第7話
「――真夏さん」
「はい……? あ、桜さん」
夕方、帰宅途中に呼び止められて真夏が振り向くと、そこに、本条桜がいた。
「あのね、天城さんから預かったものがあるんだけど……」
「美鶴さんから? いったい何だろ」
桜の言葉に、真夏が小首をかしげる。
桜は、ちょっと待って、と言ってから、カバンの中を探った。
ほどなくして、色画用紙の短冊を数枚、取り出す。
「はい、これ、学園祭のチケット」
「うわあ、ありがとうございます!」
真夏が、満面の笑顔を浮かべながら、チケットを受け取る。
「三枚あるから、小春ちゃんやお母さんも誘ったらいいんじゃないかな?」
桜が、穏やかな微笑みを浮かべながら、言う。彼氏と一緒に、という発想は無いらしい。
「……お母さんと、ですか」
真夏は、一転、複雑な表情を浮かべた。
「あ、私、ヘンなこと言っちゃった?」
「え……? ううん、そんなことないですけど」
真夏は、ふるふるとかぶりを振る。
「じゃあ、どうしたの? 何だか心配事があるみたいだけど」
「んー……心配事って言うか何て言うか……」
真夏は、話すことを逡巡するように、視線を宙にさまよわせた。
「あ……もちろん、立ち入ったことを聞くつもりは無いんだけど……。もし、私に相談できることがあったら、と思って」
「ありがとうございます……」
桜の言葉に、真夏が、素直に礼を言う。
「いや、そのう……もちろん、あたしの勘違いって可能性もあるし……って言うか、そうだといいなあって思ってるんですけど……」
真夏の持って回った言い回しを、桜が、真剣な顔で聞く。
「その……お母さんが、最近、ちょっとヘンなんですよ」
「ヘン?」
「はい」
真夏の顔に、冗談を言ってるような様子は無い。
「具体的にどうなのか、訊いていいかしら?」
「そ、そうですね……えーっと、何て言えばいいかなあ……」
真夏は、んー、と小さくうなった。
「だから、そのう……お化粧に気合が入ってきたみたいな……」
「お化粧?」
「はい。えっと、それだけじゃないんです。服とか、髪形とかのことも、すごく気にしてて……オバサンぽく見えないようにしてるみたいで」
「でも、もともと、管理人さんてすごく若く見えるけど?」
「そうですか? ……うーん、でも、それだけじゃないんですよね」
真夏が、もどかしげに言葉を探す。
「何か、ヘンに明るいんですよ」
「明るいって……いいことじゃない」
「そ、そうかもしれないですけど……えっと、お母さんって、お父さんが単身赴任になってから、ちょっと元気無かったんです。でも、そんなお母さんが、最近は何だか元気になって……」
「…………」
桜は、静かな表情を保ち、先を促した。
「だから、その……あたし……もしかして、お母さん……お父さん以外に好きな人ができたんじゃないかなって……」
「え……?」
「もちろん、その、証拠とか全然無いし、お母さんがそんなことするわけないとも思うんだけど……でも……」
「……浮気してるんじゃないかってこと?」
「はい……」
口に出して言うことで、余計に疑惑が深まったのか、真夏が、眉を曇らせる。
桜は、少しだけ考え込んでから、口を開いた。
「えっと……私は、管理人さんに限って、そんなことないと思うな」
「そ……そうですか……?」
「うん。他人の私がこんなこと言うの、真夏ちゃんはいやかもしれないけど」
「そ、そんなことないです!」
真夏は、勢いよく言った。恐らく、ことの真偽を確かめたいという気持ちよりも、自らの疑惑を否定する言葉への欲求の方が強かったのだろう。
桜は、そんな真夏の気持ちを、よく分かってるようだった。
「これは予想なんだけど……お母さんが楽しそうなのは、もしかして、お父さんが近いうちに帰ってくるからじゃないかしら?」
「え……お父さんが?」
「うん、きっとそうよ。でも、真夏ちゃんや小春ちゃんを驚かそうと思って、黙ってるんじゃないかな?」
「そ……そっか……そうかもしんないですね……」
真夏は、表情を緩めながら、そう言った。
「お母さん、子供っぽいところあるから……それで、内緒にしてるのかも」
「かもしれないわね。……だから、そんなふうにお母さんのこと疑っちゃいけないと思うの」
「そうですよね。ごめんなさい」
真夏は、まるで、桜が自分の母親その人であるかのように、ぺこん、と頭を下げた。
そして、顔を上げてから、えへへ、と照れ隠しのように笑う。
「何か、人に話したらスッキリしました。こんな話聞いてくれてありがとうございます」
「い、いいのよ、そんなこと」
真正面から礼を言われて、桜は頬を染めた。
「うふふっ……桜さんて、いい人だなあ〜」
「そ、そうかな……」
「そうですよ!」
真夏は、笑顔のまま、力強く断言した。
「じゃあ、さよなら! あと、チケットのこと、美鶴さんにお礼言ってください!」
「うん、分かったわ」
穏やかに微笑みながら、桜が、家の方に小走りに駆けていく真夏を見送る。
真夏が視界から消えてしばらくしてから、桜は、ふーっ、と溜め息をついた。
「あーあ……いいかげんなこと言っちゃった……」
その顔には、どこか疲れたような表情が浮かんでいる。
「いい人、か……バカみたい……」
そう、小さく独り言をつぶやき、桜は駅に向かって歩きだした。
朝はバロネッサ、午前中は千秋、そして、午後は美鶴――
それぞれの都合で来れなかったり時間がずれたりする日もあるが、篤は、基本的にはそんなローテーションで彼女たちの相手をしていた。
そして、恐るべきタフさを見せて、夕方からバイトに出掛け、夜遅くに帰る。
そんな充実した毎日を送りながら、篤は、少しずつ変わっていった。
巨体に似合わぬおどおどとした態度がなりを潜め、態度や言動に自信が滲み出てきたのである。
もともと頭が悪いわけでもないし、極端に体力が無いわけでもない。なるほど、その趣味や嗜好は世間的にあまりステータスの高いものではないかもしれないが、わざわざそれを吹聴しなければ、どうということはない。
そういうわけで、篤は、ごくごく自然体でバイトをこなすことができた。
今は、イジメを原因に仕事を辞めてよかったとさえ考えてる。
思わずアニソンの一つでも口ずさみそうになりながら部屋に帰ると、ドアの前に、誰かがぐったりと座り込んでいた。
「……本条さん?」
見ると、それは、確かに本条桜だった。
「ど、どうしたの? そんなところで」
「はい〜」
体操座りの姿勢のまま、のろのろと、桜が顔を上げる。
顔が赤く、目がどんよりと濁っている。どうやらかなり泥酔しているらしい。
「ドアがですね〜、開かないんですよ〜」
「ドアって、このドア?」
「もちろんじゃないですか〜」
あはははは、と、桜が力無く笑う。
「カギがですね〜、まわんないんですよ〜」
「そりゃあ……だって、ここ、ボクの部屋だし」
「どこがですか〜」
「どこって、だから、このドア。本条さんの部屋は二階でしょ?」
「そうですよ〜。この部屋です〜」
「いや、そうじゃなくて……部屋に戻るには、階段上らないと」
「やですよ〜。階段なんていやです〜」
「そんなこと言ったって、上らないと帰れないでしょ」
「…………」
桜が、黙り込む。
何かを考えているわけではなさそうだ。恐らく、自分が、部屋のドアを間違えてるということすら、理解できていないのだろう。
しばらくしてから、こて、と桜は顔を伏せた。
「ほ、本条さん?」
「……気持ち悪い」
あからさまに嘔吐を堪えてるような声で、桜が言う。
「あ、う……えーと、ちょっと……」
「……吐きそうです」
「――分かった、ちょっと待って」
篤は、自らの部屋のドアを開けた。
「あぁ〜、開くじゃないですか〜……肥田さん、ずるいです〜……」
「ずるいって言っても、ここはボクの部屋だし」
「……吐きそうです」
会話が、成立しない。
「立てる? ほら、トイレ行こう?」
「ふゎい……」
素直にそう返事をして、桜が立ち上がろうとする。
篤は、今にも倒れそうな桜の華奢な体を支え、部屋に上げてやった。
そして、そのままトイレに案内する。
「一人で大丈夫?」
「ふゎい……」
「じゃあ、えっと、ドア閉めるね。何かあったら呼んで」
「ふゎい……」
うつむいたまま、桜が返事をする。
篤は、手の平に残る服越しの桜の感触を反芻しながら、台所に入った。
まだわずかに理性と羞恥心が残っていたのか、激しく水の流れる音が、まず、響いた。
「すいません……ご迷惑おかけして……」
テーブルの前で、桜が正座をして小さくなっている。
まだ、頬はほんのりと赤く染まったままだが、ある程度、酔いは覚めたらしい。口調も、普段どおりだ。
「別に、気にしないで」
篤は、恩に着せる様子も無く、そう言った。
「すいません……」
桜が、華奢な体をますます縮こまらせる。
「みつ……じゃなくて、天城さんは一緒じゃなかったんだ?」
「はい……。私があんまり酔っ払ってるから、先に帰りなさいって……タクシー呼んで、乗っけてくれました……」
「ふーん、なるほどねえ」
「たぶん、お金も先に出しちゃってくれてるんだと思います。私、払った覚え無いですから」
意外と世話好きな美鶴のことだ。それは、充分に有り得るだろう、と篤は思った。
「でも、意外だなあ」
「何が、ですか?」
「優等生の本条さんが、あんなふうに酔っ払うなんてさ」
篤は、特に深いつもりもなく、そう言った。
そもそも、アルコールよりもスイーツを好む篤としては、ここまで前後不覚になるほど酒を呑む理由が分からない。
「私だって、酔いたい時くらい、ありますよ」
少しむっとしたような口調で、桜が言う。
「あ、ごめん」
「い、いえ……私こそ、すいません……」
反射的に詫びを言った篤に対し、桜がまたも小さくなる。
「ただ……私……別に、優等生なんかじゃ……」
「そうなの?」
派手さの無い、落ち着いたデザインのワンピースをまとった桜を見つめながら、篤が訊く。
「はい……。良い子ぶってるだけです……」
「…………」
篤は、よっこらしょ、と腰を上げた。
そして、茶色いビンに入った例の乳酸飲料の原液を、冷水で薄め、桜の前にさりげなく差し出す。
「――これ、飲む?」
そう言う篤の表情には、何かを企んでるような様子など、カケラも見えない。
「ありがとうございます……」
桜は、早くも透明な汗をかき始めたグラスを受け取り、ストローに口をつけた。
そして、ふう、と短く溜め息をつく。
「私……いい人なんかじゃないんですよ……」
桜が、独り言のような口調で、そう言った。
「――親にもらった縫いぐるみのクマさんを、カッターでずたずたにしたことだってあるんですよ」
「え……?」
さすがに、篤は驚きの声を上げた。
「意外ですか?」
「……うん」
返事をする篤に、桜は、くすりと笑いかけた。
「私、子供のころから、いろいろ習い事をさせられてたんです」
そう言いながら、桜が、右手の指先で、リズム良くテーブルを叩いた。
「特に、ピアノとか、いっぱいさせられました。……私、それがイヤでたまらなかったんです」
「へえ……」
「私、妹いるんですけど、妹の方は、いつも習い事から逃げてばっかりでした。そのせいか、親は余計に私に期待かけちゃったみたいなんですね……。たまたま、コンクールで運よく賞とか取ったりしたから、ますます期待しちゃって……クマさんの縫いぐるみは、そのコンクールで賞を取ったご褒美だったんです」
「――それで、その縫いぐるみのこと、嫌いだったわけ?」
「ん……嫌い、だったのかな……そうかもしれないですね……」
そう言って、桜は、再び乳酸飲料で喉を湿らせた。
「妹は、その縫いぐるみ、すごく羨ましがってたけど……私は、別にどうでもよかったんです……。それよりも、どんどんキツくなる習い事が、嫌で嫌で……それで……」
桜が、黒い瞳を、篤に向けた。
「それで、カッターを持って、部屋にこもって……手首切って死んじゃおうかな、なんて思ったんですよ」
「それは――」
「もちろん、そんなことできやしませんでしたけどね。その頃、まだ小学生だったけど、とてもそんな勇気なかったんです」
「……で、代わりに、縫いぐるみを?」
「そうですね。……今思えば、子供っぽいかんしゃくだったんだと思います」
桜が、ストローで、乳白色のドリンクを飲む。
その顔が、再び紅潮していくのを、篤は、じっと見つめていた。
「それで……クマさんの惨殺死体を見つけた親は、これ、妹の仕業だと決めつけたんです」
「…………」
「親は、妹のこと、すごく叱りました。もちろん、妹は身に覚えがないから、すごい剣幕で否定して……それで、余計にこじれちゃったんですよね。でも、親も、妹も、まさか私がやったとは思わなかったみたいです。私、すごく良い子ぶってましたから」
「そっか……」
「結局……私は、言い出せませんでした。妹は、それがきっかけでますます反抗的になっちゃって……今も、親とは折り合い悪いです。あんまり家に帰ってないみたいで……」
桜が、長々と溜め息をつく。
その瞳は、涙でうるうると潤んでいた。
「……桜ちゃんは、反省してるんでしょ?」
ごく自然に苗字でなく名前でそう呼びながら、篤が顔を近付ける。
「はい……実は、妹にも、前に電話で謝ったこと、あるんです」
「…………」
「でも、妹は、そんなこと忘れてるみたいで……ううん、ほんとは、私のこと許す気が無いから、わざと忘れたふりしてるのかも……」
「桜ちゃん」
篤が、その大きな手で、桜の小さな手を包むように握った。
「え……?」
不意を打たれたように、桜が、うなだれていた顔を上げた。
その唇から漏れる息が、熱く濡れている。
「ボクが、代わりにお仕置きしてあげようか?」
「おしおき……?」
不思議そうな表情を、桜がその童顔に浮かべる。
「そう、お仕置き」
んくっ、と桜は、口の中の唾を飲み込んだ。
そして、しばし間を置いてから、かすかに震える唇を開く。
「は……はい……お仕置き、してください……」
「うん、してあげる」
篤が、桜の体を引き寄せる。
桜は、されるがままに、篤の巨体にもたれかかった。
篤の顔に、にんまりとした笑みが浮かんだが、桜からは見えない。
「じゃあ、お尻ペンペンするからね」
そう言って、篤は、桜の細い体を、自らのあぐらの上にうつ伏せにした。
桜の体温が、下半身に伝わってくる。
篤は、右手で、桜の小さなヒップを撫で回した。
「ん……」
桜が、眉を寄せ、小さく声を上げる。
「いくよ」
「は、はい……おしおき、お願いします……」
桜の声は、か細く、そして、何かを期待しているかのように、かすかに震えていた。
篤が、桜のワンピースをまくりあげ、ショーツに包まれたヒップを露わにした。
「直接、叩くからね」
「はい……」
桜が、小さな声で答える。
篤は、清楚なデザインの桜の白いショーツを、ゆっくりとずり下ろした。
まぶしいくらいに白い尻肉が、空気に触れ、わずかにおののく。
「いくよ――」
篤は、右の平手を、桜の可憐な尻に振り下ろした。
――ピシャッ!
「あうっ……!」
ひくん、と桜の体が震える。
その躍動を布越しに感じながら、篤は、さらに右手を振り下ろした。
ピシャッ!
「うぐっ……!」
ピシャッ!
「んくう……!」
ピシャッ!
「あうううう……!」
「桜ちゃんは、本当に悪い子だね……!」
ピシャッ、ピシャッ、ピシャッ……!
「あっ、あううっん、あひいン……! ハ、ハイ……桜は悪い子です……あああっ……!」
「お姉さんなのに、妹をひどい目に合わせて……! いけない子だよっ……!」
篤が、微妙に力を加減しながらも、桜の尻を叩き続ける。
ピシャッ、ピシャッ、ピシャッ、ピシャッ、ピシャッ……!
「あっ、ああっ、あひい……ッ! ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! あああン!」
どこか官能的な悲鳴をあげながら、桜が身をよじる。
篤は、そんな桜の体を左手で押さえ付け、さらに右手を振るった。
鋭い音が連続して響き、白かったヒップが赤く染まっていく。
「あひっ! ひいいいン! うああああっ、あぅ、あああっ、あああああっ……! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! あひいい、ゆ、許してっ……! あン! あああン!」
「ほら、最後に一番痛いのいくよっ……!」
「ああああぁぁ……ごめんなさい……ごめんなさいぃ……もうしないから、ゆ、許してぇ……」
まるで、幼女に戻ったような声で、桜が哀願する。
パチィーン!
篤が、ひときわ大きな音を、平手で響かせる。
「あああああああぁぁぁぁ……っ!」
びくびくと、桜は体を痙攣させた。
メガネの奥の瞳からは、ぽろぽろと涙がこぼれている。
篤は、はぁはぁと息をつきながら、右手の指先を桜の足の間に差し込んだ。
「あうン……!」
火照った体の芯にいきなり触れられて、桜が、甘い声を上げる。
「ふふふ……桜ちゃん、お股が濡れちゃってるよ?」
「あ……あうう……」
最初、桜は、何を言われてるのか分からないといった様子で、虚ろな表情を篤に向けた。
「ここが、すごく濡れてる……お仕置きがきつくてオモラシしちゃったのかな?」
そう言いながら、篤が、太い指で桜のクレヴァスをまさぐる。
桜は、その時初めて、自分の秘唇が恥ずかしいほどに愛液を分泌してしまったことに気付いたようだった。
「あっ、あああっ……わ、私……あう、あくうン……」
「ふへへ……これ、オシッコじゃないよねえ……。もっと恥ずかしい汁をお漏らししちゃったのかな、桜ちゃんは……」
「あ、あううっ……あひいン……ご、ごめんなさい……あああああっ……」
「まったく、お尻を叩かれてこんなに濡らしちゃうなんて……桜ちゃんはホントにいけない子だなあ」
「い、いやぁン……言わないでください……あっ、あうううっ、あく……はひいいぃ……」
桜は、必死で口を閉じようとするが、その隙間から、絶え間無く甘い喘ぎが漏れ出てしまう。
熱く火照った体が、篤の指によって快楽を覚えていることを、桜は、認めざるを得なかった。
「あああぁぁ……わ、私……私っ……あっ、あくう、あふ……んあああああン……」
羞恥と快楽によって甘く煮詰められた罪悪感に、桜がたまらず身をよじる。
篤は、柔らかく綻びだした桜の花弁に浅く指を潜り込ませ、蠢かせた。
「あああ……も、もうダメ……ダメですぅ……あひいいン……あん、ああん、あく、んひいいっ……!」
「すごい……ぐちゅぐちゅになってるよ……。桜ちゃんて、ホントにいやらしいんだね」
「そ、そんな……あっ、あうううっ、あく……あっ、ああぁ〜っ……!」
桜が、声を上げながら、ぶんぶんとかぶりを振る。
「ふひひ……エッチな桜ちゃんのここに、もっとキツいお仕置きしてあげようか?」
指を膣口に浅く抽送させながら、篤は言った。
「あひ、はひ、はひい……もっと……おしおき……?」
「そうだよ……。ボクのチンポで、桜ちゃんのオマンコにお仕置きするんだよ……。どう?」
「あああぁぁぁ……」
きゅうっ……と桜の体に、甘い緊張が走る。
「し、して……してください……桜におしおき……あふうン……」
「――いいの? 桜ちゃん、初めてだよね?」
「い、いいんです……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……私……もっと、おしおきされたい……です……」
「うひひひひ……じゃあ、してあげるからね……」
篤は、桜の体を床に四つん這いにし、自らは膝立ちの姿勢を取った。
そして、まだうっすらと赤みの残るヒップを、両手で撫で回してから、ペニスを露出させる。
それは、すでに勃起し、凶暴なほどに反り返っていた。
「ほら、こっち見てごらん……。これが、桜ちゃんにお仕置きするんだよぉ」
「……ひっ!」
桜が、背後に目をやり、息を飲む。
「そ……そんなの、入れちゃうんですか……?」
「そうだよ。……恐いかい?」
「ああ……すごい……そんなに大きいなんて……あううぅぅ……」
メガネの奥の瞳に怯えの色を浮かべながら、桜が可憐な唇を震わせる。
「どうする? やめる? ボク、無理やりするのは好きじゃないんだよね」
「はぁ、はぁ、はぁ……いえ……してください……。桜に、お仕置き……お願いします……」
声に、恐怖と、そしてマゾヒスティックな期待を滲ませながら、桜が言った。
その慎ましやかな外観の秘唇は、透明な液を溢れさせ、自らの太腿の内側を濡らしている。
篤は、桜のワンピースを大きくまくり上げ、細い腰に左手をかけた。
そして、右手でペニスの角度を調節し、濡れそぼるクレヴァスに押し付ける。
「ああ……」
桜は、観念したように目を閉じ、きゅっと小さなこぶしを握った。
篤が、ゆっくりと腰を進ませる。
「あ……あう……あああ……あはぁっ……くひいいい……」
まだ熟し切らない果実を思わせる桜の秘肉を、篤の亀頭が割り広げていく。
「あっ、あああ、あう……くひ、ひっ、んひいっ……!」
体を引き裂かれそうな苦痛に、桜は、目に涙を滲ませながら歯を食いしばった。
「ん……これ、桜ちゃんの膜かな……?」
先端に、わずかな抵抗を感じ、篤がつぶやく。
だが、桜は、答えるどころか、そもそも篤の言葉を聞く余裕さえ失っている様子だ。
「いくよ……」
ずずずずずずず……。
見事に傘を張った亀頭が、汚れを知らない膣内をこすりながら、さらに前進する。
「ひいいいいいいいン!」
ぶつっ……と体の最奥で何かが千切れたのを、桜は感じていた。
その鮮烈な痛みに、体内を圧迫される重苦しさが、追い打ちをかける。
「あっ、あああっ、あう……はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
視界が赤く染まるほどの苦痛に、桜が、犬のように喘ぐ。
「うう……すごく締まるう……。さ、桜ちゃん、だいじょうぶ……?」
ペニスを包み込む強烈な快感に表情を緩ませながらも、篤は、一応桜を気遣って見せた。
「は、い……だいじょぶ、です……うくくくく……それより……おしおき、続けてください……んぐう……」
「うん……そこまで言うなら、してあげるよ……」
篤は、桜の膣内に深々と突き刺さった肉槍を、前後に動かし始めた。
「あ、あう、あひい……こ、こすれるっ……きひいいいン……!」
破瓜の鮮血と愛液にまみれたシャフトが、引き伸ばされた秘唇を出入りする。
篤は、桜の柔肌に指を食い込ませながら、処女肉の感触をペニスで堪能した。
「あう……あ……あひい……イタイ……イタイ……イタイぃ……あううううう……イタイよぉ……んひいン……」
桜が、細い声で、苦痛を訴える。
だが、その表情には、少しずつ陶酔の色が混じり始めていた。
「あう……あ、ああン……あくう……私、おしおきされてる……いっぱいおしおきされてるう……あくう……あっ、あふう、あああ……んくうううっ……」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……だんだん、中がヌルヌルになってきたよ……うひひひ、気持ちイイ……」
潤いを増してきた桜の膣内の感触に、篤がだらしない笑みを浮かべる。
「桜ちゃん、感じてるんだね……痛いのに感じちゃってるんだ……」
「あっ、あああっ、そ、それは……あん、あふうん、あくう……あひ、あひ、あひ、あひい……!」
次第に速くなっていく篤のピストンに、桜は、押し潰されるように肘を折った。
「こんなに痛いお仕置きで感じちゃうなんて……桜ちゃん、マゾなんでしょ? お仕置きされるのが大好きな変態サンなんだよね?」
「あうっ、あっ、あああン……そんなっ……あうっ、あああン……!」
「ああっ、今、オマンコがきゅーっとなったよ……! マゾって言われて余計に感じちゃったの?」
「あああっ……い、いやぁっ……は、恥ずかしいですっ……! あうっ、あうううン、あふ……あくうううっ……!」
「うああ、す、すごい……オマンコの中、すごくきゅんきゅんしてる……! やっぱマゾって言われて興奮してるんだよね! はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
「ああああっ……! そ、そんなに激しくう……! あくうっ、あう、あううう、あひ、くひいいいいいっ……!」
初めて男を迎え入れた膣内を乱暴に蹂躙され、桜は、嗚咽のような声を漏らした。
だが、その幼さを残した清楚な顔には、恍惚とした表情が浮かんでいる。
唇の端から涎を垂らしながら、桜は、自らが凌辱されていることに酔いしれていた。
「ほら、マゾの桜ちゃん、もっとオマンコ締めて……! それから、お尻もいやらしく振るんだよ……! ほら、ほら、ほらっ……!」
「うあああああっ! ダメぇ……あうっ、あっ、あひいいい……ダメなのぉ……桜、ダメになっちゃいますう……! ああああ、ダメダメダメダメぇ……!」
「ダメじゃないでしょ? 桜ちゃんは変態だから、こんなふうにレイプされるみたいなエッチで感じちゃうんだよね? そうなんでしょ? ヘンタイ桜ちゃんっ!」
「ひいいいいいいっ! そ、そうですうっ! か、感じちゃう……感じちゃうっ……! お、おしおき、気持ちイイよお……! あああああ、あひいいいいいいい!」
今や愛液の滴が飛び散るほどに激しくピストンされながら、桜は、あからさまな嬌声を上げていた。
篤の腰がますます加速し、桜の可憐なヒップをびたびたと叩く。
「やあああっ! も、もうダメ! ダメぇっ……! イっちゃうっ! イっちゃいますっ! あああああ、おしおきでイっちゃうううううぅ〜!」
「ハァ、ハァ、ハァ……初めてなのにイっちゃうの? 桜ちゃん、やらしすぎるよ……くううううう……!」
「あああ、ご、ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさいッ! あ、も、もう、イっていいですか? あああ、あひ、あひ、あひい、んひいいいいいン!」
「い、いいよ……ボクも、もう……おおおおおおおお!」
「あああああああああああああああああああ! イク、イク、イク、イクうううううううぅ〜!」
ぶびゅっ! ぶぶぶ! ぶびゅ! ぶびゅー! びゅびゅびゅびゅびゅびゅ!
絶頂に達した桜に一瞬遅れて、篤が、大量のザーメンを迸らせる。
「んひいいいいいいいいいいいいいいいいっ! 熱いッ! 熱いよぉ〜! あああああ、またイク! またイっちゃうううっ! イ、イ、イ、イクううううううぅ〜!」
普段からは考えられないような絶叫を上げ、桜が、立て続けに絶頂を極める。
篤は、根元までペニスを挿入させた姿勢で、何度も腰を震わせ、最後の一滴まで、桜の膣内に注ぎ込んだ。
狭いユニットバスの中を、湯気と、シャワーの音が満たしている。
「…………」
桜は、真っ赤になって押し黙ったまま、シャワーの湯滴を浴びていた。
そんな桜の体を、篤が、背後から抱き締め、まさぐっている。
二人とも、もちろん全裸だ。
篤は、滑稽なほどに優しい手つきで、桜の体を洗っている。
桜は、されるがままだ。
「桜ちゃんて、マゾだったんだね」
篤は、桜の髪の匂いを嗅ぎながら、そう言った。
「い、いや……。恥ずかしいです……」
そう言いながらも、桜は、篤の言葉を否定しようとしない。
「……どう? 桜ちゃん、ボクの奴隷にならない?」
何でもなさそうな口調で、篤は言った。
「肥田さんの……奴隷……?」
桜が、オウム返しに繰り返す。
「うん、そう……。ボクだったら、桜ちゃんが悪いことしたとき、きっちりお仕置きしてあげられるよ」
石けんの泡にまみれた篤の指が、桜の薄い胸の頂点にある乳首を、ソフトに転がす。
「あ……そ、その……あふ……んくぅ……」
「ねえ、どう……?」
篤は、するりと右手を桜の股間に滑り込ませた。
そして、あれほど蹂躙した秘唇を、優しい手つきで撫でさする。
「あ、あうぅ……はふぅン……」
桜の細い体から力が抜けていき、くたくたと篤にもたれかかっていく。
「は……はぃ……私……奴隷になります……」
篤に全身を愛撫されながら、うっとりとした声で、桜が言った。