出たとこロマンサー



第十二章



「んむ……ちゅっ、ちゅぶ、ちゅぷっ、んちゅ……ちゅぶ、ちゅぶぶっ……」
「んふっ、んふぅ……んむ、むむむむ……れろ、れろろっ……んふぅん……」
 ゼルナさんとイレーヌさんが、悩ましい息を漏らしながら、俺の下半身を舐め回している。
 二人とも、ドレスを未だまといつつも、胸元を大きく開き、その巨乳を露わにした状態だ。
 一方、俺は、ベッドの上に両足で立ち、自分の股間に顔を埋めているイレーヌさんの頭に、両手を置いていた。
 ともすれば、腰がひとりでに動き、イレーヌさんの唇を乱暴に犯しそうになってしまう。
 そして――時折、上目使いで俺を見つめるイレーヌさんの表情は、そんな仕打ちを期待しているようにも見えるのだ。
 一方、ゼルナさんは、後ろから俺の下半身に口元を寄せ、あろうことか、排泄のための器官にその舌を這わせている。
 まさか、こんな場所を、しかも口で愛撫されることがあるなんて、思いもしなかった。
 しかも、それが、腰が砕けそうになるほど気持ちがいいなんて――
「ふふっ……トール君の肌、鳥肌が立ってるわよ……」
 甘く妖しい声で言いながら、ゼルナさんが、手を前に差し出し、俺の陰嚢に触れる。
「んっ……ううっ……あ……」
 中の玉を転がすような感じで優しくまさぐられ、俺は、思わず声を上げてしまった。
「んふ……可愛いわ、トール君……チュッ」
 ゼルナさんが、俺の肛門にキスをして、ねろねろと舌を動かす。
 さらに、体の中にまで舌先を入れられ、俺は、ゾクゾクと背中を震わせた。
「んふ……もうすぐなんですね、トール様……んむ、んぶぶぶっ」
 イレーヌさんが、俺のペニスを、深々と咥え込む。
「んむむっ、ちゅぶ、んむっ、んちゅ、ちゅぷぷ、じゅぶぶっ……」
 イレーヌさんが頭を前後に動かし、卑猥な音がその口元から漏れる。
 きゅっとすぼまった唇と、蠢く舌、そして、滑らかな感触の粘膜が、俺の肉棒全体を扱くように刺激する。
「ちゅぶ、ちゅぶぶっ、んちゅ、ちゅぼ、ちゅぼぼっ、ちゅぼ……じゅぶ、んじゅっ、じゅぶ、ちゅぶうっ……」
「んちゅっ、ちゅっ、ちゅぷ、ちゅぱっ……ハァハァ……レロレロレロ……ちゅむむ、ちゅぶっ、ちゅっ……んっ、んちゅうっ……」
 ペニスを激しく吸引され、直腸に舌をねじ込まれて、腰の中で痛いくらいに射精欲求が高まっていく。
 きゅっ、きゅっ、と陰嚢を揉むゼルナさんの指の動きまでが、俺の射精を促しているようだ。
「あ、あっ……で、出ます、出るッ……!」
 ドビュッ!
 俺の声は射精とほぼ同時で、だから、イレーヌさんに対する警告には全くならなかった。
「んぶ、んむむっ、うぐ……うぶ、うぶぶっ!」
 ドピュッ、ドピュッ、と迸る精液を、イレーヌさんが、全て口の中で受け止めてくれる。
 ゼルナさんの舌と指は、なおもアヌスと陰嚢を刺激し続けており、射精の快感をいつもの何倍にも高めていた。
「んぐ、んぐぐっ、うぶ……んくっ、んくっ、んくっ……ぷはぁ……ああ、トール様……とっても濃くて素敵でした……うふっ」
 イレーヌさんが、あでやかに微笑んでから、ちろりとその舌で自らの唇を舐める。
「もう、イレーヌったらずるいわ。わたくしにも残してほしかったのに……」
 ゼルナさんが、まるで子供みたいに頬を膨らます。
「でも……まだまだトール君は行けるわよね?」
 そう言って、ゼルナさんは、唾液に濡れた俺の肛門にぬるりと指を差し込み、その中を刺激した。
「うあっ!」
 まだ萎えきってなかったペニスが、あっというまに力を取り戻す。
「次は、わたくしよ……うふふ、イレーヌとの違いを楽しんでね」
 ゼルナさんが、俺の右側に回り込み、肉棒に手を添えて、横咥えにする。
 そのままぽってりとした唇を滑らされるだけで、えもいわれぬ快感が走り、俺は膝をカクカクと震わせてしまった。
「無理しないでいいのよ。楽な姿勢になってね」
 優しくそう言われて、俺は、ベッドに横たわった。
 そんな俺の肉竿をゼルナさんのたっぷりとした巨乳が、ぎゅっと挟み込む。
 そして、ゼルナさんは、かろうじて顔を出した俺の亀頭に、愛しげにキスの雨を降らせた。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……ふふ、ヨダレなんて垂らして、はしたない子ね……でも、可愛いわ……」
 ゼルナさんの亀頭への口付けが、徐々に大胆なものになっていく。
「トール様……」
 快楽に喘ぐ俺の口元に、左側から、イレーヌさんが唇を寄せる。
「んちゅっ……ん、んむ、んちゅぅ……ちゅぷぷ……」
 口付けを交わすと、かすかに、俺の放った精の匂いを感じた。
 そのことに、なぜかますます興奮してしまい、鼻息を荒くしながら激しく舌を絡め合う。
「ちゅぶ、ちゅぶっ、ちゅぱ……ぷはっ……ああぁ……トール様……」
 イレーヌさんが、俺の首筋に唇を滑らせ、胸元に舌を這わせてくる。
 そのまま、左の乳首を口に含まれ、俺はおもわず仰け反ってしまった。
 イレーヌさんが、うっとりと目を細めながら、俺の左右の乳首を交互に口で愛撫する。
 はぁはぁと息を弾ませながら、俺は、右手でゼルナさんの胸を、左手でイレーヌさんの胸を、それぞれ鷲掴みにした。
「あぁんっ」
「きゃうっ」
 耳にしただけで脳がとろけそうなほど可愛い声を、二人が上げる。
 俺は、全身を包む淫らな快楽に瞼を閉じながら、手の中のたわわな乳房を揉みしだいた。
「あううん……トール様……トール様ぁ……んふっ、あふぅン……ペロペロペロ……」
「はふ、はふぅ……ん、もう、乱暴ね……んふふっ、でも、気持ちいいわ……ちゅぶっ、ちゅぶぶっ」
 イレーヌさんとゼルナさんが、ますます情熱的に舌を動かし、俺を追い詰めていく。
「うっ、うああっ……も、もうっ……あああっ!」
 ブピュッ!
 脳天が痺れるほどの快感に声を上げながら、俺は、またも射精した。
「んぶっ、ぷふうっ……あっ、あっ、す、すごいわ……熱いぃ……す、素敵よぉ……ああぁ〜ん」
 激しい勢いで迸る俺のザーメンを、ゼルナさんが、その美貌で受け止める。
 快楽の余韻にどっぷりと浸りながら、俺は、はあはあと肩で息をした。
 ほとんど間を置かずに三発も精を放ち、頭の中に、薄桃色の霧がかかる。
「あン……もう降参なの?」
 朦朧とした意識の中で、俺は、笑みを含んだゼルナさんの声を聞いた。
「うふふ、いいわ……トール君の体力が回復するまで、すごいことして楽しんじゃうんだから……」
「えっ……あ、ああんっ、お母様、何を……きゃんっ!」
 馬鹿でかいベッドの上、俺のすぐそばで、どたん、ばたん、と音がする。
 俺は、どうにか呼吸を整え、うっすらと瞼を開いた。
「なっ……!」
 驚愕の声を、上げる。
 シーツの上で、ゼルナさんが、イレーヌさんを組み敷いている。
 二人のドレスは大きく乱れ、その乳房はおろか、しなやかな脚の付け根まで剥き出しの状態だ。
 そして――ゼルナさんの股間には、本来ならば有り得べからざるものが、そそり立っていた。
「ゼ、ゼルナさん、それは……!」
「うふふ、驚いた? 実はね、わたくし、イレーヌとミスラの母親ではあるけど、ニケとスウにとっては父親なの」
 そう言って、ゼルナさんが、イレーヌさんの股間に、牡の器官の先端を近付ける。
「ああっ、ま、待って、お母様! ト、トール様の前で、こんなっ……!」
「何を言っているの、イレーヌ。あなたのここ、とっても濡れているわ」
 ゼルナさんお言葉どおり、イレーヌさんの秘裂は、ヌラヌラと光を反射させるほどに、蜜を分泌していた。
「旦那様の前で犯されそうになって、興奮してるんでしょう? イレーヌってば、おしとやかそうに見えて、とっても淫らな子ですものね」
「そんな……ああっ、だめ、だめです! い、入れないでッ!」
 イレーヌさんの懇願も空しく、ゼルナさんが、その男根をクレヴァスに侵入させる。
「あああっ……すごいわ、イレーヌ……ううんっ、き、気持ちいい……」
「あ、あああぁぁ……ご、ごめんなさい、トール様……わ、私……あうううぅン!」
 肉棒を根元まで挿入され、イレーヌさんが、明らかな快楽の声を上げる。
「んふ、んふふふっ……トール君が童貞を捨てた穴を、奪っちゃったぁ……これでもう、トール君とは姉弟ね」
「ゼ、ゼルナさんっ!」
 何かで詰まっていたようになっていた俺の喉から、ようやく、声が迸り出た。
「怒ってるのね、トール君……特に、オチンチン……すごい怒り方よ……」
「うっ……」
 ゼルナさんの指摘どおり、俺の股間では、ペニスが、節操なく勃起を回復させていた。
「とっても素敵よ……ねえ、トール君、それで、わたくしのアソコにお仕置きして……」
 俺は――意味不明のうめき声を上げながら、イレーヌさんを犯すゼルナさんの後ろに回り込み、そのドレスのスカートを引き千切った。
 そのまま、視界が赤く染まるほどの激情と興奮に衝き動かされ、ゼルナさんの秘唇を一気に貫く。
「んひいいいいいいっ!」
 俺の容赦のない突き込みに、ゼルナさんが、喜悦の悲鳴を上げる。
 おかしい……おかしい……こんなの……絶対におかしい……!
 必死に警告を放つ理性は、しかし、熱く蕩けたゼルナさんの蜜壷の感触によって、みるみるうちに蒸発していく。
 俺は、母性の象徴のように豊かなゼルナさんのヒップに両手の指を食い込ませ、激しくピストンを始めた。
「あうっ! うんっ! うあっ! あはぁ! す、すごいわっ! あっ、ああんっ、あひいいぃ!」
 俺がペニスを繰り出すたびに、ゼルナさんが嬌声を上げる。
「うああぁん! 何て、何て子なの……はっ、はひいぃ! あああ、こ、こんなの久しぶりぃ……あん、ああぁ〜ん!」
 ゼルナさんの膣肉が貪欲に俺のシャフトを食い締め、刺激する。
 あれだけ射精していなかったら、俺は、即座に限界まで追い詰められていただろう。
 俺は、自らの腰をゼルナさんのお尻にぶつけるようなつもりで、抽送を続けた。
「うあっ! あん! あああ! んひ、んひっ! 届く、届くぅ〜ん!」
「あああ、ダメ、ダメです、お母様っ! あ、あああっ、あひぃ! ダメえぇ〜!」
 淫らな歌声の二重奏が、部屋に響く。
 俺の腰の動きに押される形で、ゼルナさんのペニスが、イレーヌさんを凌辱しているのだ。
 イレーヌさんの顔は、背徳の快楽に上気し、口元からは涎すらこぼれている。
 俺は、奥歯を食い縛りながら、さらに腰の動きを激しくした。
「ひぐっ! うっ、うあああっ! お、奥ぅ! 奥にっ! 子宮に来てるぅっ! ひン! ひいいン!」
 ゼルナさんの声から、みるみる余裕が失われる。
「あああ、そこ、そこ弱いのぉ! あん、あぁん、あひ……あ、あああああああ! ゆ、許してぇ〜!」
 許すわけがない。やめるわけがない。
 こんな――こんな気持ちいいこと、やめられるわけないじゃないか。
 俺は、ゼルナさんの膣奥へと、遮二無二ペニスを繰り出し、先端で繰り返し子宮口を抉った。
 そのたびに、ゼルナさんの腰が前後に泳ぎ、股間のモノがイレーヌさんのアソコを出入りする。
「ひううっ、うっ、うあああン! あひいいぃ! もう、もうダメですぅ! ああっ! あひ、あひぃ〜っ!」
「うっ、うああああ! トールくんのぉ、子宮っ、子宮に食い込んでぇ! おっ、おふ、おふうっ! ンおっ、おおおおぉ〜ン!」
 二人の魅惑的な年上の女性を、同時に犯し、快楽の鳴き声を上げさせる――狂ったような快楽。
 目が眩み、耳鳴りがし、ペニスは興奮と欲望ではちきれそうだ。
「ひぃいいい! イ、イク、イキますうっ! ああっ、ああっ、ああああ! 許して! トール様、許してぇ! あああああ、イっちゃう、イっちゃうっ、イクうぅーっ!」
「んはっ、んはあぁ! イ、イ、イクわ! わたくしも……わたくしもイクのぉ! あ、あああああああ! 子宮、子宮いぐっ! あへ、あへぇ、い、い、い、いぐぅうううううううううううう!」
 二人の絶叫を聞きながら、俺は、ゼルナさんの子宮内に、大量の精液をぶちまけた。
 あまりの快感に意識を寸断されながら、肉の坩堝の中で、白濁したザーメンが弾け、飛び散る様を、幻視する。
 そして、俺は、ゼルナさんの胎内にたっぷりと精液を注ぎ込んだ後、シーツの上にへたり込んでいた。
 気が付くと、ゼルナさんが、ヒクヒクと体を痙攣させながら、目の前に突っ伏している。
 そして、イレーヌさんは、クレヴァスから大量の精液を逆流させながら、ゼルナさんの横で絶頂の余韻に惚けていた。
「イレーヌさん……」
「あ、ああぁ……トール様……私……」
 わずかに理性を取り戻した感じのイレーヌさんが、頬を上気させたまま、目を潤ませる。
「申し訳ありません……私……私、お母様と……あぁ……け、軽蔑なさいましたよね……」
「…………」
 俺は、イレーヌさんに言葉を返す事なく、その肢体を、じっと見つめてしまっていた。
 実際のところ、俺は、しどけなく乱れたドレスをまといながら、ゼルナさんの精液を垂れ流しにしているイレーヌさんに、浅ましいほどに欲情してしまっていたのである。
 イレーヌさんも、萎える間もなく勃起を維持している俺の肉棒を見て、そのことに気付いたらしい。
 チラチラと俺の股間を盗み見ながら、イレーヌさんは――あろうことか、すらりとした両脚をMの字にして、自らの太腿を手で支えるポーズを取った。
 これは、まさに、赤ん坊のオシメを取り替える時の姿勢だ。
 ゼルナさんの精液にまみれた秘唇どころか、その下にあるセピア色の窄まりまでが、俺の目の前に露わになっている。
 俺は、イレーヌさんのその部分を凝視しながら、思わず生唾を飲み込んでしまった。
「あ、あの……もし、よろしければ……アソコの代わりに……そ、その……お……おし……あぁ……お尻の、穴で……あううっ……」
 自ら口にした言葉に耳まで赤くしながら、イレーヌさんが視線を逸らす。
 その慎ましやかな仕草と、卑猥なポーズのギャップに、俺は、全身の血の温度がさらに上昇するのを感じた。
「イ、イレーヌさん……」
「トール様……どうか……どうか、こちらをお使いください……あの……わ、私に、どうか、初めてを捧げさせてください……」
 興奮で飽和しそうになっている俺の脳みそが数秒遅れて、イレーヌさんの言いたいことを理解する。
 俺も、オルニウスも、ゼルナさんも侵入したことのない、イレーヌさんの穴。
 その場所の処女を俺に奪ってほしいと、イレーヌさんは言っているのだ。
 しかし……一応、俺だって、そこでセックスする人がいることくらい、知識では知っているけど……いきなり実践して、イレーヌさんを傷つけたりしたら……
「そ、その……大丈夫です……き、きちんと、ここに来る前に、自分で清めてきましたので……その……」
 俺が躊躇する理由を勘違いしたのか、イレーヌさんが、ますます顔を赤くしながら言う。
 可愛い……自らお尻の穴を剥き出しにしながら羞恥に震えるイレーヌさんの可愛さに、ペニスが、これ以上は無いくらいにいきり立つ。
「清めるって、どうやってやったんですか?」
 イレーヌさんが可愛らしく恥じ入る姿をもっと見たくて、つい、そんなことを聞いてしまう。
「あ、ああっ……そ、それは……その……お、お……おか……お浣腸、を……あああ、ゆ、許してください……」
 目尻に涙まで浮かべながら、イレーヌさんが、羞恥に身悶える。
「そ、その……い、いつか、トール様に、ここを捧げたいと思って……その……ううっ、も、もう言わせないでください……許して……」
 イレーヌさんの声のおののきに、動悸が、切ないほどに高まる。
 俺は、粘液にまみれたままのペニスに手を添え、角度を調節して、イレーヌさんのアヌスに押し当てた。
「あ、ああぁ……」
 熱い血液で張り詰めている俺の亀頭の感触に、イレーヌさんが吐息をつく。
 俺は、そのまま腰を進ませ、イレーヌさんの腸内へと侵入を試みた。
「んは……はぁ、はぁ……あ、あふぅっ……うく……うううぅんっ……」
 イレーヌさんが、大きく口で息をしてから、まるでいきむような声を上げる。
 先端に触れていた肉の門が柔らかくほぐれ、ペニスが、徐々にアヌスに沈んでいく。
 俺は、未知の快感への期待にズキズキと肉棒を疼かせながら、イレーヌさんの膝に手を当て、さらに腰を突き出した。
「んあっ! あ、あああ……あふ、あふぁ……あああ、入って、入ってます……う、うあ、うああああ……」
 声を上げるイレーヌさんの肛門を通過し、俺の剛直が前進する。
 皺が無くなるほどに広がったアヌスが、健気に肉幹を咥え込んでいる様が、俺を、ますます興奮させた。
「あひ……ひ、ひいぃん……うああっ、す、すごい……すごいです……うっ、うはあン!」
 とうとう、俺のペニスが、イレーヌさんのアヌスに根元まで突き刺さる。
 強烈な締め付けが肉竿を包み込み、鮮烈な快楽がゾクゾクと背中を駆け登った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あ、あああ……トール様ぁ……」
「イレーヌさん……動かして、大丈夫ですか?」
「は、はい……どうぞ……私の不浄な穴を使って……た、楽しんでください……んく、あくぅ……」
 その白い肌にしっとりと汗を滲ませながら、イレーヌさんが言う。
 俺は、劣情の赴くまま、ピストン運動を開始した。
「うくっ、う、うは、あ、あああっ……す、すご、すごいぃ……うぐ、うっ、うはぁ……あ、ああああっ!」
 俺の抽送に合わせて、イレーヌさんが、戸惑いを含んだ喘ぎ声を上げる。
「んひっ、ひあ、あ、ああっ、あううんっ……はっ、はっ、はぐ……あああ、そ、そんな……あっ、あぁんっ……あふ、ふっ、ふわ……あ、ああん、ああぁんっ……!」
 次第にイレーヌさんの喘ぎが甘くとろけていき、あからさまな嬌声へと変わっていく。
 肉幹に纏わり付くようにして内側に窄まり、そして外側に捲れ上がるアヌスの様子が、イレーヌさんの体の一部分とは思えないほどに卑猥だ。
「ああっ、そ、そんなっ……あっ、あひん! 見ないで……はぁはぁ、そこ、見ないでくださいぃ……うあ、うあっ、は、恥ずかしい……ひぃひぃ、は、は、恥ずかしくて死にそうです……んあああン!」
「そんなこと言って……感じてるんでしょう? イレーヌさん……」
 身のうちの理不尽な衝動に命じられるまま、言葉で、イレーヌさんを嬲る。
「ああぁ、そ、それは……あん、それはぁ……はっ、はううっ、うく……んあぁ、んあン……」
「言ってください、イレーヌさん」
「ハァ、ハァ……ううっ、は、はい……あ、あっ、き、気持ち、いいです……ああぁん、いいです、気持ちいいですぅ……ああぁ〜ん」
「どんなふうにですか?」
「そんな……い、言えませんっ……! うぁ、あっ、あう……そんなこと、言えるわけが……」
 俺は、イレーヌさんの告白を催促するようなつもりで、ずん、と大きくペニスを突き出した。
「ひうっ! あ、あああっ、ト、トール様ぁ……あうっ! うく、あ、あひぃ! あああ、んあああぁ〜っ!」
「さあ、言って……どんなふうに気持ちいいんですか?」
「あっ、ああっ! そ、その……あぁんっ! ま、まるで……んっ、ううっ……ハァハァ、お、お通じの、時みたいに……い、いやっ! わ、私、何を……あん! あぁん! あんっ!」
 イレーヌさんが、羞恥と快楽に、イヤイヤとかぶりを振る。
「イレーヌさん、いつもトイレでこんな声を出してるんですか?」
「あううっ、違います、違いますっ! はぁはぁ……こ、これは……あぁん! その、な、何倍もよくてぇ……うっ、うああっ、あひ……ああン! 駄目、駄目です! わ、私っ……ひあ、あ、あああああああ!」
 イレーヌさんの甘い悲鳴を耳に心地よく聞きながら、俺は、腰を動かし続けた。
 括約筋によって激しくシャフトを扱かれ、高まる快楽に、ペニスがさらに膨張する。
「ふぐっ! うは、あ、あああっ! すごい、すごいですぅ! うあ、あ、あああン! もう駄目、もう駄目ぇ! んああ、あっ、あはぁ! 私、私っ、このままだと、は、恥をかいてしまいます……うあ、あ、あああああ、あ、ああああああぁ〜っ!」
 明らかに絶頂間近という声を上げながら、イレーヌさんが身悶える。
「そんな、そんなっ……あん、あぁんっ! お、おお、お通じの穴で……は、果ててしまうなんてぇ……あん、あん、あん! こんなの、こんなの恥ずかしすぎますっ……! うあっ、あ、ああん、あ、い、いひいいいぃ〜!」
 イレーヌさんの白い肌が上気し、口元からは、しどけなく涎が垂れている。
「あああ、み、見ないで、見ないでください! こんな顔……んあ、あっ、あ、あはあっ! も、もう、もう、ら、らめ、らめぇ〜! はひ、はひい、は、ひ、い、いくぅううううううううううううううう!」
 ぎゅーっ、とイレーヌの肛門が俺の肉棒を締め付ける。
 俺は、その抵抗に逆らうように、最後のスパートをかけた。
「ひあ! い、いきます! いきますうう! うあ、うああ、うあ、お通じの、お通じの穴でぇ……あん、あぁん、イレーヌ、は、恥を、恥をっ……! あ、ああああ、あひ、い、い、いく、いく、いく、いくぅーっ!」
 イレーヌさんが、切羽詰まった声を上げながら、ビクビクと体を痙攣させる。
 俺は、ひときわ深くまでペニスを繰り出してから、イレーヌさんの体内に、大量の精液をぶちまけた。
「ひいいいいいいいいい! 熱いッ! 熱いィ! ああああああああ! い、いぐ、いぐぅううううううううううううううううぅーッ!」
 絶叫を上げるイレーヌさんの直腸に、さらに、さらに、ザーメンを注ぎ込む。
「ひぐっ! うは、は、はあああああああ! いぐう! いぐう! あっ、ああっ、あああああ、あっ! いっぐうううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅーッ!」
 イレーヌさんが、体をのけ反らせながら、立て続けにアナルで絶頂を極める。
 俺は、頭の中が真っ白になるのを感じながら、ただひたすらに射精を続けた。
 あまりの快感に意識が寸断され、文字どおり、前後不覚になる。
 視界が白熱し、精神が混濁し――そんな中で――妙にクリアになった聴覚が、その音を聞いた。
「誓え……誓え……誓え……」
 何……だって……?
「誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……」
 いったい……何を……?
「誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……」
 どうして……誓ったりなんか……しなくちゃならないんだ……?
「誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……誓え……」
 声は、ただ繰り返される。
 誓いの中身などどうでもいい。ただ、応と、諾と、肯定の答えのみを求めて、その言葉が俺の空っぽの頭の中で響いている。
「――誓え!」
「あ……ぁ……」
 俺のその反応は、別に、言葉にしての返事ではなかった。
 もちろん、内容の分からない約束を守るつもりなどさらさら無かったし、そもそも、その時にきちんと意識があったかどうかさえも、心許ない。
 それでも――俺は、声にして答えを返してしまった。
 呼びかけに答えるだけで破滅的な効果をもたらす何か、というのは、ファンタジーの世界では定番じゃなかったか。
 だが、俺は、訳も分からないまま――もしかすると、声によって中断された蜜のような情事に戻りたいという気持ちで――不用意な選択をしてしまったような――
 しかし、そんな曖昧な不安感を意識の地平の向こう側へと押しやるように、不自然なまでに湧き起こる欲望と劣情が、俺の肉棒を再び勃起させる。
 そして、俺は、引き続き、イレーヌさんとゼルナさんの甘美な肉体に溺れ続けたのだった……



「透、あんた、何ぼーっとしてんの?」
 芙美子の声に、俺は、はっと我に返った。
「自分から手伝いたいって言ったんだから、きりきり手を動かしてよね」
「あ、ああ、悪い」
 俺は、素直に謝罪をしてから、コピーされた紙の束をホチキスで留め、冊子の体裁を取らせる作業に戻った。
 そう、確かに、芙美子のアシスタントは俺から申し出たことだ。だから、その分、気合を入れなくちゃならん、とは思ってる。
 だが、俺がぼーっとするには、それなりの理由があった。
 まず、第一に、最近の夢見が、やたらとエロエロであるということ。
 まあ、今までだってボインなお姫様とナニする夢は見てきたわけだが、最近はその内容がエスカレートしている。
 細部をきちんと思い出そうとすると、それだけで思わず前屈みになってしまうような、それほどの夢なのだ。
 第二が、現在、自分のいる場所に圧倒されていること。
 今、俺は、日本最大の同人誌即売会の、売り子のエリアにいる。あ、いや、サークルスペースっていってたかな。
 体育館を際限なく巨大化させたようなお台場の国際展示場を丸まる借り切って行われているそのイベントは、はっきり言って、俺の度肝を抜くに充分なものだった。
 入場してからこのスペースに至るまで目にした、人、人、人。一般参加者が入場する前から人気サークルのところにできあがっていた長蛇の列は変形と巨大化を繰り返し、今やヤマタノオロチのごとき様相だ。空調が入っているにもかかわらず場内の熱気は半端でなく、そして、目当ての同人誌を求める人々の熱意は、さらにそれを上回っている。
 ここにいる人達が、それほどまでに情熱を傾ける何かを持っていることに、羨望のような感情を抱きつつも――それ以上に、俺は、その場の状況に驚き呆れていたのであった。
 そして、第三なんだが――
「お姉ちゃん、遅い!」
 芙美子の声が、俺の思索を遮る。
「やー、芙美ちゃん、ごめんごめん、向こうで話に花が咲いちゃたのだー」
 売り子スペースに戻ってきた紗絵子さんが、片手で芙美子を拝むような真似をする。なお、もう片方の手には、同人誌がたんまり入った紙袋を提げていた。
 紗絵子さんは、芙美子のお姉さんであり、芙美子が原稿を寄せている同人誌の主催者でもある。背中まで伸ばしたストレートの黒髪に、にこやかな笑顔を浮かべた人懐っこい顔。うっかり年を聞いたら、「芙美ちゃんの双子の姉だよー」とごまかされた。まあ、実際、芙美子とはそんなに年齢が離れているようには見えない。
 この人は、都心で一人暮らしをしながら、マンガ家のアシスタントと同人誌の売上げで生計を立てている。今日、ここで久しぶりに会ったんだが、芙美子に勝るとも劣らないその豊かな胸に視線が行きそうになるのを堪えるのに苦労したものだ。
「お客さんはー?」
「まだ、ぼちぼち。壁とか外周が一段落するまではね。でも、ミヒローさんなんかは来てたよ」
「あのヒトは、いつも朝4時から並んでるって業の者だから、もう一通り大手は回ったのかもねー。今年こそダミーサークルこさえるくらいするかと思ってたけど」
「自前のサイトで日記に書いたりしてるし、キツい目にあった方がネタになるんじゃないの?」
「なるほどなのだー。でも、オフで会うのは久しぶりだし、挨拶したかったかも」
 ところどころ俺には分からない単語を混ぜながら二人が会話する。
 そんなこんなで、売り子が二人にコピー誌作成担当一人という編成になったところで、二十歳前後くらいの長髪美人が現れた。
「来たよーん、お久しぶり〜」
「あ、翔鶴さん、お久しぶりです」
「こんちは、ほめ子ちゃん。えーと、させ子ちゃんとは先月に会ったよネ」
 “翔鶴さん”と呼ばれたその人が、双子姉妹ににこやかな笑みを浮かべる。ただし、おそらく“翔鶴”というのはペンネームかハンドルネームだろう。ちなみに、“ほめ子”というのは芙美子の、“させ子”は紗絵子さんのペンネームだ。
「ほめ子ちゃん、最近、だんだん女の子の表情が色っぽくなってきたけど、エロは描かないの?」
 翔鶴さんが、さらりとすごいことを言う。
「え、えーと、それはまだ……」
「まだ――ってことはいずれ描くんだネ。期待しちゃうなー。くるりんちゃんと一緒に女子高生エロ同人作家本とか作ればいいのにサ」
「呼びましたー?」
 人込みの中から、ボブカットにメガネの中学生くらいの女の子が、ぬっ、と顔を出す。
「あ、くるりん! 今日も彼氏連れなのだー!」
 紗絵子さんが、はしゃいだ声を上げる。
「彼氏とちゃいます。荷物運び係です」
「彼氏だろ! 亜美、彼氏だってきちんと言え!」
 やはり中学生にしか見えない鳥の巣みたいな頭の男の子が、“くるりん”と呼ばれた子に言う。……なお、あとで知ったことだが、くるりんさんとその彼氏――どう見ても彼氏だ――は、二人とも、俺や芙美子より年上だった。
「あんたみたいなちんまいの彼氏だなんて恥ずかしゅうて言えるかー! あとな、浩之助、ここでは本名は禁止や!」
 ややうさん臭い関西弁のくるりんさんが、彼氏に声を上げる。
「ところで、ほめ子ちゃん、新作は?」
「あ、これと、これです」
 芙美子が、きちんと印刷された同人誌と、たった今俺がホチキスで綴じたコピー誌を、翔鶴さんとくるりんさんに差し出す。
「うはー、ますます巧くなっとるや〜ん。コマ割りカッコえぇ〜♪」
「ほめ子ちゃんは、相変わらずオリジナルにこだわってるんだネ。何でもアリのさせ子ちゃんとは対照的だあ」
「……あの、すいません、サークル『させ子とほめ子』はここですか?」
 はしゃいだ声をあげている翔鶴さんとくるりんさんの後ろから、気弱そうなメガネの若い男が声をかけてくる。
「は、はい、こっちです」
「あ、あかん、お客さんの列ができてきた。浩之助、ジャマになっとるよ」
「新刊ください、2冊ずつ」
「あ、はい!」
「こっちも1冊ください」
「はい、どうぞなのだー」
「こ、これと、これと、これ、ください。あ、あと、サイトの方も見てます。がんばってください」
「はい、ありがとうございます!」
 徐々に増えてきたお客さんが、芙美子や紗絵子さんに親しげに声をかけている。
 紗絵子さんが独特の口調で愛想よくお客さんに接しているのは別に意外でもなかったのだが、驚いたのは――芙美子の対応だった。
 その、いつも仏頂面な顔に、嬉しそうな――本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて、お金を受け取り、同人誌を渡している。
「お久しぶりです。この前の冬の続き、どうなりました?」
「おかげさまで落とさずに描けました! こちらです」
「あ、これ、差し入れです。まだ先はありますから、きちんと水分取ってくださいね」
「いつもありがとうございます!」
 何て言うか――えーっと――芙美子のやつ、あんな表情できるんだな。
 感心するとともに、今まで抱いたことのなかった感情が、胸の奥の方から湧き出てくる。
 まったく――その十分の一でいいから、普段の生活でも笑顔を心掛けてりゃ、だいぶ印象も違うのに――
 って、何だ? 俺、何を考えてる?
 いくら俺がお節介とは言え、そんなこと、大きなお世話じゃないか。
 だが、それでも――この場所での芙美子の表情は、この俺でさえ――自他共に認める芙美子と腐れ縁状態のこの俺でさえ、めったに見れないような――明けっ広げで、屈託が無くて、まさに心からの笑顔って感じで――
 そして、あの笑顔は、今日初めてのものじゃない。いちばん最初のお客さんに対応した時から、あいつの顔には、あの表情があった。
 それが――それこそが――俺が、思わずぼーっとしてしまう、第三にして最大の理由で――
「…………」
 胃の、上の辺りが、ざわざわする。
 まさか――まさかまさかまさか――俺、嫉妬してるのか? 芙美子の同人誌を買ってるお客さんに?
 いやいや、いやいやいやいや、待て待て、待てよ。嫉妬ってどういうことだ? だいたい、嫉妬を抱くってことは、その前提条件として、俺は、その――芙美子のことを――
 俺は――
 その時、ぽん、と肩に手が置かれた。
「透くん、手が止まってるのだー」
 紗絵子さんが、そう言って、訳知り顔にニヒヒと笑った。
 うああ、いかんいかん。コピー誌の在庫がもうほとんどゼロじゃないか。
 俺は、ぶんぶんと頭を振ってから、コピーした紙を束ねてホチキスで留める作業に戻ったのだった。

 



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