メカメカ・ママ

後編



 璃沙は、目を覚ました。
 すでにうなじや背筋に沿って接続されていたケーブルは抜かれ、胸のハッチも閉じられている。
 だが、まだ、固いメンテナンス・ベッドに横たわったままだ。
 馨が、丁寧な指遣いで、胸の接合部に防水ポリマーを塗っている。
「あ、起きたんだ……」
 一瞬、馨は、いつもの柔らかな表情を浮かべたが、すぐに口元を引き締めた。
 そんな馨の顔を、璃沙が、悲しげな目で見つめる。
「……」
 馨は、防水ポリマーを塗っていた指で、白い乳房の周囲を撫で始めた。
「あぅっ……」
 未だ、先ほどの強烈な絶頂の余韻にひたっているその体は、容易に甘い快楽を感じてしまう。
 いや、それどころか、忘れていたはずのエクスタシーを経験した体は、璃沙自身が戸惑うほどに、貪欲に快感を求めているようだった。
 直接に触れられたわけでもないのに、濃いピンク色の乳首が、ぷっくりと尖っていく。
「ココ、固くなっちゃったよ」
 馨は、その細い指先で、つんつんと乳首をつついた。
「やっ……ダメ……いけないわ……イタズラしないで……」
 ひとりでに息が甘く濡れていくのを感じながら、璃沙が言う。
「感じてるんでしょ? 気持ちいいとこうなるんだよね?」
 馨も、息を次第に荒くしながら、そう言った。
「……」
 璃沙が、赤く染まった顔を背ける。
 馨は、メンテナンス・ベッドによじ登り、璃沙の腰をまたぐような姿勢になった。
 そして、両手でもって、その小さな手には余るほど豊かな璃沙の乳房を、揉み始める。
「あっ……ダ、ダメ……やめなさい……」
 身をよじりながらそう言う璃沙の声は、ひどく弱々しい。
(だ、だめよ……馨ちゃんに、こんなことさせちゃ……まだ、馨ちゃんは小学生なのよ……っ!)
 そう思いながらも、璃沙は、強く馨の愛撫を拒むことができない。ただ、身悶えるようにクネクネとその白い体をうねらせるだけだ。
 一方、乳首は、先ほど以上に勃起し、さらなる愛撫を待ちわびているようにさえ見える。
(だめ、だめ……こんなことで負けちゃ……このままじゃ、馨ちゃんが、どんどん悪い子になっちゃう……)
 そう、心の中で思いながらも、声にすることさえままならない。
(そんな、私……母親なのに……)
 その時、ちくん、と鋭い痛みが、璃沙の胸の奥で跳ねた。
(違うの? 私、馨ちゃんのお母さんじゃないの……?)
 禁断の問いが、甘たるい絶望の匂いを漂わせながら、のろりと鎌首をもたげる。
(確かに、記憶は受け継いでるけど……私、体も、心も、機械仕掛けで……こんなにも、弱くて……脆くって……)
 璃沙は、すでに熱く潤んでいる女陰が、新たな愛液をどろりと分泌したのを、自覚した。
(ああン……ま、また、アソコが……濡れちゃってる……)
(私、本当に、お母さん失格かも……馨ちゃんに、簡単にイかされちゃって……今も、こんなに、オ、オッパイをもみもみされて、感じちゃって……)
 馨が、その少女のような顔を上気させながら、夢中になって璃沙の白い乳房を愛撫している。
 魅惑的な曲線で構成された豊かな乳房は、馨の指使いによって柔らかく形を変え、たまらない快楽を紡ぎだした。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
 どちらのものとも分からない荒い息遣いが、部屋に響く。
(イヤ……だめだめだめッ……また、こんなに気持ちよくなって……)
(やっぱり、私、アンドロイドだから……人間には……馨ちゃんには逆らえないの……?)
 マゾヒスティックな快感が、電子頭脳のメモリを浸蝕していくのを、璃沙は、為す術もなく感じていた。
(どうしたらいいの……どうしたらいいのッ……このままじゃ……私、私、ホントにだめになっちゃうッ……!)
 その時、馨が、何かに耐え切れなくなったように、璃沙の胸に顔を伏せた。
「きゃうううッ!」
 璃沙が、聞き間違えようもない、喜悦の声をあげる。
 馨は、その少女のような眉をたわめながら、勃起しきった璃沙の左の乳首を、ちゅうちゅうと吸い上げていた。
「やーッ! ダメ! ダメよ! そんな、オッパイなんか吸っちゃ……ああァーッ!」
 鋭い快感に、ひくひくとその熟れた白い体をくねらせながら、璃沙が叫ぶ。
 馨は、出るはずのない母乳を飲み干そうとするかのように、んくんくと喉を鳴らしながら、左右の乳首を交互に吸引した。
「ダメッ! ダメーッ! いけませんッ! ああッ! おかしくなる、おかしくなるゥーッ!」
 そう叫びながらも、璃沙は、我知らず、馨の頭を自らの乳房に押し付けていた。
 両腕で頭部を抱きすくめられ、柔らかな乳房によって窒息しそうになりながら、馨は璃沙の乳房を吸いたてる。
「もう、もうダメッ! イっちゃう! イっちゃうッ! オッパイ吸われてイっちゃうッ!」
(もっと、もっとよ! イかせて! イかせてえッ! オッパイでママをイかせてえエ〜!)
 はしたない言葉を声に出さずに叫ぶ璃沙の電子頭脳に、一瞬、生まれたばかりの馨に授乳をさせていた記憶が再生される。
「あッ! ああッ! あッ! あああああああアアアアアアアアアアアアア〜ッ!」
 高い、歓喜の叫び。
 そして璃沙は、二度目の絶頂を、乳房と乳首への刺激だけで極めてしまったのだった。

「……」
 未だ、意識が朦朧としたままの璃沙の目の前に、勃起したペニスが差し出された。
「あっ……!」
 璃沙が、驚きの声をあげる。
 璃沙の頭の脇で膝立ちになっていた馨のそれは、成人と遜色ないほどに――いや、それ以上に立派なものだった。
 それが、亀頭を包皮から完全に露出させ、急な角度で立ちあがっている。
(すごい……馨ちゃん……いつのまにか、こんなに大きくなって……)
 熱い力を漲らせた馨のペニスを、璃沙は、至近距離でぼーっと見つめてしまっている。
「舐めてよ」
 馨が、上ずった声で、璃沙に要求した。
「えっ?」
「フェラチオって言うんでしょ。僕、知ってるんだよ。それ、してよ」
「そ、そんなこと、できないわ……」
 璃沙が、上体を起こし、小柄な馨から逃げるようにしながら、言う。
「なんで? さっき、自分はあんなにイキまくってたじゃないか」
「うっ……」
 璃沙が、言葉に詰まる。
「早く舐めてよ。僕のチンチン、イヤらしくおしゃぶりしてよ」
「あぁ……許して、馨ちゃん、お願い……」
 馨の口にする卑猥な言葉に、口元を両手で押さえながら、璃沙は言った。
「やるんだよ、璃沙っ!」
 馨が、叫ぶように言う。
 名前を呼び捨てにされ、璃沙は、体を硬直させた。
「なんだよ。まだ、僕の母親のつもりだったわけ? 言っただろ、お前はアンドロイドなんだって」
「ひ、ひどい……そんなふうに、言わないで……」
「本当のことじゃないかよっ! アンドロイドは、アンドロイドらしく命令に従うんだよ!」
「ああぁ……」
 璃沙の唇から、絶望の溜息が漏れる。
 そして、璃沙は、おずおずと膝立ちの馨に近付いた。
「そ、そうだよ、そのまま……四つん這いの格好で、して……」
 馨が、一転、弱々しいとも言えるような声で、璃沙に言う。
 璃沙は、珠のような涙をその大きな眼からこぼしながら、馨の股間に顔を寄せた。
 独特の匂いが、璃沙の嗅覚センサを刺激する。どうやら馨は、すでに、少なくとも一回は、ズボンの中で精を漏らしてしまっていたらしい。よく見ると、ペニスが、自ら放出してしまったものでべとべとに汚れている。
 その、あまりにも卑猥な有様に、璃沙の下腹部が、またも、貪欲に疼いた。
(ああ……私の体、なんていやらしいの……)
(馨ちゃんの、ア、アレで汚れちゃったオチンチンを見て……こんなふうに、感じるなんて……)
「璃沙……は、早くしてよっ……」
 敏感なシャフトの裏側に、璃沙の息遣いを感じながら、馨が、切羽詰ったような声を上げる。
 そして馨は、焦れたように、璃沙の整った顔にペニスを押し付けた。
「あっ……ご、ごめんなさい……」
 思わず謝って、璃沙は、馨のペニスを口に含んだ。
 味覚はないが、濃厚な牡の体液の臭いは感じる。それは、男のモノを口の中で味わっているのと同義だった。
(わ、私っ……馨ちゃんのを、おしゃぶりしてる……!)
 璃沙は、今更ながら自分のしていることに打ちのめされた。
(こんな……四つん這いで……馨ちゃんに言われるままに、せ、精液にまみれたオチンチンを、口に咥えて……)
 そう意識すると、なぜか、ぞくぞくとした快感が、背筋を這い登る。
 璃沙は、獣の姿勢で、極力手を使わず、口だけで馨のペニスを愛撫した。
 柔らかなリップで扱かれるたびに、馨のペニスの先端から、新たな腺液が溢れ出る。
「あうっ……すごい……きもちいい、きもちいいよ……んあああっ……」
 馨は、初めて自分以外によってもたらされた性感に大きく喘ぎながら、本能的にかくかくと腰を使ってしまった。
「もっと、もっとしてよ……チンチン、きもちよくして……っ!」
「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ……」
 馨の希望に応える様に、その細い腰の動きに同調させ、頭を前後に振る璃沙。
 その唇から、すでに立派に成長したシャフトが、唾液にまみれながら出入りする様は、無残なまでに淫猥だ。
(わ、私はロボット……アンドロイドだもの……人間に命令されたら、しかたないわ……)
 普段はあまり意識していないことを自分に対する言い訳にしながら、璃沙は、馨のペニスに愛撫を施していった。
 はちきれんばかりに膨れ上がった亀頭の先端で喉の奥を突かれるのは、まさに、口を犯されるという表現が相応しい。
 夫との営みの記憶の中でも、ここまで激しく口内を蹂躙されたことはなかった。
 そのことを意識した瞬間、璃沙の中で、熱いうねりが湧き起こる。
(ああっ……そんな……っ!)
 じわり、じわり、と新たな愛液が、クレヴァスを濡らしていくのが、分かる。
(うそ……私、また、濡れちゃってる……)
 古い言葉で、近親相姦のことを、「畜生道」と呼んでいた事を、璃沙は思い出した。
 まさに、かつて息子と呼んでいた少年のペニスを四つん這いになって咥えている今の姿は、その言葉にぴったりだ。
(私……動物なんだ……けだもの以下なんだわ……こんなふうに、恥ずかしい格好で、馨ちゃんのオチンチンをおしゃぶりして……)
 無意識のうちに、璃沙は、その豹柄の尻尾を、くねくねと動かしてしまっていた。
(そ……それだけじゃなくて、お口で感じて……ぬ、濡らしちゃう、なんて……)
 そう意識したことがきっかけになったのか、璃沙の口唇愛撫が、さらに濃厚になった。
 時折、まるでペニスによって顔に唾液を塗ってもらおうとするかのように、口から解放したそれに頬擦りし、ぺちゃぺちゃと舌を絡める。
 根元から先端まで、唇を滑らせながら吸引すると、馨は、泣きそうな声で快感を訴えた。
 その声に頭を痺れさせながら、再びペニスを咥え、舌を動かす。
 たまに、上半身を片手で支え、もう片方の手で睾丸を揉みあやすのも忘れない。
 すでに精を漏らしているとは言え、ねっとりとした情感のこもったその攻めに、少年の勃起はひとたまりもなかった。
(ああっ、出そう……馨ちゃんのおっきなオチンチン、私の口の中でピクピクしてるっ……!)
(なのに、いっしょうけんめいガマンして……なんて可愛いの……)
(出させてあげたい……熱い精液、びゅびゅーって出させてあげて……それを、全部飲んであげたい……!)
 倒錯した欲望が璃沙の電子頭脳を支配し、無我夢中で、馨のペニスを吸引させる。
「あッ! あああーッ! 出る! 出ちゃうッ! セイエキ出るーッ!」
 馨は、高い声をあげながら、両手で璃沙の頭をつかみ、その顔を自らの股間に押し付けた。
「んんんン〜っ♪」
 璃沙が、その仕打ちに、歓喜のうめきをあげる。
 びゅるるるるるるるるるッ!
 最初の一撃が、璃沙の喉奥で、弾けた。
 どびゅーッ、びゅーッ、びゅーッ、びゅーッ……。
 続いて、何度も何度も、馨のペニスは精液を放ち続ける。
 璃沙は、うろたえることなく、恍惚とした表情で馨の精液を飲み干していった。
「あ、あああ……あうっ!」
 むしろ、馨のほうが、自分のしでかしてしまっていることを恐れるように、腰を引いてしまう。
「あン」
 どこか残念そうな声をあげる璃沙の顔に、未だ律動を続ける馨のペニスが、びゅくん、びゅくんと、新たな精液を浴びせ掛けた。
 熱い白濁液が、璃沙の黒い髪と、ピンク色に上気した顔を、汚していく。
「あ、あああ……はあぁ〜ン……」
 腰を落とし、両手を床に付いて、満足そうな声をあげながら、璃沙は、馨の精液をその顔で受け止め続けた。

「あ……!」
 自分が、つい今まで感じていた気持に、璃沙はぞくりと背中を震わせた。
(い、今、私、どうなってたの……? 馨ちゃんのをおしゃぶりして……飲んじゃって……顔にかけられて……私、すごく……)
(熱くなって……感じて……そんな……私……やっぱり……)
 見ると、まるで、璃沙の痴態に誘われたかのように、馨のペニスは萎える間もなく力を取り戻していた。
 その若々しい回復力に魅入られたように、璃沙は、思考を停止させてしまう。
「……セックス、するよ」
 何か、自らの覚悟を決めるかのように、馨が言った。
 その目に、狂おしい光が宿っている。
 璃沙は、ぺたんとお尻をつき、両手をベッドについた姿勢のまま、イヤイヤと子供のようにかぶりを振った。
「だ、だめよ……そんな……それだけは……」
「何言うんだよっ……あんな、あんなエッチな顔して……」
 馨が、むしろ苦しげに言った。
 恍惚とした顔で馨の若い精液を嚥下し、顔に浴びた璃沙としては、まともに反論することもできない。
「でも……だめよ……馨ちゃんには、まだ早すぎるわ……」
「……」
 馨は無言で璃沙ににじり寄った。
 璃沙が、今更のように片腕で乳房を隠そうとしながら、後ずさる。
「ね、お願い、馨ちゃん……お口でなら……」
 屈辱的な、そして本質的に無意味な妥協をしながら、璃沙が哀れな口調で言う。
 馨は、そんな璃沙を、ペニスを剥き出しにした格好のまま、固いメンテナンス・ベッドの上に押し倒した。
「きゃああああッ!」
 璃沙が、悲鳴をあげる。
 しかし、なぜか、馨を押しのけることができない。
「んうっ……!」
 馨が、強引に璃沙の唇に口付けした。
(ダメ、ダメ……馨ちゃんのお口が、汚れちゃう……!)
 小さく身をよじる璃沙を、しかし、馨は離そうとしない。
 馨は、未だ残っている、自らが放出したものの臭いや味を気にする風もなく、璃沙の口を吸い続けた。
 その、愛を確かめ合うための行為に、璃沙の体から力が抜けていく。
(キス……してる……馨ちゃんが、私に、キス……)
(どうしよう、私……私っ……)
(私……うれしい……)
 あれだけひどい仕打ちを受けながら、キス一つでここまで心を蕩けさせてしまう自分が、恨めしい。
 だが、今、自分を犯そうとしているのは、馨本人がどう言おうとも、最愛の息子なのだ。とうてい、心の底から憎むことも、まして嫌うこともできない。
 しかし……。
「ダメよ、おねがい……これは、いけないの……いけないことなのよ……」
 馨に抱きすくめられ、抗うこともできない状態でありながら、璃沙は言った。
 しかし、もはや馨も後戻りできる状態ではない。
「いけなくなんか、ないよ」
 馨が、言った。
「だって、アンドロイドは、機械なんだから……オナニーしてるのと、一緒でしょ」
「……っ!」
 衝撃のあまり、璃沙は声を出すこともできない。
(そんな……馨ちゃんは、私を、オナニーのための道具だって言うの……?)
 切ないほどの悔しさに、璃沙は、顔を背けた。
 そんな璃沙の顔を強引に正面に向け、馨が、再びキスをする。
 次第に思考を支配していく虚ろな絶望を感じながら、璃沙は、口内に差し込まれた舌に、いつしか舌を絡めていた。
(私は……私は……道具、なんだ……)
 そんな思いが、体をなぜか熱くさせ、そして甘く疼かせる。
(そうなんだ……馨ちゃんは……私を、お母さんなんかじゃなくて……イヤらしい道具だと思ってるんだわ……)
(でも……でも、その方がいいわ……私は、確かに機械だし……近親相姦なんて恐ろしいこと、馨ちゃんにさせちゃいけない……)
(私、馨ちゃんのお母さんなんかじゃないのよ……いやらしい、性欲処理のための、動くダッチワイフみたいなものなんだわ)
(そうよ……茂さんだって、そういうつもりで、私の体を、こんなふうに、いやらしく、感じやすく作っちゃったんだから……)
(茂さん……あなた……)
 ふと、幸せだった家族の風景が脳裏に浮かび、そして儚く消える。
(ああっ、でも……ごめんなさい、あなた……ごめんなさい、馨ちゃん……ごめんなさい、死んでしまった、本物の璃沙さん……)
(私、馨ちゃんには、逆らえないんです……)
(私は……私は……馨ちゃんの、性欲処理のための道具になります……っ!)
 この狂った状況に、電子頭脳が狂った回答を導き出し、動作出力する。
 璃沙は、そのむっちりとした太腿を開き、脚の間に、馨を迎え入れた。
 馨が、唇を離し、極度の緊張と興奮に顔を強張らせ、腰を進ませる。
 すでに熱いぬかるみと化したそこに、固く勃起したペニスの先端が、触れた。
 ぬちゅっ……という卑猥な音を聞きながら、璃沙が、腰を浮かすようにして、馨の挿入を誘う。
 幼い勃起が、柔らかな抵抗に逆らいながら、快感をじっくり味わおうとするかのように、ゆっくり、ゆっくり璃沙の内部へ侵入していった。
「あ、あああ……ああぁ……」
 待ちわびていた刺激に膣奥がざわめき、せりあがるような快感に声が漏れる。
「あうっ……す、すごい……僕、僕ぅ……」
 馨は、腕立ての姿勢で璃沙に覆い被さり、はぁはぁと息をついた。
「ねえ、どう? 僕の……気持ちいい? 僕のチンチン、気持ちいい?」
「ああ……き、きもち、イイわ……すてき……っ」
 偽る余裕もなく、璃沙は、問われるままに答えた。
 馨が、ゆっくりと抽送を始める。
「あぁン……あぁン……あぁン……あぁン……」
 馨のペニスの動きに合わせ、璃沙が甘く喘ぐ。
 たぷ、たぷと愛撫を誘うように揺れる豊かな乳房に、馨は、ぎゅっと指を食い込ませた。
「きゃああン!」
 璃沙が、嬌声を上げる」
「だ、だめよ、そんな……オッパイは、もっと優しくして……」
「こ、こう?」
 馨が、腰を動かしながら、璃沙の白い乳房をこね回す。
「ンあっ……そう、そうなの……あん、ああん……い、いいのォ……ああッ!」
 ずん、ずんと、年に似合わぬサイズのペニスで膣奥を突かれ、璃沙は甘い声で悶えた。
「うんっ……あっ、どうしよう……感じちゃう……感じちゃうの……」
「感じてるの? 僕とセックスして、感じてるの?」
「そ、そう……そうなの……馨ちゃんとセックスして……あ、あああッ……ダメ、セ、セックスきもちイイ……っ!」
 メガネの奥の、馨の瞳に、危険な色が浮かぶ。
「パパと僕、どっちが気持イイ?」
「やッ! ダメ! パパのことは言わないで!」
「どうして……? ねえ、答えてよ……どっちのチンチンが気持ちイイの?」
 どこで憶えたのか、璃沙の体内をかき回すように腰をグラインドさせながら、馨が言う。
「ダメぇ! ダメよ! そ、そんなこと、訊いちゃ……ああッ! きゃッ! ああぁ〜っ!」
「ねえ、どっち? どっちなの?」
 訊きながら、馨が、璃沙の顔や首筋に、キスの雨を降らせる。
「い、言えない! 言えないの! そんなコト言えないッ!」
「んふふっ……そうだよね……」
 馨は、にっこりと、笑った。
「だって、このカラダでセックスしたのは、僕が初めてだもんね」
「あぁ……っ!」
 馨の言葉に、きゅううん、と璃沙の膣肉が、うねった。
 その動きがもたらす快感に応える様に、腰の動きを徐々に激しくしながら、馨は、璃沙の豹耳に囁き続けた。
「パパは、この体とセックスする前に、死んじゃったんだもん。この体の初めての相手は、僕なんだよ」
「ああッ! そんな、そんなこと……きゃあッ!」
「ママは、バージンだったんだよ……ママの体の処女は、今、僕がもらっちゃったんだよ……!」
「だめッ! だめだめだめェッ! ママって呼ばないで!」
「だって、ママはママだよ……!」
 ぐちゅぐちゅと音がたつほどに抽送をしながら、馨は、叫ぶように言った。
 生々しい粘液にぬめった、黒く逞しい触手の如き禁断の愉悦が、機械仕掛けのはずの璃沙の体の内側でせり上がる。
「あひいいいッ! そ、そんなッ!」
 際限なく高まっていく性感に恐怖すら覚えながら、璃沙は叫んだ。
「ママ……ママっ……!」
「ちッ、違うわ……私、アンドロイドだから……馨ちゃんのママには……きゃううううッ!」
「そんなことないよ、ママ……っ!」
 高い喘ぎ声の合間に、馨が言う。
「ご……ごめんねっ、さっきは、あんなこと言ってごめんねっ!」
「か、馨ちゃん……っ!」
 璃沙が、目に涙をためながら、訊いた。
「いいの? 馨ちゃん……こんな……こんなイヤらしいママでいいの?」
「ママじゃないと……ダメなんだよ、僕……っ!」
 泣きそうな声をあげながら、馨が言った。
 その、まるで少女のような優しげな顔とは対照的に、腰は激しく璃沙を攻め立て、二人の快楽を高めている。
「ママは……ママは、僕だけのものだよ……っ!」
「あっ、ダメっ! ダメぇ! ああああァーっ!」
 ぎゅううっ、と璃沙は、馨の首にしがみついた。
 その脚までもが、馨の腰を捕え、さらなる深い結合を求めるように引き寄せている。
「あ、あああ……ひああぁぁ……」
 ひくん、ひくん、と痙攣を繰り返す璃沙の顔を、馨は、どこか茫然とした顔で見つめていた。
「ママ、またイっちゃったの」
「あぁ……は、はい……イキ、ました……」
 息も絶え絶えになりながら、璃沙が、行儀よく報告する。
「可愛いよ、ママ」
「ああン、か、馨ちゃん……」
 二人の唇が、重なる。
 息苦しくなり、唇を離した後も、名残を惜しむように舌を絡ませあう、そんなキスだ。
 キスを交わし、唾液を交換し合いながら、馨は、止まっていた腰の動きを再開させた。
「馨ちゃん……すごい……すごいよォ……」
「何が、すごいの?」
「オチンチン……馨ちゃんのオチンチンがね、すごいの……すてきなの……」
 どこか幼い声で、璃沙が言った。
「ママ……すごくエッチだね……」
「そうなの……ママ、馨ちゃんのおっきなオチンチンのせいで、とってもいやらしくなっちゃったのよ……!」
 あぁン、あぁンと喘ぎながら、璃沙が、卑猥な言葉を叫ぶ。
 馨は、そんな璃沙に止めを刺そうとするかのように、猛然と腰を動かした。
「あッ! あーッ! すごいッ! ひあああああああッ!」
 ぶちゅっ、ぶちゅっ、とあからさまな音が響き、愛液がしぶく。
 そして、二人は、互いの体を抱き締め合いながら、互いがもたらす快楽を貪っていた。
 熱くうねる膣肉に、ペニスをぎゅっ、ぎゅっ、と優しく締め付けられ、馨自身の限界も近い。
「好き……好きだよ、ママ……好き……っ!」
「あああッ! 馨ちゃん……ママ……もう、イク……っ!」
「僕も、僕もイくっ! セイエキ出る! セイエキ出ちゃうーっ!」
 二人の、切羽詰った声が、部屋に響く。
「出してェ! ママの中に、馨ちゃんのエッチなミルク、た、たくさんちょうだいっ!」
「あっ! あああっ! あーっ! あーっ!」
 そして、馨の限界が訪れた。
 びゅるるるるるるるるるるるるっ!
 凄まじい勢いで、馨のペニスが、熱い精液を大量に璃沙の中に迸らせる。
「あーッ! またイクっ! イキます! イキますっ! イキますっ! イキますっ!」
 何度も何度も律動するペニスの感触と、その度に迸るスペルマの勢いと熱い温度に、璃沙が、立て続けに絶頂に舞い上げられる。
 二人は、まるで一つの生き物のように、きつく抱き合ったまま、痙攣を続けた。
 しばらく、そんな、奇跡のような時間が続く。
 そして、璃沙と馨は、ほとんど同時に、くったりと体を弛緩させた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 薄暗くなった部屋の中で、二人の熱い吐息が、静かに混ざり合っていった。



「ごめんなさい……ママ……」
 しばらくして、馨は、璃沙の豊かな胸に顔をうずめるような姿勢で、言った。
「私こそ……ごめんなさいね、馨ちゃん……」
 璃沙が、優しい声で、言う。
「そんな……ママは……ママは、悪くないよ……」
「ううん、そんなことないわ……」
 璃沙の白い手が、馨の柔らかな髪を撫でる。
「だってママ……馨ちゃんのことを……」
 が、それ以上は、今の璃沙には、言えなかった。
 ただ、その代わりのように、ぎゅっと幼い体を抱き締める。
 つい先ほどまで、璃沙の体を蹂躙し、征服していたその肢体は、頼りないほどに細く、華奢だった。
 そのことすら愛しく感じながら、璃沙は、馨の背中を優しく撫で続けてやったのだった。
あとがき

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