんっ……! 直太くん、すごい……あくぅっ……!」
 きゅーっ、きゅーっ、きゅーっ、きゅーっ。
 萌々絵のアヌスが収縮するたびに、その上のクレヴァスもうごめき、とぷとぷと淫らな蜜を溢れさせる。
 その幼い外観を裏切るような牝の匂いに、俺の下半身は反応しっぱなしだ。
「な、直太くゥん……はっ、はふっ、はんんっ……! い、入れて……!」
 指だけでは快感に上限があるのか、どこかもどかしげな声で、萌々絵がおねだりする。
「今なら……入れてもらったら、イけそうだから……ねえっ、早く――早く入れてエっ!」
 太腿に添えていた手をお尻に当て、左右にぐぱあっと広げながら、萌々絵がはしたないおねだりをする。
 だが、俺は、ここに来て逡巡してしまっていた。
「ねっ……ど、どうして? 早く入れてよォ……あん、あああんっ……イ、イジワルしないで……!」
 別に、意地悪をしている訳じゃない。だけど――
「萌々絵、入れるの、これじゃダメか?」
 俺は、そう言って、トランクスをずり下げた。
 呆れるほど先汁を溢れさせたペニスが、びん、と恥ずかしい勢いで上を向く。
「ああん……直太くんのオチンチン……♪」
 萌々絵が、欲情でとろんとなった瞳を、俺の浅ましい牡器官に向ける。
「入れて……オチンチン入れて……っ! 萌々絵も、バイブよりオチンチン入れてほしいの……!」
「分かった――」
 バイブよりも数段大きなモノを入れてしまうことへのためらいが、萌々絵の言葉によって一瞬で蒸発する。
 俺は、わずかに残っていた理性で、自らのペニスにローションを塗りたくった。
 ぬらぬらと卑猥に濡れ光る凶悪な外観のそれを、萌々絵の可憐なアヌスに押し当てる。
 ペニスに手を添え、角度を調節しながら、俺は、ゆっくりとそれに体重をかけた。
「んっ……んはあああああっ!」
 丸い亀頭部が、萌々絵のすぼまりを押し広げる。
 しわが無くなるほどに広がったアヌスが、俺の先端部分を咥え込んでいく。
「あっ、あふ、は、はくっ……お、おっきい……!」
 萌々絵の声に、かすかに苦しげな響きが混じる。
 俺は、亀頭が通過すれば後はスムーズに挿入できる、という知識を頼りに、さらに腰を進めた。
 愛しい彼女のアヌスを凌辱し、蹂躙していく感触――
 ずるるるるるるる。
「あくううううう!」
 雁首の部分が通ると、確かに、あとはそれほど抵抗が無かった。
 ペニスの直径にまで広がったアヌスが、俺のシャフトをぴったりと締め付けている。
 膣内とは全然種類の違う、鮮烈な感触を、俺はペニスで感じていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……す、すごい……すごいよぉ……」
 短く喘ぎながら、萌々絵が声を漏らす。
「動かすぜ……」
「うん、動いてェ……オチンチン、ずぼずぼしてっ……あっううんっ!」
 きつい締め付けに逆らうように腰を動かすと、萌々絵が、びくん、と体を震わせた。
 萌々絵の足を持ち上げるような格好で、ペニスを抽送する。
「あっ、あくん、あ、あああん……! な、なんか、オシメ替えられてる赤ちゃんみたいなカッコだよォ……きゃうううんっ!」
 嬌声の合間に、萌々絵が、妙なことを言う。
 が、俺は、今まで感じたことのないような種類の興奮と快感に、きちんと受け答えができない状態だ。
 リング状の肉が、強く肉竿を締め付け、オレの腰の動きに合わせてペニスをしごく。
 切羽詰まったような快感が、肉棒から背筋にかけてぞくぞくと迫り上がってくる。
「あっ、あああっ、あく……あん、ああんっ! お、おしり、イイ……おしり気持ちイイの……! あくうんっ! あうっ、あひいんっ!」
 萌々絵の声が、どんどん高いものになってきた。
 ぬるる、ぬるる、ぬるる、ぬるる……と、萌々絵のアヌスをシャフトがこすり、熱い快楽を紡ぎ出す。
 俺は、自分がとっくに限界まで追い込まれていることを自覚した。
 何かのきっかけで、一瞬で爆発してしまいそうな感覚――
 なのに、そのきっかけが分からず、ひりつくような快感だけが、危険なくらいに高まっていく。
「直太、くんっ……!」
 と、萌々絵が、自分のヒップから手を放し、俺に向かって両手を伸ばした。
 半ば無意識に萌々絵の意図を理解し、背中を丸めるようにして、その白い体に覆いかぶさる。
「んっ、んちゅっ、ちゅむ、んっ、んちゅっ……んんんっ♪」
 唇を重ね、互いの舌を吸い、唾液を交換する。
 それが、求めていた“きっかけ”だった。
「も、萌々絵……俺、もう……!」
「うん、来て……直太くんのセーエキ、萌々絵のオシリにびゅびゅうって出してっ……!」
 萌々絵が、その可愛らしい唇で、卑猥な言葉を叫ぶ。
 俺は、股間が熱く融けるような感覚を感じながら、最後の動きを萌々絵のアヌスに送り込んだ。
「あっ、ああああっ、あふっ、は、はあああああああっ!」
 びゅううううううっ!
 萌々絵の悲鳴のような声を聞きながら、直腸の中に精液をぶちまける。
「あううっ! あっ、あついっ! あつい! あっ――あひいいいいいいいんっ!」
 萌々絵が、連続して絶頂を極めた。
 まるで食い千切られそうな、強烈な締め付け。
 それに逆らうように、ペニスを何度も律動させ、萌々絵の体内にスペルマを注ぎ続ける。
「あっ、あああっ……! はああ……あ……あふ……あはああぁぁぁ……はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……」
 ようやく、全てを出し切った。
 激しく喘ぎ続ける萌々絵の体に、ぐったりと体を横たえる。
「……むぎゅー♪」
 なんだか嬉しそうな声を上げて、萌々絵が、下から抱き着いてきた。



「はふー……すごかったあ」
 俺の隣に横たわってる萌々絵が、天井をぼんやりと見ながら、そんなことを言った。
 今、俺は、萌々絵のたってのリクエストで腕枕を貸している。しびれると後が厄介なので、左腕で勘弁してもらってるが。
「きちんとイケたか?」
「うん、バッチリ♪」
 嬉しそうに、萌々絵が言う。
「これで、萌々絵のお口も、オッパイも、アソコも、お尻も、みーんな直太くんのモノだよ」
 少しだけはにかみながら、萌々絵は、にっこりと俺に笑いかけた。
「ん――そ、そりゃどうも」
 気の利いた事が言うことができず、俺は、マヌケな返事をしてしまう。
「でもさ、直太くん、お尻に入れるのには、抵抗あったんじゃないの?」
「……正直言うと、少し、な」
「じゃ、どうしてしてくれたの?」
「そりゃあ……」
 俺は、うまい言い方が無いかと視線で言葉を探し、ふと、シーツの上にまだ置きっ放しのオレンジ色の淫具に目を止めてしまった。
 萌々絵が、むー、と俺の視線を追いかけ、そして、くすっと笑う。
「えへへへへ……直太くん、もしかしてバイブにヤキモチやいちゃった?」
「……そうかも」
 俺が正直にそう答えると、萌々絵は、嬉しそうに笑って、そしてぐるんと体を半回転させた。
 仰向けの俺に、うつ伏せの萌々絵が乗っかる形になる。
「直太くんとバイブくんじゃ、ぜーんぜん比較にならないよ」
 そう言って、萌々絵が、ちゅ、と俺の唇にキスをする。しかし、なんでバイブに「くん」付けなんだ?
「だって、直太くんのの方がうーんと大きいじゃない♪」
「……そういう問題かよ」
 俺は、そう言いながらも、萌々絵のキスに、節操無くペニスを勃起させてしまっていた。
「あ――えへへ。今度はアソコでしよっか?」
 俺の状態に気付いた萌々絵が、悪戯っぽい口調でそう訊いてくる。
 そして俺は――もちろん、その言葉に肯きかけてしまったのであった。

あとがき

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