第8話
「え……? お外で?」
「うん、どうかなあ」
「ええ……い、いいわよ……。肥田くんが、そうしたいなら……」
「じゃあ、決まりだね……うふふふふ……」
真夏は、駅のホームで驚愕していた。
自らの母、千秋と、そして肥田篤を、偶然見つけたからだ。
千秋は、普段履かないような短いスカートと、ブラが透けそうな薄手のブラウスを身にまとっている。その服装は、千秋をいつも以上に若く見せるだけでなく、柔らかな体の曲線をいやがうえにも強調していた。
千秋と篤は、まるで恋人同士のように、ぴったりと身を寄せ合っている。
知り合いが、たまたま出会って話をしているとか、そういう雰囲気ではない。
篤の手は、千秋の腰に回されていた。
その手が、時に、さりげない風を装って、さらに下へと動き、左右に張ったヒップを撫で回す。
千秋は、嫌がるそぶりも見せず、くすくすと笑いながら、何かを篤にささやいていた。
(ど……どうして……?)
土曜日――真夏は、友人と待ち合わせて、映画を観に行くつもりだった。
真夏が起きると、千秋は、すでに出掛けていた。昨夜、用事があるから外出するようなことを言っていたように思う。
それが……こんな所で、鉢合わせるとは。
二人は、少し離れた場所に真夏がいるなどとは、夢にも思っていない様子だ。
傍で見ている者が恥ずかしくなるほどに、露骨にいちゃついている。
(まさか……お母さん、まさか篤さんと……?)
見間違いかと思い、何度か物陰から見直したが、あの二人を間違えるはずがない。
と、そこに、電車が滑り込んできた。
千秋と篤が、連れだって電車に乗る。
真夏は、弾かれたように駆け出し、別のドアからその電車に乗り込んだ。
ほぼ満員の車内で、少しでも二人の様子が見えるような場所へと、人をかき分けるように移動する。
千秋と篤は、ドアの前で、向き合うように立っていた。
乗客の陰に隠れつつ、頭だけを出して、二人の方を見る。
二人とも、真夏に気付いている様子は全く無い。
(な……何、話してるんだろ……?)
顔を近付け、時に相手の耳に口元を寄せながら、千秋と篤が何か囁き合っている。
淡い笑みを浮かべた千秋の顔は、もともと童顔なこともあるが、とても二児の母親には見えなかった。
電車が、都心に向かって走る。
二人が立っている側のドアは、都心に着くまで、開かないはずだ。
それを知っててその場所を陣取ったのか、二人は、ひどくリラックスしたムードだった。
真夏は、名状し難い焦燥のようなものを覚えていた。
もはや、映画どころではない。真夏は、今日の約束をキャンセルする旨のメールを、携帯で友人に送った。
揺れる電車の中、千秋と篤が、吊り革につかまる事なく、互いを支え合うように立っている。
千秋の顔が、上気しているように、真夏には見える。
(あ……!)
真夏は、息を飲んだ。
篤が、千秋のヒップに両手を回し、無遠慮に撫で回している。
(お……お母さん、どうして逃げないのよっ……!)
だが、千秋は、逃げるどころか、篤の手に自らを預け切っているように見えた。
篤の手の動きは、ますます大胆になっていく。
まるで、スカートの布地を押し込むように、指で尻の割れ目を上下になぞる。
そうされながら、千秋は、唇を半開きにしていた。
(なんで……? どうしてよっ……どうして……)
篤は、千秋の髪に鼻をうずめるようにしながら、その肥満した体を押し付けている。
千秋も、そんな篤の体を受け止めるように、彼の腰に手を回していた。
篤の手が、そろそろと千秋のスカートをまくり上げる。
(うそ……そ、そんなことまで……?)
魅力的なヒップを隠しきるにはあまりにも小さなショーツのラインを、篤の太い指が撫でる。
それは、もはや愛撫と言ってもいい動きだった。
千秋が、何か囁きながら、うっとりと目を閉じている。
篤の指が、ショーツの布地をつまみ、くいくいと引っ張った。
ヒップの割れ目にショーツが食い込み、白い肌がさらに露わになっていく。
周囲の乗客は、気付いている様子を見せない。
もしかすると、とっくに気付いて、あえて無視しているのかもしれないが、真夏にはどちらかは分からなかった。
ただ、真夏だけが、揺れる電車の中で、母が痴漢されている様を凝視している。
しかも、母親は、明らかに陶酔の表情を浮かべながら、不埒な男の手に身を委ねているのだ。
真夏は、全身の血液が逆流するような感覚に襲われていた。
「…………」
篤が、赤く染まった千秋の耳朶に口を寄せ、何か言った。
千秋が、夢を見ているような顔で、こくりと肯く。
「……ッ!」
真夏は、危うく声を上げそうになった。
尻を嬲られながら、千秋は、篤の股間に手を置いたのだ。
そして、さすさすと愛しむように、篤のその部分を撫でる。
篤は、満足げな表情で、さらに腰を突き出した。
千秋が、ジーンズの上から、篤の股間のモノをくにくにといじくる。
(やめて……やめてよっ……! お母さん、そんなことやめてっ……!)
電車の駆動音と、乗客たちの話し声が響く車内で、真夏が、声にならない声を上げた。
だが、千秋は、口元に淫蕩な笑みを浮かべながら、ふしだらな行為を続けている。
篤も、千秋の白い手がもたらす快感のお返しをするように、豊かな尻肉を撫でさすり、捏ね回している。
(いや、いや、いや、いやぁ……こんなのいやだよぉ……)
ふと、千秋の手が、止まった。
指が、篤のジーンズのジッパーをつまみ、下ろしていく。
「ひぃ……っ!」
真夏の口から出た悲鳴を、たまたますれ違った別の電車の轟音がかき消した。
千秋が、篤の肉棒を外に出し、指を絡めている。
そして、千秋は、興奮に目を潤ませながら、すっかり勃起した肉棒を扱き始めた。
(こ……こんなことって……お母さんが……篤さんのを……)
顔から血の気が引き、一瞬後に熱い血液が頭に駆け登ってくる。
脳内を高速で血液が循環する感覚に、真夏は、ほとんど倒れそうになっていた。
指が白くなるほどに強く吊り革を掴み、ふらつく足を踏ん張る。
視界に、群衆の中で痴態をさらす千秋と篤が浮かび上がって見えた。
手を淫らな液にまみれさせながら、千秋が、しこしこと篤の肉棒を扱き続けている。
その指先は、時に、赤黒い亀頭を撫で回し、雁首をなぞるように刺激した。
ひくん、ひくん、と肉棒がしゃくり上げ、先端から透明な粘液を滴らせる。
篤が、快感に目を閉じながら、何かを言った。
千秋が、こっくりと肯き、肉棒の先端を引き寄せる。
「…………!」
千秋が、自らスカートをまくり、ショーツに包まれた恥丘にペニスを押し付けた時――篤は、射精した。
白濁した粘液が、滴を飛び散らせながら、千秋の秘めやかな部分を覆う下着を、汚す。
千秋は、満足げな笑みを浮かべてから、ミニスカートの布地の裏側で、丁寧に篤の肉棒を拭った。
(あ……あ……あぁ……ああぁ……)
真夏は、平衡感覚すら失うような非現実感に、茫然としていた。
千秋と篤が、にっこりと微笑み、周囲の目を盗むように、ちゅっ、と短いキスをする。
すぐそばのドアが開き、二人が降りる。
真夏は、そのままだ。
ドアが、閉じる。
しばらくして、真夏は、不快な冷たさを、股間に感じた。
「え……?」
ショーツのクロッチの部分が、愛液で、じっとりと濡れていた。
「もしもし、千秋か?」
「時夫さん……」
「家に電話しても出ないから、こっちにかけたんだ」
「あ、そ、そうなの……」
「ああ。――なかなか帰れなくて悪いね」
「ううん、そんなこといいのよ……。それより、きちんとご飯食べてる?」
「外食ばかりだけどな」
「ダメよ……きちんと、お野菜とかも食べないと……ね……」
「そうだな。……早くお前の手料理が食べたいよ」
「そうね……」
「実はな、近いうちに、そっちに帰れそうなんだ」
「そ、そうなの……? あ、うんっ……」
「……どうしたんだ? あんまり嬉しそうじゃないな」
「そ、そんなことないけど……ごめんなさい、ちょっとカゼひいちゃって……う、うんっ、んんんっ……」
「そうだったのか。今、もしかして病院か?」
「え……ええ、そうなの……あ、あっ……」
「悪い悪い、ホントは、そこで携帯使っちゃいけないんじゃないのか?」
「え……あ、だ、だいじょぶよ……その、ここなら……はふ……」
「何だ、熱でもあるみたいだな」
「う、うん、そうね……ちょっと、体が熱くて……は、ふうぅ……あふ……うン……」
「すまないな、もう切るよ」
「え、ええ……その……あぅ……ごめんなさい……」
「何も謝るようなことじゃないだろ? 俺が帰るまでに、きちんと治しといてくれよな」
「そ、そうね……そうするわ……はふ……」
「じゃあな。お大事に」
「あはああああぁっ……!」
携帯の通話スイッチを切りながら、千秋は、溜めていた息を吐き出した。
「もう……ひどいわ、肥田君たら……あうううン……!」
篤の腹の上に、逆さまにうつ伏せになった千秋が、恨みっぽい声を上げる。
そこは、もちろん病院の待合室などではない。都内のホテルの一室だ。
千秋と篤は、着ていた服をすでに脱ぎ捨て、全裸になって絡み合っていた。
互いの股間に顔を向ける、いわゆるシックスナインの体位だ。
下で仰向けになっている篤は、頭の下に大きなクッションを置き、首から上を起こすようにして、千秋のヒップに顔を押し付けている。
一方、千秋は、その巨乳に篤の剛直を挟んでいた。
篤の口元は秘唇から溢れた愛蜜にまみれ、千秋の胸元は肉棒から漏れ出た腺液に汚れている。
「はぁ、はぁ、はふ……もう……すごくドキドキしたんだからね……んくう……」
執拗にクレヴァスを舐めしゃぶる篤にそう言ってから、千秋は、携帯の電源をオフにし、それを床に落とした。
「ふひひひ……旦那さん、気付かなかった?」
「ああン……だ、だいじょぶだったみたい……。あふ、はふう……ああぁン……」
「まったく、千秋さんてばいけない奥さんだな……。旦那さんと話しながら、ボクのチンポ離さないんだから」
「そ、そんな……言わないでェ……。だって、私……あん、あううん、あひい……」
クリトリスからアヌスまでのべろべろと舐め上げられ、千秋が、ふるふるとかぶりを振る。
「ほら……千秋さんもボクのこともっと気持ちよくしてよォ」
「ああ……分かったわ、肥田君……。ハァ、ハァ、ハァ……あなた、ごめんなさい……ううううンっ……」
千秋は、たわわな乳房を自ら中央に寄せ、ペニスへの圧力を強くした。
そして、上半身を揺すり、胸の谷間で篤の巨根を扱き上げる。
「あぅ、あぅ、あぅ、それイイ……すっごくイイよぉ……うひい……」
滑らかな柔肌と亀頭粘膜が摩擦する感覚に、篤が声を上げる。
「あぁン、すごい……ゴツゴツして……とっても固いわ……はふぅ……」
「千秋さんのオッパイは、すごく柔らかいよ……ふはぁ……気持ちイイ……」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ああ、ヌルヌル……とっても臭いわ……ああン、こ、興奮しちゃう……!」
とぷとぷと溢れる生臭いカウパー氏腺液に白い乳房を汚されながら、千秋は肉棒への奉仕を続ける。
「はひ、はひ、はひ……ううう、まるでセックスしてるみたいにイイよ……千秋さんのオッパイ、オマンコみたいだ……」
「ああぁン……いやン……そんなエッチなこと言っちゃダメ……はふう……」
甘えた声で言いながら、千秋が、篤の肉棒をさらに擦り上げる。
篤は、たわわな双乳の感触を楽しみながら、目の前の果肉にむしゃぶりつき、溢れ出る果汁を舐め啜った。
「うううンっ……はっ、はふう……あああっ……そ、そんなに奥まで舌を入れちゃ……あン、あぁン、あひいィ……!」
「ちゅばちゅばちゅば、じゅじゅじゅ……っ。はぁ、はぁ……ねえ、千秋さん、今度はチンポに乳首擦り付けてみて」
「え、ええ……うン……こ、こう……? あぁン……」
千秋は、言われるままに、粘液でぬめる亀頭に、自らの乳首を擦り付けた。
「あああ、そう、そう……うひい……千秋さんのチクビ、コリコリしてるゥ……」
「ああン、あふ、はふ、ふううン……やぁン……先っぽ感じ過ぎちゃう……くうぅン……」
千秋は、うっとりとした表情を浮かべながら、すっかり勃起した左右の乳首を篤の亀頭に押し付け、前後に動かした。
「はあ、はあ、はあ……ああ、千秋さん……!」
篤が、下から腰を突き上げるように揺すった。
乳首を押し込むように、篤の肉棒が、柔らかな乳房にめり込む。
「あン、あぁン、はひィ……あああ……私のオッパイ、肥田君のオチンチンに犯されちゃってる……。オ、オッパイでセックスするの、気持ちいいィ……!」
固く強ばったペニスによって豊かな乳房を捏ねくられながら、千秋は甘い声を上げた。
「うはあああ……千秋さんの巨乳、気持ち良すぎるよ……。も、もう出そう……」
「あン……出して、肥田君……! 遠慮なんかしないで、イッパイ出して……!」
千秋は、そう言って、再び篤の勃起を胸の谷間に挟んだ。
そして、上半身をダイナミックに動かしながら、浅ましく静脈を浮かした肉竿を扱き上げる。
「うう、ううう、うひいい……あああ、千秋さんのパイズリすごいよぉ……ま、まるでオマンコみたいに気持ちいいィ……!」
「うふふ、嬉しいわ……もっと感じて……精液、いーっぱい出して……」
千秋は、にっこりと微笑んでから、唇を開き、自らの胸の谷間に、とろとろと唾液を滴らせた。
にちゅにちゅと卑猥な音が響き、乳房による奉仕の動きがさらに滑らかになる。
「うあ、うあ、うああ、あううう……出そう……ホントに出そう……くうううう……」
「出して……ザーメン出して……! 私のオッパイマンコでいっぱい射精してっ……! あむっ……!」
まるで堪えきれなくなったように、千秋が、胸の谷間を出入りする赤黒い亀頭部を咥え込む。
「んむっ、ちゅぶぶ、ちゅず……じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ……ちゅずずずずずっ……!」
「うはああああ……もうダメだよぉ〜! あひっ! ふひ! ひ! ふおおおおお!」
ぶっ! どびゅっ! びゅるる! びゅくんっ!
千秋の胸に挟まれた肉竿が律動し、千秋の口の中に、激しい勢いで精液が迸る。
「んっ……♪ んくっ、んくっ、んくっ、んふ……んぐ、んぐ、んぐぐ……」
千秋は、慌てる事なく、おびただしい量のスペルマを口内に溜め、少しずつ嚥下していった。
「あ、あふ、ふうう……ふはぁ……あああ、気持ちいいぃ〜」
「んっ、ちゅぶぶ、じゅるる……ぴちゃぴちゃぴちゃ……んむ……ちゅるるっ……」
卑猥な音を立てて精液を啜り飲み、丹念に肉棒を舌で清めてから、尿道に残った分まで、吸い上げる。
柔らかな舌と唇を駆使した丁寧なアフターケアに、篤の肉棒は、萎える間もなく、力を漲らせていた。
「はあぁ……すごいわ……。まだこんなに固い……」
「へへへ……もちろん……。だって、まだ千秋さんのココ、チンチンで可愛がってあげてないもん」
篤は、そう言って、目の前にある濡れた秘唇に、ちゅっ、とキスをした。
「う、嬉しい……入れてくれるの……?」
「当たり前だよ……。あ、でも、千秋さんがイヤだって言うなら、しないよ?」
そう言いながら、篤は、太い指でまだピンク色の千秋の秘肉をいじっている。
「ああン……そんな……どうしてそんなこと言うの……?」
「だって、今日、久しぶりに旦那さんの声聞いたでしょ? 申し訳ないと思わないの?」
「あはぁン……いじわる……いじわるっ……! あくううン……!」
とろとろと新たな愛液を溢れさせながら、千秋が、もどかしげにヒップを揺する。
「も、もちろん、申し訳ないわ……。あの人、一生懸命お仕事してるのに……私ってば……はふう……」
「旦那さんが、向こうで浮気してるとか思わない?」
「そんな……あの人、そんなことできる人じゃないの……いい人なのよ……」
「ふうん……。淫乱で浮気者な千秋さんには、もったいない旦那さんだね」
そう言って、篤は、もうすっかり柔らかくほぐれている蜜壷に、ずぶりと指を挿入した。
「あうううううっ……! ハァ、ハァ、ハァ……あン、あああン……!」
「ほら……チンポ欲しいなら、そう言って……。いつもみたいにオネダリしてよ……」
「あっ、あああっ、あひい……欲しい……欲しいの……肥田君のオチンチン欲しい……! この、おっきくて固いので、千秋のアソコ、ズボズボしてぇ……ああああン!」
「アソコじゃないでしょ。はっきり言わなくちゃ」
篤の指が、千秋の膣内でぐねぐねと動く。
「ひあああああン! オ、オマンコっ……! オマンコにぃ……! オマンコに入れて欲しいの……! あああ、入れてっ! オマンコにオチンチン入れてぇっ! オマンコしてぇ〜っ!」
「ふひひ……いいよ、千秋さん。入れてあげる」
ふっくらとした朱唇から漏れる卑猥な叫びに剛直をひくつかせながら、篤は、ゆっくりと体をずらした。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
千秋も、篤の意図を察したのか、のろのろと前に移動する。
篤の腰に、後ろ向きに千秋がまたがる、背面騎乗位の形だ。
「あぁ……いいの? もう、入れてもいいの?」
自らの恥丘のすぐ前にある肉棒をしこしこと手コキしながら、千秋が訊く。
「いいよ……。ほら、自分で入れてみて」
「うん……。ああ、肥田君……私がするところ、後ろから見てるのね……」
そう言いながら、千秋は、腰を浮かした。
豊かなヒップが持ち上がり、そして、天を向いた篤の肉棒に狙いを定める。
「あ、あう……お、おっきい……うううううううン……っ!」
ペニスが、千秋の秘唇に、飲み込まれていく。
「ああ、すごい……千秋さんのオマンコの中、ぬめぬめしてて最高だよぉ……ふはあ……」
ずっしりとした千秋の尻を両手で撫でさすりながら、篤は声を上げた。
「うくぅ……」
根元まで、ペニスが、千秋の膣内に収まる。
千秋は、へたりこんだような姿勢で篤の膝に手を置き、はぁはぁと息を整えた。
「す……すごいわ……私の中……肥田君のでもうイッパイよ……んふぅン……」
「ふふ……先っぽに、何か当たってる……。これ、千秋さんの子宮口でしょ?」
篤は、そう言って、軽く腰を揺すった。
「あうっ、あはぁ、ひいいいいいぃ……!」
「すごいや……。真夏ちゃんや小春ちゃんのいた場所に、ボクのチンポが届いてるなんて……」
篤が、次第に、腰の動きを本格的なものにしていく。
「ああっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああああああっ……!」
成すすべもなく下から犯されながら、千秋は、甘い悲鳴を断続的に上げていた。
その熟れ頃の体が上下に動き、乳房が、ゆさゆさと揺れる。
「うぐっ、うっ、うくうン……! あああ、当たってる……! 肥田君のおっきいのが、一番奥に当たってるのォ……! あうううン、し、しびれちゃう……!」
「すごいな、千秋さん、子宮で感じてるの?」
「んあああン! そ、そんなの分からないィ……! あああ、でも、でも、お腹がすごく熱くて……んはあああっ、お、おかしくなっちゃうゥ〜!」
艶やかな唇を、時に噛み締め、時にだらしなく開きながら、千秋がセックスの快楽に悶える。
その体の動きに比例して、髪が激しく乱れ、二つの乳房もぶるんぶるんと揺れた。
「あああああ! あひっ! あひっ! あひっ! あひっ! 気持ちいいっ! 肥田君のオチンポ気持ちよすぎてぇ……っ! んああああああ! はひいいいいい!」
「うはあああっ……す、すっごい締まる……!」
千秋の膣肉が、とろけそうな柔らかさはそのままに、ぎゅうぎゅうと篤のシャフトを締め上げる。
「ち、千秋さん……千秋さんっ……!」
篤は、強引に体を起こし、後ろから千秋の体を抱き締めた。
背面座位の格好で、千秋の胸を両手で掴み、跡が残るほどに強く揉みしだく。
「くひいいいいいいっ! 気持ちいい〜っ! オッパイっ! オッパイすごすぎるぅ〜! オマンコもきもちよくて……んああああああ! か、体中きもちイイぃ〜!」
「千秋さん、千秋さん、千秋さん、千秋さんっ……!」
篤が、千秋の白い首筋を舐めしゃぶり、貝殻のように可憐な耳たぶを甘く噛む。
千秋は、柔らかく体をひねり、篤の方を向いた。
篤と千秋が、舌を突き出すようにして、淫靡なキスを交わす。
その間も、篤は、腰を激しく動かし、指を乳房に食い込ませて、千秋の快楽の炎を煽り続けた。
「んはあっ、ひ、肥田くぅんっ……! もうダメ……ダメダメっ……! イっちゃう……イっちゃうのっ! あああああン、イ、イ、イっちゃう! イクぅー!」
「いいよっ、千秋さん……! ボクも、もうすぐイクから……んあああっ! あー出る! 出るうっ! セーエキ出るうっ!」
「イク! イク! イク! イク! イク! イクううううううううううぅぅぅぅぅ〜ッ!」
びゅっ! びゅばっ! どびゅ! びゅるるるるるるる! びゅううううううううううー!
「中に……中に出てるゥ……! あああああああああああああああああああぁ〜っ!」
絶頂を極めた膣内に大量の精液が迸り、千秋が、さらなる絶頂に達する。
ねっとりと肉竿に絡み付いていた膣肉が激しく収縮し、射精を続ける篤の肉棒をなおも搾り上げる。
「あっ、あああっ、あふ……ひはあぁぁぁぁ〜……すごいわ……まだ出てるゥ……あああ……ステキぃ……」
「はあ、はあ、はあ……す、すごく出ちゃったよ……。ああ……千秋さん……」
びくびくと痙攣している千秋の体を、篤が、背後から強く抱き締める。
千秋は、恍惚とした表情のまま、絶頂の余韻に浸りきっていた。
「はぁ……」
汗と、体液を吸ったシーツの上で、篤の腕に抱かれながら、千秋は、物憂げな溜め息をついた。
「……どうしたの? 千秋さん」
千秋の髪や背中を撫でながら、篤が訊く。
「私……悪い母親だわ……」
千秋の瞳が、篤の顔を見つめた。
「あの人にもそうだけど……私……真夏や小春に、顔向けできない……」
目尻に涙を浮かべながら言う千秋の額に、篤は、かるく口付けた。
そして、至近距離から、千秋の顔を覗き込む。
「大丈夫だよ……。千秋さん、ボクに言われたこと、きちんとやってるでしょ?」
「うん……」
千秋が、幼い仕草で、肯く。
「だったら大丈夫。きっと、みんなうまくいくからね」
篤は、邪気の見えない顔で、小さく微笑んだ。
「うん……信じるわ、肥田君……」
夫にも見せたことがないような、相手を信頼しきった顔で、千秋は、そう言った。
翌日の日曜日――
真夏は、篤の部屋の前で、何度か深呼吸をした。
呼吸は整っても、頭の中までは整理されない。
脳が、まるでぐつぐつと煮立っているようだ。
昨夜、真夏は、ほとんど一睡もしていない。
しかし、不思議と、眠いとは思わなかった。
右手を上げ、やや乱暴な手つきで、ドアをノックする。
「はい〜?」
間延びした篤の声が、中から響いてきた。
「――真夏です」
抑えた声で、真夏が言う。
「……小春ちゃんなら、来てないけど?」
篤の声は、まるで、笑いを噛み殺しているようだった。
だが、今の真夏には、そのようなことにまで注意が向かない。
「お話があって、来ました」
全身に無意味なくらい力を込めながら、真夏が言う。
ドアが、開いた。
下着姿ではないが、ほぼそれに近い姿――Tシャツと短パンという格好の篤が、玄関に立っている。
「どうぞ」
さりげない仕草で、篤が、入室を促す。
真夏は、小さく肯き、部屋に入った。
その背後で、ドアが、ゆっくりと閉まる。
「……どうしたの? そんなおっかない顔しちゃって」
篤は、そう言って、玄関から廊下に上がった。真夏は玄関に立ったままだ。
真夏が、その小さなこぶしを何度か握り、そして、開く。
「あの――肥田さん」
「なに?」
「お母さんと、どういう関係なんですか?」
無意識のうちに手の平の汗をスカートで拭いながら、真夏が言う。
「肉体関係」
「――ッ!」
篤の短い答えに、真夏は目を見開いた。
「あ、体だけの関係じゃないな。ボクは千秋さんのこと大好きだし、千秋さんも、たぶんそうだと思うよ」
「ウ……ウソですっ!」
真夏は、ほとんど悲鳴のような声で叫んだ。
「なんで嘘だって思うわけ?」
「だ……だって……だって……」
真夏は、声を詰まらせていた。
電車の中で痴態を繰り広げていた母親のことを、思い出す。
あれは、真夏から見ても、強制されてしているような様子ではなかった。
それどころか、むしろ進んで、篤の肉棒を愛撫していたようにさえ、感じられた。
「千秋さんだって、真夏ちゃんや小春ちゃんのお母さんである以前に、女の人なんだよ」
そう言う篤の顔が、真夏からは、逆光になっていてよく見えない。
ただ、その両目だけが、怪しい光をたたえているように感じられる。
「千秋さんから女の人の歓びを奪うだなんて、可哀想でしょ?」
「で、でも……お母さんには、お父さんがいるのに……!」
「今はいないじゃん」
「す……すぐに、帰ってくるもんっ!」
真夏が、まるで子供のような口調で叫ぶ。
「でも、今は、いないよ」
「そんな……だってっ……」
真夏の瞳から、涙が溢れる。
と、不意に、真夏は、篤に抱き締められた。
「なっ……! 何するの? 離してっ!」
「真夏ちゃん――お母さんに、浮気をやめてほしい?」
「あ、当たり前じゃない!」
真夏が、篤の抱擁から逃れようともがきながら、声を上げる。
だが、真夏の力で、篤の腕力に敵うわけもない。
「どうして?」
余裕すら感じさせる口調で、篤が尋ねる。
「どうしてって……このままじゃ、家族がヘンになっちゃう……不幸になっちゃうよっ……!」
「ボクは、千秋さんのこと、不幸にするつもりはないよ?」
「そんなこと言ったって……っ!」
篤の太い腕の中で叫びながら、真夏は、奇妙な高揚感を感じていた。
頭の中に満ちていた熱い興奮に、危険な彩りが、加わっていく。
いつしか真夏は、篤の体温と、そして体臭を、強く意識していた。
「させない……もうさせないもん……! もう、お母さんに浮気なんかさせないんだから……!」
「どうやって?」
「ど、どうやってって……」
「ただ駄々をこねてるだけじゃ、世の中は思い通りにはならないよ」
篤は、真夏が聞いたことも無いような口調で、そんなことを言った。
奇妙な非現実感に、真夏は、足をよろめかせた。
そのまま、篤の胸に体重を半ば預けてしまうような格好になる。
ますます強くなった篤の体臭に、真夏は、なぜかドキドキを胸を高鳴らせてしまっていた。
「例えば――真夏ちゃんが、お母さんの身代わりになるってのは、どう?」
「え……?」
真夏は、篤の顔を見上げた。
篤の表情は、よく分からない。
ただ、その両目だけが、真夏のことを射貫くような光を、放っている。
「篤さん……それ……どういう、こと……?」
「ボクは、千秋さんが好きなんだよ」
ずきん――と、甘い痛みが、真夏の胸の中で跳ねた。
「千秋さんと一緒にいるとすごく楽しいし、千秋さんとのセックスは、すごく気持ちいいんだ」
ずきん――ずきん――ずきん――ずきん――
胸の痛みが、甘い疼きとなって全身に広がり、体の奥底に集まって、下腹部を火照らせる。
「千秋さんのこと諦めるなんて、ボクにはできないよ」
「そ、そんな……」
「でも、真夏ちゃんが、千秋さんの代わりになってくれるなら、ボク、ガマンできるかもしれない」
「お母さんの――代わりに――?」
真夏は、自分の声を、まるで別人の言葉のように聞いていた。
篤の目から、視線を外すことができない。
じわりと、秘裂が湿っているのを、真夏は自覚していた。
「真夏ちゃんに、それだけの覚悟、ある?」
「あ――」
――しゃべっちゃダメ!
――すぐに目を逸らして、この腕を振りほどいて!
――そして、お父さんに相談するの! 何してるの? さあ、早く!
真夏の理性が、頭の中で声を上げている。
だが、真夏は、これまで意識さえしていなかった何かに、すっかり心を奪われていた。
篤の股間が膨らみ、真夏の下腹部に、当たっている。
欲情した男が示す反応を、今、自分は、何枚かの布越しに、感じている……。
それを意識した瞬間、クレヴァスが、新たな蜜を溢れさせ、ショーツを湿らせた。
篤の体臭に、息が詰まりそうになる。
じんじんと耳の後ろが熱をもち、脳は、まるで沸騰するシチューのようだ。
「ホントに……お母さんのこと、あきらめる?」
「うん」
その、素直すぎる返事が真っ赤な嘘であることを、真夏は、本能的に悟っていた。
それでも――
「じゃあ……いいよ……」
真夏は、そう言ってから、恥ずかしそうに篤の胸に顔を埋めた。