井之頭梨花の聖域であるところの、小さな実験室。
何に使う道具なのか梨花本人にも説明できないような大小様々な機材で散らかったその部屋の中、幾つかある大きなテーブルの上に、それは横たわっていた。
ほっそりとした少年の姿をした、一体のアンドロイドである。
年齢設定は、梨花や環より少し下。小学校高学年くらいだろう。
耳にあたる部分は、丸いメンテナンスハッチになっており、聴覚センサーとしては、頭からぴょこんと縦に長い耳が生えている。真っ白な毛に覆われた、ウサギの耳を思わせる器官だ。
その上、この状態では見えないが、腰の後ろにも、毛糸玉状の尻尾が生えている。
目を閉じた顔は、それらの可愛らしいギミックに相応しく、少女と見まがうばかりに優しげだ。髪は白に近い金髪で、肌も雪のように白い。
その姿は、全裸に近い。身に付けているのは、股間を隠す純白のブリーフだけだ。
「ふふふふふふふ……」
梨花が、それなりに可愛らしい顔に似合わない、不気味な含み笑いを漏らしながら、そのウサ耳アンドロイドにつながったコンソールのスイッチを次々と入れていく。
ばちばちばち、と派手に火花が散るのは、梨花があまり配線の絶縁に気を使っていなかったからかもしれない。
「……加給機回転数上昇……改質装置、ジェネレーター、変圧器オッケー……電流電圧とも規定値クリア!」
「楽しそうだねー」
盛り上がっている梨花とは対照的な、いつも通りのおっとりとした顔で、近衛環が言った。
ここ数年、アンドロイド部品の規格が統一化されたため、アンドロイドの自作は以前ほど敷居の高いものでは無くなっている。それでも、環のような素人には、全くと言っていいほど無縁の世界だ。
それでも、環がここに立ち会っているのは、彼女の兄である操に「お目付け役」を任じられたからである。
新進気鋭のアンドロイド・パーツ職人として、知る人ぞ知る存在である、環の兄、近衛操。
今、梨花が仮そめの命を吹き込もうとしているアンドロイドのパーツのほとんどは、その操の手によるものだ。さらには、その電子頭脳は、操がひょんなことから手に入れたという、出所不明の代物なのである。そんなコネでもなければ、小遣いを次々と怪しげな機械や薬品の購入に充てている梨花が、アンドロイドのパーツ一式を揃えることなど出来はしなかっただろう。
操は、その業界の中でも、一際アンドロイドに対するこだわり、と言うより思い入れが強いことで有名な男だ。一部では、彼が、アンドロイドを人間扱いしすぎるという批判まで出ているほどである。
腕は確かだが、アンドロイドを酷使するような顧客には絶対にパーツを売らない……そんな操が、一度拾った――本人は「かくまった」と称しているが――電子頭脳を梨花に預ける気になったのは、ひとえに彼女の情熱にほだされてのことであった。
が、アンドロイドの所有者にして保護者、そして責任者である「マスター」となるには、梨花には人間的に未成熟な部分がある――と、極めて正しい人間観察を行った操は、妹に、その電子頭脳が搭載されるアンドロイドを見守るよう、こっそりと頼んだのである。
「梨花ちゃんだったら、心配無いと思うのになー」
「ん? 何か言った?」
「ううん、なんでも。あ、それより、よそ見してだいじょぶなの?」
「だいじょうぶだいじょうぶ……って、あーっ! やばやば! りせっとぼたんー!」
「やっぱ、心配かも……」
わたわたとあわただしく手を動かす梨花の耳に、環の呟きは聞こえていないようだ。
「えーと、えーと、一次メモリ領域のフォーマット……覚醒シークエンス最終段階、っと……はうー、これでOKだ〜」
全ての作業を終え、梨花が大きく息をつく。
ぶいいいぃぃぃん……という低い唸りが部屋の中にかすかに響き、やがて、それも消えた。
「……」
「……」
梨花も、そして環も、息をひそめるようにして、ウサ耳仕様の美少年アンドロイドのボディを見つめる。
ぴくり、と長いまつげに縁取られた目蓋が震え、そして、ゆっくりと開いた。
真っ赤な瞳が、外の風景に焦点を合わせる。
そして、アンドロイドは、ゆっくりと上体を起こした。
「おはよう……ございますぅ……」
その口から、合成音声とは思えないほど、滑らかな声が漏れる。
「あれぇ……? 内蔵時計によると、もう午後5時17分ですねっ。ということは、こんにちは、ですかっ? それとも、こんばんは?」
「はじめまして!」
ずい、と一歩前に出て、梨花が言った。
「ようこそあたしの部屋へ! あたしが、あんたを作った、井之頭梨花よ!」
「じゃあ……ボクのマスターですねっ?」
嬉しそうに微笑んで、少年が、無数のケーブルが絡み合い、のたくっている床に降り立つ。
「そう。あんたの名前はトート。よろしくね」
「よ、よろしくおねがいしますぅ!」
勢い込んでそう言って、トートは、コンソールの向こう側にいる梨花に歩み寄ろうとした。
くんっ。
「あれっ? あれれっ?」
床のケーブルに足を取られ、トートは見事に前のめりに倒れた。
ずでん! どん! がらがらがらがら!
ケーブルにつながっていたディスプレイやデバイスが、次々とテーブルから床に落っこちる。
「わー! わー! わー! わー!」
慌てて起き上がり、どうにか機材の雪崩現象を押し止めようとして、またもケーブルに足を取られて後ろ向きにつんのめるトート。
その動きによってさらに多くのデバイスが床に落下し、テーブルまでもが、倒れるトートの体を受け止めきれずにひっくり返る。
「マ、マスター、どこいっちゃったんですか〜?」
落ちてきたバケツを頭から被ってしまったトートが、うろたえながら立ちあがり、さらに転倒する。
「なんにも見えないですぅ〜!」
「ちょ、ちょっと、トートったら、もう動いちゃだめだってば!」
「はわわ〜、たいへんだー……」
もうもうとホコリが立ちこめる実験室の中、トートの悲鳴と梨花の叫び声を聞きながら、環は呑気そうな声でそう言った。
一週間後。
駅前で本を買った帰り道、環は、公園でトートを見つけた。
砂場とブランコと滑り台があるだけの、小さな児童公園である。
傍目にも沈んだ顔で、地面を見ながら、トートがきこきことブランコを揺らしている。
「トートくん、どーしたのー?」
ひょこ、と横から覗きこむようにして、環がトートの顔を見た。
「あ、環さん……?」
「そだよー。こんなところで、何してるの?」
「えーと、ブランコをこいでますぅ」
「ふーん」
どこかずれたトートの返答を意に介さず、環は、隣のブランコに腰掛けた。
「それはそれとして、梨花ちゃんのところに帰らなくていいの?」
「え……えっと……」
トートは、デニム地の半ズボンをはいた細い脚の先で、地面にのの字を書いた。
「ボク……マスターのおさいふ、なくしちゃったんですぅ」
「おさいふ?」
「はいですぅ。マスターに頼まれて、薬屋さんに行ったんですけど、そこで、おさいふ無くしちゃったみたいなんですぅ」
「薬屋さんって……梨花ちゃん、風邪でもひいたの?」
「えと、そうじゃなくて……えーと……そのう……」
トートの白い顔が、真っ赤になる。
「女の人は、毎月なるからって……まだ、始まってないけど、きらしてるそうで……」
「あー、はいはい。分かっちゃった」
くすっ、と環は笑って、トートの言葉を遮った。
「ま、なくしちゃったものはしょうがないよ。それより、早く帰ったほうがいいよ?」
「でも……ボク、マスターに迷惑かけてばっかりで……」
もともと撫で肩の肩をさらに落として、トートが言う。
「実験のジャマになっちゃったり、マスターの大事な道具を壊しちゃったり、白衣と色落ちするものをいっしょに洗濯して、水色やピンク色にしちゃったり……」
「あ、それ、可愛いかも♪」
「この前なんか、マスターのメガネ踏んづけて壊しちゃって……今、マスター、すごく苦労されてるんですよぅ」
泣きそうな顔で、トートが言う。
「それで、梨花ちゃん、トートくんをぶったりどなったりしたの?」
「そ、そんなことしないですよぅ!」
トートが、大きな声をあげながら顔を上げる。
「でも……やっぱりすごく怒ってるみたいで……ボクが失敗するたびに、おトイレやおふろばに入って、あーっとか、くわーっとか、叫ぶんですぅ」
「ふーん……」
環が、ふだんは滅多にしないような、イタズラっぽい表情で考え込んだ。
「分かった。あたしも、いっしょに謝ってあげるから、やっぱり早く帰ろう」
そう言いながら、環がブランコから降りる。
「でも……」
「いいからいいから♪」
妙にうきうきした調子でそう言いながら、環は、強引にトートの手を取って立ちあがらせた。
梨花の研究室のドアの前で、トートが所在無さげにうろうろと歩き回っている。
今、中では、先に入った環が、梨花と話をしているはずだ。
だが、トートの聴覚センサをもってしても、中でどんな会話が交わされているのかは分からない。
と、突然、どたんばたんという、奇妙な音が響いた。
「え……? えと、マスター? 環さん? どうしたんですかっ?」
トートが、中に向かって声をあげる。
しばしの、静寂の後、研究室のドアが開いた。
「トートくん、もういいよ」
隙間から顔だけ出して、環が言う。
「は、はいですぅ……わっ!」
素直に返事をして研究室に入ったトートは、大声を上げてしまった。
部屋の隅にある、巨大なパイプベッドの上で、梨花が両手をそれぞれ手錠で戒められていたのだ。
手首にはまった手錠は、それぞれ、ベッドの天板にあたるパイプにつなげられている。梨花は、バンザイをした状態で、両腕が動かせない格好だ。その上、白衣とトレーナーを着たまま、スカートとショーツを脱がされているという、お尻剥き出しのスタイルである。
「ちょ、ちょっと、そこに、トートいるの?」
どうやら、メガネを外しているせいで、梨花は部屋の様子がきちんと分からないらしい。
「い、いますぅ」
「わあああ! み、見るなー!」
梨花が、声をあげて身をよじる。
「は、はいっ! ごめんなさいっ!」
慌てて、トートは身を翻し、後ろを向いた。
「たまきちゃ〜ん、どういうことなの〜?」
梨花が、手錠をがちゃつかせながら、声をあげる。メガネをはずしているせいか、その顔は、普段よりずっと少女らしい。
「いつもあたしにしてるんだもん。たまには、逆にするのもいっかなー、と思って」
「そんなぁ〜」
「あんな色仕掛けにひっかかっちゃうなんて、梨花ちゃん、油断しすぎだよー」
どうやら、環は、梨花をベッドに誘っておいて、この拘束を完成させたらしい。普段からベッドサイドに様々な危険な道具を置いている梨花にとっては、自業自得かもしれない。
「そんなことより、梨花ちゃん」
「な、なに?」
「トートくんと、なかよくしなきゃダメだよー」
著しく迫力には欠けるものの、珍しく怒ったような声で、環が言った。
「それとこれと、どういう関係が……」
「トートくん」
梨花の抗議を無視して、環が、後ろを向いたままのトートに声をかける。
「服、脱いで」
「ええっ?」
「脱いで、梨花ちゃんのそばに、寄ってあげて」
環の言葉に、梨花もトートも、目を丸くする。環は、普段どおり、その顔におっとりとした表情を浮かべたままだ。
「さ、早く」
「……は、はい」
人間に命令をされると、アンドロイドは、基本的にはその言葉に従わざるを得ない。トートは、その細い体にまとっていたニットとシャツを脱ぎ、半ズボンに手をかけた。
そして、頬を赤くそめながら、きゃしゃな脚を、一本一本抜いていく。
梨花は、思わず見せ付けられた少年アンドロイドのストリップから、目を離せないでいる。
かすかに、チタンの骨格フォルムをうかがわせる、可憐なボディライン。それは、まだ男女の別が付く前に成長を停止させられてしまったモノのような、かすかな残酷さを含んだ美に彩られている。
スレンダーな環や、小柄な梨花にさえも、簡単にねじ伏せられてしまいそうな、細い姿態。
「全部、脱ぐんだよ」
「……はい」
少し震えた声で言って、トートは、純白のブリーフを脱ぎ捨てた。
そして、ますます顔を赤くしながら、股間の器官を両手で押さえるようにして隠す。
その、腰から脚にかけてのラインは、まるでいたいけな少女のようで、未完成ななまめかしさを滲ませていた。
トート自身の羞恥を表すかのように、その白く長い耳が中ほどで折れている。赤い瞳は、ぎゅっと閉じられたままだ。
「トート……」
思わず漏らされたその梨花の声に誘われるように、トートが、ベッドに近付いた。
頭髪以外はいかなる体毛も生えていない、そのつるんとした白いボディから、梨花は、目を逸らすことができない様子だ。
「トートくん、目を開けて」
環が、いつも以上に優しい声で、言った。
「梨花ちゃんが、トートくんのこと、どういうふうに見てるか、確かめて……」
「……」
トートが、その大きな目を開く。
そして、梨花の股間のモノが示す明らかな興奮のしるしに、はっと目を見開いた。
「や、やだァ……っ!」
梨花は、必死に腰をねじり、脚で隠そうとするが、両腕を戒められた今の状態では、すっかり勃起してしまったペニスを隠しようがない。
「ふふっ……トートくんのはだかを見て、そうなっちゃったんだよねー」
「い、いやァ……そんなふうに言わないでよ……」
「ダメだよォ。素直にならないと、トートくん、ますます混乱しちゃうよ」
環はそう言って、トートの背後に立った。
「梨花ちゃんはね、最初っから、トートくんのことが可愛くてしかたなかったんだよ」
環の言葉に、ひくん、とトートのウサ耳が反応する。
「梨花ちゃんはね、Hな気分をガマンしてる時、あーっとかわーっとか、おっきな声出すの。あたしと初えっちする前が、そうだったもんねー」
過去の所業を暴露され、梨花が頬を羞恥に染める。今までトートが見たこともないような、可憐な表情だ。
「ほ、ほんとですかっ? マスター……」
思わず、ベッドに両手を付き、梨花ににじり寄りながら、トートが訊く。
「だって……あんた、想像以上に可愛かったから……だから……」
至近距離のトートの顔をまともに見ないようにしながら、梨花が、ぼそぼそと言い訳する。
「それに、あたし、こんなふうにオチンチンがあるし……環ちゃんもいるし……それで……」
「あたしのことを考えてくれたのは嬉しいんだけど、それでトートくんを傷つけちゃダメだよぉ」
環が、穏やかに微笑みながら、言う。
「それに、あたしは、ぜんぜん気にしないよ。梨花ちゃんとトートくんが仲良くしてくれる方が、何倍も嬉しいもん」
「環ちゃん……トート……ごめんね……」
梨花が、涙で潤んだ瞳を、二人に交互に向けながら、言った。
「うれしい……ボク、うれしいですぅ……」
トートの赤い瞳が、涙でうるむ。
「トートくん……梨花ちゃんのこと、いっしょに気持ちよくしちゃおうよ」
まるで、これから散歩に行こう、と言うくらいに気軽な口調で、環が言った。
「ええっ?」
驚きの声をあげたのは梨花だけで、トートは、こくん、と素直に肯いた。
そして、ベッドに上がり、梨花の股間に顔を寄せる。
「マスター……失礼します……」
実験の失敗によって生え出たままになっている梨花のありうべからざる器官に向かって、トートが言う。
その、人のそれとほとんど変わらない温かな吐息を感じ、梨花のペニスは、ますます力を漲らせた。
「ダ、ダメよトート! あんた、男の子なんだから!」
「でも……ボク、マスターにしてあげたいですぅ」
少女のような顔に切なげな表情を浮かべ、トートが言う。
「梨花ちゃん。そんなふうに言ったら、トートくんが可哀想だよー」
言いながら、環は、梨花の服の裾をたくし上げ、ブラに包まれた乳房を剥き出しにした。
「男とか女とか、関係ないよ……ね?」
そして、白い清楚なデザインのブラをずらし、年齢や身長のわりには豊かな乳房に手を這わせる。
「あっ……あ、あぁン……」
すっかり弱点を心得た環の愛撫に、梨花が喘ぎ声を漏らす。
「梨花ちゃんだって、本当はおしゃぶりされたいんでしょ?」
指先で、固くなったピンク色の乳首を転がしながら、環が梨花の耳元で囁く。
「ほらほら、おちんちんだって、早くしてほしぃー、って言ってるよ?」
環の言葉通り、梨花のペニスは、胸への愛撫と共鳴するように、ひくん、ひくんと蠢き、先端から透明な汁を溢れさせていた。
まろやかな曲線を描く腰と、静脈を浮かべてひくつく牡器官のコントラストを、トートは、我知らずじーっと見つめている。
「どうなの、梨花ちゃん……」
環が、耳たぶに息を吹きかけるようにそう言ってから、ちゅ、と梨花の柔らかな頬に口づけする。
「し、してほしい……」
とうとう、梨花はその秘めたる本心を吐露していた。
「してほしいの……おチンポ、トートにおしゃぶりされたいの……トートに……フェラチオ、してほしい……」
何かのタガが外れたように、梨花が、覚束ない口調で、淫らなおねだりを繰り返す。
トートは、嬉しそうに顔をほころばせてから、てろっ、とそのピンク色の舌でペニスの裏筋を舐め上げた。
「ああぁ……ン!」
待ちかねていた刺激に、梨花が甘い叫びをあげる。
「あぁ……マスター……マスター……っ」
トートは、まるで大事な壊れ物でも扱うように、丁寧に両手を添え、ペニスに舌を這わせた。
褐色のシャフトが唾液に濡れ、溢れるカウパー氏腺液が亀頭をぬらつかせる。
トートは、その透明な粘液をてろてろと舐め取ってから、先端を小さな口に咥えこんだ。
「んあぅン!」
生温かく滑らかなトートの口腔粘膜を、敏感な亀頭部分で感じ、梨花が高い声で喘ぐ。
機械仕掛けの少年の口内を、生来のものでない器官で感じる、その快感。
それが、ぞくぞくと背筋を震わせ、脳を痺れさせる。
「はッ……あ、ああン……いい……きもちいいよぉ……」
梨花は、丸いヒップを小さく揺すりながら、自らのペニスをトートの奉仕に委ねた。
そんな梨花の乳房を、ふに、ふに、と環の白い指が揉む。
「梨花ちゃん……すごいよ……チクビ、びんびんになっちゃってる……」
「あはぁン……だ、だってェ……」
目を潤ませ、はぁはぁと喘ぐ梨花の唇に、環が、唇を重ねる。
「んっ……んうぅ……んふゥ……ン」
柔らかな唇が互いをついばみ、長く伸ばされた舌が絡み合う。
ちゅーっ、と環が梨花の唇を吸うと、その小柄な体がぴくぴくと痙攣した。
「ぷはぁ……すごい……マスターのおちんちん、びきびきになってますぅ……」
その整った顔に間違いようもない恍惚の表情を浮かべながら、トートが梨花の陰茎に愛しげに頬擦りする。
「あったかぁい……マスターの体温、感じますぅ……」
うっとりと目を閉じ、顔でペニスの感触を味わってから、また我慢できなくなったかのように口に含む。
トートの口には大きすぎるくらいのペニスが、淡いバラ色の唇を出入りする様子は、乙女の秘裂が剛直に犯されている様を連想させた。
「んふふっ……トートくん、いっしょうけいんめいだねー」
梨花の唇から口を離し、小生意気に勃起した乳頭をぺろぺろと舐めながら、環が言った。
「トートくん……梨花ちゃんはね、おしゃぶりされてる時、舌をくるくるされると、すごく感じちゃうんだよ」
「はぁい……」
素直にそう返事をしたトートが、口の中で、もごもごと舌を回転させ、敏感な亀頭全体を舐めしゃぶる。
「ひあああッ! トートぉ……それ、それ、イイのぉ……っ!」
「マスター……ボクのご奉仕、気持ちいいですか?」
ちゅぽん、ちゅぽん、と丸い亀頭部を唇で吸引しながら、トートが訊く。
「うん、いい、いいよォ……ひゃああン……あッ! あああ〜ン!」
腰を跳ね上げさせながら、梨花が快感を訴えた。
そのクレヴァスはじくじくと愛液を溢れさせながら、物欲しげに息づいている。
「すごーい。梨花ちゃんて、おしゃぶりされてる時、こんな顔なんだ……」
きゅっ、きゅっ、と乳首を両手でつまみあげながら、環が、熱っぽい声で言う。
「やあぁン……た、環ちゃん、イジワル言わないで……」
「ゴメンね。でも、梨花ちゃん、すっごく可愛い顔なんだもん」
全身を駆け巡る快楽に梨花が目尻に滲ませた涙を、環が舐め取る。
そして、ちゅぱちゅぱとキスを繰り返すと、梨花は、一際大きく体をくねらせた。
「ちゅっ、ちゅば……あむ……んちゅう……ふゎぁ、あ、あああ……」
「梨花ちゃん……もう、イっちゃいそうなの?」
「ウン……イク、イっちゃう……ああぅン……で、出ちゃうゥ……」
環の問いに、快楽にとろけきった声で、梨花が答える。
「んふふっ、それじゃあ……」
環は、体の位置をずらし、梨花のペニスに顔を寄せた。
「トートくん、いっしょになめなめしよ♪」
「はい……っ」
そう返事をして、トートが、ペニスの先端を咥えたまま、頭の位置をずらす。
浅ましく静脈を浮かし、ひくひくと震える陰茎を、小首を傾げるような姿勢の環が横咥えした。
「ひあああン! だ、だめェ! 出ちゃう、出ちゃうよぉーっ!」
梨花の、悲鳴のような声を聞きながら、トートと環は、夢中になってペニスを吸引し、舐めしゃぶる。
そして環は、とろとろと蜜を溢れさせている梨花のクレヴァスに、ずぶりと指を挿入した。
「あひいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃィーっ!」
梨花が、ぐうん! とその体を弓なりに反らし、大量の精液をトートの口内にぶちまける。
ぶッ! ぶびゅっ! びゅるる! びゅびゅう! ぶぶぶぶびゅうーッ!
「んっ! ンぐっ! んううぅ……んくっ、んくっ、んくっ……」
きゅうっと眉を寄せながら、トートは、口一杯に溢れる自らの主人の精液を、健気に飲み込んでいった。
びゅる、びゅるるるるる、びゅびゅっ、びゅーっ、びゅーっ、びゅうーっ……
梨花自身が呆れるほどに、長々と射精が続く。
「はわああぁぁ……あぅ……あ、あああぁぁ……」
そして、ようやく全てを出尽くした後、すとん、と梨花はシーツの上に白く丸いヒップを落とした。
「んっ、んちゅっ……ちゅるるっ……ぷはーっ……」
尿道に残った精液の残りを吸い取ってから、ようやく、トートはペニスから口を離した。
その顔は、未だ興奮に赤く染まっている。
そして、その股間では、その年齢設定相応な、皮の剥けきっていない色白のペニスが、これ以上はないというくらいに固く反り返っていた。
「……こんどは、トートくんの番だね」
体を起こし、にっこりと微笑みながら、環が言う。
そして環は、梨花の両手を戒めていた手錠の鍵を外した。
「さ、脱ぎ脱ぎして♪」
そう言って、未だ絶頂の余韻の中にいる梨花の服を、するすると脱がせていく。
「環ちゃんって……こんなにHだった?」
「梨花ちゃんがそうさせたんじゃない」
惚けたような顔の梨花に、環が、いつも通りのおっとりとした顔で言った。
梨花の体が、全て露わになる。
「マスター……きれいですぅ……」
ほーっ、と溜息をつきながら、トートが言った。
「ボク……ヘンですぅ……マスターの体を見たら、ドキドキが止まんないですよぅ……」
「トート……」
調子を狂わされっぱなしの梨花が、複雑な――笑み綻んでしまうのを我慢しているような顔で、横たわったまま、トートに両手を差し伸べた。
「……来て。トートを、あたしのものにしてあげるから」
「は、はいっ」
言って、トートは、しどけなく開かれた梨花の脚の間に腰を進ませた。
そして、腕立てのような姿勢で、梨花の体に覆い被さる。
「キスして……」
「はい……」
フェラチオをしていたときよりも、よほど緊張した顔つきで、ちゅ、とトートが梨花に口付ける。
そんなトートを、梨花は、ぎゅうっ、と両腕で抱き締めた。
「マ、マスター?」
「ごめんね、トート……本当は、最初っから、こうしたかったんだ」
「そんな、いいんですぅ。謝らないでくださいっ……」
「うん……ありがと」
ちゅっ、ちゅっ、と下から、梨花がトートの顔に口付けを繰り返す。
「トート……固いのが、あたしの脚に当たってるよ」
「ご、ごめんなさいっ」
「コレ……入れて……」
梨花の言葉に、ますます緊張した面持ちのトートが、こくりと肯く。
くちゅ、とトートのペニスの先端が、梨花のクレヴァスに触れた。
「あ、あっつい……マスターのここ、熱いですぅ……」
「早く……早く来てよぉ、トート……」
梨花が、待ちきれなくなったようにおねだりをしながら、広げていた両脚で、ぐいっ、とトートの腰を引き寄せる。
「ンううううン!」
「あ、あああッ!」
梨花とトートが、挿入のもたらす快感に、同時に声をあげた。
「はぁ、はぁ、はぁ……これで、ボク、マスターのものですね……?」
「うん……トートは、あたしのものだよ」
トートの問いに、梨花が、いつになく優しげな声で答える。
「動いて、トート」
「はいっ……」
梨花の要求に、トートが、慣れていない様子で、ぎくしゃくと腰を動かす。
「あ、ああン……マスター……すごいですぅ……」
はぁ、はぁ、と少女のように甘く喘ぎながら、トートが言う。
「あつくって、やわらかくて、ぬるぬるで……それが、きゅっ、きゅってからみついて……ああン!」
「うン……あぅン……トート、きもちいいんだ?」
「イイですぅ……あうッ! ああン……ダメえ! もう、もう出ちゃうッ!」
ペースの配分を知らないトートが、悲鳴のような声をあげながら、かくかくと腰を小刻みに動かす。
「あっ、ご、ごめんなさいっ! やあん! 出ちゃう、出ちゃうーッ!」
びゅッ! びゅううッ! びゅーッ!
早すぎる射精を詫びながら、トートが、激しい勢いで精液を放つ。
「あ、あああ、ああぅ……」
ふにゅ、と梨花の胸に顔をうずめるような格好で、トートが喘ぐ。
「んふふ……ガマンできなかったんだ?」
「はいぃ……ごめんなさいぃ……」
「いいってば。すごく可愛かったよ」
涙ぐむトートの額に、梨花が、ちゅっ、と口付けする。
「でも、ボクばっかり気持ちよくなって……」
「……それじゃあ、お手本見せてあげる」
言ってから、梨花は体を起こし、じっと二人の様子を見ていた環に視線を移した。
「え、あたし?」
「またまたぁ、分かってるクセにい」
にやにやと笑いながら、梨花が言う。
「り、梨花ちゃん、目が笑ってないよ?」
「なんで? 環ちゃんは、あたしとトートのためを思ってしてくれたんでしょ? あたし、ぜーんぜん根に持ってなんかないから」
「なんだかウソっぽよ〜」
「とりゃー♪」
妙な掛け声をかけて、梨花は、環をベッドに引き倒した。
そして、慣れた手つきで、するりと環のショーツをずり下げる。
「そんなコト言って、アソコは、もうこんなになってるんだから♪」
環のスレンダーな体に覆い被さり、くちゅくちゅとクレヴァスをまさぐりながら、梨花が言う。
「だ、だって、二人のエッチ見てたら……きゃうン!」
「これだったら、もう大丈夫だね」
そう言って梨花は、膝のあたりに絡まっていた環のショーツを、完全に脱がせてしまった。
そして、トートと体を重ねた時からすでに回復していたペニスを、環の秘裂にあてがう。
「そんな、いきなりなんて……ひゃううううッ!」
ずずずずずっ、と雁首に膣内粘膜をこすりあげられ、環が背中を反らした。
梨花が、いきなり速いペースで、ずん、ずん、ずん、ずん、と腰を使い始める。
「んひっ、やああン! き、きついよぉ、梨花ちゃぁん……!」
「そんなこと言って、こーいうふうにされるのも好きなんだよね?」
ほとんど着衣のままの環の体内に、強い動きを送り込みながら、梨花が言う。
すでに一度放出した梨花と、今まで悶々と二人の絡みを見続けていた環とでは、最初から勝負にならない。
「やっ、やあン! あ、あン、あぅン、あン、あ〜ン……!」
環のその部分は、嬉しげに梨花の剛直をくわえ込み、とろとろと熱い蜜を溢れさせた。
ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅ、という淫猥な音が、研究室の中に響く。
「はぁ、はぁ、はぁぅ……レイプされてるみたいで興奮するでしょ?」
「そ、そんなんじゃ、ないよぉ……り、梨花ちゃんが、してくれてるからだもん……あうン!」
「んふふっ、嬉しいな、環ちゃん……」
そう言って、梨花は、ぐりぐりと腰をグラインドさせた。
「あっ、あああァ〜ん♪」
逞しいペニスに膣内を攪拌され、環が、その幼げな体をよじらせる。
「り、梨花ちゃぁん……すごい、すごいよォ……っ! おちんちんが、中をかきまわして……!」
「環ちゃんのアソコも……すっごく締め付けてくるんだ……」
「だって、アソコが、勝手にきゅんきゅんしちゃうんだもん……ひゃうううン!」
互いに互いの体に腕を回しながら、梨花と環は、セックスの快楽を貪欲にむさぼった。
そして、上気した顔を寄せ合い、ちゅぱちゅぱと音を立てながらキスを繰り返す。
「はぁぁン……ひいン……り、梨花ちゃん……好き、好きぃ……」
「あたしも、環ちゃんのこと、大好きだよっ……ちゅっ、ちゅば……んちゅーっ……」
唇を吸い合い、舌を絡ませ合い、頬を摺り寄せ合う、二人の幼い少女。
トートは、圧倒されたかのように、その二人の顔を見つめ続けていた。
その股間では、愛液と精液にまみれたままのペニスが、すっかり勃起を回復させている。
「はぁン、はぁ、はぁぁ……トート、またできるようになった?」
「は、はいっ……」
「じゃあ、お願い……り、梨花のオマンコに、トートのオチンポ、入れて……」
聞くだけで射精してしまいそうな、あからさまなおねだりに、トートはこくんと肯いた。
そして、くねくねと動いている梨花のヒップの後ろに回り込む。
梨花が、トートを迎え入れるべく、腰の動きを止めた。
「いやぁン……もっと、もっとして……おねがぁい……」
すでに、快楽のために周囲が見えなくなってしまっている環が、切なそうな顔で、梨花の顔を見つめる。
「ゴメンね、環ちゃん。ちょっと待って……あうううン!」
後からトートに貫かれた梨花が、歓喜の声をあげる。
トートは、くびれた梨花のウェストに手を添えながら、ぐいぐいと腰を動かした。
「あいッ! ひいいいン! す、すごい……トート、すごいよォ……っ!」
「あああン! 梨花ちゃんの、もっとおっきくなって……ひゃうううッ!」
膣内への刺激で、一際膨張した梨花のペニスが、トートの動きに押されるような形で、環の中を前後に動く。
梨花は、半ば強制的にピストン運動を強いられながら、ペニスとクレヴァスの双方がもたらす快楽にひくひくと体を震わせた。
「マスター……ボク、こんなかっこうで……あッ、あーッ!」
「トート……イイよぉ……もっと、もっと突いてぇ……っ!」
梨花と、そして環のクレヴァスから溢れた、白く濁った愛液が、飛び散り、シーツや環のスカートを濡らしていく。
「ンああああっ! で、出るぅ! オチンポいっちゃうッ!」
「梨花ちゃん、イクの? イクの?」
「うん、イっちゃう……あッ! だめェ! もう、ガマンできないよぉ……ッ!」
「だ、出して……環の中に、梨花ちゃんのミルク、どぴゅって出してえ……ッ!」
少女たちが、セックスの虜となり、卑猥な言葉をわめきながら、一気に絶頂を目指す。
環の膣肉が、梨花の剛直をぐいぐいと締め上げ、その動きが伝染したかのように、梨花の膣内もきゅんきゅんと収縮する。
「ひあああッ! マ、マスターのが、ボクのおちんちん食べちゃう〜っ!」
未発達な外観のペニスを靡肉に搾り上げられ、トートは、悲鳴のような声をあげた。
「マスター……出ちゃう! 出ちゃいますぅ……ボク、ボクもう……ああああぁーッ!」
「あたしも、あたしも出る……んああああッ! 環ちゃんの中に、精液出しちゃうッ!」
「きて、きてェ! 梨花ちゃんのどろどろのミルク、環の中にいっぱい出してぇーッ!」
びゅるるるるるるるッ! ぶびゅる! びゅぶっ! びゅぶぶっ!
びゅうううーっ! びゅーっ! びゅーっ! びゅーっ! びゅうううぅぅぅー……っ!
大量のスペルマが、二人の少女の膣内にほぼ同時に注ぎ込まれ、溢れ出る。
さらには、愛液までもがぴゅるぴゅると迸り、シーツや、環の衣服を汚していった。
「あッ、ああッ、あッ、あぁ……」
「ひああ……ふゎ……あ、ああぁ……ン」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
三人は、ひくひくとその体を痙攣させながら、いつまでも、いつまでも、絶頂の余韻にひたりきっているのだった。
三人分の体液で汚れた環の服を洗濯したトートが、彼女のスカートのファスナーを壊してしまったのは、このしばらく後の話である。