囮の二人



 男は、一週間近く、街をさ迷っていた。
 昼は、人気のない公園の隅や、放棄された神社の境内で眠る。
 そして、夜、闇の底を悪鬼の如く跳梁し、ナイフで通行人を脅して、金品を奪った。
 最初に服と靴。次は金だ。
 狂いかけた理性でもって、最低限の身なりを整え、生きていくのに必要なものを買う。
 伸び放題だった髪をきちんとゴムでまとめ、公園の水道で髭をそり、歯を磨く。顔も洗う。下着は毎日替える。一度、ラブホテルの風呂を使い、その後は濡れた布で体を拭いた。
 最初は、繁華街のゴミ箱も漁ったが、すぐにやめた。何食わぬ顔でそこそこ人の出入りのあるコンビニエンス・ストアで物を買ったほうが、かえって怪しくない。
 が、すでに、何度か監視カメラに映されてしまっているだろう。
 半ば狂った頭脳でも、今、自分が警察から追われているということは分かっていた。
 さして広くない街の中、捜査の輪は、狭まりつつあるだろう。
 しかし、今捕まるわけには行かなかった。
 永遠に逃げようというのではない。そんなことはどうせ不可能だ。
 ただ、やり残したことに、決着をつけなくてはならない。
 姫園克己は、懐に収めたナイフを抱き締めるように歩きながら、そんなことを思っていた。



「……というわけだ」
 林堂智視は、そう言って、一息ついた。
「全く、いきなり呼び出すから何の話かと思ったら……」
 林堂の隣に座った早瀬ひとみはため息をついた。その、ちょっと少年っぽいきりっとした眉が、難しそうに寄せられている。
 林堂を挟んでひとみと反対側に座る西永瑞穂の顔も、どこか緊張していた。
 元旦。
 三人は、初詣先の神社で落ち合い、参道の脇の出店で甘酒を買って、ベンチに座っている。
 昼前の、まだ寒い参道を、たくさんの初詣客が歩いている。そのうち何割かは、きらびやかな着物姿だ。
 が、瑞穂もひとみも、着物ではない。瑞穂はベージュのコート、ひとみにいたっては、ジャンパーに細身のジーンズである。ショートカットの彼女には、そんなボーイッシュな格好がよく似合う。
「久遠寺は、こっちには来ないんだな」
「うん。あのコ、人込みが苦手だから」
 林堂の問いに、ひとみが答える。
「だから、お昼食べてから、あたしんちに来ることになってるの」
「そうか……多分、最初の機会はその時だな」
 林堂が、右手で口元を隠しながら、目を細める。
「久遠寺のことは、片倉に頼んでいるから、途中で妙なことになるとは思わないが……」
「もう、充分に妙なことになってるわよ」
 そう言った後、ふっ、とひとみは林堂に微笑んだ。
「でもあんたって、見かけ以上に悪党ね」
「らしいな」
 他人事のようにそう言って、林堂は白い湯気を立てる甘酒をすすった。
「瑞穂も、彼氏がこんなじゃ苦労するでしょ」
「そ、そんなことないよお」
 ひとみの言葉に、瑞穂が、不本意そうに口を尖らせた。
「苦労してるのは、こっちの方だぜ。危ないからついて来るなって言ってるのに、きかないんだからな」
「だって……智視ちゃんといっしょじゃない方が、おっかないもん……」
 ぼやく林堂にそう言ってから、瑞穂がその柔らかそうな頬をかすかに赤く染める。
「――やっぱ悪党だわ」
 そう言って、ひとみは軽やかに一動作で立ちあがり、ゴミ箱に紙コップを投げ入れた。一方瑞穂は、律儀にゴミ箱にててて、と近付いてコップを捨てる。
 林堂だけが、まだ、甘酒をすすっていた。
「何、あんた、猫舌なの?」
 ひとみが、意外そうに林堂に利く。
「いや、そういうわけじゃないけど……口の中、切っててな」
「どして?」
 重ねて問いかけるひとみに、林堂は自嘲じみた笑みを浮かべて見せた。
「片倉にぶん殴られたんだよ」



 その少し後の、正月でも人通りのある駅前の大通り……。
 片倉浩之助は、軽やかな身のこなしで、久遠寺つぐみを尾行していた。
 もともと浩之助は体が小さいし、その動きは素早い。尾行者としては適任である。
 加えて、つぐみは、傍で見ていると危なっかしいほどにおっとりした少女だ。浩之助に気付くようなことは、万に一つもないだろう。
 浩之助の心情は、いつになく複雑だ。
 つぐみの、癖のないロングヘアを見ていると、後から近付いて声をかけたくなる。
 が、浩之助は、それをぐっと我慢していた。
 その代わり、身を隠しつつ進みながら、周囲に目を配る。
 ジャンパーやコートをはおった通行人たちは、誰を見ても怪しく見える。それに、そもそも浩之助には、あまり人を見る目はない。
 かすかないらつきが、胸の奥で頭をもたげる。
 それは、林堂に話を聞いてから、ずっと続いていた感情だった。

「片倉、とりあえず、最後まで話を聞いてくれよ」
 あの日、林堂は、浩之助にまずそう言った。
 場所は、浩之助の家の近くの児童公園だ。浩之助の家を訪ねた林堂が、ここまで連れて来たのである。
「わ、分かった」
 いつになく真剣な林堂の雰囲気にちょっと圧倒されながら、浩之助が答える。
「早瀬ひとみと、久遠寺つぐみ……」
「……?」
「この二人を、囮にする」
「おとり?」
 普段使わない単語に、浩之助が妙な声をあげる。
「そうだ。今、逃亡中の凶悪犯がいる。そいつは、久遠寺の姉を殺した男だ。そして、その久遠寺の姉ってのが、早瀬そっくりの顔をしてると思ってくれ。だから、二人は囮になるんだ」
「いやセンセ、それだけじゃ、よく分からねーんだけど……」
 浩之助が、もっともなことを言う。が、林堂は自らのペースを乱さず説明を続けた。
「その男ってのは、かなり偏執的な男だ。しかも、つい昨日まで、自分の家の地下に五年間も監禁されていたようなヤツさ。だと言うのに、脱走して早々、十人近くをナイフで殺して逃亡してる。多分、監禁されながらも、体をなまらせないよう鍛えていたんだろう。――自らを幽閉した両親に復讐するためにな」
「すごいなそりゃ」
 林堂の言葉に対する浩之助の感想は、それだけだった。が、林堂は気にせずに続ける。
「本当だったら、両親を殺したところで、ヤツの復讐は終わっていただろう。あと、目標になるとしたら、そいつの弟くらいなんだが……」
「その弟をオトリにすりゃあいいだろ」
 平気な顔で、浩之助が言う。
「弟の方は、今、行方不明なんだよ」
「へえ……」
「それに多分、そいつを解放したのは、その弟だ。そいつは、ヤツが両親を殺すことを見越して、ヤツを解放したんだと思う。どうやってかは、まだ分からないけどな」
「でも、だからって、その早瀬とかいう女子とか……久遠寺とかが、オトリになるのかよ?」
 そう言いながらも、浩之助の表情は、硬い。浩之助は、かつてつぐみに真剣な恋心を抱いていたのだ。その感情を、すべて清算しきれるほど、浩之助は冷徹な人間ではない。
「なるさ」
 それを知ってか知らずか、林堂は完結に答えた。
 そして、二言三言、言葉を続ける。
 くわっ、と浩之助は目を見開き、犬歯を剥き出しにした。
「……」
 林堂が、口をつぐむ。
「林堂センセ……は、話は、それで、終わりか?」
 かすかに震える、低く抑えた声で、浩之助が言った。
 林堂が、肯く。
「林堂ッ!」
 そう叫んだときには、浩之助の右の拳が、凄まじい速度で大きく弧を描いていた。
 がッ! という鈍い音が響く。
 身長差をものともしない強烈な右フックを食らい、林堂が派手に倒れた。
「く……!」
 なおも殴りかかろうとしながらも、浩之助は、ようやく自制した。
「……林堂、お前……わざと、殴られるつもりだったな」
 そう言って、浩之助が歯を食いしばる。
「――さあな」
 尻餅をつき、左手を頬に当てながら、林堂が言う。
「こんな公園に連れてきたのも……ここに瑞穂ちゃんがいないのも、それでだろ? 邪魔が入らないように……」
「――さあな」
 口の中がずたずたなのだろう。それだけ言うのも、林堂は辛そうだ。
「……今回だけは、乗ってやるよ。センセ」
 そう言って、浩之助は、大きく息をついた。
「片倉、助かる」
 言いながら林堂が立ち上がり、右の拳で口元をぬぐう。
 その手の甲が、血で、真っ赤に染まっていた。



 大通りから、脇道に入る。
 克己は、ぎらぎらと両の目を光らせながら、少女の後を尾けていた。
 かすかに記憶に残っている、“あの女”の傍にいた少女だ。
 自分が、家の地下に幽閉されている間に、どれだけの時間が経ったのだろうか。あの幼かった少女が、すっかり成長している。
 しかし、あの面影は忘れていない。特徴的な、癖のない黒く長い髪もそのままだ。
 最初は、“あの女”の家に行った。
 ほとんど記憶のままの家に、しかし、“あの女”が出入りしている様子はなかった。
 自分は騙されているのではないか、とも思ったが、きちんと確かめるまでは、気持ちがおさまらない。
 と、今日になって、あの少女が家を出てきたのだ。
 そう、自分はあの時も、あの少女の後を尾けて、“あの女”のいる場所にたどり着いたのだった。
 自分から逃れるために住んでいた、小汚い小さなアパート。
 そこで、自分は、間違いなく“あの女”に当然の裁きを下したはずのだ。
 だが、“あの女”は、生きているという。
 あのアパートには、自由を取り戻してから、真っ先に行ってみた。が、アパートは取り壊され、ただの空き地になっていた。
 だから、“あの女”の家に行ったのだ。
(今度も……“あの女”は……隠れているのか……)
 壊れた頭で、克己はそう考えている。
(だが……必ず……見つけ出してやるぞ……)
(何度も……何度でも……殺す……殺してやる……)
(殺す……殺す……殺す……殺す……殺す……殺す……)
 呪文のように、頭の中で、その言葉を繰り返す。
 と、少女――久遠寺つぐみが、一軒の家の前で立ち止まった。
 普通の、どうということはない、一戸立ての住宅だ。
 つぐみがチャイムを押すと、しばらくして、玄関のドアが開く。
(あの女――!)
 克己が、目尻が切れ、眼球がこぼれおちそうになるほどに、目を見開いた。
(久遠寺かずみ――!)
 “あの女”が、何も知らぬげな笑顔を浮かべ、少女を出迎えている。
 その容姿が、五年前と全く同じであることに、克己の狂った頭脳は何の疑問も差し挟まない。
 あの、惨劇と解放の夜に、見たこともない長髪の少年が自分に叫んだ言葉を思い出す。
 ――久遠寺かずみは生きているぞ!
 あの言葉。あれはやはり本当だった。やはり久遠寺かずみは生きていたのだ。
(アイツノ――)
(アイツノ言ウ通リダッタ――!)
 頭の片隅でそう思いながら、歓喜に近い感情を爆発させ、ある種の鳥のような絶叫をあげる。
 そして、克己は、懐からナイフを取り出し、地を蹴っていた。



 つぐみは、絶叫をあげながら自分めがけ走ってくる男を一目見て、瞬時に記憶を蘇らせていた。
 くの字に曲がった不吉な刃物を振り上げ、目を血走らせながら迫る垢じみた男――。
(――お姉ちゃんを、殺した男!)
 全身の毛が逆立つような恐怖が、つぐみの華奢な体を包む。
 そして――
 つぐみは、ひとみをかばうように、両手を広げて立ちはだかった。
 かずみの霊が宿る、ひとみの体を守るために。
「けえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
 奇怪な叫びが、びりびりと辺りに響く。
 しかし、つぐみは動かない。
「つぐみ!」
 後で、ひとみが――いや、姉であるかずみが、自分の名を呼んでいる。
(もう二度とお姉ちゃんをあんな目に遭わせたりしない!)
 つぐみが、克己を正面から見据える。
「どけええええええええええええええええええええええええええええええええエー!」
 甲高い、ヒステリックな声。冬の陽光を反射するナイフ。
 その時、小柄な影が、斜め後から克己にぶつかった。
「くえええええええええええええええッ!」
「たりゃああああああああああああああ!」
 どッ! という肉が肉を叩く音に、怒声と気合が交錯する。
 ぶつかった二つの影は、互いに後方に飛び、距離を取り合った。
「片倉浩之助さんじょおっ!」
 そして、小柄な影――浩之助が、咆えるように叫ぶ。
「片倉くん!」
「よっ」
 つぐみの声に、浩之助が、腰を落とした姿勢のまま、ひょい、と左手を上げた。
「ど、どうして……?」
「言ったろ、応援してるって」
 そう言いながらも、浩之助は、正面の克己から視線を外さない。
「でも、どうして、ここに……」
「このクソ野郎が、センセの悪巧みに引っかかってノコノコ出てくるのを待ち構えてたのさ」
 ふん、と鼻を鳴らす浩之助を、克己が、毛細血管が切れ、真っ赤に充血した目で凝視する。
「しかしまあ、光モンもって女のコ追いかけるようなクソよりゃあ、センセの方が何倍もワルだわな――」
「きげええええええええええッ!」
 再び地を蹴った克己の意味不明の叫びが、浩之助の言葉を遮る。
 危険だが、あまりに直線的な動きだ。
 ぶうん、と宙を薙ぐグルカナイフを、驚くほど低く身を沈めてかわした浩之助が、一気に克己の懐に入る。
「だりゃッ!」
 脚のバネを最大限に使い、全身の力と体重を乗せて、右の拳を克己の腹に叩きこむ。
「ぬがあッ!」
 唾液を口から溢れさせながら、克己がナイフを水平に払った。
「くッ!」
 浩之助が、大きくのけぞる。
「いやッ!」「きゃあ!」
 つぐみとひとみ――いや、かずみが、悲鳴をあげた。
 どうにか両方の足で踏みとどまった浩之助の右のこめかみから、血が溢れている。
「け、警察、呼ぶから!」
 ようやく今気付いたようにそう言って、かずみが、家の中に駆け込む。
「けーさつ、ねえ……」
 浩之助が、不敵な笑みを浮かべながら、つぶやく。
 そして、自らの傷に意識を向けてみる。どうやら、見かけの割には浅そうだ。そもそも、刃で切られたわけではない。グリップの根元で叩かれただけなのだ。
 とはいえ、目の前の男の、狂人特有の腕力を甘く見るわけにもいかない。
「どうする? 警察くるってよ」
 そう言う浩之助に、克己が、じりじりと間合いを詰めた。
 浩之助が、同じ距離だけ、退いていく。
 克己が、大きく踏みこみ、グルカナイフを繰り出した。
 ナイフが大きい分だけ、リーチも長い。浩之助は、鼻先を刃がかすめるのを感じながら、さらに後退した。
 克己が縦横にナイフを振る。
 浩之助が退く。
 それを、つぐみは、両手を揉み絞るようにしながら見つめていた。
 と、つぐみの黒目がちな目が、はっと見開かれた。
「片倉くん、だめ!」
 つぐみが、悲鳴のような声をあげる。
「うしろ――!」
 そう、警告の叫びを上げたときには、浩之助の背中が、電信柱に触れていた。
 克己が、獲物を追い詰めたことを確信して、にやりと歪んだ笑みを浮かべる。
 そうすると、その表情は、どこか弟である姫園克哉に似ていた。
 克己が、大きく踏みこんだ。
 グルカナイフが、浩之助の脳天を狙う。左右どちらに逃げても、ナイフの刃は確実に浩之助の体を捕捉するはずだ。
「きゃ……!」
 つぐみは、無意識に顔を両手で覆っていた。
「しッ!」
 鋭い気合を残して、浩之助の姿が消えていた。
「なっ?」
 克己が、驚愕の声をあげる。
 浩之助は、後向きに、電信柱を駆け上っていたのだ。
 そして、その小柄な体が重力に捉えられる前に、さらに電信柱を蹴り、宙に身を躍らせる。
 くるりと浩之助の体が、克己の頭上で前転した。
 空中での、変形の浴びせ蹴り――
「やッ!」
 ごッ!
 高く舞いあがった浩之助の足は、克己の頭頂のやや後にヒットしていた。
 浩之助が、克己の頭を踏み台に、ぐん! と、さらに跳躍する。
 ナイフを振り下ろし、充分に下がっていた克己の頭が、さらに前方に――浩之助から見れば後方に――蹴り飛ばされた。
「ひ――」
 克己の中途半端な悲鳴が、がつッ! という、何か硬いもの同士がぶつかる音に遮られ、中断する。
 とん、と浩之助が地面に降り、振り返った。
 克己は、顔面をコンクリートの電信柱に激突させたままの姿勢で、動かない。
 ずる、とその体が、電信柱を抱くような姿勢のまま、ずり落ちた。
 電信柱に、ぞっとするような血の跡が、残る。
 克己の体が、倒れた。
 倒れ伏したその顔の部分から、じわじわと赤黒い血だまりが広がっていく。
「警察なんかに、お前みたいなクソ野郎をそのまま引き渡せるかよぉ」
 そう言う浩之助の左の肩が、ざっくりと裂けていた。溢れる血が腕を伝い、袖を濡らしている。
 克己の最後の一撃がかすめたのだ。
「ふい〜……」
 貧血を起こし、浩之助は、ぺた、と道路の真ん中に座りこんでしまった。
 見ると、つぐみも、玄関口で倒れている。失神してしまったらしい。
「おーい、久遠寺、大丈夫かあ?」
 そんな浩之助の言葉に、次第に近付いてくるパトカーのサイレンが重なった。



 つぐみは、柔らかな膝に頭を乗せた状態で、目を覚ました。
 ショートカットの凛々しい顔が、自分を覗き込んでいる。
「おねえ……ちゃん……」
 ぼんやりと、つぐみがそう言うと、ひとみ――いや、ひとみに憑依しているかずみが、にっこりと微笑んだ。
「えと……か、片倉くんは?」
 そう言って、はっと上体を起こす。
 周囲を見ると、そこは、ひとみの部屋のベッドの上だった。
「彼なら、無事よ」
 かずみが、つぐみを安心させるように言う。
「救急車で連れてかれちゃったけどね。肩を切ったみたいだけど、すっごく元気だったわ」
「あ……あいつは?」
「ああ、克己ね」
 かずみが、宿主であるひとみが知らないはずの名前を言う。
「やっぱり、救急車で運ばれていったわ。ちょっと気の毒のような気もするけど、ね」
「捕まったんだ……捕まったんだね……よかった……」
 そう言ったとたんに、つぐみの華奢な体が、ぶるぶると小刻みに震えだした。
 その震えを止めようとするかのように、つぐみが、自らの両肩を抱く。
「つぐみ……」
 そんなつぐみの体を、かずみが、きゅっ、と抱き締める。
「ありがと、つぐみ……お姉ちゃんをかばってくれて……」
「お姉ちゃん、あ、あたし……」
 つぐみの桜色の唇は、きちんとした言葉を紡ぎ出すことができない様子だ。
 その唇に、かずみが、唇を重ねる。
 かずみが、やや強引に舌を差し入れると、つぐみの舌がぎこちなくそれに応えた。
 次第に、つぐみの震えが、収まっていく。
 長いキスの後に、ようやく、かずみは唇を離した。
「強くなったね、つぐみ」
 かずみが、いつになく優しい声で、そんなことを言う。
「そう、かな……?」
「うん。見違えちゃったぞ」
「それは、えっと……多分ね……お姉ちゃんが、勇気をくれたんだよ。うまく、言えないけど」
 口ごもりながら、つぐみは、そう言った。
「嬉しいこと言うなあ、このお♪」
 普段の調子に戻って、かずみが、つぐみをマットレスの上に押し倒す。
「きゃん」
 可愛い悲鳴をあげるつぐみを、かずみは、簡単に組み敷いてしまった。
「じゃあさ、つぐみ……」
 かずみが、今度はひどく真剣な瞳で、つぐみの顔を見下ろしながら言う。
「こんなときになんだけど……お姉ちゃんに、つぐみのいちばん大事なもの、くれる?」
「え……えっ?」
 姉の言葉の意味を少し遅れて理解して、つぐみの顔が、赤く染まる。
「だめ……?」
「だ……だめじゃ、ない。……けど……どうしよう、すっごい、ドキドキするよ……」
 そう言うつぐみの小ぶりな胸を、かずみが、ブラウスの上から右手でそっと触れた。
「あン……」
「ほんとだ、ドキドキしてる」
 そう言って、かずみがくすっと笑う。
「うん……でもね、あんまり、イヤなドキドキじゃないよ」
 つぐみがそう言うと、かずみは、がまんできなくなったように、ちゅっ、とつぐみの唇をついばむようにキスをした。
「じゃあ、いいの?」
「うん……」
 こくん、とつぐみは、小さく肯いた。

 ひとみの部屋の中で、全裸になったかずみとつぐみが、並んでベッドに横たわっていた。
 姉妹の添い寝、と言うには、あまりに淫らに、二人の少女はその白い体を重ね合わせている。
 空は、爽やかな日本晴である。そんなまっとうな太陽の視線から自らを隠そうとするように、日の光をカーテンで遮り、二人は互いの肌に手を這わせていた。
「んく……ふ……は、あン……」
 抑えられた、それでいながら、明らかに快感に染まった声。
 いつまでたっても、かすかに残る罪悪感と、それによって間違いなく高まってしまう、はしたない性感。
 次第に、つぐみの動きが緩慢になり、かずみが一方的に責めるような形になっていた。
 かずみの繊細な指と、唾液に濡れた舌が、つぐみの体の敏感な部分をいつものように探り当てる。
 耳朶からうなじにかけてのライン。鎖骨のくぼみ。つつましやかな胸の頂点。おへそのまわり。太腿の内側。そして――
「きゃうン!」
 かずみの舌が、残酷に、つぐみの最も秘めやかな部分をえぐる。
 溢れる透明な愛液が、かずみの口元を淫らに濡らした。
「ふふ……感じやすくなったね、つぐみ」
「やあン……お姉ちゃんの、いじわる……っ」
 拗ねたように、つぐみが言う。
「だって、ホントのことだよ。ほら、つぐみのココ、大洪水♪」
 そんなことを言いながら、かずみは、つぐみのぷっくりとした大陰唇をぐにぐにと弄び、ますますイヤらしい汁をシーツにまで滴らせた。
「し、しらないっ」
 つぐみは、赤くなっていやいやをするように首を振るが、けして抵抗しようとはしない。
「可愛い……」
 そう囁くかずみの息が、敏感な肉襞に感じられる。
 かずみは、うっとりと目を細めながら、つぐみのその部分を、こんどはぱっくりと割り開いた。
「ああン……」
 大事な部分を最愛の人の前にさらされ、それだけでそこが何倍も敏感になったように感じられる。
 かずみは、ひくひくとおののくサーモンピンクのその部分に、ちゅうっ、と口付けした。
「ンあァ……っ」
 充血した肉襞を吸われ、つぐみのスレンダーな体がひくひくと震える。
 かずみは、時に強く、時に優しく、つぐみの花園にキスを繰り返した。
 わざと敏感な肉芽を避けて、妹の性感を嬲る。
「は、ああァ……ンあ……く……ふうン……」
 つぐみの口からは媚びるような喘ぎが漏れ、その両手は、きゅっ、とシーツを握り締めている。
「ぷは……っ」
 かずみが、顔を上げた。
 絶頂に至る手前で愛撫を中断されたつぐみが、どこかすがるような目で、かずみの顔を見つめる。
「つぐみ、お姉ちゃんにも、して……」
 そう言いながら、かずみは、膝立ちになる。
「うん……」
 素直に返事をして、つぐみは、四つん這いになってかずみに近寄った。
 そして、ちゅ、と、かずみのデルタにキスをする。
「ンはっ……♪」
 妹よりもややあからさまな嬌声をあげ、かずみが、脚を開き、のけぞるようにする。
 つぐみは、姉の細いウェストに腕をからめるようにしながら、その股間に顔をうずめた。
 妹を責めているときから濡らしていたのか、すぐに、ちゅぴ、ちゅぴ、ちゅぴ……という水音が、かずみのその部分から漏れる。
「気持ちイイ……つぐみのキス、すっごい上手……気持ち、イイよ……っ」
 そう言いながら、かずみは、つぐみの艶やかな長い髪を撫でた。
 褒められたのが嬉しかったのか、つぐみは、ふンふンと甘えるような鼻声をあげながら、ますます熱心に舌と唇でもって、姉のその部分を愛撫する。
「ご、ごめん……もう、充分……」
 慌てたようにそう言って、かずみは、つぐみの体を優しく押しのけた。
「これ以上されたら、できなくなっちゃう……」
 はぁはぁと息をつきながら、かずみは、枕の下に隠していた器具を取り出した。
「お姉ちゃん、それ……」
 つぐみが、黒目がちな目を丸くしながら言う。
 かずみが取り出したのは、シリコン製らしき黒い双頭ディルドーだった。
「ね、つぐみ、お姉ちゃんに、コレ、入れて……」
 ぽおっと目元を染めながら、かずみが言う。
 つぐみは、んく、と小さく唾を飲みこんで、双頭ディルドーを受け取った。
「えっと、入れる前に、舐めて、濡らして」
 そう言われて、つぐみは、双頭ディルドーを両手に持ち、まるでアイスキャンディーを舐めるように、ぺろぺろと舌を出して舐めしゃぶった。
 ピンク色の舌と、黒光りするディルドーとの対比が、奇妙にエロティックだ。
「それくらいでだいじょぶだから……入れてみて」
「う、うん……」
 そう返事をして、つぐみは、シーツの上に腰を下ろしたかずみににじり寄った。そして、Mの字に開かれた形のいい脚の間に、身を進ませる。
「えっと……いくよ……?」
 すでに充分以上に濡れた花園に、その先端をあてがいながら、つぐみが言った。
 かずみが、こっくりと肯く。
 つぐみは、おっかなびっくりな手つきで、その性具を、かずみの体内へと挿入していった。
 やや抵抗は感じるものの、意外なほどあっけなく、かずみのそこはシリコン製の人工ペニスを咥えこんでいく。
「あ……はああぁぁ……あうゥン」
 ゆっくりと、丁寧にディルドーを挿し入れられながら、かずみは小さく声をあげた。
 そして、限界近くまで、飲みこむ。
 まるで、かずみの股間から、黒く光るペニスが生え出たような外見になった。
「すごい……」
 つぐみが、興奮にかすかに震えた声でつぶやく。
「じゃあ、こっちがわも、舐めて」
 かずみが、自らに挿入された方の反対側を示しながら、言った。
「うん」
 つぐみは、まるで土下座でもするような屈辱的な姿勢で、双頭ディルドーに顔を寄せた。
 まさに、フェラチオをするようなかっこうで、てろん、てろん、とシリコンの性具を舐めあげる。
 かずみは、まるで本当にペニスをフェラチオをされているような興奮しきった表情で、つぐみの淫らな口唇愛撫を見つめていた。
 奥深くまでディルドーを挿入した肉体的な快感に、妹の可憐な唇に奉仕をされているという精神的な快楽が重なる。
「ね、つぐみ……ぱくって、咥えてみて……」
 そう言うかずみの声は、どこか上ずっている。
「うん……こう、かなぁ……?」
 つぐみは、ディルドーを口内に収め、くぐもった声でそう訊いた。
「うん、そう……。ああん、すっごいエッチだよ〜」
 たまらなくなったように、かずみが言った。ディルドーを挿し入れられた膣口からは、とめどなく愛液が溢れている。
 つぐみは、そんな姉の様子に目だけで笑って、ぬるぬるとディルドーの表面に舌を這わせた。
 感じたくても、どうしても感じることのできない妹の口内の感触を想像しながら、かずみがはぁはぁと喘ぐ。
 その瞳はうるうると涙で潤み、視覚的なインパクトだけでイってしまいそうな表情に見えた。
「つ、つぐみ、もう、いいよ……」
 しばらく、そのもどかしい快楽を味わった後に、ようやくかずみがそう言った。
「お姉ちゃん……」
 四つん這いの姿勢で、つぐみが、かずみの顔を見上げる。
「つぐみ……」
 どこか頼りないそんな姉の呼びかけに、つぐみが、こくんと肯き、そして横たわる。
「えっと、もっと、あし、ひろげて……」
「は、恥ずかしい……」
 口元を覆いながらそう言うつぐみの、次第に開かれる両脚の間に、かずみが、膝立ちの姿勢で進む。
 そして、ちょうど、いわゆる松葉崩しの姿勢で、綺麗な脚と脚を交差させる。ディルドーが直線に近い形なので、このような体位でつながるのが一番負担が少ないのだ。
 ぴた、とディルドーの表面が、つぐみのその部分に触れる。
「こ、こわい……」
 思わず、つぐみがつぶやく。
「つぐみ……だいじょうぶ?」
「あ、うん、だいじょぶだよ、お姉ちゃん」
 つぐみが、健気に微笑みながら、そう言う。
「痛くしないように、してみるからね……」
 そう言って、かずみは、つぐみのその部分を柔らかく愛撫した。
「あ、あン……」
 そして、喘ぐつぐみのその部分に、ゆっくりと、ディルドーを進ませていく。
 ゆっくり、ゆっくり……。
「はぁ、あ、あ……」
 初めて受け入れる異物の感触に、つぐみが、ため息のような声を漏らす。
 浅く、まだ純潔の証しに届かないくらいの場所で、かずみは、前進を止めた。
 そして、妹の肉の隘路にディルドーを馴染ませるように、そこでひどくゆっくりとピストンする。
「あ、はぁ……お、お姉ちゃん、それ、ヘンな感じ……」
「痛い?」
「ううん。なんか、ちょっと苦しいみたいだけど……きもちいい、かも……」
「もう、つぐみってば、エッチさん」
 くすっ、と笑いながら、かずみは、ピストンの振幅を次第に大きくしていった。
 あくまで優しく、妹の処女を、自らが咥え込んだディルドーで犯していく。
「あ、ああ……あ……あン……」
 つぐみは、切なげに眉をたわめながら、小さく身をよじらせる。
 湧き起こる感覚を、まだ未成熟なその体が、快感として受け止め始めているのだ。
 ディルドーが、かずみと、そしてつぐみの愛液に濡れていく。
 ゆっくり、ゆっくり、かずみの腰が、進んでいく。
 つん、とわずかな抵抗を、かずみは、ディルドー越しに感じた。
 びく、とつぐみの体が震える。
 かずみは、今までわざと触れていなかった、つぐみのクリトリスに指を伸ばした。
「ひあ……」
 もっとも敏感な器官をくにくにと愛撫され、つぐみの腰が無意識にうごめく。
 そして――
「あ、あ、あああッ! あッ! あああああああああああああああああああああアーッ!」
 かずみが、つぐみのそこを貫いた。
 じわっ、と愛液に混じった鮮血が、溢れ出る。
「つ、つぐみ……ッ!」
 罪悪感と、快美感が、かずみの背中をぞくぞくと震わせる。
「おねえちゃん、おねえちゃんッ!」
 つぐみが、助けを求めるように、今まさに自分を犯している姉に手を伸ばす。
 かずみは、そんなつぐみの手を、掌同士を合わせるようにしっかりと握った。
 そして、さらに腰を進ませる。
「あッ! ンああああッ! あッ! はああああああッ!」
 二人の悲鳴と嬌声が、溶け合い、交じり合った。
 つぐみとかずみのクレヴァスが、双頭ディルドーを飲みこんでいく。
 そして、ディルドーをすっかり体内に収めた二人の愛液に濡れた肉襞が、触れ合った。
 ディルドーの圧倒的な圧迫感と、互いの陰唇がもたらす柔らかく繊細な快感が、背筋を駆け上る。
 かずみは、いつしか、ぐいぐいと腰をこすり付けるように動かしていた。
「や……ダメ……! そんなに、したら……!」
 激痛と、そして快楽に大きく喘ぎながら、つぐみが言う。
「ごめん、つぐみ……でも、とまんない……となんないの……」
「しんじゃう……つぐみ、しんじゃうよお……ッ!」
 ぎゅっ、とつぐみが、かずみの手の甲に爪を立てる。
「ごめん、ごめんね、ごめん、ごめんッ……!」
 謝り続けながらも、かずみは、腰の動きを止めることができない。
 目蓋の裏に、白い火花が、激しく散る。
 激しい、絶頂の予感。
「あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああーッ!」
 二人の絶叫とともに、愛液と小水が、ぷしゃああああっ、と弾ける。
 ぎゅううっ、と二人のしなやかな体が、硬直した。
 そして、ほぼ同時に、つぐみと、かずみの体が、弛緩する。
 それでも、様々な体液に濡れた双頭ディルドーは、ふたりをつなぎ続けていた。



「だいじょうぶ? つぐみ……」
「う、うん……まだちょっと、ひりひりするけど」
 ベッドの上で、同じシーツにくるまりながら、かずみとつぐみは、肩を寄せ合うように座っている。
「でも、お姉ちゃん……あれ、どうしたの?」
「あれって……あ、ディルドーのこと?」
 聞き返すかずみに、つぐみが、顔を赤くしながら、肯く。
「あのねえ……どっから話したらいいかなア」
 かずみは、その悪戯っぽい目をしばし宙にさ迷わせた。
「えっとね、この体の持ち主……ひとみちゃん、なんだけどさ」
「早瀬さん?」
「そう」
 驚いた顔のつぐみに、かずみが微笑みかける。
「彼女ね、だんだんあたしと、重なってきちゃってるんだよね」
「重なってるって……?」
「だから――うーん、うまく言えないなあ。もともとさ、ひとみちゃんとあたし、すごく似てるの。顔が、っていうだけじゃなくて、性格とか、考え方とかね。だからあたし、ひとみちゃんの体に宿る――って言うか、取り憑くことも、できたんだけど……」
「……」
「だけど、やっぱり、一つの体に二つの心ってのは、ムリがあったんだと思うの。それで、あたしの心と、ひとみちゃんの心が、重なっちゃうって言うか、溶け合っちゃうって言うか、そんな感じにだんだんなってきて……」
「え、じゃあ、まさか……早瀬さん、あたしたちのこと……?」
「ああ、このカンケイのこと、知ってるかってコト? そりゃあ、とっくに気付いてるわよ」
 あっけらかんと答えるかずみのことばに、つぐみの顔が、ぼっ、と真っ赤に染まった。
「お姉ちゃん! そ、そんな……それじゃ……」
「相変わらずノンキって言うかどこかヌけてるって言うか……気づかれないわけないでしょ? 自分の体のことだよ?」
「だ……だって、だってだってどうするのよ!」
「そんなに慌てなくてもだいじょーぶ」
 かずみが、そう言いながら、なだめるようにつぐみの頭を撫でた。
「言ったでしょ。ひとみちゃんとあたしの心は、もう、半分くらい重なっちゃってるの。だから、ひとみちゃんも……」
 かずみが、どこか妖しい瞳で、つぐみの顔を見つめ、続ける。
「ひとみちゃんも、つぐみのこと、大好きなんだよ」
「え……っ?」
「あ、そう言えば……もしかしたら、つぐみが好きっていう気持ちのほうが先にあって、それであたしと重なりだしたのかもしれないね、って、ひとみちゃんが言ってたなあ」
「い、言ってたって……」
「実はね、最近、あたし、ひとみちゃんとお話できるようになったの」
 くすくすと笑いながら、かずみが言う。
「まだ、つぐみと一緒になってエッチな気持ちになると、あたし――つまり、かずみの心のほうが、表面に出ちゃうんだけど、ひとみちゃんも、しっかり感じてるわけ」
「……」
 つぐみは、かずみの言葉に、もう何を言って言いか分からない状態だ。
「それでね、あたし、ひとみちゃんと相談したの。つぐみのバージン欲しいんだけど、どうしようか、って」
「どうしようって……」
「そしたらさあ、ひとみちゃん、通販であんなの買ってね。それで――あんまり痛いと可哀想だからって、まず、自分で試してみたわけ」
「え……」
「つぐみのことを、想いながら、ね」
「……」
「だからさ……彼女――ひとみちゃんとも、仲良くしてあげてね」
「う、うん……」
 つぐみがそう返事をすると、かずみは、そっと目を閉じた。
 そして、目を開けたときには、すっかりその表情の雰囲気が変わっている。
「ひっどいなあ、かずみさん、全部ばらしちゃって……」
 そう言うその頬は赤く染まり、眉は、困惑したように寄せられてる。
「えっと、もしかして……早瀬さん?」
「もしかしなくても、早瀬ひとみさんだよぉ」
 ちょっと憮然とした顔でそう言った後、少女――ひとみは、照れ隠しのように笑った。
「ま、そういうわけなんだけど……さ」
「うん……」
 つぐみは、耳まで赤く染めながら、うつむいている。
「なんか、本当に妙なことになっちゃったね」
「う、うん……」
「で、そのさ……ヘンな話だけどさ……こ、これからも、よろしくお願いできるかな?」
「……うん」
 つぐみは、恥ずかしそうに、小さく、小さく、肯いた。
あとがき

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