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「よう、おはよう」
「うあっ!? あ、ああああああ……」
その時の私は、完璧に油断してしまっていた。
言っておくけど、昨日、黒川にSM部屋で攻められて、それで寝るまではスッゴク大変だったのだ。何をしていても、すぐにそのことが思い出されたし、革ベルトで擦られた部分がヒリヒリと痛んだし。そのせいでいつまでもプレイを心の中から追い出せなくて、何度もオナニーする羽目になったり。
それでもどうにか、疲れきったように眠りに落ちて。
そのせいでだろうけど、寝坊して。
そうしたら、幸か不幸か、起きた時にはだからその昨日の出来事はスッパリ頭から抜けていて。
私は慌てて用意をして、駅のホームへと駆け込んでいた。特に何の疑問も持たず。ただ習慣に従って。身体が勝手に。黒川との待ち合わせに間に合うように急いだのだ。
けれど、それは大いなる過ちだった。それを悟ったのは、正にその黒川に声を掛けられた瞬間だった。
私は、フラッシュバックというものを初めて体験した。
昨日のSM部屋でのHが、それぞれの場面が写真かあるいは短い動画で切り取ったみたいに、頭の中に叩きつけられてきた。
その破廉恥すぎる光景に、生々しすぎるやり取りに、理性は瞬く間に侵食され、身体が震え出す。「漏らした!?」と思ってしまうくらいに、ジュワッて下着を濡らしていた。
「おい、どうした? 大丈夫か?」
「のわぁっ!?」
ご主人様に顔を覗き込まれ、私は大げさなくらい大声を上げて飛び上がっていた。まだまだラッシュの駅のホーム。周りの人たちが何事かと視線を向けてくる。
「あ、う、ぅぅぅ」
視線が突き刺さるのが、堪らなく恥ずかしかった。注目を集めてしまったことが、じゃない。いや、それもだけど何て言うか、正確には、発情してしまった自分に、と頭に付く。
私の顔は熱く火照っていて、そういう“牝”の顔は、ご主人様に見られるだけでも恥ずかしいのに、こんな、大勢の見ず知らずの人たちに……。
「んくっ……」
お腹の奥が、キュンっと疼いた。堪らず腰を引き、太ももを擦り合わせる。グジュッと、また愛液が溢れ出す感触があった。
ダメだ。スイッチが入ってる。
恥ずかしいのが、恥ずかしいのに、気持ち良くなっていってしまう。
口の中には、唾さえ湧いてきていた。ご主人様の味が、匂いが、舌に、鼻に、脳に甦ってくる。それはリアルな形となって私の口腔を埋め尽くし、気が付けば私は唾ではなく、涎を零しそうになっていた。
「おいおい、ホントに大丈夫か?」
ご主人様は、前屈みになった私の肩を抱くようにして、人の少ない方へ誘導してくれる。触れられた瞬間、身体にビクンッと電流が流し込まれてきた。
下着では吸収しきれないくらいの愛液が、私の股間を濡らしていく。
それでも私は、どうにかご主人様の服にしがみつくようにすると、熱い吐息の合間からどうにか答えていた。
「は、はい……大丈夫、です、ご主じ――っ!?」
ギリギリのところで、理性の警鐘が届いた。ギクッと、全身が大きく引き攣った。
私は今、何て言おうとしてた? 「ご主人様」? 何で? 今は「黒川」でなきゃいけないのに。こんな、こんな場所で「ご主人様」って、何で? そんな、そんなのって……っ!
ああ、でも、でもでもでもっ!
呼びたい、「ご主人様」って呼びたいよ。だって、そこに嘘はないんだもの。黒川が私の「ご主人様」なのは、本当のことなんだから。それなのに、どうしてそう呼んじゃいけないの?
呼びたい、呼びたいよね? だって、ホラ……。
「うっ……く、ふぅっ……」
しがみついているご主人様の制服を通して、その体温が、肌の感触が、筋肉の動きが伝わってくる。
私は、知っている。
服の上からではそんな風に見えないけど、ご主人様の身体は、これが意外と引き締まっていて。綺麗って思えるくらいに、しなやかで。
でも時に“牡”を思わせるには十分過ぎるほど荒々しく、力強くもなって。その腕に抱かれてしまえば、私には身を委ねるしかできなくなって。
腕の中に抱きかかえられたりしたら、何をされるんだろうっていう不安と、でもそれ以上の、何をしてもらえるんだろうって期待が膨らんできて。
そこは、とてもとてもとてもとてもとても、そう、きっと世界で一番居心地の良い場所で、だから……。
その時、ふわっと風が起きた。
微風が、私の鼻の奥にまでご主人様の匂いを届けてしまう。鼻を擦り付けないと分からない程度の薄い体臭だけれども、私にはハッキリとそれが嗅ぎ取れて。
次の瞬間、電車がゴウッと唸りを上げて、私たちの脇を疾走してきた。
通過していく特急電車。
その音に驚いた私を、ご主人様はシッカリと抱き締めてくれた。指に、頭に触れる筋肉が動くのが、制服越しでもハッキリと分かった。
もう、ダメだ……これ以上は、無理……っ。
「ご、ごめんっ、忘れ物しちゃった!」
電車が通り過ぎると同時に、私は突き飛ばすようにして黒川から離れていた。
「今日は先に行っといてっ、それじゃ!」
私は早口で言い切ると、返事も待たずに駆け出した。「あ、おいっ」とか黒川の呼び止める声が聞こえて、すっごく振り向きたかったけれども、足を止めたかったけれども、それでもどうにか階段を駆け下りていくことができた。
「はっ、はぁ、はっ……」
階段を下りた私は、そこでちょっと息を整えた。黒川から離れられたけれども、それで問題が解決したわけじゃない。
残念ながら私の身体に篭もった熱は、時間が経てば冷める類のものじゃない。本当は冷めるのかも知れないけれども、それまでこの疼きを、もどかしさを我慢する、なんていうのは絶対、無理。
「んっ……ふぅ……」
顔を上げて、一つ息を吐く。何食わぬ顔をして、ハンカチで汗を拭う。けれど内心では、もうそういうことでいっぱいになっていた。
黒川から離れるために我慢した、そのちょっとのことが反動となって、私の中から溢れ出そうとしていた。
私ははやる心を抑え、普通に普通にと言い聞かせながら、ゆっくりと歩き出した。
そこは、ホームの混み具合を考えれば驚くほどに静かだった。考えてみれば、私だって初めてだ。駅のトイレを使うなんていうのは。
しかも、目的が全然違う。
私は人気のないトイレを、それでも足音を忍ばせながら歩いていき、一番奥の個室へと滑り込んだ。
「……はぁぁぁ」
後ろ手に鍵を閉めたドアに背中をもたれさせ、私は安堵の吐息を漏らしていた。他人の目のない空間を確保した安心感の中、そのまましばらく息を整えながら、周囲の様子を窺う。
大丈夫。誰もいないし、来る気配もない。
私はゆっくりと身を起こすと、まずは携帯していたウェットティッシュで便座を拭った。そうして、これまたゆっくり、そろそろと慎重に腰を下ろしていった。
「ふぅ……」
また一つ吐息を漏らし、そしてまた周囲の様子を探る。やっぱり、本当の使用法とは違うことをしに来てるためか、妙に緊張してしまっている。
私は、誰もいないトイレの個室の中で、左右に視線を配りながら、そっと腰を浮かせた。
「んっ……」
濡れた下着は、股間に張り付いてしまっていた。それを引き剥がす感触に、思わず呻いてしまう。とっさに息を殺して動きを止め、また周囲を探る。
何事もないのを確認すると、私は息を吐きながらスルスルとパンツを下ろしていった。
「うぁ……」
見なくてもいいものを、わざわざ顔を背けながらも見てしまう。あまりに恥ずかしい有様に顔をしかめる。ちょっと染みが付いてしまった、というレベルじゃあ、もうない。
「これ……拭いてももう、穿けないよね……ぅぅぅ」
自分の言葉に、憂鬱になってしまう。穿けないなら、この先一日、ノーパンで過ごせと? それがイヤなら、コンビニにでもパンツを買いに行けと?
「それ……何てプレイ?」
ついつい乾いた笑いなんかを漏らしそうになる。
ああ、でも黒川なら、喜んでそういうマネをさせ……。
「くぅぅっ……ん」
途端に、お腹の奥がキュンっと来てしまった。体温が上昇して、顔が赤くなっていくのが分かる。動悸も高まっていく。
「黒川……私の、ご主人、様……」
そっと大切に、その名を口にする。
思い描こうとするまでもなく、瞳を閉じればご主人様の姿が浮かんでくる。私はもう一度ご主人様に呼びかけると、今、名を呼んだその唇を、そっと指先でなぞった。
「はぁぁ……ん、くぅぅっ」
キスをした時のような甘い痺れが、唇から全身に波紋のように広がっていく。それが、さっきからお腹の奥で疼いていた鈍い痛みにも似た感触とぶつかって。
「んくぅっ! は、あっ、あぁっ……」
ビクンと跳ねるように身体が震え、便座がガタガタっと音を立てた。崩れかけた態勢を、足を突っ張り、壁に手をついてどうにか支える。
「はぁ、ぁぁ、ん……黒、川ぁ……」
瞼に浮かぶ、愛しくてならない人の姿に、私はそっと呼びかける。そうするとご主人様は、いつものように私に笑いかけてくれる。
『ああ。分かってるよな?』
「は、い……ご主人、様……」
私は便座に浅く座りなおすと、膝の辺りに止めてあった下着を脱ぎ下ろすと、クルッと丸めて右の足首に止まるよう足を通しなおした。
そうして横に大きく足を広げて踏ん張ると、両手でスカートの裾を握り締めた。
緊張で震える手が、ゆっくりとスカートを捲り上げていった。
「どうぞ……ご覧、くだ、さい……ご主人様……」
アソコを思い切り突き出すようにして、そう呟いた。ここにいないはずのご主人様の視線が、痛いほどに突き刺さってくる。思わず腰が跳ねてしまうほどに。
見られてると思うだけで胸の奥が苦しくて、お腹の奥が切なくて、アソコがジクジクと疼き出してくる。
『それじゃあまだまだ見えにくいな』
「は、はい……申し訳、ありません……今……」
私はスカートの裾をウェストに挟み込むと、震える指先をそこへ伸ばしていった。
「んっ……くは、ぁっ……」
ソコを両側から指で開くと、クチッとかすかな音が鳴った。あっと思った時には腰がまたブルッと震えていて、奥から愛液が滲み出ていく感触があった。それがまた、私の腰を跳ねさせて、便座をガタッと鳴らしてしまう。
「くふっ、ふ、ふぅうっ……ん、はぁ、ぁ、ぁぁ……」
『濡れてるな』
「は、はい……濡れて、います……」
『まだ、何もしてないのにな』
「あ、ぁぁぁ……だって、だって、それは……」
ご主人様のからかうような言葉に、いっそう胸が締め付けられる。それなのに、笑われて悲しいのに、私のお腹の奥はもっとズキズキしてきてしまう。
言い訳をしようとした先から、剥き出しになったアソコから、愛液が糸を引いて滴り落ちていった。
『おいおい、どんどん濡れてくるぞ?』
「だって……だってご主人様に、見て、いただいてる、から……見られるだけで、私……せ、切なくて……身体が、熱くなって、それで、だから……」
『それで濡れるって言うのも、でも立派な変態だよな』
「ふぐっ……ぅ、ぅぅ……ごめん、なさい……っ」
全然キツイ口調じゃなかったけど、でもそんな風に言われて、胸にグサッときてしまう。
それなのに、お腹の奥にはズキンと来ていた。
心は辛くて苦しいのに、身体はそのとおりになってくれない。ご主人様に変態って言われてしまって、否定できない自分が恥ずかしくて。でもお願いだから捨てないでってすがりたいほど悲しいのに。
私の奥から、コプッと音を立てるみたいにして、愛液がまた溢れ出ていった。
「ぁ、ぁぁ……ゃ、ぃゃ……見ない、でぇ……」
かすれた声で呻く。けれどもその間も、私のアソコはご主人様の視線を感じて、ヒクヒク動いている。もっと、もっと見て欲しいって誘うみたいに。
『ん? 見ちゃいけないのか?』
「ああっ、いやっ、違いますっ……見て、見てくださいっ」
ご主人様の言葉に、私は慌てておねだりをする。
腰を浮かせるくらいに突き出して、両側から思い切りオマ○コを開いて、恥ずかしい場所のすべてをさらけ出す。
「どうぞ、ご覧、くださいっ……わ、私のオマ○コ……ご主人様に見てもらいたくて、こんな、濡れて……ず、ずっと、ヒクヒクしてて、だから……っ」
はしたない言葉を口にする度に、体温が上昇していく。
隅に追いやられていた、頭の中の冷静な部分がわざとらしく嘲笑してくる。
馬鹿じゃないの? こんな場所でこんなことして。
だいたい、ここにいない妄想を相手に、どこまで変態なのよ。
「ぁぅっ……ぅ、ぅぅぅ、ぃ、ゃぁっ……」
理性の針が容赦なく胸に突き刺さる。
けれども、それはやっぱり、ご主人様に変態と言われた時と同じ結果しかもたらさない。
胸が苦しくて苦しくて苦しくて。涙さえ滲んできているのに。アソコだけはいよいよ熱く疼き出す。
ううん、違う。
私はきっと、分かっていたはず。今さら何をどうしようとも、スイッチの入ってしまった私は、全部快感に置き換えてしまうことを。
それを承知で、私の理性は私をなじる。
変態! 止めてよ恥ずかしい! マジ勘弁してよね!
「かふっ……ぅあ、あくぅっ……!」
もう駄目。罵れば罵るほど、身体が煮えたぎっていくみたい。こんなこと止めたいのに、自分で自分をなじるのが、もう止められない。
完全に、目的がすり替わってしまっている。
だから、サッサとその足を閉じろって言ってるでしょ、みっともない!
「んつぅっ……んはっ、はっ、は、ぁあっ」
ビクッと内ももが引き攣った。お腹の奥が、捩れるようにキュゥッとなる。痛いくらいの切なさに、私のアソコはいよいよヒクついて、トロッて愛液を零していく。
触りたい、触りたいっ、触りたい!
ご主人様がしてくれるみたいに、オマ○コに指を突き刺して、思い切り掻き回したい。絡み付いてくる襞々を指先で引っ掻いて、その天井をツンツンって突き上げて。その奥にある行き止まりにまで、指を届かせたいっ。
ご主人様、ご主人様っ、ご主人様!
私は切なる願いを篭めて、そこにはいないご主人様を仰ぎ見る。
『見て、欲しいんだよな?』
「は、はい……私の、オマ○コ……いっぱい、見て……くださいっ……いっぱい、いっぱい触って、苛めてくださいっ……!」
私は思い切り足を開くと、背中をトイレのタンクに預けて、腰を突き上げるようにしていた。
もちろん、両手の指でアソコは開いたままで。だから私のアソコは、その穴だってモロに覗けるくらいで。しかもそれは、もうとっくに濡れまくってて。今すぐにだって挿入できるくらい。
そんな、自分でも信じられないくらいみっともない姿を、心の中のご主人様に披露する。
そうしたら、ご主人様は、そんな私を見て、笑って……。
『だったら、どうしたらいいか分かるよな?』
「あうっ……!」
ご主人様は私のアソコなんて見ないで、ただ私の顔を、何か面白がるような目で見つめてくる。
その笑顔が、私の頭の中をギュッと掴んできた。ジーン……って頭が芯から痺れてきて、それが全身に、指先にまで伝わっていく。
そうして全身が痺れたような感じの中で、下腹だけが脈打つみたいに熱くなっていた。
「はぁ、はぁ、はっ……んっく、ふ、ふぅぅ……ん、はぁ、ぁぁ……」
気が付けば私は、引っ張られるようにしてフラフラと立ち上がっていた。よろめいた身体が、バンッとトイレのドアに当たる。どうにか身体を支えた私は、荒い息に喘ぐようにして顔を下に向ける。
そこにはもちろん、トイレの個室の鍵があるわけで。
「ゴクッ……ん、んくっ……ん、ふはぁ、ぁ、んん……」
生唾を飲み込む。何だか熱っぽくて潤みがちの視界の中で、私の手が震えながら鍵に伸ばされていく。
私はそれを、息を詰めて見つめていた。
カ……チャ。
「ふぐうっ……! んはっ、は、はぐうぅっ、うっ、うくくっ……くぅぅぅっ……」
小さな金属音が、静かなトイレの中に大きく響いた瞬間、胸が潰れそうになった。心臓がバクバクいい過ぎて痛い。
それなのに、何かいよいよ足元の感覚がおかしくなっていくようで。目が回った時のようって言うか、ふわふわした感じがして、そのふわふわが、胸の苦しささえ飲み込んでいって、何か現実感が薄れていく。
まるで、そう、他人事のよう。自分を上から見下ろしているような感じがする。
そんなあやふやな感覚のまま、私はストンと、また便座に座り込んでいた。どこを見ているのか、自分でも分からないような、ちょっとクラクラした感じ。
そこにいきなり、錠を外された鍵がガツンと叩き付けられてきた。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はあっ……っ!」
私はお腹を抱えるようにして身体を折り曲げ、身を捩る。私の耳に、上の方から電車が走り抜けていく音が届いてきた。それがようやく、駅のトイレに居ることを自覚させて。喘ぐように顔を上げれば、そこには開いたままの鍵があって。誰かが軽く押すだけで、それは開いてしまって……。
「あっ、んくっ、ぐぅっ……!」
ズグンっと、お腹の奥が疼いていた。身体がキュゥッと引き絞られるみたいな感覚に、私はまた、愛液を滴らせてしまう。トイレの便器に、愛液が糸を引いて落ちていく。
『さあ、次はどうするんだ?』
「ぅ、ぅぁ、ぁあ……ご主人、様ぁ……」
そうだ。ご主人様の命令したことは、これで終わりじゃあない。まだこれは、指示の1つ目でしかない。まだやらなきゃいけないことが、残っている。
私は、ほとんど泣きかけの顔でご主人様を見上げる。ご主人様は、面白そうに笑っているだけで。でも私は、この笑顔には絶対に、逆らえない。
私は泣くのを我慢しようと、震える唇を噛み締めながら、それでもご主人様を見上げたままで、スカートのフックを外した。
「んっ……んぐっ、くっ、ぅぅっ……んふ、ふっ、ふぅぅっ……」
口をキュッと閉じたまま、嗚咽が漏れかかるのを必死に抑え、軽く腰を浮かす。そうして私は、そろそろとスカートを脱いでいった。
スカートが脱げるのに合わせて、その下から現れる白い素肌を隠すように、私は身体を折り曲げていく。それでも、顔は上げてご主人様を見上げたままで。
そうして、足元にたまったスカートから、そっと足を抜いて、私は完全にスカートを脱ぎ去った。けれども、そこからなかなか身体を起こすことができない。
ご主人様は、相変わらず笑ったままで私を見ている。
私は、泣かないように何度も瞬きをしてから、ギュって強く目を閉じたりしてから、ゆっくりと身体を起こしていった。
「ぁ、ぁぁぁ……」
手にしたスカートを握り締めた私の口から、怯えきった呻き声が漏れた。
普通、トイレの中でもそこまで丸出しにすることはない。けれども私は今、個室の中とはいえ、スカートもパンツも脱ぎ去ってしまっていた。しかも、ドアの鍵は開いたまま。
想像以上の不安が襲い掛かってきた。もし、誰かが入ってきたら、その誰かがこの個室のドアを開けたら……。
それは、心臓が縮み上がりそうなくらいに怖かった。
けれども、このままならまだ、どうにか言い訳が利かなくもない。世の中には私が知らないだけで、トイレの度に全部脱ぐ人だっているかもしれない。鍵だって、掛け忘れと言い逃れられなくもない。
そこにいないご主人様を、私は心の目で見上げていた。ご主人様は、ただ黙って、ただ笑って私を見下ろしている。
だから私は、もっと自分を追い詰めにかかった。
いざ立ち上がろうとすると、足にはほとんど力が入らなくて、ちょっと腰を浮かしただけで、ドスッとまた便座に逆戻りしていた。それでもどうにか力を入れて、私はヨロヨロと立ち上がった。膝が笑ってるので、とても長時間は立てない。けれど、私の用事はすぐに済む。
私は、さっき脱いだスカートを、個室のドアの上の方に付けられているフックに引っ掛けていた。
「あはっ、は、はぁぁっ……はうっ、ぅぅぅっ……」
思わずその場にへたり込みそうになったのを、どうにか一瞬だけ持ちこたえて、それでも結局、尻餅を付くような勢いで便座に座り込んでいた。
立ち上がって、スカートをフックにかけて、また座る。
それだけの作業しかしていないのに、指先がジンジンと痺れるようになっていた。もう本当に、頭がボーっとしてくるくらい、頭の奥も痺れていた。
けれども、まだだ。
まだ、もっと。
私の心の声が、萎えた私の身体を急かしてくる。
焦点を失いかけていた私の瞳が、またハッキリと像を結んでいく。
吊り下げられたスカート。
錠のかかっていない鍵。
そこからさらに視線は下がり、私の足首で止まる。
そこには、私が抜いだパンツが、クルッと丸めて引っ掛けられている。
『そうそう。分かっているじゃないか』
「で、でも……これ……これ、は……」
『ん? 嫌なら別にいいけど?』
「ぁぅっ……ぅ、ぅくぅぅっ……」
ここに来て、私の理性がまた必死になってブレーキを掛けてきた。
ちょっちょっと! いくら何でもそれはないでしょ!
そりゃあ、黒川ならやらせかねないわよ? でも、ここに黒川はいないんだからね!?
それは、正しい。正しい、けれども。
黒川なら、ご主人様ならきっとやらせるに違いない。
そのことの方が、もっと大事だった。
想像とか妄想とか、そんなこと関係ない。ご主人様なら、きっと私にそうさせる。だから私は、それをしなくちゃいけない。
だって私は、ご主人様の奴隷だから。
「すぅぅ……ふぅぅ……すぅぅ……はぁぁ……んっ……はぁぁぁ……」
緊張しまくっているせいで跳ね回るみたいな鼓動を静めるように、私は大きく深呼吸を繰り返した。そうしながら、何度も自分に言い聞かせる。大丈夫、私ならできる、できると。
でも、いざそう決意してみても、自分からそれをするのは、かなりの努力が必要だった。
私は強張った筋肉を軋ませながら、怖々といったように身体を曲げていき、そちらを見ないようにしながら、足首に絡めた下着に手をかける。
ヌルッと、明らかに普通の水とは違うぬめりが指に掛かる。ビクッと、熱いモノに触れたように身体が勝手に跳ねていた。
私は仕方なくそちらに目を向けて、濡れていないところを摘まむようにして、下着を足首から外していった。
「ぁぁ……やだ、こんなに……」
手にした下着を改めて見てみれば、クロッチのところがもう情けないくらいに濡れていた。それは、自分の肉体のふしだらさの証拠みたいで。胸が痛くなるほどに恥ずかしくて。
それなのに、やっぱり。
お腹の奥がまた、搾られるような疼きを訴えてきた。
「うぐっ、ぅ、ぅぅぅ……っ」
私は無意識のうちに、手にした下着を両手で強く握り締めると、その手で下腹の辺りを強く抑えこんでいた。疼く下腹が絞り込まれるみたいになって、私のアソコがキュンッと引き攣る。
腰がブルッと勝手に震えて、「あっ」と思った時には、愛液の雫がツーっと零れていくのが分かった。
「はぁ、はっ、はぁ、はっ、あぁっ……」
さっきした深呼吸も、何の意味もなくなっていた。私は浅い息を繰り返しながら、かじかんだように震える指で、握り締めてクシャクシャになった下着を開いていく。
裏返してやれば、染みはいっそうハッキリと分かった。
その染みが一番外に来るように、丸めるようにしながら折りたたんでいく。すぐに、小さくて丸い布のボールが出来上がった。
「こ……れ、を……」
元が元だけに、それはとても小さくて軽かった。指先で摘み上げたそれを、私はゆっくりと顔の前にまで持っていった。
ベッタリと、私の愛液が染み付いている。
嫌らしい匂いさえ、香ってきそうなほど。
「は、はぁ、ぁぁ……んっ、は……あ……」
緊張のせいで胸が苦しくなって、視界さえクラッときてしまう。
それでも私は息を吐くと、ゆっくりと大きく、口を開いていった。
いやっ! ちょっ、それはマジで勘弁して! 嫌ぁぁぁぁぁっ!
「あむっ、ん、くふっ……ん、んんんぅっ……くふっ、ふ、ふふぅぅぅっ……!」
口の中に、舌の上に、剥き出しになったそこがダイレクトに押し付けられた瞬間、クラッと来てしまっていた。
元はと言えば自分のものなのだけれども、それは生臭いようなとでも言うか、決して心地良い味でも匂いでもなかった。
それでも私は、それに貪りついていた。
自分の股間に押し当てられていた布地を、何度も繰り返し、舌の上で転がして味を堪能する。そうすれば私の口の中には、何故だかどんどん涎が溢れてきていて。
ベトベトになったパンツを舌で奥歯の方に押しやって、「あぐっ」とばかりに噛み締めれば、グジュルッと卑猥な音が口の中で、頭の中で響いていた。
「んぐ、ふ、ふぅぅ……ジュズリュルルルっ……ん、ふぅ、んぐ、ぐぶっ、ふ、ふぅぅ……んふ、ふは、ん……スゥッゥゥ……っんはあぁぁぁぁ……!」
溢れ出る唾液を、音を立てて飲み下していけば、その音が頭の中で反響して、いよいよクラクラしてくる。
おまけに、何だか飲み込んだお腹の方が、すっごく熱くなってきているみたい。お腹だけじゃなくて、喉も、口の中も、頭の中も、全部、全部、全部。
それで咳き込むみたいになって、ちょっとでも熱を冷まそうと大きく息を吸い込んだら、今度はその匂いが、鼻腔から頭の中まで、気管から肺を通じて全身にまで、嫌らしい匂いが染み渡っていってしまった。
「んぶっ、ふっ、ふぶぅぅぅっ!」
ガタガタッと、私の身体は便座の上で痙攣をしていた。
一瞬、ふっとその便座の感覚さえなくなって、次の瞬間には私はガタンッと後ろのタンクに思い切り背中をぶつけていた。
痛い。けれども、そんなの全然気にならない。
それよりも、身体の熱さの方が問題だった。
今、私はイってしまったというのに、身体はむしろ余計に快感を求めていた。
私のアソコは、グジュ……と本当に、そう、蠢いていた。
欲しい、欲しいと身悶えていた。
そこからトロリと、またHな汁が滴り落ちていく。
早くここを掻き回さないと、本当にもう気が狂ってしまいそうなほどで。私はもう、とにかく気持ち良くなりたくて、仕方がなかった。
「ごひゅひん……はまぁ……」
自分でもそれと分かるほど、泣きそうな声と顔で、そこにいないけれどいるはずのご主人様を仰ぎ見る。
ご主人様は口元に手をやって笑うと、いいぞと言うように頷いてくれた。
私もご主人様に頷き返すと、その指示に従うべく、足を持ち上げようとした。
けれども、私の足はもうとっくに萎えてしまっていて、思うように動いてくれない。私は、こっちも痺れたような感覚のある手で抱えるようにして、どうにか右足を、次いで左足を便座に乗せていった。
「ふっ、ふぐ、ふ、ふうぅ……んっぷ、ぷふ、ふぐ、ん、んふぅ……んは、は、はぁ……っっん」
喘ぐ私の見つめる先で、私の足はゆっくりと、その膝を左右に割開いていく。力を失っていたはずの身体が自然と動き、より強く股間を押し出す体勢をとるよう、腰の位置をずらしていく。
そうして私は、浅く椅子に座って背中を大きく背もたれに預けたような、股間をさらけ出しきった姿勢を、鍵の開いたドアに向かって差し出していた。
「ふはっ、はっ、はぐっ……ん、んぐ、んぅっ……んんっく、くふ、ふ、ふふぅっ……んは、はふ、ははっ」
呼吸がまた、急に忙しくなっていく。
バクバクと脈打つ心臓に合わせて、下腹の奥で子宮までも鼓動を刻んでいるよう。
そうしてその脈動に呼応するように、私のアソコまでジクジクと蠢き出して、愛液をトロトロと湧き出させていく。
「ごひゅひんはま……よおひぃ、でふおぇ……?」
『ああ、ちゃんと言ってからな?』
「は、はひ……」
何度も涎を飲み込んだのに、私の声はかすれていた。
それでも頷いた私は、震える手をゆっくりと、右手を前から、左手を太ももの裏から回すようにして、股間へと持っていった。
「は、はっ、はっ……ふぐぅっ、うん、ん、んんっ」
右手の指でアソコを、左手の指でお尻を脇にやるようにして、それぞれ目一杯に割り広げる。
ソコに触れる空気の冷たさが、一瞬、私の身体をおののかせる。
ソコとお尻の穴とが歪んで、かろうじて堰き止められていた愛液が、またドプッと零れるみたいにして、大きな雫となって垂れていく。
トイレの便器はもう、何を零したのかと思うほどにドロドロに汚れていた。
けれども私はもうずっと熱に冒されたみたいで、何が何だか分かっていない。
ただ、目の前にはいつでも開けられる、鍵の掛かっていないドアがあって、私はその前でとんでもなく破廉恥な姿をしているのだけは、分かっていた。
そうして、その私はただご主人様に縛られているということも。
「んっく……くふ、ふ、ふは……あぐっ」
私は、今にも動きそうな指を押さえ込もうと、グッと奥歯を噛み締めた。グチャグチャになったパンツから、ジュブッと涎が滲み出てくる。それを飲み下した私は、改めて鍵の開いたドアに目を向けた。
「ろうは……わあひの、おあいー……みへ、くあはい……」
『駄目だそれじゃ。全然聞こえないって』
「はうっ、う、んはっ、はぁぁぁ……!」
いざ指を動かそうとした私は、その一言で動きを封じられていた。指はその寸前で金縛りに掛かったように固まって、それ以上ピクリとも動いてくれない。
「ぁうう……ほんあ……ごひゅひんはまぁぁ」
『駄〜目だって。今みたいな声じゃ、誰も気付いてくれないだろ?』
「れも……れもぉ……わはひ……ぅ、ぅぅぅっ」
声を出さないというのは、ギリギリのところの安全網だったはず。だから私は、こんな、自分の汚れた下着を咥えるなんてマネまでしたのに。
でも……ああ、でも、でも……。
でも、本当に……誰、かに……見られ、た、ら……。
「ふぐっ、ふ、ふふぅぅぅっ!」
ビクビクッと、今日何度目かの痙攣が便座を揺らす。
よくもまあこれだけ濡れるものだと、自分でも呆れるくらいに愛液が吹き零れる。
「はぁぁ、ああ、んぐっ、くぅぅっ……ごひゅひんはまぁっ」
『な? 見られる方が良いよな?』
「はひっ、はひぃっ……みあえはい……おあいー、みへ、ほひいえふっ……!」
『だったら、もう一度だ。そうだろ?』
「ろうは、おあいー、みへ、くあはいっ!」
私は、ドアの向こうに聞こえるくらいの声で叫んでいた。誰かが入ってくれば、絶対に気付くくらいの声で。
それでもご主人様は、まだ「良し」と言ってくれない。
「おえあいえふっ! おあいーっ、みへぇぇっ!」
私は、トイレの外を通る人にも聞こえかねないほどの大声で叫んでいた。
知らないうちに、涙が溢れていた。
どれだけ破廉恥な快楽に呑まれていても、決してなくなりはしない理性の欠片が、ここに来てまで私を責め苛む。
何ていうはしたない。何ていう恥知らずな。自分が何を言っているか、分かっているのか、と。
ああ、でも、でも……でもっ!
「あえあいっ! おあいーっ、みへえええっ!!」
知りたい、知りたいっ……知りたい!
こんな姿を他の人に見られたりしたら、私はいったい……どれほどの快楽を、手にしてしまうんだろう。
ギ、ギギ…………。
「ふぐっっっ!?」
鍵の開いたドアが、微かな軋む音を立てて、ほんの少しだけ内側に押し開かれてきた。
個室を覗けるくらいの隙間が、そこにできていた。
心臓が止まるかと思うほど驚いた私の身体は、一瞬にして凍り付いてしまっていた。さっきまでの狂おしいほどの熱は一切消えて、ただただ怖いと言う思いだけで一杯になっていた。
バクバクバクバクッと、心臓の音がうるさくて堪らない。音が外に漏れたら、どうなると思っているんだろうっ!
私は目を見開いたまま、けれども少しでも動けば衣擦れがすると思って、ただ身体を凍りつかせて開きかけているドアを凝視していた。
『どうした? 今さら、何を緊張しているんだ?』
「ぅぁっ……ぁ、ぁぁ……あ、はぁぁぁ……ん、くふ、ふぅぅ……」
不意に耳元で、ご主人様の笑う声が蘇った。
それでも緊張に身を硬くしていた私だったが、ご主人様の姿を瞼に思い描くと、やっぱりそれで締め付けられていた心臓が急に軽くなって、ようやく大きく息を吐いて身体の緊張を解いていった。
いや、もちろんドアの向うはすっごく気になっているんだけれども、とりあえず、それしか見えないと言う状況からは解放された。
ドッと、身体に疲れが押し寄せてくる。それでも私の心は、いっそ晴れやかでさえあった。
私はやっと、ようやく、本当に理解できていたから。
私は、ご主人様がいないと何も出来ない。
けれども、ご主人様がいてくれれば、何でも出来るのだと。
私が知りたいのは、他人に見られる羞恥のもたらす恥辱だったんじゃない。ううん、それに間違いはないけれども、その上には『ご主人様の命令に従った結果』という言葉が付かなくちゃいけない。
そこを勘違いしてたから、さっきドアが開きかけた時、ちょっとおかしくなってしまった。
けれど、今はもう大丈夫。
私の心に余計な想いはない。ただただご主人様に、辱めてもらいたいという思いだけ。
だから、ホラ……。
……クチュ……。
静かなトイレの中に、触れもしないのに、私のアソコがヒクヒクッて蠢いて、蜜を零す音が聞こえてきた。それはツーッと糸を引いて、便器に垂れていく。
ブルッと震えた私は、心の中でご主人様を見上げる。
「おあいー、ひへ……よおひい、えふあ?」
『ああ、もちろん。ちゃんと見ててやるからな?』
「ありあおう、おあいあふ……はむぅっ! うんっ、ん、んぐぅぅっ!」
指を触れた瞬間に、いきなりキタ。
熱痛いような感覚が。
だけどそれで指を止めずに、一気に根元まで入れてしまえば、いつもなら届かない私の指が、今日は何故だか子宮口を引っ掻いていた。
ギクギクッと、便座の上で身体が引き攣る。そのままバランスを崩して落ちてしまいそうなほど、私は身体を仰け反らせていた。
それでも、それでもまだまだ始めたばかりだ。
私はパンツを咥えた口の端から涎と悲鳴を漏らし続けながら、2本目の指を差し入れていた。
「むふぅっ、うんっ、うむぅぅんっ!」
グチャッと音を立てて、熱い粘膜が指に絡みついてくる。その中で指を出し入れさせれば、その粘膜がドンドン熱くなっていって、お腹の奥がズキズキと痛いくらいに疼いてくる。
それを宥めようと指を深く入れれば、指先が子宮口を押し上げてしまう。脳天まで突き上げるような快感に、私は腰をガクガクと震わせていた。
こんなオナニー、初めてだった。今までここまで気持ち良くなったことなんて、一度もない。
それが場所を変えただけで、ご主人様を思うだけで、こんなにも――。
『後ろは、触ってやらないのか?』
天啓のように、ご主人様の声が頭の中に響く。
私は当然のように左手を後ろから回していくと、その穴に人差し指と中指とを突き入れていた。
「ふぐぅぅううぅうっ!」
指と指が、私の中で擦れ合う。でもその指の間には、薄い膜があって、触れるのに、直接は触れあえない。それがもどかしくて、私は乱暴なくらいに両方の手を動かして、それぞれの中を指で掻き回していた。
「んぐっ、むふっ、ふぶぅっ……! んんんんんっ、っ、んふっ、ふうぅぅぅぅうっ!」
前も、後ろも。指は勝手に奥に奥にと潜り込んでしまう。どっちにもいつのまにか指が二本も根本まで入ってて、それでも足りないと言うみたいに、私はグイグイと手を押し付けていた。
両方とも、無理やりこじ開けられてる入り口が痛くって、熱くって、でもものすごく気持ちが良い。痛いのに、痛いのが止められない。
私は、もっと痛くなるようにとグリグリと手首を回して、両方の入り口を擦り続けていた。
『ずいぶん激しいオナニーだなぁ。いっつも、そんなにしてるのか?』
「んんぅっ、ひあっ、ひあい、あふっ……! こえあ、ああっ、あふぅぅぅっ!」
からかうようなご主人様の言葉に、私は泣きそうになりながら必死に首を横に振っていた。こんな激しいのは、本当に初めてだった。いつもはもっと、それこそ、秘め事のように……。
なのに今は、この激しい指使いが止まらない。はしたないくらいに足を広げて、アソコをさらけ出して、そこばかりか普段は触ることのないお尻にまで、指を二本も入れて。
グリグリ動かす度に、グチュグチュといやらしい音がする。聞いてるだけで、自分でも恥ずかしくなるようなその音。
『聞いて欲しいんだろう? 見て欲しいんだよな、その格好を』
「んひぃいっ……! んはっ、は、はふっ……ふはあっ、ああっ、ごひゅひん、はまあっ……!!」
ビクッと身体が震え上がると同時に、私の指は前後から同時に深く突き刺さって、子宮に指先をかけていた。
触れるだけでギュンギュンッてお腹の奥が搾り込まれるようになって、切ないくらいに熱く痛く疼いて、泣きそうになる。カリカリと引っ掻くだけで、水位が上がって来るみたいに少しずつ、絶頂が近付いてくるのが分かる。
私は、それこそ足の届かない水の中から顔を出すようにしながら、ご主人様を見上げていた。
『ああ、いいぞ。イクところもちゃんと、見てもらおうな?』
ビクビクッと、手足が引き攣った。
ご主人様の向こうに、見知った人たちの顔が思い浮かんできてしまう。クラスメートや、先生や、もっと……。
そうすると、身体全体がカーッと熱くなってくる。
気が付けば私は、ボロボロと涙を零していた。
それでも、指は止まっていなかった。
思い切り深く突き刺した指が、前と後ろとから、子宮をクニクニと押し揉んでいた。
限界はもう、すぐそこにあった。
「……っ……ご、ごひゅひんはあ……ひ、ひっへぉ……ひっへお、ひぃ……れふあ?」
『ああ、見てもらいながら、イってみな』
「はひっ、はひっ……はあああっ、みへ、みへえええええ! わあひのひうほおっ……みへえええええええええええええ!!!!」
パンツを咥えたまま、私は叫んでいた。
指は前後から挟み込むように強く子宮を突き上げていた。
ギュンッと、そこが縮こまったかと思ったら、熱さが爆発していた。
「ひやあああああっ! あああっ、ひぐっ、ひぐううううううううううっ!!」
腰が高く突き出され、前でも後ろでも、指が痛いほどに食い締められる。
背中が反り返り、頭が給水タンクに打ち付けられる。けれども痛いなど感じる余裕はどこにもなく。
私はただただ、絶頂に酔いしれていた。
私が、イきながらお漏らしをしてしまっていたのに気付いたのは……だから、覚めてからだった。
「あ、あれ……? ご……く、黒川……?」
トイレに出ると、すぐ近くの壁際に黒川が立っていた。音楽を聴いていたらしいけど、私に気付くとすぐにイヤホンを外して近付いてきた。
「おう。大丈夫か?」
「大丈夫かって……先に行ったんじゃないのっ?」
「いや、何で?」
黒川が、不思議そうに尋ねてくる。
その仕草を何となく可愛いと思うより先に、私は顔が真っ赤になっていたに違いない。
だって私はつい今の今までご主人様を思いながら、選りに選って駅のトイレでそういうことをしていたわけで……。
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ、けどっ……だ、だからってトイレの前で待ってないでよっ、恥ずかしいじゃないの!」
「……そういうものかなぁ?」
「そ、そういうものなのよっ」
「なるほど、そりゃあ悪かったな。謝るよ」
全然すまなくなさそうに黒川が笑う。
その笑顔が、たまらなく胸に染みた。
「笑ってんじゃないわよっ、この馬鹿!」
私はプンっと怒った振りをすると、黒川を残して歩き出した。その手をパッと、黒川に握られていた。
「おいおい、置いてくなってば」
その時の黒川は、ただ本当にそのためだけに私の手を握ったんだと思う。
でも、私は……。
妄想ではなく、本物の黒川に触れられて。ただ手を握られただけなのに、そこから電気が流れたみたいにビクンッてなって。
身体が、アソコがすっごく熱くなって。さっきしたばかりだっていうのに、ジュン……と濡れてくるのが分かって。
それで、それで……。
「せっかく、我慢してたのに……“ご主人様”の、馬鹿ぁ……」
ラッシュのピークを過ぎた駅の構内で、私は震える声で、そう漏らしてしまっていた。
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