妻を、犯す。



あとがき



 『妻を、犯す。』、ようやく完結いたしました〜。
 さて、今回のテーマは、もう、ズバリ「寝取られ」であります。ただ、普通の寝取られモノですと自分で書いててちょっとつらくなったりするので(笑)、「自分でヤってるのに結果として寝取られになる」という形にしてみました。いやまあ、途中に普通の寝取られシーンも挿入してしまいましたが……。
 ところで、どうして寝取られなんてシチュエーションに(私を含めた)少なからぬ人間が惹かれてしまうのかというのは、けっこうな疑問です。だって、現実にあったらかなりイヤなシチュじゃないですか。よほどのドMでないとこれは耐えられないですよね。
 で、いろいろ考えた仮説を、この場を使ってちょっと開陳してみようかと思います。
 なお、以下の言説の中にある「主人公」とは、ヒロインに好意(片想い・両想いとも)を抱いていながら、別人とヒロインがセックスしてしまうことを目撃してしまう存在のことです。



(1)逆説的に快感の大きさを示すから
 本来だったらやっちゃいけない相手とのセックスに溺れてしまうということは、それだけ快感が大きい、ということを表してると思います。陵辱系の寝取られにありがちな描写として、ヒロインが「主人公とするより気持ちいい」みたいなこと言うシーンがありますが、これはその典型ですね。長編の寝取られモノの終盤でヒロインが淫乱化しちゃうのも、このことと関係あると思います。ともかく、主人公のことなんか忘れちゃうくらいにヨガリ狂ってるヒロインというのは非常に魅力的です。なお、和姦系の寝取られモノには、ちょっとこれは当て嵌まらないかもしれません。

(2)主人公に感情移入しやすいから
 ポルノというのは、ほとんどの場合、オナニーのために鑑賞するものですが、その際、二次元・三次元を問わず「他人の性行為」を見ながらする、という構図になります。この状況は、想い人が他人とセックスしてるところを目撃してしまう主人公の立場と非常に近いと思います。それゆえに、読者・視聴者は、主人公に容易く感情移入できてしまうのではないでしょうか。

(3)ヒロインの魅力を示すから
 ここでいう「ヒロインの魅力」とは、外見描写や心理描写によって直接読者に伝えられるものではなく、その物語世界内での魅力のことです。つまり、寝取られちゃうくらいに可愛い、もしくは美人な、もしくは名器の(笑)ヒロインだということですね。寝取った相手が「こんなイイ女初めてだ」みたいなことを言うシーンは、この典型だと思います。また、「人が食べてると食べたくなる」みたいな感じで、主人公および読者・視聴者がヒロインの魅力を再発見・再認識するきっかけにもなると思うんですね。まあ、手遅れなんですけど。

(4)恋の切なさに似てるから
 自分で書いてて何ですが、かなり「ねーよw」って感じですね。ですけど、よく寝取られモノの感想に「切ない」ってのがあるじゃないですか。これ、例えば「身分違いのかなわない恋の切なさ」とか「別れた相手と偶然に再会してしまった切なさ」みたいな、「手を伸ばしてももう届かない」系の切なさにちょっと似てるのかな、とか思います。また、吊り橋効果の例を挙げるまでもなく、人間って感情や感覚を混乱させがちなものなので、もしかしたらこういうメカニズムも働いてるのかなあ、と思います。

(5)それが人のサガだから
 つまり本能的な反応、ということです。自分の性的パートナーとして認識していた個体が自分以外の個体と性的行為を行おうとしていたとき、極度に興奮する、という遺伝子が、ヒトには組み込まれているのかもしれません。なお、この遺伝子によって個体が性的に興奮し、性行為に及べば、この遺伝子は次世代に受け継がれる可能性が上がるため、遺伝子的に「成功」するわけです。



 あと、上のとは別に「ドMでないと耐えられない状況に興奮するのは皆が潜在的にドMだから」という説も成り立つような気もしますが、これってよほど注意深く言語化しないとトートロジーになってしまうような感じがしないでもありません。
 ともあれ、始終これだけ寝取られのコトばっか考えてる私なわけですが(今思えば一作目の『Master-Slave』にすら寝取られシーンがあるもんなあ)、寝取られヒロインとしての香織さんは、非常に気に入ってます。逆にそれで割を食っちゃったのが琴音でして……彼女についてはもうちょっと活躍させてあげられればよかった、と思います。
 そんなわけで、作者贔屓の香織さんですが、まだもうちょっと苛め足りないというか、書いてみたいシーンがあります。ですので、近いうちに続編をご披露してしまうと思います。って言うか、えっと、もう書いちゃってるんですけどね。
 まあ、同じような話ばかりが続くのもアレなので、少しインターバルを置いてから、発表させていただきたいと思います。
 というわけで、今後ともよろしくお願いいたします〜。



目次へ

MENU