西暦2999年、地球は滅亡した。
「おかえりなさい、ご主人様♪」
中等教育学校から家に帰ると、メイド服姿の摩耶が、いつもどおりのにこやかな顔で僕を出迎えてくれた。
「どうしたの? 今日は、何だかご機嫌みたいだけど」
「今朝、ミツバチがこの船に来たんです」
弾んだ声で言いながら、麻耶は小さく両手でガッツポーズをとる。
これは、麻耶が僕の教育係だった頃からのクセだ。おそらく僕の乳母をしていた時からのクセでもあるだろう。
その当時から、麻耶の外見は全く変わらない。僕よりちょっとお姉さんくらいにしか見えない綺麗な顔も、肩の上で切り揃えられた艶やかな金髪も、豊かな胸も、キュッとくびれた腰も、彼女自身が常々大き過ぎると不満をこぼす魅惑的なお尻も、あの頃のままだ。
「そ、そっか……とうとうミツバチが――」
ボクは、無意識のうちに服の胸の辺りの布地をギュッと握り締めた。
「……ご主人様、緊張してます?」
麻耶が笑みを引っ込めて僕の顔を覗き込む。
「あ、うん……その……まだちょっと早いかなって思って……。あ、いや、この船としては遅すぎたくらいなんだけど……僕はまだ船内時間で13歳だし……」
「静止系時間だったらとっくに大人です」
「でも、主観的にも外見的にも、僕はまだ13歳なんだよ? 初等教育課程が修了して半年も経ってないし、それに……」
「上手にお務めができるようになったのも、つい最近ですものね?」
「うっ……」
妖しい笑みを浮かべる麻耶に見つめられて、僕は自分の顔が熱くなるのを感じる。
「でも……最近のご主人様のお務め……本当にお上手ですよ……。アソコもすくすくと成長なさって……私のタンクに届いちゃうくらいに……♡」
麻耶がその不思議な金色の瞳を潤ませ、そしてピンク色の舌でチロリと――いや、もっといやらしく、ネロッと舌なめずりする。
「ま、麻耶……顔、近いよ……」
「ふふ……お風呂にしますか……? お食事にしますか……? それとも、ようやく赤ちゃんが産めるようになった私とセックスしますか……?」
麻耶の長手袋をした手が、僕の股間を優しく撫で上げる。
そこは、すでに麻耶の瞳に顔を見つめられた時から、恥ずかしいほどに硬く強張っていた。
「うぐ……ず、ずるいよ麻耶……。そんなふうにされたら、僕……」
僕は、自分の肩より少し上にある麻耶の肩に手を置く。
こういうときにいつも感じる、早く麻耶よりも背が高くなりたい、という気持ち。でもそれは、すぐにいやらしい欲望に押し流されていく。
「ンく……せ、セックス……セックスする……」
浅ましく生唾を飲み込んだ後、僕はカッコ悪く震えた声でそう告げる。
「うふっ……♡ では、寝室に行きましょう、ご主人様」
「う、うん……」
僕が頷くと、麻耶が股間から手を離す。
そして麻耶は、少し名残惜しく思っている僕の左手を、柔らかく右手で握った。
僕は、初めて初等教育学校に連れて行かれた時と同じように、麻耶に手を引かれて寝室へと向かった……
地球を滅亡させた勢力の正体は今をもってしても分からず――もしくは忘れ去られ、ただ“災厄”と呼ばれている。
地球上で生存していた人類は、その99.99%が“災厄”によって一方的に虐殺され、残りは、1000の宇宙船に乗って脱出した。
平均して宇宙船一つ当たりの乗員は500人。船内には、その500人が快適に生活するのに充分なだけの設備と空間があった。逆を言えば、それ以上の人間を生活させることはできなかった。
オールトの雲の周辺に展開していた“災厄”の包囲網を突破した宇宙船団は、実用化されたばかりの光速駆動機関――LSDシステムを駆使し、光の速度の実に90%という速度で、宇宙中に拡散した。人類は、冒険のためでも、開拓のためでも、植民のためでも、まして侵略のためでもなく、ただ“災厄”から逃亡するためだけに深宇宙へと乗り出していったのである。
LSDシステムは、希薄な宇宙空間の中における星間物質を重力子ビームフィールドによって効率的に吸収してエネルギーにするとともに、自由原子合成によってあらゆる資源を創造することができた。そして宇宙船内には、町があり、工場があり、畑があり、牧場があり、昼と夜の区別があり、穏やかながら四季の変化さえ存在した。
そして、静止系時間で1000年後――宇宙船内時間で436年後(特殊相対性理論により光速の90%で進んでいる宇宙船の時間は静止系の約2.3倍間延びしてしまう。)には、人類を乗せた各宇宙船は、半径900光年の仮想的な球形の表面に、散り散りばらばらになってしまったのである。
「不束者ですが、よろしくお願いいたします……」
和室の布団の上で、正座した麻耶が僕に三つ指をついて頭を下げる。
麻耶が座っていて僕は起立の姿勢。麻耶はヘッドドレスと長手袋とニーソックスで僕は真っ裸。麻耶は挨拶をして僕は無言。これは、麻耶と僕の立場の違いを明確にするための儀式みたいなものらしい。
僕は麻耶に色々と世話になってる。料理も洗濯も掃除もほとんどが麻耶がしてくれる。それなのに僕はすごく偉そうな感じで、そのことに居心地の悪さ――と言うか罪悪感に近いものを覚えてしまう。
でも、その罪悪感じみた何かは、僕の頭の中でなぜか熱い興奮となり、股間のモノをより大きくさせてしまうのだ。
「ご主人様……すごい……♡」
頭を上げた麻耶が、僕に――というか、臍の方まで反り返った僕のペニスににじり寄りながら、うっとりとした声で言う。
「初めてした時は、麻耶の親指よりちょっと大きいくらいでしたのに、もう何倍にもなって……んッ、ゴクッ……とってもご立派ですよ……♡」
麻耶の息がペニスの裏筋の辺りを扇情的にくすぐる。
「な……何かそういうことを褒められても、ちょっと……」
「嬉しくないですか?」
麻耶が小首を傾げながら僕を見上げ――その仕草に僕はドキリとなる。
「いや、その……う、嬉しいんだけど……嬉しいって思っていいのかなって……」
「くすっ♡ ご主人様は真面目ですね……。ここはこんなに不真面目さんなのに」
麻耶の唇が、いよいよ僕のモノの先端に近付く。
「ご主人様の、セックスしたいって言う気持ちが……麻耶の中にビュービューってザーメン出したいっていう思いが……オチンチンから伝わってくるようですよ……♡」
「ま、麻耶……」
麻耶の艶やかな唇が卑猥な言葉を紡ぎ、そのことに僕はますます興奮する。
子供の頃、訳も分からず下品な言葉を言った僕を優しく叱った麻耶の口が……この唇が……
「あむッ♡」
「うううっ……!」
麻耶の両手がペニスの角度を調整し、その口が先端の膨らんだ先端部分を咥え――温かく濡れた柔らかな感触に僕は声を上げる。
麻耶は、そのまま唇をスライドさせ、僕のペニスを口の中深くへと迎え入れていった。
「ンぶ……ちゅむむむむむむ……ンむむ……うぶぶッ……」
「うあッ……あ、ああぁ……気持ちいい……」
ペニス全体がヌメヌメとした粘膜に包み込まれる感触に、僕は思わず声を上げる。
麻耶は、僕のモノを深く咥え込んだまま、その大きな眼だけでニコッと笑い――そして、首を前後に動かし始めた。
「ンぶ……ンぶぶッ、ちゅぶ……ちゅぶぶぶぶ……ちゅぼ、ちゅぼ、ちゅぼ、ちゅぼ、ちゅぼ、ちゅぼ……♡」
「あっ、あッ、あッ、あうッ、うあッ、うあッ、うああッ……!」
麻耶の動きに合わせるように僕の口から声が漏れ、そしてペニスがさらに大きさを増していく。
まずい、このまま続けられたらすぐに出ちゃう……
そんな僕の気持ちを、まるでペニスのおののきから感じ取ったかのように、麻耶が口を離す。
「ンふ……♡ 本当に大きくなって……れろッ、れろろッ、れろ……ねろッ、ねろろぉぉ~ッ♡」
口の中の感触に名残惜しさを覚えるヒマもなく、麻耶の舌が僕のモノをいやらしく舐め上げる。
「ンちゅ、ちゅぷぷぷぷ、れろッ、れろろッ、ンぷ………ンちゅッ、ンちゅちゅッ、ちゅッ、ンちゅッ、ぶちゅ、ちゅううッ♡」
麻耶が、血管を浮かせた僕のペニスにたっぷりと舌を這わせた後、愛しげに口付けを繰り返す。
そして麻耶は、唾液と先汁にまみれた僕のモノを、改めて口の中に収めた。
「はぷぷぷぷ……ンむむッ、ンむ、ンむぅ……ふぅ♡ ふぅ♡ ふぅ♡ ふむむむッ、ンむむッ、ンぶッ、うぶ……ちゅぶぶぶ、ちゅぶッ、ちゅぼ、ちゅぼぼッ……♡」
口の中で僕の肉竿に舌を絡み付かせるようにしながら、その艶やかな唇でペニス全体を扱く。
僕は、気持ちよさのあまりその場にへたり込みそうになりながら、麻耶の口唇愛撫を堪能してしまう。
「ンちゅちゅちゅッ、ちゅぷぷぷぷぷぷ……ぐぽッ♡ ぐぽッ♡ ぐぽッ♡ ぐぽッ♡ ぐぽッ♡ ぐぽッ♡」
「うっ、うわっ、うわあぁぁぁ……!」
僕は、情けなく声を上げながら、思わず麻耶の頭を両手で押さえそうになる。
いつもだったら、このまま麻耶の頭部を固定し、喉奥まで亀頭を挿入して、そのまま射精していたところだ。麻耶はいつもそんな僕の乱暴な行為を当然のように許し、受け入れてくれた。でも――今日に限って、麻耶は僕の手を優しく制し、指を絡めるようにして両手をそれぞれつないだ。
その姿勢のまま、麻耶がゆっくりと首を後退させてその口からペニスを出す。
イキそこねた僕の肉棒は、先端からトロトロと腺液を垂らしながら不満げにしゃくり上げている。
「ご主人様……今日は、全部こちらに……♡」
麻耶が、そっと両手を離し、布団の上に仰向けになる。
そして麻耶はその両脚をMの字の形に開脚し、両手で自らのクレヴァスを割り開いた。
「ま、麻耶……」
すでに大量の愛液を分泌させている秘唇の真ん中で、膣口が物欲しげにパクパクと開閉している。
僕は、鼻息を荒くし、何度も生唾を飲み込みながら、その場に腰を落とした。
麻耶が――麻耶の体が、僕の精子で妊娠しようとしている――妊娠したがってる。
その事実に僕の脳味噌は熱湯を注がれたように興奮し、ペニスは暴発寸前になっていた。
「あぁ……ご主人様ぁ……♡ 早く……早く麻耶にそのオチンチンをズブッてしてください……♡ 麻耶の子宮目がけて、ご主人様のぷりぷりのザーメン、ドピュドピュってしてください……♡」
麻耶のそのあからさまな言葉だけで、僕は本当に射精してしまいそうになっている。
僕は、2年前に初めてした時と同じくらいあたふたと、麻耶の膣口に亀頭を押し付けた。
ぬぢゅっ……とペニスの先端が信じられないほどに柔らかな肉の穴に食い込んだその時――麻耶の両脚が、待ち切れないとばかりに僕の腰を引き寄せる。
「ンはああああああン♡」
「あぐううううううッ!」
ペニスが膣内に収まった瞬間、麻耶と僕が同時に声を上げ――そして、僕のペニスは呆気なく射精した。
「あッ♡ ああッ♡ あああああッ♡ 出てます……ご主人様の、精子っ……♡ あ、あ、あ、あううううぅぅぅッ♡」
麻耶の脚がぎゅーっと僕の腰を麻耶の股間に押し付け、そしてペニスを包み込んだ粘膜がウネウネといやらしくうごめく。
僕は――麻耶の膣内に、ビュッ、ビュッ、ビュッ、と断続的に精液を放ってしまった。
「はッ、はうッ、はぐぐ……ま、麻耶ぁ……あああぁぁ……あううぅぅ……っ」
僕は、麻耶の体の上に、まるでそのたわわな乳房を枕にするような感じで倒れ込む。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ふふふふっ……♡ まずは、お疲れ様でした♡」
麻耶が、まるで小さい子にするように、僕の頭を優しく撫でる。
「うううぅぅ……すぐ出しちゃった……」
「いいんですよ……きちんとお務めはできたんですから……」
「でも……僕、まだ出し足りないよ……」
「えっ……?」
僕の言葉に、麻耶の膣内がキュンキュンと収縮する。
「ご主人様……まだ、私としたいんですね……? ふぅ、ふぅ、私のオマンコ肉でオチンチンをこすって気持ちよくなりたいんですね……?」
「うん、したい……そういうふうにしたい……」
僕は、萎えかけのペニスを麻耶の肉壺に収めたまま、もじもじと腰を動かす。
「んんッ……♡ わ、私も……私もご主人様と同じ気持ちですよ……♡ ンふ、ンふぅ、ご主人様のオチンチンに、オマンコをズボズボってしていただいて……ンんんっ、いっぱいザーメンを出してほしいって思ってます……♡ ンふうぅぅ……♡」
麻耶が僕を――いや、僕と自分自身とを興奮させようと、わざと下品な言葉を口にする。
僕は、そんな麻耶の唇に自らの唇を寄せ――そして僕たちは唇を重ね合った。
「ンむ……ンんん……ンちゅ……♡ ちゅむ、ちゅむッ、ンちゅ、ちゅぷ、ちゅぶッ……♡」
唇を押し付け合い、舌を絡め合う。
ついさっき僕のペニスをフェラチオした舌と唇はほのかに体液の味がし、そして匂いを漂わせていた。それが、どういうわけか僕を高ぶらせる。
「ンちゅ、ンちゅッ、ちゅぱ、ちゅぷ、ちゅぶぶッ……♡ ンぷ、ぷはぁ……ご主人様のオチンチンが、麻耶のオマンコの中でまた元気に膨らんでますよ……?」
頬を染め、嬉しそうに微笑みながら麻耶が言う。
僕は、返事をする代わりに、すっかり勃起を回復させたペニスをピストンさせ始めた。
「あううッ、ンうッ、ンふ、あふぅ……♡ あッ、あッ、ああぁ……ご主人様ぁ……♡ ンふ、ンふッ、ンふぅ、ご主人様の、気持ちいい……♡」
甘い声を上げながら麻耶が徐々に腰を上げ、その結果、僕の体は上半身の方により体重がかかるような姿勢になる。
まるで麻耶の体にのしかかっているような――もしくはその体に溺れ、のめり込んでいるような――そんな格好のまま、僕は腰の動きを大きくしていく。
「はううッ、ンうッ、あううッ♡ あッ、あッ、すごい……! と、届いてます……ご主人様のザーメンが溜まってる麻耶のタンクに、ンふ、ンふぅン♡ さ、先っぽ届いてますぅ……! ふああッ、あうッ、あううン♡」
麻耶が、僕の首にその腕を回し、ギュッと抱き付いてくる。
「ンあッ♡ あッ♡ あうッ♡ あううン♡ 気持ちいいッ♡ 気持ちいいですッ♡ はうッ♡ はううン♡ ご、ご主人様のっ、ご主人様のオチンチン気持ちいいのぉぉ♡ ンあああッ♡ あふうぅぅ♡」
「僕も……僕も気持ちいいよ……! 麻耶のオマンコ気持ちいいよっ……!」
麻耶の卑猥なセリフに当てられたように、僕も卑猥な言葉を口にしてしまう。
「ふぁ、ふああぁン♡ ご、ご主人様が、オマ、オマンコだなんてっ……! ンふ、ンふぅ♡ そんな下品なこと言うなんてぇぇ♡ あッ♡ あッ♡ あッ♡ わ、私、興奮しちゃいますッ……!」
麻耶が、僕のペニスを咥え込んだ下半身を上下に動かし始める。
「ひああッ♡ ひあン♡ ひあぁン♡ こすれるぅ♡ こすれるぅぅ♡ お、お、オマンコの中、いっぱいこすれてますぅぅぅ♡ うああッ♡ うあン♡ あはぁぁン♡」
僕たちは、息を合わせるようにたがいに腰を振り、快楽を貪る。
「あああぁぁ♡ ご、ご主人様、こんなに、こんなに立派になってぇぇぇッ♡ う、う、嬉しいッ♡ 麻耶は、麻耶は嬉しいですぅぅぅ♡ うああッ♡ うあン♡ ふああぁぁン♡」
「麻耶の……麻耶のおかげだよ……! うッ、ううッ、うぐ、うぐぅ……!」
僕は、呻き声を漏らしながら、麻耶の体を抱き締める。
「はァ、はァ、はァ……好きだよ……好きだよ、麻耶……大好きだ……!」
「ああああああッ♡ ご、ご主人様、ダメ、ダメです、好きなんて言っちゃッ……!」
「好きだ! 好きだ! 好きだ! 好きだッ! 麻耶じゃないと……麻耶がいないと駄目なんだッ……!」
「ダメですッ! ダメですううッ! わッ、私みたいなの好きになっちゃッ! あうッ♡ あううぅン♡ わっ、私なんて、スケベで、旧式で、ポンコツで、下品で――い、い、い、いっつも、ご主人様のザーメンをいただくことばっかり考えてるんですよっ……!」
「僕は……僕はッ……! そういう麻耶が好きなんだよッ!」
「でも私は――むぐうッ♡」
まだ何か言おうとする麻耶の唇を、強引にキスで塞ぐ。
そして僕は、麻耶の膣肉が分泌する愛液が雫となって飛び散るほどに激しく、ペニスを打ち下ろすように繰り出した。
「ふぐーッ♡ ンぐぐぅーッ♡ ンむ♡ ンむッ♡ ンぷ♡ ンむむッ♡ ンぶッ♡ ふーッ♡ ふーッ♡ ふーッ♡ ふぐぐぐぐ……ンはああああああああッ♡」
麻耶が白い喉を反らして声を上げた拍子に、唇と唇が離れる。
「あひぃーッ♡ あひぃぃーッ♡ ダメ、ダメ、ダメ、いっちゃううぅぅぅぅッ! あッ、あああッ、ああああッ♡ オマンコ、オマンコいくうううッ!」
麻耶の唇が切羽詰まった声を放ち、その膣壺が愛しげに僕のペニスを締め付ける。
僕は、のたうち悶える麻耶の体をさらにきつく抱き締めながら、最後のスパートをかけた。
「あッあッあッあッあッああああぁぁぁぁーッ♡ 壊れちゃうぅぅ♡ 壊れちゃうぅぅぅ♡ あひッ♡ あひッ♡ あひッ♡ あひッ♡ あひッ♡ ンひいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃーッ♡」
「麻耶……好きだよッ……」
「私もッ……♡ 私もご主人様のこと大好きですぅぅぅぅ~ッ♡ 好きッ♡ 好きッ♡ 好きッ♡ 好きッ♡ 好きッ♡ 好きッ♡ ひあああああああ♡ 私、私、何言っちゃってるのぉぉぉぉぉ~♡」
麻耶はこうならないと、僕に対する気持ちを言ってくれない。だから僕は、歯を食い縛って射精を堪えながら、遮二無二ピストンを続ける。
「くひぃぃぃーッ♡ 好きぃーッ♡ 好きぃぃーッ♡ あーッ♡ あーッ♡ あーッ♡ あーッ♡ いっちゃうッ♡ いくううううッ♡ ひィ♡ ひィ♡ ひィ♡ 大好きな、大好きなご主人様のチンポでいっくうううううううううううぅぅぅぅぅぅーッ!」
「うぐぐぐぐぐ……出るッ!」
「きゃあああぁぁぁぁぁーッ♡」
まるで悲鳴のような悦びの声を、麻耶が華やかに響かせる。
「いッくぅぅぅーッ♡ いッくうううぅぅぅーッ♡ ンひ♡ ンひ♡ ンひ♡ ンひ♡ オマンコいく♡ オマンコいく♡ オマンコいく♡ オマンコいッくうううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅーッ!」
絶叫を上げ続ける麻耶の体内に、ビューッ! ビューッ! と僕のザーメンが迸る。
「あうううッ♡ ンお♡ ンお♡ ンおおおお♡ ンほぉぉぉ♡ おッ♡ おッ♡ おッ♡ おおおぉぉぉ……♡ オ、オチンポ……オチンポから精子出てるぅ……♡ 出てるぅぅぅ……♡ ンほ、ンほぉぉぉぉ……♡」
何かに驚き、呆然としているようにも見える顔になった後、麻耶がその表情を淫らに蕩けさせる。
「あああぁぁ……私……私……道具なのにぃぃぃ……♡ ご主人様が気持ちよく射精するためにオナホ人形なのにぃぃぃ……♡ おッ……♡ おッ……♡ おッ……♡ おおおぉぉぉ……ッ♡」
「うううぅぅぅ……それでも……それでも麻耶が大好きだよっ……」
麻耶の言葉を否定することなく――僕はただ、僕の気持ちを伝える。
「あああぁぁぁ……♡ 許されないのに……す、好きになったりとか……好きになってもらったりとか……許されないのにぃぃぃ……♡ あ……♡ あ……♡ あ……♡ あぁぁぁぁぁ……♡」
麻耶の膣肉が、まるで独立した生き物のように貪欲にうごめき、僕の肉棒からスペルマを搾り取る。
「いいんだよ、麻耶……ううッ……大好きだ……愛してるよ……」
「あああぁぁぁ……ッ♡」
ギュウゥゥーッ、と麻耶の膣肉が僕の肉竿を締め付ける。
そして、ビクッ、ビクッ、ビクッ、と何度か痙攣を繰り返した後――麻耶が、ぐったりとその体を弛緩させる。
僕は、その半開きの唇に軽く口付けをし、そしてその滑らかな頬をそっと撫でた。
「ンああぁぁ……ご……ご主人……さまぁ……」
どこかぼんやりとした表情で、麻耶が言う。
「ご主人様……たくさんの牝型アンドロイドの中から麻耶を選んでくださって……あ……ありがとうございます……」
「――うん」
僕の返事が聞こえたのか、麻耶の口元に、かすかな笑みが浮かぶ。
「麻耶は……ご主人様のために、耐用年数を迎えるまで……精いっぱい尽くします……」
「うん……ずっと一緒だよ……」
そう言って、僕は麻耶の体を改めて抱き締めた……
半径900光年の球の表面積は約1000万平方光年。つまり、1000の宇宙船が、その球面上のそれぞれ1万平方光年のエリアのなかで独りぼっちということだ。なお、半径900光年の球の表面上に散らばった1000の宇宙船同士の平均距離は約100光年だ。もちろん、それぞれの宇宙船は単純に直進しているわけではないので、互いの距離は簡単には求められない。しかし、宇宙船同士の距離が10光年以内にまで近付くことはまれであり、そもそも逃亡を続けている間は各個の距離は開く一方である。
宇宙船同士がランデブーを行うことは、未だに追跡の手を緩めていない“災厄”を利するだけである。宇宙船が協力し合っても“災厄”の追撃を返り討ちにすることはできない。むしろ、別々だった追っ手が合流し、より強力になるだけである。そして、もし同時に2つの宇宙船が“災厄”の追っ手に攻撃され、破壊されてしまえば、逃亡者と追跡者の数のバランスに綻びが生じてしまう――何年にもわたるシミュレーションの結果、人類が存続する唯一の方法は、1000の宇宙船が各個に“災厄”から逃げ続けるという方法のみという結果が出たのである。
何世紀にも渡る長い長い逃避行の間に、500人いた乗組員たちは、“災厄”の追撃に対する迎撃戦や、宇宙人などの第三勢力との不幸な遭遇戦、苛酷な宇宙環境、事故、病気、老衰によって、数を減らしていった。
足りなくなった人員を、人々はアンドロイドで補充した。有機組織で作られたアンドロイドは、人間にできることは全て行えた――子供を産むこと以外は。
いや、正確には、人工子宮をインプラントされたアンドロイドであれば、受精卵を着床させ、胎児をはぐくみ、赤ん坊として出産することすら可能だった。ただ、ヒトの細胞――精子と卵子には限りがあったのだ。人口が減少し続ける宇宙船内における遺伝子プールは、時間とともに貧しくなっていたのである。
宇宙船内の環境のみでは、衰えた人類の種としての力を回復させることはできなかった。スタート時に500人という数は、苛酷な宇宙空間における閉鎖系で人類を存続させるには少なすぎたのだ。
「ご主人様の精子……確かに私の子宮に届きました……。うふふっ、とっても元気な精子たちです」
事がひとまず終わり、寝床の上に脚を崩して座った麻耶が、僕に言う。
「不思議な気持ちです……。ご主人様の精子をミツバチに託すことなく、私のお腹の中で卵子と出会わせるなんて……」
麻耶が、自分の白いお腹を愛しげに撫でる。
「この卵子は、どこか別の船の誰かのものですけど……でも……たとえ真似事でも、ご主人様の赤ちゃんの……お、お……お母さんになれる、なんて……うっ、ぐすっ……」
一筋、二筋、麻耶の白い頬を、その瞳から溢れた透明な雫が伝い落ちる。
「あれ……? 涙が……わ、わ、私、どうしたのかな……? あう……あううぅぅ……」
ポロポロと涙をこぼす麻耶を、僕はそっと抱き締めた。
「私、変です……感情回路……暴走して……嬉しいのに、初めてのことだから、ふ、不安で……ご、ご、ご主人様のことが大好きで……ううぅ……こ、これ、私のポンコツ電子頭脳だと分析できません……ごめんなさい……」
麻耶が何と言おうと僕はまだ子供なので、こういう時に麻耶に何て言っていいか分からない。
その代わりに僕は、僕の胸に顔を押し付けて小さな女の子のようにしゃくり上げる麻耶の髪を、撫でてあげた。
僕は将来、こんなふうな麻耶にすぐに笑顔を取り戻させるようなことを言える大人になりたい。だけど今の僕はまだまだ子供なのだ。
それを少しだけ悔しく感じながら、僕はいつまでも麻耶の髪を撫で続けた……
5世代前の宇宙船の乗組員たちは、超空間通信で会議を重ねた結果、互いの乗組員のDNA――有り体に言うなら精子と卵子を冷凍し、超小型LSDシステムを搭載した宇宙船間連絡カプセルに封入して、他の宇宙船がいるであろう空間に向けて射出し合い、交換することに決めた。人間同士を交換することには危険が伴ったし、そもそも人を運搬することのできる宇宙船をわざわざ作るのは非効率だった。その点、連絡カプセルであれば、比較的低コストで作ることができたのである。
この精子や卵子を運搬する連絡カプセルは、花から花に花粉を運ぶ小さな昆虫になぞらえて「ミツバチ」と名付けられた。
ミツバチは宇宙船よりはるかに小さいため、LSDシステムにより光速に限りなく近く加速できる。それでも、約100光年離れた宇宙船から宇宙船にミツバチが到達するまでには150年以上の時がかかり、時間の間延びしている宇宙船内でも65年以上の時間が経過してしまうのだ。
そして、今朝――僕の宇宙船に、卵子を収納したミツバチが、初めてたどり着いたのである。
「赤ちゃん……いつ産まれるの……?」
ようやく落ち着いた麻耶に、僕が尋ねる。
「だいたい、266日後です」
麻耶が、柔らかな笑みを浮かべながら僕に答える。
「その間は……ええと……」
言いよどむ僕の唇に、チュッ――と軽く口付けしてから、麻耶が口を開く。
「だいじょうぶです。ご主人様の精子を採取する機能はもとのままですから……」
僕は、第721番宇宙船“オナーン号”の第20世代にして、最後の生き残りだ。
他の船に、どれくらいの生き残りがいるのかは分からない。
だが今も、麻耶に採取された後に冷凍された僕の精子を、多くのミツバチが他の宇宙船に運んでいるはずである。
そして、何十年か後――もしかしたら100年くらい先には、僕の精子を人口睾丸に蓄えた雄型アンドロイドが、どこかの宇宙船の女の子を妊娠させるだろう。
西暦4001年、船暦437年、人類はまだ繁殖している。