万能無敵
ミルク・エンジェル



特別編
『倒錯! 愛犬遊戯』
(中編)




「あうううう〜、ど、どうしよう……」
 レニウスが持って来ていた非常用のTシャツとホットパンツを身に付けながら、美玖はつぶやいた。
 とりあえず、自分の嵌めていた首輪を、今はレニウスの首に巻き、鎖をベンチの足につないでいる。
 レニウスは、首輪を嫌がる様子もなく、おとなしくなされるがままだった。
「ねえ、先生、どうしたらいいの?」
 今のレニウスは、どうやら、その脳のサイズに応じた知能しか持っていないらしい。美玖が何を話し掛けても、わう、と嬉しそうに吠え声をあげるだけだ。
「ど、どうしたら元に戻るのかな〜」
 言いながら、美玖は胸のペンダントを握ったり放したりするが、頭には何も浮かばない。
「はぁ〜、困ったよう〜」
 嘆く美玖の顔を、レニウスが、小首を傾げて覗き込んでいる。まるで何の悩みもなさそうな顔だ。
「ん、もう! こっちの気も知らないで!」
 美玖が声をあげると、レニウスは、くーん、と悲しそうに鼻を鳴らした。
 そんな、この大きな犬の様子に、美玖は、なぜか胸がきゅんと締め付けられるような気分になった。
「ごめん。おっきな声だして」
 言って、反射的にレニウスの頭に手をやる。
 レニウスは、待ちきれなくなったように、目を細めて自らの頭を美玖の小さな手に押し付けてきた。
 おっかなびっくりに撫でてやると、その細長い顔にうっとりとした表情を浮かべる。
(か、かわいい……)
 思わず美玖は、レニウスの頭や喉を撫で回した。
「うっわー、ふさふさ〜♪」
 美玖が、夢中になってレニウスを撫で続ける。
 レニウスは、ほとんど恍惚の表情だ。
「……って、こんなことしてる場合じゃない!」
 ふと、美玖は我に返った。レニウスが不思議そうな顔で、美玖を見つめる。
「とにかく、家に帰らなきゃ」
 そう言って、美玖は、名残惜しげなレニウスから体を離し、鎖をほどいた。



 美玖は、そっと自分の家のドアを開けた。
 玄関には、瑠実のものである旅行鞄が置いてある。明日の朝から、瑠実はココナと一緒に温泉旅行に出かけるのだ。
 母親の瑠実と、レニウスのアンドロイドであるココナの関係のことを、美玖はもちろん知っていた。が、そのことに何の違和感も感じていない。
 美玖も、瑠実も、ココナも、レニウスを中心に互いに性的関係を結ぶことを、喜んで受け入れていたのだ。
 が、そのささやかなハーレムの中心人物であるレニウスは、いまや犬に成り下がっている。
「今夜ばれなければ、明日はママお出かけするから……さわいだらダメだよ」
 サンダルを脱ぎながら言う美玖に、レニウスは、わうっ、と元気よく返事をした。
「だ、だから、おっきな声ださないで!」
 わうっ! と、さらに大きな返事。
「も〜、カンベンしてェ、ママが起きちゃうよォ」
「……もう、起きてるわよ」
「ひゃん!」
 美玖は、脅かされた犬そのままの声をあげて、後ろを振り向いた。
 涼しげなデザインのネグリジェを着た瑠実が、腰に手を当てて、そこに立っている。
「もう、美玖ちゃんったら、その子どうしたの?」
 一応、怒った顔でそう言うが、もともと優しげな顔なのでまるで迫力がない。が、美玖にとっては“怒ると恐い”母親だ。
「え、えっと、えっとね……」
「まさか、お小遣いでこっそり買ったんじゃないでしょうね」
「ちっ、ちがうよォ!」
 瑠実の、どこか抜けた追求を、美玖は慌てて否定した。
「じゃあ……お友達から預かってるの?」
 レニウスの首にはまってる首輪を見ながら、瑠実は言った。さすがに野良犬には見えない。
「そうっ! そうなの! えと、クラスの井之頭くんが旅行するからって、預かったの!」
「それで、昼間はお部屋に隠してたわけね?」
「当たり! そうなのっ! でも、お散歩行きたいって騒ぐから、つい……」
「美玖ちゃん!」
 叱られてるはずなのになぜか妙に元気な一人娘に、瑠実は言った。
「人様のワンちゃんを、そんなに軽々しく預かっちゃダメでしょう」
「ご、ごめんなさい」
 素直に、美玖は謝った。瑠実が、もともとさして険しくなかった顔を、さらに和らげる。
「だいたい、美玖ちゃんだけできちんと面倒見れるの?」
「だ、だいじょぶだよォ。この子、おりこうさんだもん」
 そんな美玖の言葉がわかったのか、レニウスが、わうっ、と声をあげる。
「……本当に、大丈夫?」
「うん。だいじょぶ!」
「うーん。確かに、おとなしそうな子だけど」
 そう言いながら、瑠実が、前屈みになって、犬と化したレニウスの顔を見つめる。
「この子、なんて名前なの?」
「えっ? レニ……レニーって言うんだって」
「ふぅーん。どっかで聞いた名前ね」
 瑠実が、頬に手を当てながら言う。
「レニーくん、ホントに、おとなしくしてくれる?」
 わうん!
 レニウス、改めレニーは、その新しい名前が気に入ったのか、嬉しそうに尻尾を振った。



 翌朝。
「おはようございまーす」
 ガソリン自動車に偽装された燃料電池コミューターでやって来たココナが、舞川家のインターフォンに向かって言った。
 懸賞で当てた2泊3日の温泉旅行に、瑠実を迎えに来たのだ。
「はーい♪」
 すでに旅装を整えていた瑠実が、ドアを開ける。
「お天気でよかったですね」
「そうね」
 返事をする瑠実の後には、美玖と、今はレニーと名付けられたレニウスがいた。
「あ、美玖ちゃん、おはよう」
「うん、おはよ……きゃあっ!」
 ずるずるずる、とレニーに引っ張られ、美玖は声をあげた。
「あれ? 美玖ちゃん、犬なんか飼ってましたっけ?」
「お、お友達から預かったの……レニー! そんなに引っ張んないでェ」
 美玖は、鎖を握ってどうにか踏ん張ろうとするが、レニーはずんずん前に出て、ココナの足元にその鼻を寄せた。
「ちょ、ちょっと、この犬、噛んだりしませんか?」
 大きな帽子と、膝下まであるふわっとしたスカートで、耳と尻尾を隠したココナが、少し怯えた声をあげる。
「だ、だいじょぶ……きゃうっ!」
 わぉん! と声をあげ、レニーはココナに飛び掛った。
「きゃああ〜!」
 そして、驚くココナのスカートの中に、鼻面を突っ込む。
 乱れたスカートの裾から、隠していた尻尾がひょこんと踊り出た。
 その、キツネ色のふさふさの尻尾を、レニーは前足で捕えようとする。
「あらあらあらあら」
 瑠実は、聞きようによっては面白がってるような声をあげながら、ただ見ているだけだ。
「ちょ、ちょっと美玖ちゃ〜ん、助けてくださ〜い」
 スカートの裾を気にしつつ、ココナはどうにかレニーの魔手から逃れようとする。
「こらぁ、レニー!」
 美玖は、レニーの首にかじりつくように跳び付き、ぱしっ! とその頭を手で叩いた。
 自分は遊んでいるつもりなのに、どうやら人間を怒らせてしまったらしい、と気付いたレニーが、きゅーん、と声をあげて下を向く。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あーびっくりした」
 ココナが、まくれかけてたスカートを直しながら言う。
「うふふっ。ココナさんの尻尾が可愛いから、刺激されちゃったのね」
「も〜、笑い事じゃないですよ〜」
 にこやかな笑みを浮かべる瑠実に、ココナは声をあげた。
「じゃあ、行って来るわね。美玖ちゃん、お留守番よろしくね」
「はーい」
「えと、その犬、きちんと繋いでいた方がいいですよ」
「はーい」
 ココナと瑠実が、コミューターに乗り込む。
 軽快な音を立ててコミューターが走り去ってから、美玖は、レニーのことをめっ、と睨みつけた。



「もう、先生のせいで、朝から汗まみれだよ」
 2人きり――正確には1人と1匹だけになった家の中で、美玖はぼやいた。
「あたし、シャワー浴びるけど、先生はどうする?」
 脱衣場から見ると、玄関のたたきで、かつてレニウスだったボルゾイ犬は、そっぽを向いている。
「ね、先生ってば!」
 それは自分の名前じゃない、とでも言いたげな沈黙。
「先生!」
 ふわー、というあくび。
「……レニー」
 わうっ!
 嬉しそうな返事をして、レニーが脱衣場の美玖に走り寄る。
「まったくぅ……」
 言いながらも、そんなレニーがたまらなく可愛いと思い始めている自分に、美玖は気付いていた。
「あーん、だめだめ。先生を元に戻さなきゃいけないのにぃ」
 が、無心なレニーの表情を見ていると、なぜかそれが惜しいような気もしてくる。
 そもそも、今回の件はミルク・エンジンのせいのようだ。だとしたら、自分にとって辛いことになるはずがない、という能天気な思いが、美玖にはある。
「……ま、いつか元に戻るよね?」
 くぅん、とレニーが鼻を鳴らす。
 美玖は、小さく溜息をついて、すでに汗に濡れてしまったTシャツを脱いだ。
 夏休みの朝ということもあって、ブラはつけていない。年齢不相応に豊かに実った白い乳房が、ぶるん、と露わになる。
 が、レニーの方は平気な顔だ。
「ん、まあ、今は犬だもんね」
 美玖は、どこか拍子抜けしたような顔で言って、ホットパンツとショーツを脱ぎ捨てた。
 そのまま、バスルームに入り、コックをひねる。
 ほとんど水のようなぬるま湯を頭から浴びていると、レニーがシャワーの音に誘われたようにバスルームに入ってきた。
「あー、やっぱ足が汚れてる〜」
 濡れたタイルの上に点々とつく汚れた足跡に、美玖が声をあげた。
「キレイにしないと、家の中にいられないよ?」
 そう言う美玖に、レニーは、不思議そうな顔を向けた。
 美玖は、その場に膝をつき、レニーの左の前足を持ち上げた。
 手で、足の裏を洗ってやる。肉球は思ったより固かったが、それでも触り心地はいい。
 レニーは、じっとおとなしくしている。
「じゃ、こんどはこっちの足ね」
 美玖は、レニーの右の前足を手に取った。
 レニーが、バランスを崩してよろける。
「きゃっ、ちょ、ちょっと……きゃん!」
 意外と重いレニーの体重を掛けられ、美玖も思わず尻餅をついた。
 シャワーのぬるま湯を浴びながら、レニーは、美玖にのしかかるような格好になっている。
 何を思ったのか、レニーは、目の前にある桜色の乳首を、ぺろん、と舐めた。
「ひゃっ!」
 予想外の刺激に、美玖が声をあげる。
 レニーは、ぴちゃぴちゃと音を立てながら、美玖の左の乳首を舐め続けた。
 豊かなミルク色の乳房の頂点で、乳首が、見る見る勃起していく。
「ちょ、ちょっと、ヤダ……あぁン」
 長く、熱く、ざらりとした感触の舌が、すでにレニウスによって開発され尽くした性感帯を繰り返し舐めあげる。
 その刺激に、美玖は、レニーのイタズラを強く拒むことができないでいた。
「ダメ……ダメだってば……ああぁン……」
 ついさっきまでペット扱いしていたこの大きな犬の正体が、自分の体を徹底的に調教した一人の男だったことを、思い出す。
 が、目の前で無心そうな顔で舌を使っているのは、やはりまぎれもなく犬なのだ。
「イヤぁ……そ、そんなにしたら……ダメ、だってばァ……」
 言葉による拒絶は、しかし、レニーには通じない。
 美玖は、混乱したまま、次第にその愛撫の快感に身をゆだね始めていた。
 両手を後についたまま、次第に脚を広げ、ひどくしどけない格好で、犬の舌による愛撫を受け入れる。
 そんな自分自身に、美玖は、一層興奮していた。
(あたし……あたし……犬に、オッパイ舐められてる……)
 シャワーの音や、レニーが舌を使う音に、自らの甘い喘ぎが混じり合う。
(この子って……もとは、先生だけど……でも、でも……)
「レニー……」
 名前を呼ばれ、レニーは顔を上げた。
 美玖が、んくっ、と生唾を飲み込む。
 今、自分は、とんでもないことをしようとしている、という意識がある。
 だが、ですでに性の悦びを知ってしまった幼い体は、誘惑に抗しきれなかった。
 美玖が、さらに大きく、脚を広げる。
「ね……今度は、こっち、舐めて……」
 美玖は、つっかえつっかえ、言った。
 レニウスに同じことをおねだりしたときの何倍もの背徳感が、ぞくぞくと背筋を震わせる。
 レニーは、その円らな瞳を美玖に向け、少し首をかしげた。
「おねがい、レニー……レニーの熱くて長い舌で……美玖の、オ、オマンコ、舐めて……きもちよくして……」
 あからさまに言えば通じるとでも思ったのか、美玖が、卑猥な言葉でそう続ける。
 ぴちゃっ。
「んッ!」
 予想外に大きな声が出そうになって、美玖は慌てて口元を右手で押さえた。
 ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ……。
「んッ、んうッ、うッ、んんんッ!」
 犬特有の、ざらざらとした舌の表面が、美玖の無毛のスリットを舐め上げる。
 美玖のそこはたちまち蜜を溢れさせ、柔らかく綻び始めた。
 溢れ出た愛液を舐め取ろうとするかのように、レニーはいっそう激しく舌を動かす。
「す、すごい……こ、こんなの、はじめて……!」
 かつて味わったことのないような快感が、連続して弾け、体内をせり上がる。
「あっ……あぁっ……きもちイイ……きもちイイよう……!」
 レニーは、ただひたすら、そのことしか知らないかのように、ひたむきに舌を動かす。
 美玖は、ぬぐいきれない背徳感を感じながらも、その快楽の奔流にあっという間に飲み込まれてしまった。
「きゃっ! きゃうううっ! ダメ! もうッ! あッ! ひあうううッ!」
 どれだけ切羽詰った声を上げても、レニーは、舌を休めようとはしない。
 ただ、快感だけが、美玖の小さな体の中でぐんぐん高まっていく。
「ひッ! もうダメ! ほんとに、ほんとにダメぇ! ダメだよう!」
 びくんっ!
 美玖の体が、絶頂の予感におののく。
 が、もちろん、レニーは舌による愛撫を休めたりはしない。
「ンひアアッ! イッ! イクのッ! イく! イクイクイクイクイクぅーッ!」  
 美玖は、立て続けに絶頂に舞い上げられていた。
 絶頂の余韻に浸る間もなく、次の鋭い絶頂が、美玖の体を貫き通す。
 美玖は、まるで陸に上げられた魚のように、びくびくと激しく痙攣した。その、小学生離れした巨乳が、ぶるんぶるんと揺れる。
 ぴゅるっ、ぴゅるっと、まるで失禁したかのように、美玖のそこから愛液が溢れた。
 それに刺激されたかのように、レニーは、なおも舌を動かし続ける。
「きひいいッ! もうッ! もうやめてェ! しっ、死んじゃう、死んじゃうーッ!」
 ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ……。
「あッ! あーッ! あーッ! あーッ! あーッ! あーッ! あーッ! や、め……てェ……っ!」」
 無間に続く快楽の波に恐怖すら覚え、美玖は、言うことを聞かない両手で、どうにかレニーの頭を押しのける。
 くぅーん、とレニーが不思議そうに鼻を鳴らした。



《アイキャッチ》


《CM》



《アイキャッチ》



「はッ、はわッ、はッ、はあぁ……」
 美玖が、どうにか呼吸を整えようとする。
 強すぎる快感の名残に、体がうまく動きそうもない。
「あ、あう……もう、上がるゥ……」
 美玖は、のろのろと体を起こし、シャワーを止めるべくコックをひねった。
 すんすんすんすん。
「ひゃっ!」
 後から、とがった鼻でお尻の匂いをかがれ、美玖は悲鳴をあげた。
 本能的に身の危険を感じ、慌てて身を翻し、バスルームから出ようとする。
 が、洗い場の真ん中あたりで、美玖はかくんと膝を折ってしまった。
 座り込んだ美玖の陰部に、レニーは鼻ずらを突っ込む。
「やン! やッ! ダメぇ!」
 ぴちゃっ、とレニーの舌が、再び美玖のクレヴァスに触れる。
「はッ……はわぁ……もう、もう許してよう……」
 先ほどの絶頂で全身が敏感になってしまった美玖の体から、くたくたと力が抜けていく。
「ダメ……ダメだよ……もう、もう……」
 美玖にできるのは、上体を突っ伏し、弱々しく声を上げることだけだ。
 レニーが、美玖のクレヴァスからアヌスに掛けて、べろべろと長い舌で舐めている。
「あッ……ああァ……ひあー……」
 ちょろろろろろろ……。
 軽い痙攣と弛緩を繰り返しながら、美玖は、とうとう失禁してしまった。
 ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ……。
 そんなことにお構い無しに、レニーは舌を使い続け、少女の尿を舐め取ってしまう。
(ああン……おしっこ……おしっこなめてるゥ……ヘンタイ……先生ってばヘンタイだよォ……)
 意識を混濁させたまま、そんなことを思う。
 いつしか美玖は、背後からのクンニをさらにおねだりするように、高くお尻を上げていた。
 白い桃のような小さなヒップが、ぷりぷりと震え、おののいている。
 その、年齢不相応に発達した乳房は、美玖自身の体に押しつぶされていた。
「はうッ……はぐ……あン……ああぁン……」
 その姿勢のまま、美玖は、さらに何度か、軽い絶頂を迎えた。
 と、不意に、レニーが舌を止めた。
(ようやく……終わったの……?)
 さすがに、名残惜しさよりも安堵感が勝る。
 が、それは間違いだった。
 わぅっ!
「きゃああっ!」
 レニーは、一声吠えるや、美玖の背中に覆い被さったのだ。
 はッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッ……。
 犬特有のせわしなく熱い息が、美玖の首筋にかかる。
「ちょ、ちょっと、レニー、何してるの……?」
 逃れようにも、レニーの体は大きく、重い。美玖の力ではどうにもならない。
 よた、よた、と後足だけを床につき、前足で美玖の幼いウェストをホールドしながら、かくかくとレニーは腰を動かしていた。
「ま、まさか……きゃ!」
 ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、と固い肉の質感を持った何かが、レニーの腰の動きに合わせ、美玖の太腿を後から叩いていた。
 こわごわ、美玖は、背中を丸め、うつむくような姿勢で自分の股間を見る。
 ふさふさとした毛の生えたレニーの股間から、まったく別の生き物を思わせる赤い肉の棒が、露出していた。
(まさか、あれ……レニーのオチンチン……?)
 かああっ、と美玖の頭に血が昇る。
 レニーは、今、自分とセックスしようとしているのだ。
(そんな……そんな……犬とセックスなんて……そんなァ……)
 胸に、絶望感に似た何かが湧き上がる。
 それは、どす黒く、生温かくて、そして、危険な甘い蜜の匂いがした。
 かつて、美玖は、レニウスに獣姦モノのビデオを見せられたことがある。
 金髪の女性が、黒く獰猛そうな犬に背後から犯されているビデオだ。
 それを見せられながら、美玖は、その金髪の女性と同じ姿勢で、レニウスにバックから犯されたのである。
 絶望的な快感に髪を振り乱し、声を上げるその女性にシンクロしながら、美玖も、同じような快感に打ちのめされた。
 しかし――
(ホ、ホントにしちゃうなんて……そんなの、ムリだよォ……!)
(たしかに……あの女の人は……してたけど……)
(でも、でも……犬とだなんて、そんな……)
 かくかくかくかくかくかく……。
 レニーは、空しく腰を使いながら、どうにか美玖のクレヴァスを探り当てようとする。
 だが、美玖自身が協力してやらない限り、挿入は難しいだろう。
(あ、あたしが、手伝う……?)
 どくん、と美玖の心臓が跳ね、下半身が甘く疼いた。
(あたしが、自分からしなければ……レニーとは、できない……)
(し、したくない! したくなんかないもんっ!)
(でも……ああン、でも……っ!)
 無理矢理に犯されたのだというなら、自分自身にも言い訳が利く。が、どうやらそういうわけにはいかないらしい。
 長大な犬のペニスが、美玖の太腿を叩き、時折、クレヴァスに触れる。
 その、美玖のクレヴァスは、とろとろと熱い蜜を溢れさせていた。
 さっき、あれほどアクメを貪っておきながら、美玖の体は、膣奥への力強い刺激を恋焦がれているようだ。
(だって……レニーは先生だもん……)
(先生だったら……どんな姿になっても、先生だから……)
(これ、浮気じゃないもん……犬とセックスしたいわけじゃないもん……先生と、なんだから……)
 いつしか美玖は、これから自分のすることを、必死に正当化しようとしていた。
 そして、おずおずと、自分の股間に手を伸ばす。
「あ、あっつい……!」
 犬のペニスの温度に、美玖は、思わず声を上げていた。
 きゅん、と膣肉が期待に蠢く。
「先生……レニー……い、入れてさせてあげるね……」
 美玖は、そう言いながら、まだかくかくと動いているレニーのペニスを誘導した。
 さらに、腰をくねくねと動かし、犬の生殖器官を迎え入れようとする。
「はっ、はっ、はっ……こ、こうかな……?」
 ……ぬるン!
「ふわッ!」
 一気に奥まで挿入され、美玖は、悲鳴をあげた。
 ヒトのそれとは全く異なる形状をしたペニスの先端が、美玖の最深部にまで到達する。
 大きさは、人間だった頃のレニウスのそれと遜色ない。
「あ、あ、あ、あ!」
 レニーは、猛然と腰を使い始めていた。
 かくかくかくかくかくかく……。
 最初から容赦も余裕もない動きが、美玖の体内に送り込まれる。
 熱い血液で充填された犬のペニスに膣壁をこすられ、そして、子宮口を連続して小突かれる。
「ひッ! ひいッ! やッ! やぁッ!」
 激しすぎる快感から逃れるように、美玖は前へ前へと体を動かしていく。
 が、レニーは、ようやくつかまえた牝の体を、逃そうとはしない。
 とうとう、美玖はバスルームの壁にまで追い詰められた。
 ちょうどドアのある壁なのだが、美玖はもう逃れようがない。
「あッ! あうッ! あン! あぁン! あン! あン!」
 ようやく、美玖の体は、快感を普通に受け止められるくらいに、レニーの抽送に馴染んできた。
 凄まじい快感だ。
 速射砲を思わせる激しい抽送が、激しい快感を紡ぎだし、美玖の脳を飽和状態にさせる。
「もッ、もうイク……ダメ、イっちゃう……!」
 早くも、美玖は絶頂を迎えようとしていた。
 あれほど立て続けにアクメを味わわされた美玖の幼い体は、もうひとたまりもない。
「イ、イクの……イっちゃう! ああッ! イク! イク! イク! イク! イク!」
 びゅううううううぅぅぅぅーッ!
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァーッ!」
 体内に、熱い何かが迸るのを感じ、美玖は絶叫した。
 レニーのペニスから、大量の熱い体液が美玖の幼い膣内に注ぎこまれる。
 ヒトのそれよりは粘度が低いが、その量は比べ物にならない。
「ああぁ……熱いの、出てるゥ……」
 犬の体温と同じ温度のそれで、美玖は、自分の体内が火傷するのではないかと思った。
 1分近くも、射精が続く。
 が、それすらも、前奏曲に過ぎないことを、まだ美玖は知らなかった。
 美玖は、これで、終わりだと思っていた。
 挿入して、激しく抽送され、射精される。ヒトと同じプロセスだ。
 が、レニーの放ったそれは、正確には精液ではなかったのだ。人間で言うならカウパー氏腺液にあたるものだ。
「え……?」
 レニーは、腰の動きを止めようとはしていない。
 それどころか、より深く結合しようと、ぐいぐいと腰を押し付けてくる。
 美玖は、壁に頭がぶつからないよう手でかばいながら、驚愕していた。
「やッ……やめ……まだなの? あうッ! ああン!」
 ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっ……!
 レニーは、さらに腰を使い、美玖の白いヒップに押し付ける。
「ど、どうして……ひゃうッ!」
 美玖は、悲鳴をあげた。
 クレヴァスに、異様なモノが触れたのだ。
 レニーのペニスの根元……そこに手を触れると、大きく膨らんでいる。
 テニスボールより、一回りほど小さいくらいだろうか。
 美玖は、その器官が亀頭球というのだとは知らない。
(ま、まさか……コレ、入れちゃう気なの……?)
(ムリだよォ! そんなの、裂けちゃう! それに、抜けなくなっちゃう!)
 美玖の思いなど知らぬげに、長大なペニスの根元の膨らんだその部分を、レニーはぐいぐいと押し付けてきた。
「あ、あぁ……ン……ゆ、ゆるしてェ……」
 はっはっはっはっはっはっ……
 せわしない呼吸が、首筋をくすぐった。
 その、あからさまに興奮した息遣いに、美玖は、なぜか胸をときめかせてしまう。
「ダ、ダメなの? どうしても入れたいの?」
 レニーが、それに答える様に、わうっ、と一声鳴いた。
(あぁン……やっぱり、この犬……レニーって、先生だよォ……)
(こういう時、すっごい強引で……)
(でも、でも、そういうとこも……好き……)
 この、逞しい犬の力には、逆らえない。
 美玖は、いつしか、そんな甘い諦めに身を委ねていた。
 自ら股間に手を伸ばし、せめて傷がつかないように、ぐっと陰唇を割り開く。
「あ、ああ、あああぁぁぁ……」
 ぐうっ、と美玖のラビアを血の気が引くほどに押し開きながら、レニーの亀頭球が美玖の中へと進入していった。
 苦痛と、わずかな快感が、美玖の脳内に白い火花を散らす。
 そして――
「ひ……ぎいいッ……!」
 入った。
 とうとう、美玖の小さな体は、根元まで犬のペニスを迎え入れてしまった。
 やや尖ったようになっているペニスの先端が、美玖の子宮口に食い込んでいる。
 亀頭球は、美玖の入口のすぐ内側を、息苦しくなるほどの力で圧していた。
 自分が、ヒトならぬものと性交しているのだということを、美玖は、改めて認識する。
「す、すごい……はいっちゃった……ワンちゃんのオチンチン、はいっちゃったよォ……」
 美玖のその声の調子は、うわ言に近い。
 もはや、レニーは腰を使うのをやめている。
 が、レニーがわずかに身じろぎしただけで、美玖は電流のような快感に貫かれた。
 熱い肉の球が、膣内でも最も感じる部分を常に刺激しているのだ。
 すでに、苦痛と快感のバランスは逆転している。
「あ、あう……す、すごい、よぉ……ッ!」
 まさに牝犬の風情で舌を出し、はぁはぁとあえぎながら、美玖はうねるような快楽を感じていた。
 その時――
 ぶびゅううううッ!
「はわぁッ!」
 射精が、始まった。
「あッ! はわぁ! な、なに? なんなのッ?」
 びゅうううーッ、びゅうううーッ、びゅうううーッ、びゅうううーッ……
 レニーのペニスが、熱い精液を、迸らせる。
 人よりも高い犬の体温で温められたそれが、少女の内臓を内側から灼いていく。
「やーっ! いっぱいになる! あついのでいっぱいになっちゃう!」
 熱い体液が子宮に満ちていく未知の快感に、美玖は、パニックになりかけた。
「とめて、とめてえ! 先生、とめてえ!」
 が、レニーの射精は止まらない。
 子宮を満たし、膣道にまで逆流した精液は、しかし、外にあふれるようなことはなかった。
 亀頭球が、そのストッパーの役目を果たしているのだ。
 わずかでも精液を外に漏らさないよう作り上げられたそのシステムが、美玖の体内を陵辱していく。
「ハ、ハレツしちゃう……美玖のしきゅう、レニーのセイエキでハレツしちゃうよォ……!」
 恐怖と、そしてそれを圧倒する快感に、美玖は半狂乱になる。
「あうッ! あぐ! ひッ! ひああああぁぁぁぁーッ!」
 犬は、精液を1分近く射精し、そしてその後、それとは別に前立腺液を1分以上射精する。
「あー! あー! あー! あー! あー! あー!」
 その間、美玖は、何度も絶頂を迎えた。
 ようやく、射精がおさまった。
 が、レニーのペニスが美玖の体内から抜けるようなことはない。
 まるで、体内に楔を打ち込まれたようなカタチで、美玖は、ひくん、ひくんと痙攣した。
 レニーは、自らのペニスに屈服した少女の背中に覆い被さるようにして、動きを止めている。まるでその征服感を満喫するような様子だ。
 ただ、美玖だけが、わずかな苦痛と、かすかな恐怖と、そして圧倒的な快感に喘ぎ、涙を流している。
「ああぁ……あぁーっ……すごい……すごすぎだよォ……ひああ、あぁぁぁ……」
 唐突に、レニーが体を動かした。
 美玖の背中に覆い被さるのをやめ、体を捻る。
「ひあうーっ!」
 膣の入口を塞いだ亀頭球の動きに、度重なる絶頂で敏感になった美玖は、またも絶頂を迎えてしまった。
 四つん這いの美玖と、四つん這いのレニーが、お尻とお尻を合わせたような格好になる。
 ロッキングという状態だ。
 美玖は、もちろんその言葉を知らないが、それが交尾の最終形態だということは、何となく分かった。
 この状態が、犬の交尾では、時に20分も続くのだ。
(されちゃった……最後まで……美玖、レニーのものになっちゃったんだ……)
 徹底的に、牝犬を妊娠させることを目的としたシステムに犯され、美玖は、打ちのめされるような快楽にひたっていた。



 そして、美玖は、レニーの亀頭球が収縮するまで、何度も何度も牝犬の絶頂に晒されたのだった。



《おしらせ》

 今回の『万能無敵/ミルク・エンジェル』特別編は時間を延長してお送りしています。
 引き続き『倒錯! 愛犬遊戯』(後編)をお楽しみください。

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