あとがき
なんとまあ、完結してしまいました。
自分でも、ちょっと驚いているのが正直なところです。
今、すごく不思議な気分です。なんとなく、このお話は終わらないもんだとばっかり思っていたもので。
いやまあ確かに、私のことなんで「完結」と言った舌の根も乾かないうちに、「外伝」とか称して由奈や小夜歌や円や千鶴や愛美なんかをいぢり倒すかもしれませんが、でも、それはあくまで外伝です。
続きなんか書いたら、由奈が二十歳になっちゃうし(今、十九歳というのでさえ、ちょっと違和感があります)。
そういうわけで、“長編”『Master-Slave』はこれにておしまい。短編で何か軽いの書くかもしれませんが、やはり私のことなので、期待せずにお待ちくださいませ。
で、この「chaining」なんですが、例によって全く細部を決めずに、ぐわーっと勢いだけで書いてしまいました。
いろいろ思惑とか色気とかはあったのですが、その中でも「乾孝晃というキャラに決着をつける」という思いが再優先でした。「悪人に見えて意外と善人……だと思ったら極悪人」というセンで攻めてみたんですが、いかがでしたでしょうか?
しかし、最後に千鶴とくっつくとは……自分でも予想外の展開でびっくりでありました(頼りねえー)。
なんとなくカップルばかりになって落ち着いてしまった『Master-Slave』ワールドですが、小夜歌はまだおにーちゃんに未練たらたらなご様子。千鶴だって由奈への想いを断ち切ったわけではありません。それに、円が健の存在を知ったときにどう動くか(十中八、九で、“仲良く”なるために襲いそうだ)。って、続編は書かないって言ったばっかりなのに……。
しかし、これだけぶわっと妄想が広がってしまうのも、少なくとも私の中では、このキャラどもが生き生きと息づいているからなんですね。結城遼、槙本由奈、乾孝晃、一ノ瀬結花里、結城小夜歌、結城円、橘千鶴、村藤霧子、藍原愛美、七瀬健……彼らが実は架空の人物だというのが、すごくヘンな気持ちです。ちょっと遠くに住んでる、困った友人ども、って感じで。
佐久間とか牟田口とか国村とか、名字だけのキャラは、「あー、架空の人間だなー」って100%納得できるんですけどね。
長々と余計なことを書いてしまいましたが、まあこれは私自身の独り言だと思って聞き流してくださいませ。
んでもって、気の向いたときに、夜のオカズにでもこの『Master-Slave』を読み返していただければ、望外の幸せであります。