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 舘の応接間で、二人の男が向かい合って座っている。
 結城遼と、乾孝晃だ。
 やや旧式のエアコンが、人工的な冷気を室内に送り込んでいる。窓の外の夜空では、下弦の月が昇りかけていた。
 テーブルの上のコーヒーに、乾は、手を付けようともしない。
「とりあえず、妹を助けてくれた礼は、しなきゃならないな」
 そう、口を開いたのは、遼だった。
「気にするな。忘れてくれていいさ」
 乾が、薄い唇を皮肉げに歪めながら、答える。
「そういうわけにはいかない」
 遼の口元にも、わずかな笑みが浮かんでいた。
「俺は、あんたがしてくれたことを、忘れるつもりはないよ」
「……引っかかる言い方だな」
 そう言いながら、乾は脚を組み直した。
「乾さん……あんた、修正前のビデオを、西の連中に横流ししたね」
「……」
 遼の言葉に、乾は沈黙で答えた。
 前髪に隠れた遼の目と、黒眼鏡の奥の乾の目が、互いに鋭い眼光をぶつけ合う。
「あんたは、例の薬の流通ルートを探るために、素性を隠して、わざとビデオを横流しした。無論、俺に内緒でね」
「……」
「そして、作戦は基本的に成功した。ビデオの流通ルートを洗うことで、例の薬の流通ルートも浮かび上がり、あんたはそれを一つ一つつぶしていった。ただ、あの橘とかいう教師を通じてのルートについては、円の情報の方が早かったようだがな」
「……それが、どうした?」
 開き直ったような乾の台詞に、遼は肩をすくめて見せた。
「どうもしない……と、余裕を見せたいところだったが、そうもいかない。あんたが、俺の顔が出てるビデオを横流ししたせいで、俺は下らん厄介事を抱え込んじまったし……俺という人間の存在に気付いた橘は、妹にまで手を出そうとした」
「その件なら、フォローしといたろ?」
 乾が、悪びれもせずに言う。
「それは、順序が逆なんだろう? 乾さん」
 遼は、いったん言葉を切り、続けた。
「あんた、橘の身柄を押さえたから、小夜歌をエサにする必要が無くなっただけなんじゃないか?」
「……」
「そもそも、俺と小夜歌の関係に関する情報を裏で流したのだって、あんたなんだろう? ――槙本の身柄を押さえるときに、俺をエサにしたように」
 遼は、前髪に隠れた額の傷に、そっと指先で触れながら、続けた。
「俺が、槙本に襲われたときに受け取りに行ったのは、あんたが用意した車だったし……橘の家にあったビデオの流通の担当は、あんただった。そして、橘の息のかかったガキが小夜歌にちょっかいかけたときに駆けつけたのも、あんただ」
「……」
「乾さん。あんた、ちょっと貧乏性だよ。何もかも自分でやりすぎだ」
 そう言われ、乾は観念したように両手を上げた。
「分かった。認めよう。俺の負けだ」
「……なら、あの誓約書を、返してもらおうか」
「ああ。実は、もう用意しているんだ」
「準備がいいな」
「お前さんに呼びつけられたときから、覚悟はしてたさ」
 そう言いながら、乾はサマージャケットの内懐に手を差し入れた。
「ゆっくりだ」
 油断無く、遼が言う。
「分かってる」
 そう答えながら、懐から出した乾の手にあったのは、拳銃などではなく、白い封筒だった。その中に、遼が組織の専属になることを記した誓約書が入っているはずだ。
 遼が、その封筒に右手を伸ばす。
「!」
 突然、乾が手を引っこめた。
 遼の右手の、人差し指と中指の間に、鋭い針が覗いている。
「な、何をした?」
 そう訊く乾の声は、さすがに硬かった。
「く……薬、か……」
 そう言いながら、針を刺された右手の甲に口を寄せ、血を吸い出そうとするが、その動きはひどくぎこちない。
「安心しろ。命にかかわるようなモノじゃない」
 そう言いながら、遼は、応接セットのテーブルの上に落ちた封筒を拾い上げ、中身を確認した。
「しばらく体が痺れるだけさ」
「ゆ、結城……お前……」
 歯を食いしばる乾の目の前で、封筒を丁寧に引き裂きながら、遼は言った。
「あんたは照れ屋だからな。礼をするのに、逃げられたら立場が無い」
「礼……だと……?」
「言ったろう。妹を助けてくれた礼さ……。千鶴」
 遼の呼びかけに答えるように、応接室の扉が、ゆっくりと開いた。
 そこに、健康的な小麦色の肌の、ショートカットの少女が立っていた。首に、黒い革製の首輪を付けているのを除けば、一糸たりとも、その均整の取れた肢体にはまとっていない。
 さらには、その股間にあったはずの恥毛も、綺麗に剃り落とされてしまっており、薄紅色のスリットがかすかに覗いていた。
「橘の妹だよ。ひょんなことから知り合いになってね」
 にやり、と歪んだ笑みを浮かべながら、遼は少女――千鶴に首を振った。
 千鶴は、はにかむような微笑をその顔に浮かべながら、こっくりと肯いて、乾に近付いていく。
「一通りの躾はしておいた。楽しんでくれ」
 そう言って、遼は、乾の返事を待たずに、応接室から出た。
 ソファーに座ったまま、体を動かすことのできない乾に、ほとんど全裸の千鶴がしなだれかかる。
「乾さま……」
 どこか濡れたような声で、千鶴が言う。
「よ、よせ、お前……」
 そう言いかける乾の唇に、千鶴は唇を重ねた。
 そして、恥じらうような表情を浮かべながらも、舌を別の生き物のように蠢かせ、乾の口内を刺激する。
 ぴちゃぴちゃという、扇情的な湿った音が、応接室に響いた。
「ん、んふ……んむ……くうン……」
 千鶴は、乾の頭を抱えるようにしてディープキスを続けながら、主人に媚びる子犬ような鼻声を漏らす。そして、そのスレンダーな体を、すりすりと乾の服の布地にこすりつけた。
 小ぶりながら形のいい乳房の頂点で、ピンク色の乳首が次第に尖っていく。
 ようやく、千鶴が口を離した。一瞬、二人の唇の間に、唾液の糸が細い下向きのアーチを描く。
「気持ちよかったですか? 千鶴のキス……」
 心持ち首をかしげるようにしながら、悪戯っぽい表情で、千鶴が訊いた。
 そのすらりとした脚は折りたたまれ、ソファーの上で乾の腰をまたいでいる。そして、その小さめのヒップが妖しくうねり、股間で股間を布越しに刺激しているのが分かった。
「やめろ……俺は、お前の兄を……家族を破滅させた、張本人だぞ」
 乾が、やや呂律の怪しい口調で、どうにかそう言ってのける。
「そうですね……だから、あたし、帰る場所ないんですよ……」
 そう言う千鶴の口調は、どこか寂しげだった。
「あたし、もう、誰かにすがって生きていくしかないんです……」
 そんなことを呟きながら、乾のごつごつした胸板に頬を寄せる。
 乾は、非常な苦痛に耐えているかのように、きつく歯を食いしばった。
 千鶴は、少しずつ、体を下にずらしていった。そして、絨毯の敷かれた床に両膝をつき、乾の両脚を開いて、その間に体を置く。
 千鶴の、やや吊り気味の目のすぐ前で、乾の黒いスラックスの股間が膨らんでいた。
「はぁ……っ」
 千鶴は、うっとりと息を吐きながら、その部分の布地に顔を寄せる。
 そして、細い指先でホックを外し、口だけでファスナーを下ろしていった。牡の匂いが、千鶴の鼻孔をくすぐる。
 千鶴は、剛直の形に盛りあがったブリーフから、唇と歯と舌を使って、乾のペニスを外に解放した。
 赤黒く充血したそれは、やや細身ながら鋭く反りかえり、兇暴なまでにエラを張っている。
 千鶴は、瞳をきらきらと輝かせた後、目を閉じてその亀頭部分を頬張った。
「くっ……」
 乾のうめき声に、ぴちゃぴちゃと千鶴が口の中でペニスに舌を絡める音が重なる。
 凛々しい眉を切なげに寄せながら、ボーイッシュな少女が一心に牡器官に奉仕するその姿は、男の嗜虐心を刺激するのに充分だ。
 しかし乾は、苦行に耐える修行者のような表情を、そのごつい顔に浮かべている。
 一通り、ペニスを口内で愛撫した後、千鶴は、ペニスの先端をちゅうっと吸い上げた。そして、亀頭の表面に、ついばむようなキスを繰り返す。
 桜色の可憐な唇と、赤黒く醜悪な男根が、同じ唾液と粘液に濡れていく様は、無残なくらいにエロティックだ。
 さらに千鶴は、懸命に舌を伸ばし、静脈の浮いたシャフトを舐め上げる。
 風俗嬢顔負けのテクニックを用いた少女の口唇愛撫に、乾は、歯を食いしばって耐えた。
 しかし、その鈴口からは、いわゆる我慢汁が呆れるほどに溢れてしまっている。
 千鶴は、まるで童女が好物のキャンディーを舐めるような表情で、ぺろぺろとその汚穢な体液を舐めとった。
「んふ……」
 一転、妖艶な笑みを濡れた唇に浮かべながら、正座の姿勢だった千鶴が膝立ちになる。
「遼さまが言ってましたよ。……乾さま、女性の経験、無いんじゃないかって」
 乾は、屈辱に、声にならない唸りをあげた。
「ちょうどいいですね……あたしのアソコも、男の人、受け入れたこと無いんです」
 そう言いながら、再び、ソファーに座ったままの乾の腰を膝でまたぐ。
 そして、すでに熱い愛液で潤ってるクレヴァスに、乾のペニスの裏側をぬるぬるとこすりつける。
「あたし、お尻もけっこう自信あるんですけど……やっぱ、最初は前ですよね」
 そんな、あからさまなことを言う千鶴に、乾は屈辱以外の何かを感じているようだった。
 それは、かすかな恐怖であったかもしれないし、甘美な堕落の予感だったかもしれない。
 ふっ、と乾の体の緊張が解けた。
「入れます、ね……」
 丁寧にそう宣言して、千鶴は、ペニスの先端を、熱いぬかるみの中心にあてがった。
 そして、ゆっくりと腰を落としていく。
「ンあ……はァっ……あァン……」
 まるで、挿入の感覚をじっくりと味わおうとするかのように、ディルドーにしか侵入を許したことのない千鶴のそこは、乾のそれをことさらゆっくりと飲み込んでいった。
「ンぁ〜ん……や、やっぱり、男の人のって……ぜんぜん、ちがう……っ」
 乾の逞しい肩を両手でつかみながら、千鶴は弓なりに背を反らした。
 発達した雁首がずりずりと膣壁をこすり上げる感触が、二人の性感を鋭く高めていく。
 ようやく、千鶴は乾のペニスを全て受け入れた。
 とろとろと隙間から溢れる愛液が、乾の衣服を濡らしていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 千鶴は、短く喘ぎながら、乾の首に腕を回し、その頬に自らの頬を寄せた。
 瑞々しい弾力のある胸の膨らみが、布越しに乾の胸を圧する。
 エアコンの音をバックに、二人の呼吸音が混じりあった。
「動き、ます……」
 千鶴はそう宣言して、ゆっくりと腰を使い始めた。
 遼に調教されたとは言え、対面座位どころか、膣内に男を迎え入れること自体、初めての経験である。千鶴の動きは、どことなくぎこちない。
 それでも千鶴は、かすかな痛みを伴う快感に溺れそうになりながらも、健気に腰を動かした。
 にちゅっ、にちゅっ、にちゅっ、にちゅっ……という淫猥な音が、かすかに響く。
「あうン……き、きもちいい……」
 千鶴は、その凛々しい顔に、蕩けるような恍惚の表情を浮かべながら、甘たるい声で訴えた。
 熱い吐息が、乾の耳朶をなぶる。そして千鶴も、乾の荒い呼吸を、首筋に感じていた。
 千鶴の動きは、次第にスムーズになっていった。
 くいくいと可愛く踊る小ぶりなヒップが、イヤらしくぬらつく乾の肉棒を貪っている。
 びくっ、と乾の腕が動いた。どうやら、薬の効果が切れてきたらしい。
「く……」
 乾は、小さくうめきながら、まだぶるぶると震えている手で千鶴の肩をつかみ、その体を引き剥がした。
「あうン……」
 結果として、乾のペニスによってより深く体内をえぐられ、千鶴が媚声を漏らす。
 乾は、その千鶴の細い首を、両手でつかんだ。
 ごつい腕が、首輪の上から、しなやかな喉を締め上げる。しかし、その力はまだ弱く、千鶴の呼吸をわずかに阻害するのが精いっぱいだ。
 だが、薬の効果が切れれば、千鶴を絞め殺すどころか、首の骨を折ることすら、乾には造作のないことである。
「あぁ……」
 首を圧迫されて、意識を朦朧とさせながら、千鶴はうっとりとした喘ぎを漏らした。
「おねがい……もし、ころすなら……イったときに、ころしてください……」
 そう、ややかすれた声で訴えながら、千鶴はますます大きく腰をグラインドさせた。
 首を締められている千鶴よりも、締めている乾の顔のほうが、苦痛に歪んでいるように見える。
「うぅン……んくッ……ああッ……! も、もうすぐ、もうすぐイキます……ッ!」
 乾の服の布地を小さな拳で握り締めながら、千鶴は切羽詰った声をあげた。
 その腰はますます激しく動き、乾のペニスを射精へと追い込んでいく。
「あ……あァ……あはァ……ぁ……!」
 絶頂を間近に控え、千鶴は体をのけぞらせて天を仰いだ。
 乾の男根をぴっちりと締め付ける柔らかな膣肉が、びくびくと蠕動を始める。
「イク……ち、ちづる、ちづる、イクう……ッ!」
 千鶴の高い絶頂の声を聞きながら、乾は、たまらず自分から腰を突き上げていた。
 そして、千鶴の体の中へ、大量の精を迸らせる。
 その手は、千鶴の肩を、しっかりと抱いていた。
「ああ、あ、あああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアァーッ!」
 膣内深くで熱い精液が何度も弾ける初めての感覚に、千鶴は、自由になった喉で高く叫んでいた。

 呆けたような表情で、乾は天井を見つめていた。
 その足元で、ひざまずいた千鶴が、乾のペニスに付着した性交の残滓を、かいがいしく舐め取っている。
 と、口内にペニスを収めていた千鶴が、閉じていた吊り気味の目をちょっと見開いた。
 そして、目だけで悪戯っぽく微笑みながら、乾の顔を盗み見る。
 乾も、顔を下ろし、千鶴の瞳を見つめた。
 ゆっくりと唇をスライドさせ、千鶴が乾のシャフトを露わにしていく。千鶴の唾液に濡れたそれは、再び力を取り戻していた。
 ちゅぽん、と小さく音をさせて口を離した後、千鶴は、ペニスにそっと指をからませた。熱い鼓動が、手の平に伝わってくる。
「今度は、お口で最後までしましょうか? それとも……お尻で、してみます?」
 頬を赤らめながらも、小悪魔じみた表情で、千鶴が訊く。
 その声を聞きながら、乾は、自らが遼の用意した鎖に完全に捕らえられてしまったことを、否応無く思い知らされていた。



「大丈夫でしょうか、千鶴ちゃん……」
 同じ頃、膝枕に遼の頭を乗せ、耳掃除をしながら、由奈はぽつりとつぶやいた。
 遼の部屋のベッドの上。由奈は髪を解き、奇妙にディフォルメされたパンダの柄のパジャマを着ている。遼は、黒のTシャツにトランクスだ。
「気になるのか? あいつのことが」
「えっと、少し……」
 耳掃除を終わらせ、耳かきをティッシュでぬぐいながら、由奈が答える。
「……」
 遼は、相変わらずの前髪で表情を隠しながら、唐突に体を起こした。
「きゃあン!」
 そして、由奈の小さな体を押し倒す。由奈の、ノーブラの豊かな胸が、ぶるんと揺れた。
「情が移ったのか?」
 冗談めかした口調で、遼が訊く。
「そ、そんなこと、ないです……」
 両手首を上から押さえつけられながら、怯えたような声で、由奈が言う。
 遼は、由奈の脚の間に膝を割りこませ、ぐい、と股間を圧迫した。
「あうゥ……」
 突然の乱暴な仕打ちに、しかし、由奈のアソコは、熱く反応してしまう。
「由奈は淫乱だからな」
 由奈の恥丘をぐりぐりと膝で蹂躙しながら、その可愛らしい耳たぶに口を寄せ、遼は言った。
「ここに突っ込まれるんだったら何だってイイんだろ?」
「そ、そんな……」
 柔らかそうな頬を赤く染めながら、由奈は涙声で抗議する。
 遼は、由奈の細い両手首を左手だけで押さえつけ、右手で乱暴に股間をまさぐった。
「あ、ああッ……」
 由奈が、うろたえたような声をあげる。
「もう、こんなに熱くしてるじゃないか」
 そう言いながら、パジャマのズボンの中に、右手を差し入れる。
 ショーツの中まで潜りこんだ遼の指先を、熱い愛液がぬるりと濡らした。
「洪水だぞ、由奈」
「イ、イヤあぁン」
 羞恥に、由奈が顔を背ける。
「イヤらしい女だな、お前は」
「だ、だってだって、ご主人様がァ……」
 子供のような声でそう言う由奈の秘所を、遼は残酷にえぐった。
「きゃううううン!」
 びくン、と由奈の小さな体が震える。
 くちゅくちゅと湿った音をたてさせながら、ひとしきりクレヴァスを弄んだ後、遼は由奈のズボンとショーツを一気にずり下ろした。
「あッ……!」
 明るい蛍光灯の光の下に、薄い陰毛をべったりと愛液で張りつけた恥丘を晒されて、由奈はますます顔を赤くする。
「いくつになっても子供みたいなオマ×コだな」
 そう言いながら、遼は、再び由奈のその部分を指で嬲る。遼の言葉通り、来年は成人式を迎える女性のものとは到底思えない、見ている方が恥ずかしくなるような幼いスリットだ。
 遼は、その幼い外見とは裏腹に、大量の牝のシロップを分泌している由奈のそこに、右手の指を游ばせた。
「あ、あッ、あン、あうッ、あ〜ン」
 由奈の感じる場所を知り尽くしている遼の指が、あっという間に由奈の性感を高めていく。
「そのくせ、佐久間や千鶴のを咥えこみやがって……」
 いきなり、遼は、由奈の最も敏感な肉の芽に爪を立て、容赦無く捻りあげた。
「きゃアアアアアアアアアアーッ!」
 凄まじい激痛に、由奈は、まるで電気ショックにあったかのように、体を弓なりに反らせる。
「ア、ア、アァ、ア……」
 ぱくぱくとその小さな口を開閉しながら、見開いた大きな目から涙をこぼす。
 そして、かくん、と由奈の全身から力が抜けた。痛みのあまり、失神してしまったらしい。
 ちょろちょろちょろ……と音を立てながら漏れ出る小水が、遼の右手を濡らした。
「んぶっ?」
 遼は、由奈の可憐な口に、右手の指をねじ込んだ。
「ん、ん、んん、んんん〜ッ」
 由奈は、訳もわからず涙をこぼすばかりだ。
「お前が汚したんだ。綺麗にしろ」
「んぷ……ふ、ふゎい……」
 くぐもった声でそう返事をして、由奈は健気に舌を使い始める。
 自分の愛液と尿で濡れた遼の指は、恥辱と被虐の味がした。
 遼が、由奈の両手を解放する。すると由奈は、両手で遼の右手を捧げ持つようにして、一心にその指を舐めしゃぶり、指の間に舌を這わせた。
 まるで、犯した罪を懸命に償おうとしているような、いたいけな表情である。
 遼は、前髪で隠れた両目を獣欲にぎらつかせながら、左手でトランクスを脱ぎ捨てた。そして、右手の指で由奈の口内を弄びながら、熱く濡れてめくれあがったスリットに、いきり立つ亀頭をあてがう。
 そして遼は、何の前触れも無く、一気に由奈を貫いた。
「ンあッ!」
 たまらず、由奈は遼の指を口から離してしまう。
 遼は、ペニスを熱い膣内に深々と挿入したまま、両手で由奈のパジャマのボタンをむしりとるように外していった。
 その、中学生のような容姿にはアンバランスなほどの巨乳が、目の前に現れる。
 遼は、その白い双乳に指を喰いこませ、柔らかな感触を存分に味わった。
 そして、由奈の内部を逞しいペニスで突き上げるようにしながら、乱暴に腰を使い始める。
「あッ! あうッ! はッ! きゃううッ!」
 その抽送に合わせて、悲鳴のような高い声を由奈があげる。
「由奈……由奈……っ!」
 遼は、由奈の名を呼びながら、両手の親指と人差し指で、くりくりと乳首を転がした。
 そして、みるみる尖ってくるその部分を、しごくようにして刺激する。
「あいッ! す、すごい……それ……すごいですゥ……!」
 ぴりぴりと痺れるような快感を、由奈は高い声で訴えた。
「感じるか? 由奈……」
「か、かんじます……おっぱいと、オ、オマ×コが……ア……あうゥ……ッ!」
 乳首を摘まれ、そのまま大きすぎる胸の膨らみを摘み上げられるようにされて、由奈はふるふるとかぶりを振った。
「いた……い、いたい、です……ッ」
「痛いのがいいんだろう? 由奈は、変態のマゾ娘だからな」
「あうン……そ、そう、ですゥ……ゆうなは……ヘ、ヘンタイですう……」
 由奈は、苦痛と屈辱に涙をこぼし続けながらも、媚びるような甘い声でそう答えた。
 その由奈の言葉を証明するかのように、遼が乳首を捻りあげるたびに、由奈の靡肉はきゅんきゅんと収縮し、たまらないほどに遼のペニスを締め付ける。
「く……うっ……!」
 遼は、不覚にも声を漏らしながら、下腹部に力を込め、最初の射精感をどうにかやりすごした。
 そして、由奈に覆い被さり、その柔らかな体を、しっかりと抱き締める。
「ああ……ン」
 由奈は、幸せそうな声をあげて、遼の体を抱き返した。
 遼は、非常な努力を持って動きそうになる腰を制止し、呼吸を整える。
 そして、どうにか落ち着いたところで、唇を重ねた。
「あむ……ン……んふン……んんーン……」
 由奈は、媚びるような鼻声を上げながら、遼のキスを受け入れた。
 そして、んく、んく、んく、んく……と可愛く喉を鳴らしながら、口内に注ぎ込まれる遼の唾液を、美味しそうに飲み込んでいく。
 さらに、ぴちゃぴちゃと舌を絡め合い、たっぷりと互いの舌を吸い合った後に、ようやく二人は顔を離した。
「はあァ……」
 ぽわーん、とした顔で、由奈は遼を見つめた。
「きもちいい……てんごくに、いるみたい……」
 舌足らずな声でそんなことを言いながら、由奈は、うっとりと目を閉じて、遼の胸に下からキスを繰り返した。
「やっぱり、ごしゅじんさまのセックスが、いちばんきもちいい、ですゥ……」
 はにかむようにそう言いながら、ちゅっ、ちゅっ、と口付けする。
「由奈……」
 遼は、照れたような、そして自嘲するような、そんな複雑な笑みを浮かべた後、抽送を再開させた。
 ゆっくりと、しかし力強く、腰を動かす。
「あ、ああア、はわア……ッ。す、すごいィ……」
 弱すぎも強すぎもしない、体内を優しくえぐるような遼の動きに、由奈は声を震わせた。
 圧倒的な官能の波が、ぐんぐんと由奈を高みへと押し上げていく。
 それとともに、遼の腰の動きも、少しずつ激しくなっていった。
「き、きもちイイ……ごしゅじんさまのオチンチン、きもちイイ……ッ!」
 由奈は、怯える子供のように遼の体にしがみつきながら、そう訴えた。
 ますます、遼の腰の動きが速まっていく。
「あ、あッ! あ! イ、イクッ!」
 最初の絶頂が、由奈の小さな体を痙攣させた。
 しかし、遼の動きは止まらない。
「あうッ! はッ! ンあッ! あうううッ!」
 立て続けに絶頂に追い込まれ、由奈は遼の腕の中でぴくぴくと体を震わせた。
「ダ、ダメえ! ダメですぅ! ゆうな、またイっちゃう……ッ!」
 ずっ、ずっ、ずっ、ずっ……とペニスが膣肉を容赦なくえぐる度に、由奈は髪を振り乱して絶頂を訴える。
「あいっ! ひいいッ! だ、めえ……ッ! ああーッ! こ、こんな……こんなの……! ゆ、ゆうな、ゆうな、おかしくなるううウーッ!」
 そんな由奈の悲鳴を聞きながら、遼は夢中になって腰を動かした。
「ああアーッ!」
 ぴゅうっ、と生温かな体液が、二人の下腹部を濡らした。つながったまま、由奈が潮を吹いたのだ。
「ダメぇ……ほんとに、ダメえぇ……! あひイッ! し、しんじゃう! しんじゃうよおッ!」
 半ば本気で、由奈はそう叫んだ。
「ああア! あッ! んぎッ! いッ! あいいいいいいいいッ!」
 ぴゅううっ、ぴゅうううっ、と透明な潮を吹き続けながら、由奈は、遼の背中に思いきり爪を立てた。
「く……ッ!」
 その痛みを引金にしたかのように、遼は、溜まりに溜まった欲望をとうとう解放した。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
 大量の熱い精液が体内にびゅるびゅると注ぎ込まれ、どくどくと膣口とペニスの隙間から溢れていく感触を、由奈は、凄まじい絶頂の中で確かに感じていた。
 しかし、すぐに頭の中が真っ白になって、何も分からなくなる。
 そして、やがて光は闇に転じ、優しく由奈の意識を包みこんだ。
 ただ、遼の心臓の鼓動だけが、かすかに聞こえてくるように感じられる。
(ごしゅじん、さま……)
 完全に意識を失ってしまう直前に、由奈はかすかに思った。
(うれしい……ごしゅじんさまに、やきもち、やかれちゃった……)
 そして、そんなことを考えている自分にちょっと呆れながらも、由奈は、幸せな眠りの中に沈んでいくのだった。





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