リバーシブル
トライアングル


- inside -



 白い闇に閉ざされていた視界が、ようやく元に戻った。
 けだるい快楽の余韻が、ひたひたと私の体をひたしている。
 本当は、こんなふうにしてる場合じゃないような気もするけど、誘惑はあまりにも強かった。
 これが、堅い床の上でなく、ベッドの中だったら、そのまま眠ってしまったと思う。
 でも、さすがに眠るわけにはいかない。
 身なりを整えて、瀬戸君を解放して、それから……。
 それから、どうするんだろう?
 これからも、私の中の醜い牡の欲望にかき立てられるまま、果南の柔らかい体を貪るように犯すんだろうか?
 それとも……。
「ん……」
 とにかく、目を開ける。
「あ……!」
 私は、思わず声をあげた。
 瀬戸君が――手首をさすりながら、私の中の目の前に立ってる。
 手錠は外れ、今は、瀬戸君の手の中だ。
「……っ!」
 本能的に危険を感じて立ち上がりかける私の後ろに、瀬戸君が回り込む。
「きゃっ!」
 左手をひねりあげられ、手首に手錠をかけられた。
 華奢に見えても男の子だ。できそこないの私は、力ではかなわない。
「せ、瀬戸君、どうやって手錠を……?」
 パニックになりかけながら、訊く。が、瀬戸君は答えない。
「果南、手伝って」
 瀬戸君が、果南に声をかけた。
「ごめんね、瑠華ちゃん」
「あっ!」
 果南が、まだ自由だった私の右手を両腕で抱えるようにして、封じる。
 その口元には、あの、無邪気な笑みが浮かんでいた。
「そ、そんな……」
 二対一、という人数差よりも、果南が何のためらいもなく瀬戸君に従ったことに、うちのめされる。
 右の手首にも、銀色の手錠がかけられた。
 股間の忌まわしいモノをむきだしにしたまま、両手を後ろ手に封じられる。
「これでよし、と……」
 一仕事終えた、といった感じで、瀬戸君が私を見下ろす。
「瀬戸君……どうして……?」
 思わず、私は訊いていた。
「どうしてって言われても……ああ、手錠のこと?」
 瀬戸君は、右手につまんんだ小さな鍵を、私の目の前にさらした。
「簡単なことだよ。果南が、スペアをあらかじめ渡してくれてたんだ」
「え……っ?」
「ごめんね」
 果南が、悪戯のばれた子供みたいに、ぺろっと舌を出す。
「果南はね、入学する前から、ずーっと僕のペットなんだよ」
 瀬戸君の言葉に、まるで頭を殴られたような衝撃を感じる。
 何……瀬戸君、今、何て言ったの……?
 そんな……それじゃあ……。
 瀬戸君は、まさか、全部知ってて……?
「弓永さんってばひどいよ……果南の処女、せっかく楽しみにとっておいたのに」
「瀬戸、くん……」
 声が震える。
 うまく物が言えない。
 そもそも、何を言えばいいの?
「あんまり大事にするのも失敗だったのかな。ちょっとくらい痛そうでも、もらっておけばよかったよ」
「えへへへ……こんなこと言ってるけどね、あっくん、最初の時から果南のお尻にオチンチン入れようと狙ってたんだよ。ヘンタイさんだよね」
 果南が、普段どおりの口調で、私に言う。
 じゃあ、私は……ただ果南を傷つけただけで……初めての相手なんかじゃなかったってことなの?
 そんな……そんなのって……!
「よく言うよ。果南てば、最初からイキっぱなしだったくせに」
「だって、あっくん、すごく上手だったんだもん」
 果南が、甘えた声で瀬戸君に言う。
 瀬戸君は、いつもの、あの穏やかな笑顔のままだ。
 薄暗い空き教室の中、瀬戸君のその穏やかな表情に、背筋が冷たくなる。
「でも、予想外だったよ。いきなり僕のズボンまで脱がしてるんだもんね。手錠の鍵はズボンのポケットの中だったから、ホント、どうしようかと思ったよ」
 そう言う瀬戸君は、下半身はトランクス一枚だ。たぶん、脱いだズボンを足で持ち上げるかして、ポケットの中に隠していた鍵を手にしたんだろう。
 果南が、こっそり渡していた鍵を。
 じゃあ、瀬戸君は、今日の私の企みも、ぜんぶ知ってたんだ。
 なのに……どうして?
 疑惑が、ぐるぐると頭の中で旋回する。
「果南もダメだろ? 一発目の濃い奴は、弓永さんに御馳走してあげるはずだったのに」
 ――!
 な……何ですって……?
「ごめんなさい、あっくん……でも、あっくんの匂い嗅いだら、ガマンできなくなっちゃったんだもん」
「しょうがないなあ。その前に、弓永さんのをおしゃぶりしてたくせに」
「瑠華ちゃんのは瑠華ちゃんの。あっくんのはあっくんのだもん」
 理屈にもならないことを言いながら、果南がにこっと微笑む。
 たまらなく可愛くて、淫らな笑みだ。
 私だけのものだと勘違いしていた、その表情……。
「そんな……それじゃあ……私……」
 思わず、きゅっ、と唇を噛む。
 恥ずかしい。憎らしい。悔しい。辛い。
 涙が溢れそうな目で、瀬戸君を睨みつける。
 瀬戸君は、もう笑ってなかった。
 真剣な表情で、私のことを見てる。
「ごめんとは言わないよ。君が無理矢理に果南を犯したのは事実なんだからね」
「……」
 そう、なんだ。
 それだけが、果南との間の、唯一の本当の関係。
 あとは……全部、お芝居……。
 私って、何だか馬鹿みたい……。
「でもね、あの手紙に書いた気持は、本当だよ」
「嘘っ……!」
 反射的に、言う。
 嘘だ。こんなにも、汚くて醜い私を好きだなんて、絶対に嘘だ。
 それに……それに、もし本当だとしても……今更、どうすればいいのよ……。
「弓永さん」
 瀬戸君の、温かな優しい声。
 果南が、瀬戸君のことが好きなのだと知る前は、この声が私の心を溶かしてくれるかもしれないと、恥知らずにも勘違いしていた。
 でも、私は……。
「君を、僕のものにするよ」
 言って、瀬戸君は、私を抱きすくめた。
 あっけなく、唇を奪われる。
「……っ!」
 瀬戸君の口元に噛み付こうとした瞬間に、果南が、背後から私の胸を強く揉んだ。
 甘い痛みに、絶頂の余韻で敏感なままの私の体が、びくんと震える。
 その間に、瀬戸君は、舌で私の口内を蹂躙していた。
「ん……ん……ん……」
 果南に、やわやわと優しく胸を愛撫され、くったりと体から力が抜けていく。
「可愛いよ、弓永さん……」
 瀬戸君は、唇を離してそう言ってから、右手を私の股間に差し入れた。
「きゃっ!」
 本来ならそこにあるはずのない肉の棒を、ぐっ、と掴まれる。
「やめてっ! やめてよ! さわらないで……!」
「どうして? 気持ち良くない?」
 言いながら、瀬戸君がゆるゆると私のペニスをしごく。
 そんな……信じられない……瀬戸君の手が、私のを……。
 屈辱よりも羞恥が、そして羞恥よりも快感が、私の体を熱くさせていく。
 ペニスが、瀬戸君の愛撫によって、あっけなく勃起してしまった。
 すでに二度射精した私のペニスは、勃起するだけで痛みを感じる。けど、それは、甘やかな苦痛だった。
「うふっ……すごぉい……♪」
 果南が、私の耳元でつぶやく。
「瑠華ちゃんて、ゼツリンだもんね。あっくんの手、きもちイイんだよねェ」
「そ、そんなことないわ……もうやめてよっ!」
 どうにか、二人の巧みな愛撫から逃れようと身をよじる。
 けど、ただ、ブラウスが乱れるばかりだ。
「ほらぁ、そんなに暴れると服がしわになっちゃうよ」
 果南が、片手で私の胸をもてあそびながら、ブラウスのボタンを一つ一つ外していく。
「あ……」
 かつてペット呼ばわりしていた愛しい親友の手によって、乳房を包む下着を露わにされる。
 けど、もちろんこれで終わりじゃない。
「えいっ」
 掛け声とともに、果南が、ブラのフロントホックを外してしまう。
 果南ほどではないが、それなりに育ってしまった私の胸の膨らみが、外にさらされる。
「どお? あっくん。瑠華ちゃんのおっぱい、カッコイイでしょ〜」
「……うん」
 少しかすれた声で、瀬戸君が返事をする。
「ピンクの乳首もこんなに固くなって……エッチだねっ」
 まるで、そんな果南の言葉に答えるように、瀬戸君が、私の乳首にキスをした。
 ちゅっ、ちゅっ、と優しく吸い、ころころと舌で転がす。
「んくっ……!」
 果南よりもさらに繊細なその愛撫に、私は、漏れ出そうになる喘ぎを必死に噛み殺した。
「ガマンはよくないよ、瑠華ちゃん」
 お見通し、といった口調で言いながら、果南が、ふにふにと乳房を揉む。
 優しい、いたわるような愛撫。
 柔らかな快感が胸から全身に広がていく。
「んっ……んんっ……んく……んうっ……」
 私は意地になったように声を上げまいとする。
 でも、私の顔を見れば、たまらない快感に晒されていることが、まさに一目瞭然だったろう。
 顔が上気しているのが、自分でも分かった。
 ふーっ、ふーっ、と鼻から息が漏れる。
 目は、ぎゅっと閉じたままだ。
 それでも、どうにか喘ぎ声だけは出すまいとする。
「強情だなあ、弓永さんてば」
 不意に、瀬戸君が胸から顔を離した。
 例えようもない喪失感が、私を苛む。
 と、瀬戸君は、とんでもないところに顔を寄せた。
「きゃああっ!」
 思わず、悲鳴をあげた。
 瀬戸君が、目を閉じ、私のペニスに舌を這わせ始めたのだ。
「やっ! だめえ! そんなことやめてえっ!」
「どうして?」
 不思議そうに、瀬戸君が聞く。
「だって、私のそこ、汚い……」
「そんなことないよ」
 ふっ、といつもの笑みを浮かべてから、瀬戸君は再び無心に私のペニスをなめ始めた。
 ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ……。
 乾きかけの果南の愛液と、そして私の精液とを、瀬戸君の舌がなめとっていく。
 果南にしてもらう時とは明らかに異なる、胸が苦しくなるような罪悪感……。
「あ、ああっ……だめ……」
 乳首を愛撫していたときとは別人のような、たどたどしい舌の動き。
 それは、私の性感を残酷に高めていった。
 無意識のうちに腰を突き出し、揺すりそうになる。
 ペニスの下にあるヴァギナから、とろとろと恥ずかしい液が漏れ出ているのが感じられた。
 ひくん、ひくん、と血管の浮き出た私のペニスが、ひくつく。
 私は、歯を食いしばるようにして、湧き起こる射精欲求を必死になって耐えた。
「も〜、あっくんてば、おしゃぶり下手すぎ」
 わたしの乳首を白い指先で弄んでいた果南が、瀬戸君に言った。
「瑠華ちゃん、なかなかイケなくて可哀想だよ」
「しょうがないだろ。初めてするんだから」
 私を絶頂に導けないのを恥じるかのように頬を染めた瀬戸君が、果南に反論する。
「んふふっ。果南が手伝ってあげるね」
 果南が、瀬戸君の隣に回り込む。
「きゃっ!」
 支えを失い、私は上体を仰向けに倒してしまった。
「そ、そんな……駄目よ……んあうッ!」
 ちゅーっ、と果南がペニスの先端を吸引する。
 苦痛に変わる寸前の、激しい快感が、私の体を貫いた。
 果南が、いったんペニスから口を離し、舌を私のペニスに絡み付けた。
 そして、感じるポイントを、絶妙な舌使いで刺激する。
「ひっ……ひああっ……だめ、だめ、だめェ……!」
 私は、両手を拘束された状態で身をくねらせながら、高い声をあげてしまった。
「ひゃうっ!」
 全く質の異なる快感が、さらに私の股間で弾ける。
 瀬戸君が、果南と頬を寄せ合うようにして、私のヴァギナに口付けしたのだ。
 すでにたっぷりと蜜を分泌してしまっているクレヴァスを舌でえぐり、指で靡肉をくちゅくちゅと弄ぶ。
「ああーっ! あっ! あっ! ああああぁぁ〜っ!」
 私は、叫び声をあげながら、弓なりに体を反らした。
 すでに限界に達していた私の中の堤防が、脆くも決壊する。
「だめっ! どいてっ! かかっちゃう! 精液かかっちゃうっ!」
 そう、あわてて叫ぶが、もう遅すぎる。
 熱い快楽の固まりが、もうそこまで――
 ぶびゅううううううううううっ!
「はあああああああああああああああああああああッ!」
 ペニスの先端から、激しい勢いで精液が迸る。
 それは、顔を並べて私の股間をなめしゃぶっていた二人の顔をどろどろに汚してしまった。
「あっ……ああっ……だめ……止まってぇ……」
 ぶびゅびゅ、ぶびゅびゅ、ぶびゅびゅ、ぶびゅびゅ……。
 白濁した汚い粘液が、あとからあとから溢れ出る。
 瀬戸君と果南は、どこか恍惚とした表情で、私の精液を受け止めていた。
 瀬戸君が、手で顔をぬぐおうとする。
「あん、ダメぇ。果南になめさせて」
 そう言って、返事も待たずに、果南がぺろぺろと瀬戸君の顔をなめる。
「どう? おいしかったでしょ? 瑠華ちゃんのミルク」
「ん……ちょっと、苦手な味かな」
「あっくん、はじめてだもんね。でも、すぐに大好きになるよ」
「そうだね」
 そんな二人の会話をぼんやりと聞きながら、荒い息で呼吸を整えた。
 見えているのは、無表情な天井と、剥き出しの蛍光灯だけ。
 涙が視界をにじませ、溢れてこめかみを滑り落ちる。
 でも、私は、自分がなんで泣いているのか、どうしても分からなかった。
 どれくらい――泣いていたんだろう?
 気が付くと、瀬戸君が、私の顔を見下ろしていた。
 瀬戸君は、私の体の両脇に手を置いている。
 瀬戸君の腰は、だらしなく開かれた私の脚の間にあって、そして、その股間では、剥き出しになったペニスがおへその方まで反り返っていた。
「入れるよ。弓永さん」
 穏やかな、だけど強い決意を秘めた声で、瀬戸君が言う。
 生々しい恐怖を感じ、思わず、子供のようにかぶりを振る。
 瀬戸君は、私の頬に両手を当て、そっと、キスで涙を拭った。
「ゆる、して……」
 私は、ほとんど無意識のうちに、そう言っていた。
「もう、許して……私の体、これ以上おもちゃにしないで……」
 弱々しい、自分でも情けなくなるような口調。
「そんなつもりはないよ。ただ、僕は、君のことが欲しいんだ」
 瀬戸君が言う。
「力を抜いて……」
「い、いや、こわい……こわいよ……」
 身をよじって、瀬戸君から逃げようとする。
 瀬戸君が、体を起こして、私の腰をつかまえた。
 瀬戸君の熱いペニスの先端が、私のヴァギナに触れる。
 怯え、震えている私の体の中で、そこだけが、淫らに息づきながらその時を待っているようだ。
 ぐっ……! と瀬戸君が腰を進ませた。
「あ……っああああああああああああああああああ!」
 鋭い痛みに、絶叫した。
 熱い肉の杭が、私の体を貫いていく。
 そして――ぷつん、と、何かが私の中で、切れた。
「あ、ああ……あ……あ……っ……」
 誰にも触れられたことのなかった体の内側を、瀬戸君のペニスが押し広げ、擦り上げる。
「ひっ……んいいいいいいい……」
 どこまでも、どこまでも、ペニスが私の中に入って行く感触。
 痛みで、息がうまくできない。
 ようやく、侵入が終わった。
 体の中心に突き刺さった固い感触のために、身動きができない。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
 新鮮な空気を求め、喘ぐ。
 乱れ、汗で額に張り付いた前髪を、瀬戸君がそっと直した。
「痛い?」
 瀬戸君の問いに、こくこくと頷く。
「がまんして……できるだけ、優しくするから……」
 そう言いながら、瀬戸君が、私の中でゆっくりと動き始めた。
「ひ、ひあ……い、いたい……いたいの……」
 さっきほどではないけど、やっぱり痛い。
「……果南も、同じように痛かったんだと思うよ?」
 そう、だ……。
 私も、同じことを果南に……。
「んうっ……ひっく……ご、ごめんなさい……ごめんなさい……!」
「……謝る相手は、僕じゃないだろ?」
 言われて、私は果南の姿を探した。
 まだ裸のままの果南が、私の頭のさらに向こう側で、床に座っている。
 その褐色の瞳が、私のことをじっと見つめていた。
「ごめんね……ごめんねっ……果南……あの時はごめんね……っ!」
 言いたくても言えなかった言葉を、痛みに押し出されるようにして繰り返す。
「いいんだよ、瑠華ちゃん……」
 そう言いながら、果南が私のそばににじり寄り、私の顔を逆向きにのぞき込んだ。
 そして、ちゅ、と私の唇にキスをする。
「果南だって、あっくんとのこと黙ってたんだもん。よくなかったよね?」
「そんなこと……あっ、ああっ……!」
 果南が、さらに頭を進ませ、私の胸に唇を寄せた。
 目の前に、女らしい豊かな曲線で構成された果南の乳房がある。
「瑠華ちゃん……気持ちよくなって……あの時の果南みたいに、いっぱい感じて……」
 そう言いながら、私に逆さまに覆いかぶさった果南が、ちゅっ、ちゅっ、と乳首を吸い上げる。
「ひあっ……んああああああン!」
 その時――私の中で、密かに高まっていた快感が、苦痛を上回った。
 ずぅん、ずぅん、という瀬戸君の動きが、そのまま重苦しいような快感に変わる。
 瀬戸君の動きに、私の中の性感が高まり、高まった性感がさらなる快楽を体の奥に導いていく。
「ああっ! あっ! ああっ! あんっ!」
 瀬戸君に膣内を奥まで突かれ、果南に左右の乳首を愛撫されて、私は、今まで知らなかった種類の快楽に圧倒されていた。
 瀬戸君の熱いペニスに、体の内側を占領され、支配される。
 その快感が、乳首の鋭い快感に共鳴し、体の中で熱いうねりになった。
「瑠華ちゃん……オチンチン立ってるよ?」
 果南が、ささやくような声で言った。
「えっ……?」
「あっくんの動きに合わせて、ぺたん、ぺたんって、瑠華ちゃんのおなか叩いてるの……。可愛い♪」
「ああっ、そんな……恥ずかしい……」
「んふふふふっ」
 果南が、さらに前進して、私のペニスを両手の指でつまむ。
 そして、その先端をちろちろとなめ始めた。
「あっ! ひあっ! きゃぁーっ!」
 瀬戸君は、果南が口でしやすいように、私の腰を持ち上げるようにした。もちろん、私はなされるがままだ。
 果南が、瀬戸君の抽送の邪魔にならないように、頭を横に倒すようにして、私のペニスを半ばまで咥え込んだ。
 果南の温かな口の中で、柔らかな舌が踊る。
 牡の器官と牝の器官がもたらす快感が混じり合い、私の体を下から突き上げ、貫き通した。
「ひいぃんっ! それ、それダメぇ! き、きもちよすぎるぅッ!」 
 亀頭の表面をぞろぞろとなめられ、雁首のくびれを舌でえぐられて、私は、びくびくと体を震わせた。
 そんな私の体の内側を、さっきよりさらに膨張したように思われる瀬戸君のペニスが、ずるっ、ずるっ、と擦り上げる。
 私は、大きすぎる快感に、恐怖に近い感覚を覚えていた。
 このまま射精してしまったらどうなるかわからない、という恐れにかられ、無意識のうちに下半身に力を込める。
「うわっ……すごく締まる……」
 瀬戸君が、悲鳴のような声をあげた。
 収縮した膣肉が瀬戸君のペニスを締め上げ、破瓜の血と熱い愛液にまみれた粘膜同士の強い摩擦が、さらなる快楽を生み出す。
「あああっ! ひあっ! もう、もうダメえええええええええ〜ッ!」
 あられもない絶叫をあげて、背筋を弓なりに反らす。
 びゅくんっ!
 私のペニスが、果南の口の中で、撥ねる。
 びゅくん! びゅくん! びゅくん! びゅくん!
「あうっ……ゆ、弓永さん……すごい……!」
 射精の律動に合わせて、膣肉が痙攣し、瀬戸君のペニスを搾り上げる。
 それは、まるで瀬戸君に射精をねだっているかのようだ。
 いや、私は、その時確かに、瀬戸君の熱い精液で胎内を満たされることを求めていた。
 びゅうううううううううううううっ!
 瀬戸君が、私の中で、射精した。
 びくんっ、びくんっ、と瀬戸君のペニスが律動し、熱い体液を私の中に注ぎ込む。
 子宮口を熱い精液の固まりが打ちすえるその感覚に、私は、何度も絶頂を迎えてしまった。
「ひはっ……は……はう……はわァ……」
 男の絶頂と女の絶頂を同時に味わわされ、私は、呼吸すらままならない。
 再び、絶頂の余韻が、私を包み込む。
 まるで、温かなお湯の中に、全身を浸らせているような……。
 そして、渾然となっていた五感が、次第に元に戻っていく。
「んくっ……んく……んく……んく……」
 私に逆さまに覆いかぶさった果南が、大量に溢れ出た私の精液を、一心に飲み干していた。
 ぼんやりとした視界の中、果南のスリットが、透明な愛液でぐっしょりと濡れている。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
 瀬戸君の喘ぎが、遠く聞こえる。
 それが、私が射精したあとの声に似てるように思えて、ちょっとだけ、可笑しくなった。
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