ふらっと・はーれむ



第9話



 ――あたし、何してるんだろう?
 布団の上に横たわり、真夏は、ぼんやりと思った。
 まるで、夢の中にいるように、思考がおぼつかない。
 それでいながら、末端の神経だけは興奮し、今、自分が着ている服の感触すらも、意識してしまう。
 ブラウス、ブラジャー、スカート、ソックス、そしてショーツ……。
 そのショーツの上から、篤の太い指が、真夏の秘唇をまさぐっている。
「あ……うぅん……は……ふぅん……んくぅ……」
 ショーツは、すでに、真夏の愛液で、透けて見えるほどに濡れてしまっているはずだ。
「あう……ううぅン……」
 恥ずかしさと、そしてもどかしさに、真夏はしなやかな体をよじった。
「あ……篤、さん……」
「なぁに?」
 まるで真夏に添い寝でもしているような格好の篤が、顔を覗き込んでくる。
「あ、あの……えっと……」
「キスしてほしいの?」
「え、えっ……?」
 思っていることと全く別のことを言われながら、言われた瞬間に、急激にそれへの欲求が高まっていく。
「う……うん……してほしい……」
 真夏の返事に、篤はにんまりと笑った。
 唇に、唇が重ねられる。
「ん……んっ……んむ……ん、んんン……」
 ファーストキスは、真夏が密かに想像していたような、ロマンチックなものではなかった。
 甘酸っぱい味も何も無い。ただの、唇の接触だ。
 しかし、その単なる接触が、秘部への愛撫と共鳴するように、淫らな感覚を紡ぎ出す。
「ン……!」
 ぬるりと、篤の舌が口腔に侵入してきた。
 驚いているうちに、篤の舌が、舌に絡み付いてくる。
 ぐねぐねと動く舌とともに、唾液までもが、真夏の口の中に入り込んできた。
「ん……んん……んむ……んんんン……」
 戸惑っていたのは最初だけで、真夏は、篤の舌と唾液を自然と受け入れてしまう。
 普段なら嫌悪感しか覚えないであろう行為に、真夏は、なぜか胸を高鳴らせ、体を熱くしてしまっていた。
「んむ……んむむ……ちゅむ……ちゅぷ、ちゅむむ……ぷはぁっ……」
 たっぷりと舌と唇を嬲った後、篤が唇を離す。
 真夏は、きちんと焦点の定まらない瞳で、篤の顔を見つめた。
「――可愛いね、真夏ちゃん」
 篤が、右手でショーツの上からクレヴァスをいじりながら、左手で真夏の頭を撫でる。
「そ……そんなことない……。可愛くなんてないよ……」
「可愛いよ、真夏ちゃんは」
 篤は、真夏に笑いかけた。
 真夏の記憶の奥底にいる、はるか昔の篤が、こんな笑顔を浮かべていたような気がする。
 と、まるで心の隙を突くように、篤の指がショーツの中に潜り込んだ。
「あ、あン……!」
 初めて他人に秘部を直接触られ、真夏の体に、ひくんと震えが走る。
 篤は、真夏の頬や首筋にキスを繰り返しながら、優しいタッチで秘唇を愛撫し続けた。
 たちまち、ぬるぬるとした愛液が、篤の太い指を濡らしていく。
「あ、あう、あうう……あ、あン……はっ、はぁっ、あふ……ああン……」
「真夏ちゃん、気持ちいい?」
「そ……そんなの分からない……。あ、んくう……」
 喘ぎ声を漏らしながらも、真夏は、そんなふうに答えた。
「じゃあ、ここはどうかな?」
 真夏の蜜に濡れた指が、未発達のクリトリスを、包皮の上から刺激する。
「はうっ……あ、やあぁン……そこは……そこはダメぇ……あああン……」
 真夏が、はっきりとした反応を示しながら、声をあげる。
 篤は、真夏の唇にもう一度キスをしてから、その体を起こした。
「あン……」
 あぐらをかいた篤が、後ろから真夏を抱き締めるような格好になる。
 そのまま、篤は、右手で秘部を愛撫しつつ、左手で真夏のブラウスのボタンを外し始めた。
「や、やだぁ……ダメだよ……そんな……あはぁっ……」
 口では拒みながらも、真夏は、抵抗することができない。
 篤の右手が紡ぐ快感が、真夏の体から力を奪っているようだ。
 篤が、次第に露わになる真夏の胸をいじり、そして、また服を脱がす。
 それを繰り返しているうちに、いつしか、真夏はブラジャーまで外されてしまっていた。
「あ……」
 篤の指が、お椀型の乳房の頂点にある桜色の乳首を、転がすように刺激する。
「や、やんやんっ……そんな……そこ、いじっちゃダメだよぉ……ああぁン……」
 交互に乳首を愛撫され、真夏の未成熟な性感が目覚めていく。
 じんじんという痺れるような感覚が、クリトリスと、二つの乳首を責め立てる。
 いつしか真夏は、その敏感な三つの突起を、痛いくらいに勃起させてしまっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あああ、ウソぉ……あたし……あたし、どうして……? はああぁン……」
 真夏の頭の中で、間欠的に理性がよみがえり、今の自分の状況に驚きと戸惑いを示す。
 だが、それは、男の手によって初めて与えられる快感に、すぐに溶け崩れていった。
 愛撫の合間に、篤が、真夏のスカートのホックを外し、ずり下ろしてしまう。
 今や、真夏が身につけているのは、半分脱げかかったショーツと、ソックスだけだ。
「真夏ちゃん、気持ちいい?」
 再び、篤が訊いてくる。
「あううン……わ……分からないよ……んくぅ……」
 真夏は、そう、嘘をついた。
 だが、実際は、もはやごまかしようが無い快感が、十六歳の体の中で、ひたひたと水かさを増している。
 いつしか、この“快感の水位”が一定の基準を越え、自分を溺れさせてしまう――
 そんな予感に、背中にぞくぞくと震えが走る。
「真夏ちゃん……可愛いよ……」
 篤は、じっとりと濡れた秘唇への愛撫を中断し、真夏の左右の乳房に両手を重ねた。
 そのまま、やわやわと慈しむように乳房を揉む。
「あ、あふう……うん……あ……あああぁぁぁン……」
 真夏は、されるがままだ。
 篤の手の中にすっぽりと収まる大きさの乳房が、淫らに形を変える。
 太い指に挟まれ、擦られ、転がされて、固くしこった乳首が、さらに固く尖っていく。
「ああっ……あふン……あう……あううン……ひあぁ……あはぁン……」
 胸への刺激だけで、真夏は、かつて感じたことが無かったような快楽を覚えていた。
 股間のスリットは、触れられてもいないのに、透明な蜜を溢れさせ、シーツを濡らしている。
 篤が、真夏の耳に、口を寄せた。
「そろそろ入れるよ……」
「えっ……」
 真夏が、真っ赤になった顔にぼんやりとした表情を浮かべ、振り返る。
「経験したいんでしょ? 真夏ちゃん」
「け……けいけんって……」
「セックスだよ」
 篤の直接的な言葉に、真夏は、ぞくんと体を震わせた。
「で、でも……その……痛いんでしょ……?」
「優しくしてあげるから、大丈夫」
 篤は、左手で真夏の乳房を揉みながら、右手を秘唇に伸ばした。
「それに、お母さんの作ったご飯をきちんと食べてれば、ぜんぜん痛くないはずだよ」
「そ、それ、どういう意味……? ああン!」
 秘裂に指が浅く潜り込んだ感覚に、真夏は小さく悲鳴を上げた。
 まだ成熟していないその部分は、指一本だけで精一杯のように思われる。
「大丈夫……きっと、すごく気持ちいいよ……」
 それでも、篤は、そんなことを言った。
 真夏は、もはや篤に逆らうことができなくなっている。
「ね……いいでしょ?」
 そう訊かれて、真夏は、恥ずかしそうにこくりと肯いた。
「ふふふふふ……」
 篤が、含み笑いを漏らしながら、真夏をシーツの上に横たえ、ずり下がったままだったショーツを、完全に脱がしてしまう。
「じゃあ、痛くないように、よくほぐしてあげるね」
「え……? あ、やぁんっ!」
 篤は、真夏が手で隠すよりも早く、その股間に顔を埋めてしまった。
「や、やだっ……! そこ、汚いよぉ……! シャワーも浴びてないのに……あああン……!」
「ふふふっ……エッチの前は必ずシャワーすると思ってたの?」
「あう……そ、それは……」
「いいんだよ……。真夏ちゃんのここ、スケベな匂いがして、すごく興奮するもん」
「バカバカ! 篤さん、きらいっ!」
 真夏が、どうにかして篤を押しのけようとする。
 だが、真夏の細い腕では、篤の腕力や体重に抗すすべもない。
 篤は、真夏の丸いヒップを抱え直し、果実にかぶりつくように、クンニリングスを始めた。
「あ、きゃううっ……!」
 ぞろりとラビアを舐め上げられ、一瞬にして真夏の体から力が抜ける。
 篤は、ぴちゃぴちゃと音をたてながら、舌で力強くクレヴァスを抉った。
「あ、ああんっ……ホントに舐めてるゥっ……! や、やああっ、あぁん……やああああぁぁ……!」
 秘裂を舌でなぞられ、肉襞を舐めしゃぶられて、真夏は、くねくねと体を動かしてしまった。
 愛液がとめどなく溢れ、篤の唾液と混じり合って、真夏の秘唇を淫らに濡らしていく。
「あっ、ああっ、んく……あうううっ……ああぁ……あン、あン、あン、あン、あン、あンっ……!」
 明らかな快楽の喘ぎを上げながら、いつしか真夏は、まるで秘部を篤の口に押し付けようとするかのように、腰を浮かせてしまっていた。
 篤が、左右の親指で、幼さの残る果肉を割り開き、膣口の奥にまで舌を伸ばす。
 蠢く舌は的確に真夏の性感帯を探り当て、十六歳の体から女としての反応を引き出していた。
 川魚を思わせる躍動的な体が、ぴちぴちと跳ね、汗と体液を散らす。
 真夏は、もう、絶頂寸前にまで追い詰められていた。
「ああぁーっ……ひ、ひいいン……あうぅっ、あう、あっ、あく、んひいい……篤さん……あたし……あたし、おかしくなっちゃうよぉ……ひああああン……っ!」
「うふふ……まだだよ、真夏ちゃん」
 篤は、口元を拭いながら、体を起こした。
「あああっ……はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……」
 真夏が、ほっとしたような、がっかりしたような、複雑な表情で、篤を見る。
「まずは、コレで、真夏ちゃんをイかせてあげるからね」
 そう言いながら、篤は、すでにジーンズの中でぱんぱんになっているペニスを、外に解放した。
「キャッ……!」
 想像していたよりも大きく、そして凶暴な外観をしたそれに、真夏が可愛い悲鳴をあげる。
「そ、そんな……そんなの入らないよぉ……」
「大丈夫……そんなに恐がらないで」
 篤は、靴下を履いただけの真夏の裸体に覆いかぶさり、その右手を自らの肉棒に導いた。
「あ……熱いぃ……。それに、カチカチ……」
「うん……真夏ちゃんがあんまり可愛いから、こんなになっちゃったんだよ」
「あ、あたしが……?」
「そう。真夏ちゃんが可愛いから」
 ちゅっ、と篤は真夏の額に口付けした。
「それに、ガマンできないみたいだったらすぐやめにするから……ね?」
「う……うん……」
 真夏が、まだ脅えの色を見せつつも、肯く。
 篤は、そんな真夏の唇に唇を重ね、ねっとりと舌を動かした。
「ん……んむ……んむむ……ぷは……ちゅぷっ、ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱっ……」
 真夏も、自分から舌を突き出して、篤のキスに応える。
 ディープキスを続けながら、篤は、真夏のすらりとした足を割り開いた。
 そして、たっぷりと濡れ、花のように綻んだ秘裂に、肉棒の先端をあてがう。
「いくよ……」
「うん……」
 篤は、真夏の返事を待ってから、挿入を始めた。
 丸い亀頭部によって、真夏の処女肉が割り広げられる。
「う、うあああ……あく……あ――い、痛ッ!」
 ずぶり、と奥まで挿入され、真夏は激痛に喉をのけぞらせた。
「あ……あう……うぐ……あ、あひ、はひ、はひ、はひい……」
「大丈夫? 真夏ちゃん……」
「痛い……すごく痛いよぉ……痛い、痛い、痛い、痛いぃ……」
「落ち着いて、真夏ちゃん……。すぐに、痛くなくなるから……」
 そう言いながら、篤は、ずりずりと抽送を始めた。
「あああ……ま、待って……! まだ、あたし……あう、あうう、あぐ……くひい……!」
 体の内側をこそがれるような感覚に、真夏が悲鳴を上げ続ける。
 視界が真っ赤に染まり、バチバチと火花が散る。
 そして――その痛みは、いつしか、圧倒的な熱さに取って代わられていた。
「あうう……あつ……あついい……あついよ……ヤ、ヤケドしちゃうう……くひいいいいい……」
「痛みは、どう?」
「い……痛くは、ないみたい……でも……あああン……ヘンだよっ……あつい……あついィ……!」
 じんじんと疼くような熱が、体の中心を貫いている。
 それが、神経を末端まで痺れさせ、不思議な感覚が全身を包み込む。
「あああっ……なに……? あたし……あたしっ……あああっ、あうっ、あひい、ひあっ、ひあああ……ンあああああっ……!」
「よかった……。感じてきたんだね?」
「そんな……あ、あたし、感じてなんか……あううっ、あっ、あくう……んあああああン……!」
「ほら……真夏ちゃんのオマンコが、どんどんやらしい汁を溢れさせてるよ……。自分でも分かるでしょ?」
「はっ、はふっ、はひい……あ、ああああっ……あたし……あひ、はひいぃン……!」
「あああ、ぬるぬる……すごいや……。ほら、真夏ちゃんも、もっと感じてよ」
 篤は、腰をぐりぐりとグラインドさせて、真夏の膣内を肉棒でかき回した。
「ひあああああっ……! な、何これっ……? あうううっ! あはっ! ひあああ! ンああああああっ!」
 自らの体内を乱暴に撹拌され、真夏は、目の眩むような快楽を覚えていた。
「ふひひ……真夏ちゃんはこうされるのがいいんだね? もっとしてあげるよぉ……」
「あああ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメ……やあああああン! あぁン! あひ! あひ! はひいい!」
「あーっ、す、すっごく締まる……! 真夏ちゃんのオマンコ、気持ちいいーって喜んでるよぉ」
「そ、そんな……んあああああっ! もう、もうダメなのぉ……! ああああ! あひいいいいい!」
 圧倒的な快感を受け止めきれず、真夏が、篤の体の下で大きく悶える。
「ウソ……ウソぉ……あたし、感じちゃってる……感じてるの……! ああン! あひ! あひ! くひい……! ンあああああ!」
「嬉しいよ、真夏ちゃん……。はぁ、はぁ、ボクもすっごく気持ちいいよぉ……!」
 そう言って、篤は、腰の動きを、円運動から力強い直線運動に切り替えた。
 もう、真夏は痛みを感じない。
 それどころか、体の最奥部を小突かれる重苦しい感覚が、たまらない快感となって下腹部を痺れさせる。
「ンひいいいンっ……! もう、ダメぇ……! ダメダメダメダメっ……! こ、こんなにされたら……あ、あたし、ダメになっちゃうっ! ひあああああああ!」
「すごいよ真夏ちゃん……! 初めてなのにこんなに乱れて……うううっ、オ、オマンコがビクビクしてるぅ……!」
「はひいい……そ、そんなこと言っちゃイヤあぁ……! し、自然にそうなっちゃうんだもんっ! あン! ああン! あひいいン!」
 処女血と愛液にまみれた膣肉が激しく収縮し、きつくなった摩擦がさらに鮮烈な快楽を紡ぐ。
 真夏は、篤の背中に手を回し、足を腰に絡みつかせながら、大きく背中を弓なりにしていた。
「ああああああぁーっ! もうっ! もうホントにダメぇ……! あううっ! あく! ンくううう……! お、お、おかしくなっちゃうぅ〜ッ!」
「イクの? 真夏ちゃん……。イクんでしょ?」
「あっ、あああっ、イク……イク……イクう! もうイっちゃうっ! イっちゃうぅーっ!」
「いいよっ……い、一緒にイこうっ! うううっ、ううううううう……!」
 篤が、真夏の体を抱き締めながら、はげしく肉棒を出し入れする。
「ス、スゴいいいいいっ! あうっ! あン! あはあああぁっ! こ、壊れちゃうゥ……きひいいいいいいいい!」
「ああ……で、出るよ、真夏ちゃんっ……! 真夏ちゃんの初めてのオマンコに出すよっ! あっ、あっ、あっ、出るううううう!」
 ぶびゅっ! びゅば! どびゅ! どびゅ! どびゅ! どびゅ!
「ああああああああああああああああああああああああああああああ! イク! イク! イク! イク! イク! イクううううぅ〜ッ!」
 胎内に大量の精液を浴びながら、真夏が、絶頂に達する。
 篤は、きつい膣内に根元まで肉棒を挿入したまま、なおも射精を続けた。
「あううううう……あ、あつい……あついの、たくさん出てるゥ……は、はひ、はひ、はひい、んひいいいい……きもちイイぃ……」
 目から涙を、口から涎を垂らしながら、真夏が、茫然とした表情でつぶやく。
 二人の接合部から、内部に納まりきらなかった白濁液が、こぽこぽと小さく泡立ちながら溢れ出る。
「はあぁ……はあぁ……はあぁ……はあぁ……真夏ちゃん……とっても気持ちよかったよ……」
「はふ……はふ……はふ……はふ……ああン……あ、あたしもォ……」
 甘えるような声をあげて、真夏が、しっかりと篤の巨体にしがみつく。
 たっぷりとザーメンを注がれた膣内から、温めた蜜のような幸福感が全身に広がっていくのを、真夏は感じていた。
「ふふふふふ……」
 ちゅっ、ちゅっ、と篤は真夏の顔や首筋にキスをした。
 そして、名残惜しげに、体を離す。
「あン……」
 ぬるりと肉棒が抜ける感触に、真夏は、声をあげた。
「ほら……ボクのチンチン、こんなにドロドロになっちゃったよ……」
 そう言いながら、まるで見せ付けるように、篤が腰を突き出した。
 萎えかけた篤の肉竿には、破瓜の血と、愛液と、そして精液の残滓がこびりついている。
「あうぅ……すごいよォ……すっごくエッチ……」
「ふひひ……もっと近くで見たいでしょ?」
「う……うん……見たい……」
 篤の変態的な申し出に、真夏は、思わずそう返事をしてしまった。
 篤が、一度腰を上げ、体重をかけないように注意しながら、真夏の顔の上に跨る。
「す、すごい……」
 たった今、自分の処女を散らしたばかりの肉棒を目の前にして、真夏は、言葉を失っていた。
 生臭い匂いが、つんと鼻をつく。
 篤の肉棒は、萎えきる間もなく、また勃起を回復させていた。
 粘液にまみれ、ぬらぬらと濡れ光っている肉棒が、だんだんとまた大きくなっていくのを、真夏は、瞳を潤ませながら見つめている。
「ふふふふふ……真夏ちゃん、フェラチオとかしてみたくない?」
「え……? く、口でってこと……?」
「そうだよ……。この、精液でドロドロのボクのチンポ、真夏ちゃんの可愛いお口でちゅぱちゅぱするの……どう?」
「ああン……これを……篤さんのを、口の中に……?」
 んくっ……と真夏は、口の中に溜まった唾液を飲み込んだ。
 そして、篤の巨大な尻を両手で抱き締めるようにして、自ら頭を起こし、口を肉棒に近付ける。
「ふひひひひ……やっぱりしたかったんだね……真夏ちゃん、エッチだなあ」
「ん、もう……知らないっ……」
 拗ねたようにそう言ってから真夏は、ちゅっ、と篤の肉棒の裏筋にキスをした。
 篤が、すでに固くなっている肉棒を手で下向きにして、真夏の唇に亀頭を押し付ける。
 真夏は、ほとんどためらうことなく、篤のペニスを口の中に受け入れた。
 生温かな感触が、ペニスの先端から中ほどまでを包み込んでいく。
「うう、すごい……真夏ちゃんがボクのをフェラしてる……ううううっ……」
 そんな篤の声を聞きながら、真夏は、目を閉じ、味わうようにペニスの表面に舌を這わせた。
 どこかしょっぱいような体液の味が、舌に絡みつく。
 その味よりも、生臭い性の匂いに、真夏はなぜか興奮を覚えていた。
「んむ……むぐぐ……んふ……んむっ、んむう……んもも……」
 まだ男の感じる場所を知らない舌が、闇雲に、篤の肉棒を舐めしゃぶる。
 その稚拙な動きによる中途半端な快感に、篤は、だらだらと先走りの汁を漏らしてしまっていた。
 その、匂いのきつい苦い液を、真夏は、こくこくと喉を鳴らして飲み込んでいく。
 なぜか、嫌悪は感じない。それどころか、篤の体液を啜り飲むたびに、口腔から喉に、そして体内全体に、甘い快感が広がっていく。
「ふはあ……ま、真夏ちゃん、腰、動かしていい?」
 生ぬるい快楽に焦れたように、篤が真夏に許可を求める。
 真夏は、うっすらと目を開き、とろんとした瞳を篤に向けてから、小さく肯いた。
 篤が、ゆるやかに腰を使い出す。
「う……んぐぐ……ぢゅぷ……んふう……んむむむむ……ふむむ……
 やや苦しげな真夏の声に、ぐっぽ、ぐっぽ、ぐっぽ、ぐっぽ……という卑猥な音が、重なる。
 唾液に清められた褐色の肉棒が、可憐なピンク色の唇を出入りしている様は、恐ろしくエロチックだ。
「はふう……あああ、すごい……口でセックスしてるみたいだ……うくう……」
 そんな篤の言葉を聞き、真夏は、きゅうんと体内が締め付けられるような、甘い痛みを感じた。
 この、口の中を蹂躙している逞しい男根に気持ちよくなってほしくて、先ほどよりさらに激しく舌をうごめかす。
「うっ、うあああっ……すごいよォ……真夏ちゃんの口マンコ、すごいィ……!」
「んむっ、んむふぅ……! んむ、んぐぐ、ちゅぶ……んむむむっ……!」
 口を女性器扱いされ、真夏は、ぞくぞくと体を震わせた。
 舌や口腔を肉竿に擦られ、喉奥を亀頭で小突かれながら、そのことに、はっきりと快感を感じる。
 真夏は、今や、自分の口が本当に“オマンコ”になっていることを、体で理解させられていた。
「うひ、うひっ、うひいい……す、吸ってっ……! チンポ吸って……っ!」
「んむ、んぐぐぐ……んぢゅ……ぢゅぢゅっ、ぢゅづづづづ、んぢゅうううううううぅ〜っ!」
 篤に促され、わけも分からないまま、唾液ごと肉棒を吸い上げる。
「おおっ、うほおおおお! あああ、出る! 出る! もう出るううう!」
 びくびくと、篤の腰が震える。
 真夏は、夢中になって、膨れ上がった篤のペニスを吸いたてた。
「ぢゅずずずずずっ! ぢゅぼ! ぢゅぼ! ぢゅぼ! ぢゅぼ! んぢゅぢゅずずず……! んぷう……ハッ、ハッ、ハッ……ぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅ!」
「うああああああ! もうダメっ! 出るよおっ! ううううっ! 真夏ちゃんにかけてあげるっ!」
 ぢゅぽん!
 突然、篤は真夏の口から肉棒を引き抜いた。
「うあああっ、あっ、あっ、ああっ……!」
 そして、あたふたと立ち上がり、真夏の体を左右の足の間において、仁王立ちになる。
「え……キャン!」
 ぶぴゅーっ!
 二回目の射精の最初の一撃は、真夏の顔を直撃した。
 ぶびゅっ! びゅるる! ぶぶぶっ! どびゅっ! どびゅっ! どびゅっ! どびゅっ!
「あうっ……あああああっ! あひいい……あ、あついよォ……! 篤さんの、あつい……あああああン!」
 そのまま、髪に、胸に、腹に、四肢に――信じられないほど大量の精液を、篤が真夏の体に振りまく。
 真夏は、白い精液の弾丸が肌を打つ感覚に、恍惚となった。
「ああああ……ウ、ウソ……! イっちゃう……あたし……あたし……かけられてイっちゃう……イクう!」
 びくん、びくん、びくん、びくん……。
 全身を精液まみれにされながら、真夏は、そのまま絶頂を迎えてしまった。
「あああっ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……キ、キレイだよ、真夏ちゃん……」
 そう言って、篤が、真夏の傍らにしゃがみこみ、まだボタボタと精液を滴らせている肉棒の先端を、唇に押し付ける。
「あむ……んむう……ちゅううううっ……」
 真夏は、まるでミルクを与えられている乳児のような表情で、尿道に残った精液を吸い出し、味わうように舌に絡めてから、美味しそうに飲み込んだ。



「気持ち良かったでしょ? 真夏ちゃん」
 篤は、うっとりとした表情の真夏を横抱きにしながら、そう言った。
「うん……」
 真夏が、素直な声で返事をする。
 真夏の白い肌は、篤のザーメンによって、べっとりと汚れている。最後まで脱がされなかったソックスも、がびがびだ。
 だが、真夏は、そのことを少しも不快に思ってない様子である。
「これからも、ボクにしてほしい?」
「うん……」
「千秋さんだって、そう思ってるんだよ」
「え……?」
 真夏は、きょとんとした顔で、篤のことを見つめた。
 篤が何を言ってるのか、よく分からなかったのだ。
 そして、しばらくしてから、ようやく、自分が母の身代わりとなる約束で、処女を捧げたのだということを思い出す。
 そのことが、ひどく馬鹿馬鹿しいことのように、今の真夏には思えた。
「篤さん……あたし……あたしね……その……」
「分かってるよ、真夏ちゃん」
 篤が、自らの精液にまみれたままの真夏の体を、ぎゅっと抱き締める。
「真夏ちゃんは千秋さんの代わりじゃないし、誰だって千秋さんの代わりにはならないよ」
「うん……」
 今の真夏には、篤の言葉の意味が、よく分かる。
「もちろん、真夏ちゃんだってそうだよ。誰だって真夏ちゃんの代わりにはならない。真夏ちゃんは、真夏ちゃんなんだからね」
「うん……ありがとう、篤さん……」
 真夏は、甘えるように、篤の胸に顔を擦り寄せた。
 篤が、ところどころ精液で固まったままの髪を、優しく撫でる。
「――ところで、小春ちゃん、お母さんの料理、きちんと食べてる?」
 篤の問いに、真夏は、少し目を見開いた。
 今は、篤がどうしてこんなことを訊くのか、分かるような気がする。
 そして、篤が妹である小春をどうするつもりなのかも――
 ほんの少し、嫉妬に似た切なさを感じながらも、真夏は、小春が自分と同じようになるであろうことに、素直な喜びを感じていた。
「うん……きちんと残さないで食べてる」
「そう……」
 真夏の答えに、篤が満足そうに微笑んだ。
 その表情を見て、真夏も嬉しくなって、篤に抱き着く。
 やはり、母や自分だけがこの快楽を知り、妹だけが仲間外れなどということは正しくない――そう思った。
「うふふ……今に、一緒に可愛がってあげるからね……」
 篤の言葉に、真夏はこっくりと肯いた。



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