第一章
どういう経緯でそのような話になったのか、錦小路絢華は、正確には覚えていない。
「心というのは、つまるところ、脳という臓器の機能ですからねえ」
毒原は、いつものしたり顔を浮かべて、そのように言った。
その表情、態度、口調の全てが、絢華のカンに障る。
そもそも、絢華は毒原を嫌っていた。
てっぺんの禿げ上がった脂ぎった頭と、大きな口から這い出て唇を舐め回す舌は、男の貪欲さを表しているように思えた。その肥満した体の中でも、白い芋虫を思わせる太い指には、生理的な嫌悪感すら覚える。何よりも、粘液質な視線で自らを見つめるその細い目が、たまらなく嫌いだった。
「精神状態が体調に左右されるのは、当然のことです。自分では確かだと思っている記憶でさえも、外界からの影響でしばしば書き換えられてしまうのですよ」
そんなふうに言葉を続ける毒原の視線が、まるでナメクジのように、絢華の顔や体の上を這い回っている。
だが、絢華の容姿は、中年男の不潔な視線を弾き返してしまいそうなほどに、端正だった。
癖の無い艶やかな黒髪は腰まで伸び、滑らかな頬は白磁を思わせる。黒目がちの双眸はやや吊り気味で、すっと通った貴族的な鼻梁の下にある赤い唇は、十七歳という年齢に相応しく、瑞々しい。白い清楚なブラウスに包まれたその体は、しなやかな曲線を描きながらも、その胸元は豊かに膨らんでいる。
厳格な校則で律せられた女子校に通う絢華は、自らの容姿が、どれほど異性の注目を浴びるものかということを自覚する機会を、これまで持たなかった。とは言え、そんな絢華をねめ付ける毒原の目に宿る光は、偏執的で、常軌を逸していると表現しても過言ではない。
「思い出も、永遠ではない、と先生はおっしゃりたいのかしら」
声に嫌悪の情が表れ出ないよう注意しながら、絢華は言った。
「そうですよ」
毒原の返事に、絢華は、そのような表情を作ること自体が無作法であることを忘れ、思わず眉根を寄せてしまう。
毒原が着いているのは、錦小路家の食卓だ。そして、その食卓に、絢華の父が着くことはもはやない。もちろん、毒原が着いているのは客のために用意された席であり、かつて父が座っていた場所ではないが、それでも、絢華は、毒原の存在自体が、あの優しく偉大で、そして三年前に亡くなった父の思い出を穢しているように思ってしまう。
「絢華さん」
母の声に、絢華は、危うく表情に出そうになっていた不快の表情を引っ込めた。
絢華は、母である静音が声を荒げたところを見たことがない。今も、静音の顔に浮かぶのは、控えめで穏やかな微笑みだ。それでも、絢華は、自らの今の態度を母にやんわりと咎められているように思えた。
静音は、絢華にとって理想だった。
その容貌は、親子だけあって絢華によく似ている。髪の艶や肌の張りは若々しく、ややもすると絢華の母親ではなく姉に間違われそうなほどだ。だが、髪をアップにまとめ、和服をまとったその落ち着いた佇まいは、名家たる錦小路家の主に相応しいものだった。
だが、絢華が静音を尊敬するのは、亡き父の妻であったからである。
あの父に相応しい女性は、この母以外にはいなかった――身内のことであるため、慎ましく胸の内に秘めてはいるが、絢華は、そのことを無邪気なまでに誇りに思っている。
その母が、自分に、かすかではあれ、懸念に似た光を湛えた瞳を向けている。絢華は、毒原の言葉ごときに心を揺らしてしまった自らの未熟さを恥じた。
「あまり食が進んでいないようだけど、体調でもお悪いの?」
「それは――」
確かに、食欲は無い。館に住み込みのメイド達が配膳した料理のほとんどが、手付かずだ。
それは、最近、しばしば夕食の席にまで現れるようになった毒原のせいかもしれない、と思いかけ、さすがに絢華は反省した。たとえ嫌悪の対象にしかなりえない人物であっても、毒原が優秀な医師であり、そして静音の健康管理のために働いていることは確かなのだ。
それに、母の指摘どおり、体調はあまりよくなかった。昨年度に続き、今年度も引き続き生徒会長を努める絢華は、学校で様々な雑事をこなさなくてはならなかったし、それにかまけて勉学を疎かにすることなど、誰が許しても絢華自身が許さなかった。その結果、最近、過労気味であったのは事実だったのである。
「無理はいけませんよ、絢華さん。もし何でしたら、疲労回復のためのビタミン剤を後ほどお渡ししましょう」
出された食事を既に全て平らげた毒原が、ぴちゃぴちゃと舌を鳴らしながら、言う。
「それがいいわ。毒原先生のお薬は、とてもよく効きますものね」
静音が、穏やかな笑みを浮かべたまま、同意する。
その声に、いつもと違う何かを感じ取るには、絢華は、まだまだ経験が足りなさ過ぎた。
「ん……んんっ……」
暗闇の中、天蓋付きのベッドの中で、絢華は目を覚ました。
スタンドの明かりを点けて、サイドボードの上の置き時計を確認する。まだ、真夜中だ。
ふと、絢華は、毒原に処方されたピンク色の糖衣錠の味を、舌先に思い出した。
確かに効果はあった。体を苛んでいたけだるさは、嘘のように消え失せている。だが――やけに喉が渇き、体が火照っていた。
目も冴えてしまっている。このまま生温かい夜具の中で横になっていても、また安らかな眠りに戻れるかどうかは疑問だ。
絢華は、清楚なデザインのネグリジェの上に薄手のカーディガンを羽織り、部屋を出た。
庭師が欠かさず手入れをしている中庭を少し散歩すれば、自然と眠気も戻るだろう――そんなことを考えながら、廊下を歩く。
「…………?」
静音の部屋の前で、絢華は、思わず立ち止まった。
ドアが細く開き、部屋の明かりがかすかに漏れている。
ただそれだけなら、絢華は、そのまま通り過ぎたかもしれない。だが、明かりとともに部屋の外に漏れ出ている声が、絢華をその場に止まらせた。
(お母様と……毒原先生の声……?)
声は密やかで、何を話しているかは判然としない。だが、耳に届いているのが、静音と毒原の声であることだけは、明らかだ。
こんな夜中に、母親の部屋に、男がいる。そのことに、絢華は、正体不明の胸騒ぎを感じた。
(私、何を考えているの……?)
そんなふうに思いながらも、絢華は、足音を忍ばせながら、ドアに近付いてしまう。
胸郭の中で、心臓が鼓動を速めるのを、絢華は感じた。
(そんな……覗き見だなんて……どうして私、こんなはしたないこと……)
心の中の戸惑いや躊躇いを無視する形で、体が勝手に動いてしまう。
そして、絢華は、わずかに開いたドアの隙間から、スタンドの明かりだけが点いた部屋の中を覗き込んだ。
「……っ!」
その時、絢華が声を上げなかったのは、ほとんど奇跡に近かった。
いや、むしろ、驚きがあまりに大きくて、喉につかえてしまったのだと言った方がいいかもしれない。
ドアの隙間の先――寝室のほぼ中央に置かれた大きなベッドの上に、静音が腰掛けている。
だが、視線の先にいる静音は、絢華の知っている静音ではなかった。
「あっ、ああっ、あふ……んっ、んくっ、あふ……うぅん……」
悩ましい喘ぎが、絢華の耳に届く。
その喘ぎ声を漏らしているのは、鮮やかなルージュが塗られた、静音のぽってりとした唇だ。
妖しいまでに赤い口紅の色と、普段はまとめられている髪が下ろされ、緩やかに波打っている様が、静音の印象を大きく変えている。
男の内に眠る牡の部分を奮い立たせずにはおかない艶っぽさが、今の静音にはあった。
そして、その身にまとうワインレッドのネグリジェが、静音の妖艶さを、さらに際立たせている。
極端に薄い布でできたそれは、静音の成熟した肢体を隠すどころか、たわわな胸とむっちりと張った下半身の淫靡さを、これ以上はないくらいに強調していた。
和服に包まれていた時は外に現れていなかった、匂うような女の魅力が、静音を昼間の令夫人とはまるで別人にしてしまっている。
だが、絢華を真に驚愕させたのは、そのことではなかった。
「あ、あぁん、だ、駄目ですわ……そんな……んうっ、うく、あ、あは……や、やあぁん……」
ぶくぶくと太った芋虫を思わせる指が、ネグリジェの上から、静音の巨乳を揉んでいる。
「あっ、あふ、はふン……ん、んんっ、んあぁ……はぁ、はぁ……あ、ああぁん……あは、はっ、はふ、やっ、ああっ、あぁ〜ん」
後ろから回された両手に、左右の乳房を無遠慮に捏ね回されて、静音は、媚びるように甘い声を漏らしているのだ。
そして――静音の胸を揉みしだいているのは――
「くく……乳首がずいぶんと堅くなってきましたよ……感じているんですね、静音さん」
「あっ、あっ、お、おっしゃらないでっ……! あっ、あああっ、あく……きゃうンっ!」
左右の乳首を薄い布越しに摘ままれ、静音が、少女のように可愛らしい悲鳴を上げる。
その声を聞いて、脂ぎった顔ににんまりとした笑みを浮かべたのは、全裸の毒原であった。
(そ、そんな……どうしてお母様が、毒原先生と……)
母が、ベッドに大きく足を開いて腰掛けた毒原に後ろから抱きすくめられ、その豊かで形のいい双乳を弄ばれている。
視界が歪むほどの非現実感を覚え、絢華は、その場にぺたんと座り込んでしまった。
「あふうっ、ああっ、そんな、胸ばかり苛めないでください……んあ、あっ、あふ、あうぅン」
「苛めるとは心外ですねぇ。私としては、可愛がってあげているつもりなんですが」
粘つくような口調で言いながら、毒原が、勃起しきった静音の乳首をクリクリと指先で嬲る。
「あっ! んあン! あ、あ、あっ! あああ、それ、駄目ですわ……あぁん、駄目、駄目ぇ〜ん!」
駄目と言いながらも、静音は、毒原の腕の中で悩ましく体をくねらすだけで、少しも逃げようという素振りを見せない。
いや、むしろ、でっぷりとした毒原の体に、進んで身を委ねているようにすら、見える。
「ああん、もう、もう許してください……あっ、あうっ! 胸が、胸が切ないんですの……んく、あうぅン!」
「ほらほら、そんな上品な言い方をして……この前、教えて上げたでしょう?」
きゅっ、きゅっ、と何かを促すように、毒原が静音の乳首を捻り上げた。
「うく、あうぅ! ハァハァ……んう、オ、オ、オッパイですわ……あうっ! オッパイが……ハァハァ、お、お、お乳が切ないんですのっ! んふ、あうぅん! 乳首、乳首もう苛めないでぇ〜ん」
(お、お母様っ……!)
言葉遣いには人一倍厳しい静音の口から漏れた数々の淫語に、絢華は、驚愕を新たにする。
「そんなことを言っても、静音さんのオッパイは喜んでるようですよ」
毒原は、その太い指で、静音の乳首をピシピシと弾くように刺激した。
「んくっ! あっ、ああっ! そ、それは……はぁはぁ、あン! あぁン! あン!」
きゅっと眉をたわませ、頬を赤く染めながら、静音が、その体をヒクヒクとおののかせる。
「――ははぁ、静音さんの言いたいことが分かりましたよ。お乳ばかりでなくて、こっちも可愛がってほしいんですね」
そう言って、毒原は、左手で静音の乳房を弄びながら、右手を白い太腿の間に滑り込ませた。
「んあっ!」
静音が、白い喉を反らせて、声を上げる。
毒原は、舌なめずりをしながら、静音の乳房と秘部を同時に責め始めた。
絢華の場所からは、距離がある上、影になっているため、毒原がどのような狼藉を働いているのかは、具体的には分からない。
だが、毒原に股間をまさぐられた静音が、悩ましげにその大きなヒップを揺すっているのは、見て取れた。
(な……何て、破廉恥な……)
絢華は、もはや、目の前のことが現実とはとても思えない。まるで、悪い夢の中に入り込んでしまったようだ。
「あうっ、んっ、んあっ、そ、そこはっ……ああぁん、そこは駄目ですわっ……! ひっ! ひうっ! うく……うっ、うあっ、あああああっ!」
静音が、首を右にねじるようにして、後方を向く。
と、毒原が、静音の右肩に顎を乗せるように身を乗り出し、そして、二人は唇を重ねた。
「んむっ、んっ、んふ……ふぅふぅ……んちゅ、ちゅぶっ、ちゅぶぶ……んふっ、んふぅ〜ン」
「あ……あ……あ……」
絢華の唇から、震える声が漏れる。
愛し合う恋人か夫婦にしか許されぬはずの行為――二人のキスは、愛撫以上に、絢華に衝撃を与えていた。
「んむっ、ちゅぶ、ちゅぷ、んふ、んふぅん……ちゅっ、ちゅぶぶっ、んちゅ……んふ、んふ、んっ、んちゅぅ〜っ」
鼻から甘えるような息が漏らしながら、静音は、毒原とのキスを続ける。
唇を吸い合い、舌を絡ませ合い、そして唾液を交換し合う静音と毒原の口付けは、絢華の乙女らしい幻想とはあまりに掛け離れたものだ。
「んちゅっ、ちゅぶっ、んっ……ぷはっ、ハァハァ……あぁん、もう、もう、わたくし……んく、あふぅ……」
熱い吐息をつきながら、静音が、その腰をさらに揺する。
「ああン……お、お願いです……んく、んふぅ……あぁん、お願いぃ……」
「何がお願いなんです? そういう時にどう言えばいいのかは、きちんと教えたでしょう?」
毒原が、にやけた笑みを浮かべながら舌を突き出し、静音の右の耳たぶを舐め回す。
「んうっ、あっ、ああぁ……そ、それは、その……ハァハァ、あぁん、許してください……んうっ、あううっ……」
「言わないと、今夜はこれで終わりにしますよ? いいんですか?」
「ああっ、そ、そんな……! 言います、言いますから……!」
静音が、毒原の言葉に他愛もなく狼狽する。
「はぁはぁ……んく……お、お願いですわ……わたくしのアソコに……その……ア、アレを……」
「アソコだのアレだのじゃ分かりませんよ」
そう言って、毒原が、静音の耳朶に口を寄せ、さらに何事か囁く。
「ああっ……そ、そんなはしたないことを……」
「ええ、言ってください……ふふ、本当は静音さんも言いたくて仕方ないんじゃないですか?」
毒原が、手指で静音の体を弄ぶだけでなく、言葉でその心を嬲り続ける。
「そ、そんなことありません……んんっ……は、恥ずかしくて死にそうです……」
「それでも言うんですよ。ほら、欲しいんでしょう?」
「あっ……!」
その時、絢華は、母がなぜ声を上げたのか分からなかった。
実際は、毒原が、堅く勃起した肉棒を、静音の尾骨の辺りに押し付けたのである。
「あ、ああぁ……す、すごい……あふぅ……」
長い睫毛に縁取られた静音の両目が、期待と欲情に潤む。
「さあ、言いなさい、静音さん……」
「は、はい……んくっ……」
静音が、白い喉を上下させ、生唾を飲み込んだ。
「んふ、ふぅふぅ……ど、どうか……静音の、オ……オ、オ……オマ……んくっ、オ、オマ……コに……はああっ……チ……チン……あああっ……」
羞恥と屈辱に顔を赤くしながらも、静音の表情は、マゾヒスティックな愉悦にとろけている。
「どうしたんです、聞こえませんよ? 最初からハッキリ言ってください」
「はぁはぁ……あううっ、静音の、オマ、オマンコにっ……ハァハァ、チ、チンポ、チンポ、ぶち込んで……ザーメン注ぎ込んでくださいっ!」
言い終えた静音の体が、ぞくぞくっ、と震える。
(お……お母様……今、何ておっしゃったの……?)
絢華の耳にその声が届かなかったわけではない。ただ、あまりのことに、脳が理解を拒否したのだ。
「くっくっく……それでいいんです……ふぅふぅ、私ももう我慢の限界ですよ……!」
「きゃっ!」
毒原が、静音の体をベッドに引き上げるようにしてから、仰向けに横たえる。
そして、毒原は、慣れた手つきで静音の両膝に手をかけ、左右に割り開いた。
「あああっ!」
美しい曲線を描く両脚をMの字にさせられ、静音が、両手で顔を覆う。
「ほら、見てください、静音さん……」
毒原の言葉に、静音は、そろそろと手をどかし、毒原の股間に瞳を向けた。
「あ、ああぁ……大きい……」
思わず、といった感じで、静音がかすれ声を上げる。
「くく、もう静音さんの中に入りたくて待ちきれなくなってるんですよ」
そう言いながら、毒原は、見せつけるように自らの肉棒を扱いた。
(な……何ですの、あれ……あれが、お、男の人の……?)
初めて見る男性器の凶悪さに、絢華は、目を見開いていた。
もちろん絢華には分からなかったが、毒原の股間から突き出たそれは、平均的なサイズよりも二回りは大きく、そして太い。
淫水焼けした亀頭が充血し、大きく傘を張っている様を、静音は、うっとりとした瞳で見つめた。
「これが欲しいんでしょう?」
「は、はい、そうですの……んくっ……わたくしのオマンコに、その、男らしいチンポを、入れて……ぶち込んで、ザーメン注ぎ込んでほしいんですわ……!」
先程よりよほどすらすらと、静音が淫らな台詞を口にする。
すでに、だいぶ前から毒原は静音の膝から手を離しているが、その両脚は、しどけなく開かれたままだ。
毒原は、満足げな笑みを浮かべ、静音のネグリジェを大きく捲り上げた。
「ああぁン……」
下着をはいていない豊かなヒップが剥き出しになり、静音が、媚びるように甘い吐息をつく。
「では、いきますよ……!」
毒原は、右手でペニスの角度を調節しながら腰を進め、静音の秘唇に膨れ上がった亀頭を潜り込ませた。
「んく……あううっ、はぁ、はぁ……ああ、いらしてください……わたくしの中に……あく、あうううううっ!」
毒原がさらに腰を突き出し、静音の喉からかすかに苦しげな声が溢れる。
ベッドの側面方向から見る絢華には、むっちりとした静音の太腿に隠れて結合部は見えない。が、二人の肉体が深くつながりつつあることは明らかだ。
(何て……何てこと……そんな……そんな……)
衝撃に唇が震え、涙が滲む。
その驚きがあまりに大きかったため――絢華は、自らの股間が甘く疼いていることにすら、気付かなかった。
「んく、あ、あううっ……すごい……すごいです……んあっ、ま、まだ入ってくるなんて……あ、あん、ああぁ〜ん」
「ふう、ふう、静音さんのヒダヒダが、嬉しそうに絡み付いてきてますよ」
「ああん、イヤです……そ、そんなことおっしゃらないで……あっ、あく、んううっ……あぐっ!」
ずん! と膣奥を先端で突かれ、静音が背中を反らして喘ぐ。
「あっ、ああっ、あく……あっ、駄目、駄目っ! あ、あああっ、イ、イ、イキます! イクうっ!」
びくびくびくっ、と静音の体が震え、しばらくして、くったりと弛緩する。
「おやおや……入れられただけでイったんですか?」
「はぁ、はぁ、はぁ……ああ、だって……んく……チンポ、とっても逞しいんですものぉ……あふうぅ……」
「ですが、私としてはこれからなんですけどね……」
「ああっ、お、お待ちになって! まだわたくし……あっ、あうううっ!」
静音の制止を無視して、毒原が腰を使いだす。
「んあっ、あぐっ、ひっ、ひいいぃン! ああ、だ、駄目ですわっ! あうっ! ひ! ひっ! ひいいン!」
「イったばかりで敏感になってるんですね? でも、そのせいで余計に気持ちいいでしょう?」
そんなことを言いながら、毒原は、その突き出た腹を揺するようにしてピストンを続けた。
「あっ、あああン! 許して、許してください! そ、そんな……あうっ、あく、あっ、あぁーっ!」
切羽詰まった声を上げながら、静音がシーツの上で体をくねらせる。
「むふぅ、静音さんのオマンコは名器ですね……入り口はキュッと締まっているのに、中はとろけるようで……ふぅふぅ、さぞやご主人も楽しまれたんでしょうねぇ」
「あううっ、いや、いや! 言わないでくださいっ! あっ、あううっ、あ、あの人のことは……んあっ! あく! あっ、ああっ、あひ! また、またイキそうっ!」
「またですか? 静音さん、はしたないですよ。亡くなったご主人に悪いと思わないんですか?」
そんなことを言いながら、毒原は、さらに膨張したペニスを、容赦なく蜜壷に抽送させる。
「あっ、あああっ、お、思いますぅ……悪いと思いますぅ! うぐ、うっ、うああっ! ごめんなさい! は、はしたない妻でごめんなさいっ! あっ、ああっ、あなた、あなた、許してくださいぃ!」
そう言いながらも、静音は、卑猥に腰を浮かせて毒原の肉棒を膣内深くに迎え入れている。
「うっ、うあっ、あひ! あひン! ひいいン! あああ、イキますぅ! イってしまいますっ! あっ、あっ、あっ! わ、わたくし、また恥をかいてしまいますわぁ……お、おおっ、おほぉ! イ、イク、イクうううううううう!」
先程よりもさらに激しい絶頂に、静音が快楽の悲鳴を上げる。
「う、うぐっ……すごいですよ、静音さん……マンコ全体が私のに吸い付いて……ぐううっ」
なおも意地汚く静音の肉体を貪ろうという魂胆なのか、毒原が、歯を食いしばって射精をこらえる。
「あっ、あああああっ、あく……うっ、うあぁ……あふ……あっ、ああっ、あああっ……」
アクメの余韻に浸る静音が、だらしなく表情を緩め、口元から涎を垂らす。
そのようでありながらも、静音の美貌はいささかも損なわれておらず、かえって扇情的な魅力を増していた。
(い、いったい……お母様に、何が起こっているんですの……?)
性行為はもちろんのこと、自慰による絶頂にも達したことの無い絢華は、ペニスを挿入されてからこれまでの静音が示した反応を、ほとんど理解できないでいる。
だが、徐々に熟しつつあるその体は、静音の感じた悦楽に本能的に共鳴し、その胎内に甘い炎を燃やしていた。
「ふひぃ、ふひぃ、ふひぃ……くく、危うくこっちまでもっていかれるところでしたよ」
ぽたぽたと額から汗を垂らしながら、毒原が、静音にのしかかるような姿勢になり、止めていた腰を緩やかに動かしだす。
「うっ、うああっ、あふ……あン、あぁン、あく……あ、あっ、あああああン……!」
静音が、毒原の太い胴体に腕を回し、ぎゅっとしがみつく。
さらに、静音は、しどけなく開かれていた両脚を、毒原の腰に絡み付けさえした。
「ふふ……あなたは最高ですよ、静音さん……」
毒原が、その大きな口で被せるようにして、静音の唇にキスをする。
「うっ、うくっ、んううっ、んふ……んちゅ、んちゅっ、ちゅぶ……んはっ、ハァハァ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……んちゅぅうう〜っ!」
うっとりとした表情をした静音が、自ら唇を押し付けるようにして、何度も毒原と口付けを繰り返す。
「んちゅ、ちゅぶ、んぷ、ちゅぷぷ……ぷはっ……! ハァ、ハァ……あはぁ……奥まで届いて……んっ、んあうっ……き、気持ちいいですわ……あ、あっ、あはぁんっ、す、素敵っ……!」
「そんなに私のはいいですか?」
「ああっ、はい、はいっ! と、とても気持ちいいですの……あ、あん、あぁん! か、感じるぅ……!」
「くくく、もっと感じさせてあげますからね……」
毒原は、ピストンに変化をつけながら、静音の快楽の源泉を責めたてた。
「あっ、ああっ、あン、あンあン! あン! あううっ……うぐっ、うっ、うあっ! あっ! あおおっ! おっ! おっ! おおンっ! おおぉーンっ!」
静音は、毒原の腰の動きが小刻みになると少女のように可愛らしく喘ぎ、大きくなれば牝の獣じみた声を上げる。
それは、静音が、その蜜壷を貫く毒原の男根によって支配されていることの証明であるように、絢華には思えた。
「あああっ、また、またイキますわっ! あっ、あうっ、あううン! い、いいっ、イク! イクっ! イキますうっ!」
「ふぅふぅ、わ、私も、そろそろですよっ……!」
「ああぁン! イって! わたくしと一緒にイってください…! ハァハァ、お、お願いです……! んくっ、も、もう、もう一人はイヤですのぉ〜ん!」
静音が、毒原の体を抱き締める腕に力を込める。
「ああっ、来て! 来てくださいっ! あああっ! 中に、中にザーメン出してっ!」
「うぐ……ぐぉおおおおおおおっ!」
毒原が、豚を思わせる雄叫びを上げ、一気に腰を加速させる。
「おあっ! お、おおっ! おあっ! あひいいぃ〜! す、すごいっ! すご……おっ、おあっ! あひン! あ、あっ、あっ! 子宮に、子宮に届いてますのぉ! あン! ああぁン! あひ! チ、チ、チンポが子宮っ、あ、愛して、愛してるぅ!」
あらぬ事を口走りながら、静音が、毒原の体の下で身悶える。
「あ、ああああああああ! イク、イクっ! イク! イクう! イ、イ、イ、イグぅうううううううううううううううううううううう!」
「うぐっ!」
叫び声を上げる静音の膣壷に根元まで肉棒を突き刺し、毒原が、大量の精液を放つ。
「んひ! ひっ、ひぐうううううう! で、出てるっ! な、な、中にぃっ! んあああああ! イ、イ、イキますうっ! またイグ! イグ、イグ、イグっ! んあああああああああああああああ!」
さらなる絶叫が、静音の寝室に響き渡る。
尊敬する母が、醜悪な中年医師の射精を膣内で受け止め絶頂するのを前にして、絢華は、シルクのショーツをぐっしょりと濡らしていた。