第3章
3日、経った。
その3日の間、由奈の小さな体は、何度も何度も、苦痛と羞恥、そしておぞましい快楽にさらされた。
ムチの痛みや、口唇奉仕の屈辱の後には、決まって、たまらない絶頂の感覚が、由奈の精神をとろかせる。
「お前は、俺の奴隷だ」
快感に脳を痺れさせる由奈に、遼は繰り返し、命じた。
「奴隷は、主人のことをご主人様と呼ぶんだ」
「ごしゅじん……さま……」
由奈は、なんとも曖昧な表情で、ぼんやりとその言葉に応じたのだった。
全裸のまま、朝食と洗顔を終えた由奈は、鉄パイプ製のベッドの上の堅いマットレスに膝立ちになり、目の前に立つ遼の股間に顔を埋めていた。
両手は、自由である。その、白い小さな手を、軽く遼の腰に添えながら、由奈は、けなげに顔を前後させている。
まだ、自分から遼のペニスにしゃぶりつくのは抵抗があるのか、その仕草はぎこちなく、ともすれば動きが止まってしまう。
その度に、黒いワイシャツを羽織っただけの遼が、軽く腰を突き出し、熱い剛直で、由奈の口内をつつき、奉仕の続きを促す。
そんな屈辱的な催促に、力なく恨みっぽい眼を投げかけながらも、由奈は動きを再開するのだ。
悩ましく眉をたわめ、目尻に涙をにじませながら、その桜色の唇をいっぱいに広げ、凶暴な外見のペニスをしゃぶり、舐め上げる。
「いいぞ、由奈……」
唇や舌が、雁首のくびれや、竿の裏筋など、男の感じる部分を捉えるたびに、遼は、由奈の頭を撫でながらそう言う。
こんな状況であっても――いや、こんな状況であるからなのか、遼に褒められると、なぜか由奈の胸の中が熱くなった。
(どうして……? あたし、こんなコトで褒められて……悦んでるの……?)
そう思いながらも、意外なほどの優しさで髪を撫でられると、どうしても奉仕に熱が入ってしまうのだ。遼に教えられた通り、口の中で舌を回すようにして亀頭を刺激し、ペニス全体を咥えて、頭をねじるようにして刺激する。
(この人、感じてる……あたしがしてあげてることで、気持ちよくなってる……)
そんなことを考えると、ペニスから先走りの汁がにじみ出ることさえ、次第に嫌でなくなってくる。
「んん……んふン……んうゥ……くふン……」
いつしか、由奈は、媚びるような鼻声をあげていた。
遼の呼吸が少しずつ早くなっていくのを、由奈が何とも奇妙な気持ちで聞いていた時、不意に、遼が腰を引いた。ちゅぽん、という音ともに、赤黒く膨張した遼のペニスが解放され、鋭い角度で天井を睨む。
「え……」
由奈は思わず不審の声をあげた。今までの経験から、遼が未だフィニッシュには程遠いことが分かったのだ。が、自らの唾液に濡れるペニスを見せ付けられ、由奈は耳まで赤くしながら、うつむいてしまう。
そんな由奈の、豊かすぎる胸に、立った姿勢のままで遼は手を伸ばした。
「ああン」
ほとんど抗うそぶりも見せず、由奈は遼の愛撫に身を任せた。
ぐにぐにと感触を楽しむように、遼の手が、由奈の双乳を揉みしだく。
「んはァ、ああァん……」
由奈は、諦めとともに声を漏らしていた。今更、感じていないふりをしたところで、どうなるものでもない。
「気持ちいいか?」
「はい、気持ちイイです……ご主人様……」
教えられた通りの台詞を、由奈は言う。しかし、全く心にも無いことを言っているわけでは、けしてなかった。
「続きは、このでかい胸でするんだ」
「えっ?」
目をぱちくりさせる由奈の体を、両腋に手を差しこんで一度持ち上げ、ベッドの上に横たえる。
その由奈の上半身に、まともに体重をかけないように注意しながら、遼はまたがった。
そして、両手を左右の乳房に添えて、その谷間にペニスを挟みこむ。
「あ、熱い……」
由奈は、思わず声に出して言っていた。
その言葉通り、高い温度をもった剛直を、遼は前後に動かしていた。
「あ、あ、あぁ、あっ……」
自分の胸の谷間から、赤黒い亀頭が出入りするところをまともに見せ付けられ、由奈は声をあげ、思わず顔をそらしていた。
「見ろ」
遼の低い声に、由奈は垂れ気味の大きな目に涙をためながらも、ペニスに犯されている自分の胸に目をやってしまう。
それを確認して、遼は、自分のペニスを挟んでいる白く柔らかな双乳を、再び揉みしだいた。由奈が痛みを感じるほどに指を食いこませ、さらには、指先で乳首をころころと転がす。
「ん……ンはぁ……あぁン……!」
胸を弄ばれる快感と、目の前で蠢くペニスに、由奈の声が濡れていく。
次第に、遼の腰の動きが早くなっていった。息も、荒くなっていく。
遼は、どうしていいか分からない、といった顔の由奈の両手を、彼女の胸に導いた。
「自分でも押さえるんだ」
「こ、こうですか……?」
言いながら、由奈は、肘から先で、自分の巨乳を挟み込むようにした。幼い顔の下で、白い乳房が、縦長の楕円に歪む。
「そうだ……いいぞ……」
胸でペニスを圧迫する役を由奈自身に任せた遼は、由奈の乳首をつまみ、しごいたり、ひねりあげるようにして刺激する。
「あッ、ああ、ふあ〜ン」
由奈が、男の脳と腰を痺れさせるような泣き声をあげた。両手とペニスで犯された胸は、亀頭からにじみ出る粘液に濡れ、汚されている。
そして、とうとう遼が限界を迎えた。
「くッ……由奈っ!」
そう言うと、膝立ちになって、柔らかな刺激によって導かれた欲望を、一気に解放する。
「あ! い、イヤっ!」
ぴしゃっ! と音をたてそうなほどの勢いで精液が顔を叩く感触に、由奈は悲鳴をあげていた。今まで育っていた快感よりも、顔に牡の粘液をかけられることのおぞましさの方が勝ったのだ。
しかし、遼は、容赦なく由奈の上半身全体に、精液の弾丸を打ちこんでいく。
「ああ……イヤ……イヤあ……っ」
額も、頬も、唇も、胸の谷間も、大量の白濁液で汚されていくその感触に、由奈は弱々しい泣き声をあげた。
何度されても、由奈は、未だに精液を顔にかけられる汚辱には慣れることができないでいる。
「センパイ、助けて……」
思わずそんなことをつぶやいた由奈を、膝で彼女をまたいだ遼が、無表情に見下ろしていた。
遼は、手際よく由奈の緊縛を完成させた。
豊かな胸のふくらみの上下に、二重にした縄をかけ、背後に余った分で、由奈の両手首を後ろ手に縛る。
いわゆる、高手小手と言われる形だ。ただでさえ、その幼げな体にはアンバランスな巨乳が、いびつに突き出されて、ますます淫猥に強調されている。
縄の感触に呻き声をあげつつも、由奈は抵抗しようとしなかった。ただ、うつむいたまま、なされるがままに縄がけされていく。
「おとなしくなったもんだな」
言いながら、遼は、由奈の顎に手をかけ、顔をあげさせた。
「だが、まだまだその目は反抗的だ。胸やアソコをいじられてるときは、あんなに素直なのにな」
遼の言葉に、由奈は意地になったように答えない。
「まさか、まだ憧れの先輩が助けに来てくれるとでも思ってるのか?」
単純な嘲弄以上の何かが、遼の声には混じっているようだった。しかし、由奈は沈黙を続けている。
ふん、と小さく鼻を鳴らし、遼はまだはおったままのワイシャツの胸ポケットから、何かを取り出した。
赤い、女物のパスケースだ。
「そ、それ……」
びく、と由奈の体が震えた。
「やっと見つけたよ。お前の大事な先輩をさ」
遼が右手で弄ぶパスケースの内側には、高校生らしき少年の写真が入れられていた。バスケットボールのユニフォームを着て、カメラに笑いかけている写真である。
「無内容な顔で笑ってやがるな」
「か、返して! 返してください!」
「別に男の写真なんか取ったりしないさ」
必死で訴える由奈に薄く笑いかけながら、遼はパスケースをベッドの傍らの棚に立てた。ちょうど、パスケースの内側の写真が、由奈の方を向く。
「ただ、これから起こることを、きちんと見てもらおうと思ってね」
「え……? きゃッ!」
突然、遼は、上半身の自由を奪われた由奈を抱きしめた。
「は、放してッ! 放してえ!」
由奈の悲鳴を、遼は、まるで耳に心地よい音楽を聴いているような顔で堪能した。
そして、乱暴に由奈の体をマットレスに押し倒す。
「やアあああッ!」
痛みと恐怖に、由奈が悲鳴をあげる。
が、そんなことには一向に構わず、遼は由奈の脚の間に、右手を差しこんだ。そして、そのまま手の平全体で、恥丘を包み込むようにする。
「んくッ!」
ひくん、と由奈の体が可愛く跳ねた。遼が、右手でその部分をじんわりと愛撫しながら、由奈の右の乳首を口に含んだのだ。
短期間のうちに開発されてしまった由奈のその部分は、確実に性感を生じさせ、由奈の脳に伝えた。そしてそれは、さきほどまでの愛撫に感じてしまっていた体の奥底の官能の火を、再びよみがえらせてしまう。
遼は、ちゅぱっ、ちゅぱっ、と音を立てながら、ソフトに由奈の乳首を吸い、ころころと舌で転がした。
「ンんん……んう……んくぅ……」
想い人の写真の視線にさらされ、必死で唇を噛む由奈だが、わずかに漏れ出る声は、すでに濡れている。
右手の中指を、愛液にうるんだクレヴァスに潜り込ませながら、遼は由奈の胸から口を離した。しかし、唾液で濡れ尖った乳首は、左手の指でいじくり、刺激を絶やそうとはしない。
「あの先輩とやらとは、付き合ってたのか?」
左の乳首に顔を寄せ、軽くついばむようにしながら、遼は訊いた。
由奈が、消え入りたげな顔で、ふるふると首を振る。
「片想いか……」
言いながら、遼は右手の動きを少しずつ速めていった。
「告白は、したのか?」
確実に由奈の体を追い詰めながら、遼が無遠慮にそう訊く。
「し、してません……んあっ!」
愛撫に反応しながらも、由奈は遼に答えてしまう。
「だってあたし……チビだし、カッコ悪いし……んあァ!」
ちゅぱっ、と音をたてて、由奈の首筋にキスをし、舌を這わせる。
「お前は、可愛いぜ」
耳たぶやうなじ、鎖骨のくぼみなどを刺激する口元に笑みをためながら、遼は言った。
「ウ、ウソ、ウソです……!」
「嘘なんかついてないさ」
遼は、両手でたわわな由奈の乳房をすくいあげた。
「ふアああン」
「おおかた、胸のことでも、からかわれたことしかないんだろ?」
まるでパン生地でもこねるようにぐにぐにと揉みしだいたかと思うと、繊細な指使いで肌をなで、乳首をつまんでくりくりと動かす。
「ンあ……あいッ……いいイ……」
「お前は可愛いよ。特に、そうやって感じてるときの顔がな」
「イヤあ、イヤあぁン」
卑猥な言葉で褒められ、頬を赤く染めて頭を振る由奈に、遼は前髪に隠れた目を細めた。
そして、両手を胸から離し、由奈の小さな体に覆い被さる。
「あ……」
前髪が下に垂れ、遼の顔が露になる。その切れ長の目は大きく黒目がちで、意外なほど優しい表情を浮かべている。
「由奈……」
腕の中の捕われの少女の名を呼びながら、遼は自らの腰を彼女の白い両脚の間に割り入れた。由奈の脚は、遼の力に逆らえず、はしたなくも大きく広げられてしまう。
「い、イヤ……」
これから遼がしようとすることを悟って、由奈は弱々しくかぶりを振った。緊縛された体が、目に見えて緊張する。
「怖いか?」
遼の問いに、由奈が童女のような素直さでこくこくと肯いた。目が、涙でうるうると潤んでいる。
ぎゅっ、と遼は由奈の体を抱く両腕に力を込めた。そして、まるで愛しいペットにでもするように、目を閉じて頬ずりをする。
「はぁン……」
由奈が、なんとも複雑な情感のこもった息を漏らす。
「大丈夫だ、由奈……」
言いながら、遼は由奈の恥丘に、再び右手を伸ばした。
そして、体を密着させた状態のまま、巧みにその部分の快楽を指先で育て上げていく。
「ン……んあァ……んくッ……ふあァん……」
中指を、すでに大量の愛液をたたえているスリットに潜り込ませつつ、指の間に左右の肉襞を挟みこみ、柔らかく動かす。そして、親指は、フードから慎ましやかにちょっと顔を出したクリトリスをさぐり、強すぎる刺激を与えないように、その周囲や包皮の部分を優しく撫でさすった。
遼の抱擁と愛撫に、硬直していた由奈の体から、くたくたと力が抜けていく。
「そうだ、由奈……」
首筋や額に軽いキスを繰り返しながら、その合間に、遼は由奈の耳元に熱い息を吹きかける。
そして、遼は、由奈の愛液に濡れた右手で、ずいぶん前から勢いを取り戻したペニスを、由奈の、最も秘めやかな粘膜に導いた。
「あッ……」
その剛直の温度に、思わず由奈が声をあげる。
「だ、ダメ、あたし、やっぱり……」
そう言って不自由な体をよじらせようとする由奈の肩を、遼はしっかりと固定する。
「いくぞ、由奈」
そう言って、遼はゆっくりと腰を動かした。
「あ、あ、あああああああ……ッ!」
入り口の肉襞をかきわけ、ペニスの先端が侵入してくる感触に、由奈は細い声をあげた。
純潔のしるしの膜が、その侵入を押しとどめようと、はかない抵抗をしめす。
遼は、一瞬だけ、体の動きを止め……
そして、激しくはないが確実な動きで、腰を進ませた。
「きゃアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
由奈が、絶叫した。
その幼い腰には無理かと思われるような仕打ちに、体を弓なりにそらせて、大きく見開いた目から涙をふきこぼす。
「いッ……いた……い……いイイ……やァ……」
悲鳴で肺を空っぽにしてしまった由奈は、呼吸もままならない様子で、必死に痛みを訴えた。
遼は、まるで子供をあやすような手つきで、由奈の髪を撫でた。
「ひン……ひ、ひどい……ひどいよォ……ひああ……やあァ……」
由奈の力ない悲鳴は、そのまま情けない泣き声になっていく。
「由奈……」
遼はそう呼びかけ、半開きのままあえいでいる由奈の小さな口に、唇を寄せた。
「ぁむ……」
何か言いかけた由奈の唇に、遼の唇が重なる。
由奈は、何かに驚いたように、目を見開いた。
遼が、由奈の舌に自らの舌を触れ合わせる。
「んむゥ……ン……」
そのまま、口内に侵入した舌は、由奈の舌を絡めとリ、口腔粘膜を小刻みに刺激する。
「ん……ん……んふっ……うン……」
いつしか、由奈は目を閉じていた。
そして、遼が由奈の舌を吸い上げると、おずおずといった感じで舌を突き出し、巧みな唇による愛撫を受け入れる。
ちゅぱ、と妙に可愛い音を立てて、二人の口が離れた。細い唾液の糸が、一瞬だけ、唇と唇をつなぐ。
「ンう……」
まだ残る苦痛と、そして切なさとにたわんだ眉の下の大きな目を、由奈はゆっくりと開いた。
「落ち着いたか? 由奈」
その問いに、由奈がぼんやりとした顔で肯く。
「もしかして、ファースト・キスだったのか?」
再び、由奈はこくンと肯いた。
「そうか……ちょっと順番が狂ったな」
遼は軽く笑い、由奈の口をついばむようにして、軽いキスを繰り返す。その度に、由奈の顔が穏やかになっていくようだった。
「動かすぞ、由奈」
「え……」
遼の宣言に、由奈の顔が泣きそうになる。
「大丈夫だ、由奈。さっきほどは痛くないはずだ」
そう言われても、由奈は不安そうな表情を浮かべたままだ。
しかし、遼はゆっくりと体を動かし始めた。
「ン……んぐ…う……」
膣内粘膜がこすられる、ひりつくような痛みに、由奈がうめく。しかし、先ほどのような、切迫した調子ではない。
「我慢できるな、由奈」
言われて、由奈はまた素直に肯いてしまう。
そんな由奈の髪や頬を、遼は優しく撫でてやった。
由奈のそこは、まるで自分自身を守ろうとするかのように、とろとろと血の混じった粘液を分泌し続けている。
「ん……んく……うゥ……んうゥ……うッ……」
少しずつ、少しずつ、由奈の声の質が変化していった。
「んふっ……ふア……んんン……んくゥ……ッ」
遼が、由奈のうなじや耳たぶに舌を這わせ、さらには、恥骨をおしつけるようにして、由奈の幼い恥丘を圧迫して刺激する。
「もう、痛いだけじゃないだろ、由奈」
熱い息とともに、そんな言葉を、由奈の耳にふきかける。
「ハ、ハイ……」
ぞくぞくっ、と体を震わせながら、由奈が答えた。
(イタい……イタいのに……イタいのに、気持ちイイ……)
体中を入念に開発されたのと、苦痛と快楽の境が曖昧になるほどに責めつづけられたために、由奈の体は、破瓜の痛みにさえ、はしたない反応をするようになってしまっている。
「初めてなのに感じてるんだな、由奈……」
「そんなァ……そんなコト、言わないでください」
「あの先輩も、お前がそんな娘だとは知らなかったろうなあ」
「イヤ、イヤあ!」
視界の端にあるパスケースの中の写真に注意を向けさせられ、由奈は激しく首を振った。
しかし、遼は、次第に苦痛に勝りつつある快感を、容赦なく煽っていく。
顔や首筋にキスの雨を降らし、その大きな胸を両手で揉みながら、口と指先で乳頭を刺激する。
そして、その腰の動きは、次第に大胆になっていった。
「あ、ああッ! ああ、んあああ、あいいぃぃ……っ!」
由奈は、下半身に湧き上がる熱く激しい快楽から逃れようとするかのように、その小さな体をよじらせた。
しかし、遼はけして由奈を逃がそうとはしない。
「気持ちいいんだな、由奈」
「ハ、ハイ……気持ちイイ、気持ちイイの、ご主人様ア……」
自分を見下ろす遼の顔を、すがるような涙目で見つめながら、由奈が言う。
「お前はもう、戻れない」
口元に強烈な笑みを浮かべながら、遼は宣告した。
「お前はもう、引き返すことはできないのさ。初めてなのに腰を振るような、イヤらしい変態娘なんだ」
「イヤあ、い、イジワル言わないでえ」
そんな泣き声をあげながらも、遼の言葉通り、由奈はあそこから血を滴らせながらも、はしたなく腰を浮かしている。
「あんなガキには手におえないような淫乱なんだよ、お前は」
「お願いです、せ、センパイのことは、もう、言わないでください……ッ」
ぽろぽろとその大きな目からこぼれる涙を、遼はキスでぬぐった。
「安心しろ、由奈……俺が、もっともっと、お前をイヤらしいメス奴隷にしてやるよ」
「ああッ……そんな、そんなァ……」
遼の言葉よりも、その言葉通りになってしまうであろう自分自身の運命に、由奈は悲痛な快楽の声をあげた。
自分自身の運命が堕ちていく、被虐にまみれた快感だ。
自由を奪われ、無理矢理に処女を散らされる苦痛と屈辱が、そのまま、体を甘く痺れさせる。それは、由奈がかつて味わったことのなかった、存在さえも知らなかった種類の快美感だった。
「ああァ……あたし……ヘ、ヘンになる、ヘンになっちゃうゥ!」
ふるふると頭を振りながら、由奈が訴える。その白い脚は、いつのまにか、しっかりと遼の腰に回され、緊縛された腕の代わりに、けなげに絡み付いていた。
「何も考えるな……お前はただ、俺を感じればいいんだ……」
次第に熱く、荒くなっていく息遣いの合間に、遼はそんな言葉を、由奈の耳に吹きかける。その腰使いは、しだいに遠慮のないものになっていき、由奈のそこは、血の混じった蜜をこぼしながら、遼のペニスに肉襞をまとわりついた。
「ンああああああああッ!」
びくん、と由奈の体が、大きく跳ねる。
「あうッ! んあッ! んくううッ!」
「イクのか? 由奈」
「んあァあ……イク、由奈、イっちゃいますゥ……!」
「初体験でイクなんて、欲張りな奴だな、お前は」
「だって……あ、あついの……アソコが……もう……もう、ダメえ……ッ!」
遼の嘲弄も、もはや快楽に支配された由奈の脳には。きちんと届いていない様子だ。
「くうッ……!」
絶頂に向けて、きゅうっ、と収縮する靡肉の感触をペニス全体で感じ、遼は小さくうめいた。
「由奈……」
「ご主人様、もう……ッ! イ、イク、イクの、イっちゃう、イっちゃうゥーっ!!」
由奈の体が、弓なりに反った。
「由奈ッ!」
その小さな体をきつく抱きしめ、遼が、由奈の最も深いところまで、ペニスを突き入れる。
「ああッ! あッ! あッ! んああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアっ!!」
由奈が、ひときわ高い声で絶頂を告げた。
その声に誘われるように、遼が、大量の精液を由奈の体内に注ぎ込む。
「あひッ! ひあああっ! あ、あ、ああ、あア……」
どくん、どくんとペニスが律動し、勢いよく射精を繰り返すたびに、由奈はまぎれもない歓喜の声をあげた。
「ああ……ふああアア……ンあァ……」
マットレスの上に浅いアーチを描いていた由奈の体から、がっくりと力が抜けた。
その瞳は、強すぎた快楽の余韻に茫然としているように、ぼんやりとして何も映していない様子である。
その視線の先に、赤いパスケースに入った写真があった。
しかし、由奈の顔には、いかなる表情も浮かんでこない。
由奈の瞳は、ただ、失われた過去を映しているようだった。
遼が、そんな由奈の様子を見下ろしながら、ゆっくりとペニスを引き抜いた。ぴくん、と由奈の体が、本人の意思とは関係なく痙攣する。
由奈のそこから、血の混じったピンク色の精液が、どろりと溢れ出た。
深夜に、遼の部屋の電話が鳴った。
遼の店は、今夜は定休日である。
コール3回目で、遼は電話を取った。
「乾だ」
不吉な、と言ってもいいくらい、暗く低い声がそう告げる。
「一ノ瀬を保護した」
「それは、どうも」
カップの中の、濃いブラックコーヒーの芳香に鼻をくすぐらせながら、遼が言った。
「様子は?」
「いたって無事だ」
「……俺の、言った通りだったろう?」
「何?」
「結花里は、木原とかいうガキを、骨抜きにしてなかったかい?」
「……おっしゃる通りさ。もう、ただの抜け殻だ、あいつは」
乾の声が、堅い。
「木原議員は、佐久間に話を持ちこむだろう。うちと西の関係は、ますます険悪になる」
「まずい状況なのか?」
「……」
乾は、微妙な沈黙の後、続けた。
「実は、悪くない。これで、裏切り者をあぶりだせるかもしれん」
「それはよかった」
遼は、澄ました口調で言った。その口元に、皮肉な笑みが浮かんでいる。
「じゃあ、その功績に免じて、頼みたいことがあるんだがね」
「功績、か……」
受話器の向こうで、乾が苦笑しているらしい気配が、遼にも伝わった。
「一日か二日、結花里を貸しといてほしいんだが」
「ほお……」
乾が、低く声をあげる。
「ダメかい?」
「いや、どのみち、お前さんには一回、商品の様子を点検してもらおうと思ってたからな。顧客には、俺のほうから話をつけとこう」
「悪い。……これは、借りかい?」
「そこまではいかないさ」
「それはどうも」
そう言って、遼はコーヒーをぐっとあおった。
「しかし……調教済みの女なんか、どうするつもりだ? まさか、女に飢えてるわけでもないだろう」
「笑えない冗談だな、それは」
遼は、まるでコーヒーの苦さに閉口したかのように、その口元を歪めた。そして、その表情のまま、言う。
「仕事で使うのさ」
窓の外、初夏の夜空は、雲に覆われていた。